ドキュサインとAdobe Acrobat Signの違い|料金体系と選び方を比較

・契約・電子署名・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

電子契約を入れようと調べはじめると、まず名前が挙がるのがDocuSign(ドキュサイン)とAdobe Acrobat Sign、そして国内サービスのクラウドサインです。機能一覧を並べて見比べても、どれも「契約書を送って、相手が署名して、保存される」点は同じに見えて、決め手が見つかりません。この記事では、3つのサービスの性格の違いを、署名の方式・料金体系の考え方・すでに使っているツールとの相性・国内の商習慣への合わせやすさという4つの軸で整理し、自社ならどれを先に検討すべきかを判断する順番をまとめます。具体的な料金は各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。

この記事の結論

  • DocuSignとAdobe Acrobat Signは、どちらも海外発の電子署名サービスで機能の重なりが大きく、決め手になりやすいのは「すでに社内で使っているツールとの連携」と「海外取引の有無」です。
  • Adobe Acrobat SignはPDFの作成・編集まわりの環境と一体で運用しやすく、DocuSignは電子署名を軸にした業務フローや外部システムとの連携を厚く作り込みたい場合に検討されることが多いサービスです。
  • 国内取引が中心で、取引先も日本企業ばかりという小さな会社であれば、まず日本語の画面や国内の商習慣に寄せたクラウドサインなどの国内サービスと比較したうえで判断すると迷いにくくなります。

ドキュサインとアドビサインの違いは、どこに出るのか

DocuSign(ドキュサイン)とAdobe Acrobat Sign(旧Adobe Sign、いわゆるアドビサイン)は、どちらも世界的に使われている電子署名サービスです。契約書のPDFをアップロードし、署名欄や日付欄を配置して相手にメールで送り、相手が同意して署名すると、署名済みのファイルと操作の記録が残る——この基本的な流れは、両者でほとんど変わりません。機能一覧だけを見比べても差が出にくいのは、このためです。

違いが出るのは、その周辺です。Adobe Acrobat SignはPDFそのものを扱うAdobeの製品群と地続きで、契約書のPDFを作る・直す・まとめるといった作業と署名依頼が同じ環境の中で完結しやすい設計になっています。一方のDocuSignは電子署名そのものを中心に据えたサービスで、申込書や同意書を含めた「書類を回して承認を取る」業務全体を組み立てる方向に強みを置いています。

もうひとつの違いは、使う人の広がり方です。海外の取引先が日常的に電子署名を使っている場合、相手がすでにどちらかのサービスに慣れていることがあります。受信側は多くの場合アカウントなしで署名できますが、相手の社内ルールで「この方式でお願いしたい」と指定されるケースもあるため、取引先の状況を先に確認しておくと選びやすくなります。

料金体系の考え方:どこで金額が変わるのかを先に押さえる

具体的な金額はプラン改定があるため各社の公式サイトで確認していただく前提で、ここでは「何が課金の単位になるか」という考え方を整理します。電子契約サービスの料金は、大きく分けて①送信する側のユーザー数(アカウント数)、②送信する契約の件数、③使える機能の範囲、の3つの掛け算で決まる構造になっていることが多いです。受け取って署名する側には基本的に費用がかからない、という点は多くのサービスで共通しています。

DocuSignとAdobe Acrobat Signは、いずれもユーザー単位の年間契約を基本としつつ、送信できる件数に上限が設けられている形が一般的です。つまり「契約書を送る人が何人いるか」「年間で何通送るか」の2つを先に見積もっておかないと、プラン比較ができません。ひとり社長で月に数通なら最小構成で足りますが、営業担当が5人いて全員が送るなら、人数分の費用が前提になります。

比較のときに見落としやすいのが、追加費用が発生しうる機能です。本人確認を強化するオプション、外部システムとの連携、長期保存やタイムスタンプに関わる機能などは、上位プランや別料金になっていることがあります。まず自社に必須の機能を3つ程度に絞り、それが含まれるプランどうしで比べると、表示価格に惑わされにくくなります。

Docusign(ドキュサイン)の料金プラン

Docusign(ドキュサイン)の料金は次のとおりです。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。

プラン月額1件あたりの送信料ユーザー数備考
Personal1,333円/月(年間一括 16,000円/年)月5通まで1ユーザー別途税金が発生する場合あり
Standard3,300円/月・ユーザー(年間一括 39,600円/年)年間100通/ユーザー最大50ユーザー共同編集、ブランド設定
Business Pro5,300円/月・ユーザー(年間一括 63,600円/年)年間100通/ユーザー最大50ユーザーWebフォーム、支払い回収、一括送信
拡張プラン記載なしカスタム51ユーザー以上組織管理、24時間サポート
出典:Docusign(ドキュサイン) 公式料金ページ(https://ecom.docusign.com/ja-JP/plans-and-pricing/esignature)・2026-09-21確認

立会人型と当事者型:署名の方式による違い

電子契約サービスは、署名の方式によって大きく2つに分かれます。ひとつは、サービス事業者がメール認証などを通じて署名を付与する方式(いわゆる立会人型・事業者署名型)。もうひとつは、署名する本人が電子証明書を用いて署名する方式(当事者型)です。国内の多くのサービスは前者を標準とし、必要に応じて後者や本人確認の強化オプションを用意する構成になっています。

どちらを選ぶべきかは、契約の性質によります。日常的な業務委託契約や注文書のやりとりであれば立会人型で運用している会社が多く、一方で金額が大きい取引や、相手方の社内規程で厳格な本人確認が求められる場合には、証明書を用いる方式や追加の本人確認手段が検討されます。電子署名法や電子帳簿保存法に関わる要件の詳細は、所管官庁の公表資料を確認し、判断に迷う場合は弁護士や税理士にご相談ください。

