電子契約の料金の見方|月額と送信単価、ランニングコストの比較
電子契約サービスの料金ページを何社か開いてみると、月額いくら、1件いくら、ユーザー数ごと、と書き方がバラバラで、結局どれが自社にとって安いのか分からなくなります。料金の比較でつまずく原因はほとんどが「比較の単位がそろっていない」ことです。この記事では、電子契約の料金を分解して見る方法と、自社の年間コストを紙に書いて出す手順、そして安さ以外に確認しておきたい点を順番に整理します。実際の金額は各社の公式サイトで最新の料金表をご確認ください。
この記事の結論
- 電子契約の料金は「月額の基本料」「1件ごとの送信単価」「オプション・追加ユーザー料金」の3つに分解すると、各社を同じ土俵で比較できます。
- 比較するときは月額だけを見ず、年間の契約通数を掛けた『年間の総額』にそろえて並べるのが基本です。
- 年間の通数が少ないうちは送信単価中心の軽いプラン、通数が増え社内の利用者が増えたら基本料込みのプランへ、という順に見直すと無駄が出にくくなります。
電子契約の料金は何で決まる? まず3つに分解する
電子契約サービスの料金は、大きく分けると「月額(または年額)の基本料」「送信1件ごとの従量料金」「オプションや追加ユーザーの料金」の3層でできています。どのサービスもこの3層のどこに重みを置くかが違うだけで、構造そのものは似ています。料金ページを読むときは、まずこの3つの欄を作ったメモを用意して、そこに数字を書き写していくと混乱しません。
基本料は、そのサービスを使える権利の部分です。多くの場合、保管できる契約書の件数、使える機能、管理画面を使える人数などがここで決まります。送信単価は、相手に契約書を送って署名を依頼するたびにかかる費用で、「1件」「1文書」「1送信」など数え方の定義がサービスごとに違う点に注意してください。
3つ目のオプションには、ユーザーの追加、電子署名の種類の切り替え、外部サービス連携、SSOなどのセキュリティ機能、専用のサポートといったものが並びます。ここは最初は不要でも、社内で使う人が増えたタイミングで効いてくる部分です。料金を比べるときは、いま必要なものだけでなく「1年後に必要になりそうなもの」も同じ表に入れておくと、後から見直す手間が減ります。
料金比較は「年間の総額」にそろえる|計算の手順
月額だけを並べても比較になりません。おすすめの手順は次の3ステップです。まず、直近1年間に自社が結んだ契約書・発注書・申込書などの通数を数えます。正確でなくてかまいません。取引先との基本契約、業務委託契約、雇用契約、注文請書など、種類ごとにおおよその件数を書き出します。
次に、そのうち「電子で送れるもの」と「相手の都合で紙が残りそうなもの」を分けます。電子契約に切り替えられるのは前者だけなので、料金計算の分母はここになります。相手が官公庁や紙運用の強い取引先の場合、当面は紙が残ると考えて多めに見積もっておくほうが安全です。
最後に、各社の料金表に自社の通数を当てはめて「基本料×12か月+送信単価×年間通数+必要なオプション」を計算します。これで初めて横並びの比較ができます。通数が想定の半分だった場合と倍だった場合の2パターンも出しておくと、事業の伸び方に対して料金が急に跳ねないかが見えます。具体的な単価や上限は各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
月額型と従量型、どちらが向く? 判断の順番
迷ったら、この順に見てください。第一に、年間の送信通数。通数がごく少なく、月によっては1件も送らない、という段階なら、基本料が軽く送信ごとに課金される形のほうが総額を抑えやすい傾向があります。逆に毎月安定して送る通数があるなら、一定通数が基本料に含まれるプランのほうが1通あたりの負担は下がります。
第二に、社内で契約書を送る人が何人いるか。営業部門の各担当が自分で送るのか、管理部門が窓口になって代行するのかで、必要なユーザー数が変わります。ユーザー単位課金のサービスでは、ここが総額に直結します。当面は管理部門に集約する運用にして、ユーザー数を抑えるという選び方もあります。
第三に、保管する契約書の件数と検索の必要性です。電子契約は締結したら終わりではなく、更新期限の管理や、後から条件を確認するための検索が必ず発生します。保管件数の上限や検索機能がプランで分かれている場合、安いプランを選んだ結果、締結済みの契約を探せず別の台帳を作る羽目になることがあります。運用の手間もコストだと考えて比べてください。
「安い」「格安」で選ぶ前に確認したい4つのポイント
1つ目は、送信の数え方です。1つの契約書を2社に送ったら2件なのか1件なのか、差し戻して再送したら再び課金されるのか。ここの定義が違うと、同じ単価でも年間の総額が変わります。料金ページだけで分からなければ、問い合わせフォームで確認しておくと安心です。
2つ目は、電子署名の方式です。メール認証などによる立会人型(事業者署名型)と、電子証明書を使う当事者型