なお、書面でなければならないと定められている契約類型や、相手方の同意が前提となる場面もあります。すべての契約を電子に置き換えられるとは限らないため、導入時には「電子で回す書類」と「紙のまま残す書類」を一度仕分けしておくと、あとから混乱しにくくなります。

クラウドサインを含めた3つの比較:国内利用か、海外取引かで分かれる

クラウドサインは日本国内で開発・提供されている電子契約サービスで、画面や操作の流れが日本のビジネス文書に合わせて作られている点が特徴です。取引先が日本企業中心で、受け取る側にも迷わず署名してもらいたいという場合、国内サービスは案内のしやすさで有利に働くことがあります。サポートや利用規約、問い合わせ窓口が日本語である点も、小さな会社では実務上の差になります。

逆に、海外の取引先とのやりとりが一定割合あるなら、DocuSignやAdobe Acrobat Signのように多言語の署名画面に対応したサービスのほうが説明の手間が減ります。英語の契約書をそのまま送り、相手が見慣れた画面で署名できることは、受信側の心理的なハードルを下げます。また、海外拠点や海外のクライアントの社内ルールで対応サービスが指定されることもあります。

3つの比較を一枚に整理するなら、「取引先はどこの国か」「社内ですでに使っているツールは何か」「送信する人は何人か」の3問に答えるだけで、候補はかなり絞れます。すべての機能を横並びで比べようとすると終わらないので、この3問から入るのが近道です。

迷ったときの判断の順番:この条件に当てはまるならこちら

まず1つ目。取引先も自社も国内で完結していて、英文契約の予定がないなら、国内サービス(クラウドサインなど)を第一候補に置き、そのうえでDocuSignやAdobe Acrobat Signと比較します。日本語の申込導線やサポートがあることは、バックオフィスに人手を割けない会社ほど効いてきます。

2つ目。海外取引がある、または今後増える見込みがあるなら、DocuSignとAdobe Acrobat Signの二択に進みます。ここで次に見るのは、社内で日常的に使っているツールです。PDFの編集や書類作成をAdobeの環境で行っているならAdobe Acrobat Signのほうが作業の分断が少なく、逆に顧客管理や業務システムと連携させて申込フローを自動化したいならDocuSignの連携メニューを確認する、という順番になります。

3つ目。どちらも決め手に欠ける場合は、無料トライアルで「自社の実際の契約書を1通、社内の誰かに送ってみる」ことをおすすめします。送信側の操作より、受け取った側の画面がどれだけ分かりやすいかが、現場での定着を左右します。トライアルの有無や期間は変わるため、各社の公式サイトで最新の条件を確認してください。

導入するときの進め方:いつ、何を用意して、どこで設定するか

導入の順番は、①電子化する書類の棚卸し、②社内ルールの決定、③サービスの試用、④本契約と初期設定、の4段階で考えると進めやすくなります。まず棚卸しでは、直近1年でやりとりした契約書・注文書・同意書を洗い出し、電子で回せるもの、相手の同意が必要なもの、紙のまま残すものに分けます。ここを飛ばすと、導入後に「この書類は電子でいいのか」と都度止まることになります。

次に社内ルールです。誰が送信できるか、誰の承認を経て送るか、署名済みファイルをどこに保管するかを決めます。ひとり社長でも、保管場所だけは先に決めておくと後で探さずに済みます。電子取引データの保存については電子帳簿保存法の考え方が関わるため、要件の詳細は国税庁の公表資料を確認し、判断に迷う点は税理士にご確認ください。

試用では、実際に使う契約書のPDFで、署名欄の配置・送信・受信・保存までを一周させます。ここで問題がなければ本契約に進み、初期設定として送信者アカウントの追加、テンプレートの登録、保存先の連携を行います。運用が始まったあとも、半年に一度は「紙のまま残っている書類はないか」を見直すと、電子化が中途半端なまま止まるのを防げます。契約書の文面そのものや、電子化にあたっての法的な扱いに不安がある場合は、弁護士や司法書士に相談したうえで進めると安心です。

よくある質問

ドキュサインとアドビサインは、機能に大きな差がありますか。

基本的な電子署名の機能はどちらも備えており、日常的な契約書のやりとりで差を感じる場面は多くありません。違いが出やすいのは、PDF編集環境との一体性や、外部システムとの連携メニュー、オプション機能の範囲です。必要な機能を絞ってから、各社の公式サイトで最新の対応状況を確認してください。

取引先が電子契約サービスを使っていなくても、契約できますか。

多くのサービスでは、受け取る側はアカウント登録なしでメールのリンクから署名できる仕組みになっています。ただし相手方の社内規程で電子契約が認められていない場合や、書面が求められる契約類型もあるため、事前に相手先へ確認しておくと安全です。判断に迷う契約は弁護士にご相談ください。

クラウドサインと海外サービスは、どちらが小さな会社向きですか。

取引先が国内中心で、英文契約の予定がないなら、日本語の画面やサポートがある国内サービスのほうが運用の負担は軽くなりやすいです。一方、海外取引がある場合は多言語対応のサービスが向きます。会社の規模よりも、取引先の所在地と既存ツールとの相性で選ぶほうが失敗しにくくなります。

電子契約にすると、契約書の保存はどうすればよいですか。

電子でやりとりした契約書は電子データのまま保存する考え方が基本とされており、保存方法や検索性について電子帳簿保存法の要件が関わります。要件の詳細は国税庁の公表資料を確認し、自社の保存方法が適切かどうかは税理士にご確認ください。サービス側の保管機能を使う場合も、解約時のデータ持ち出し方法を事前に調べておくと安心です。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。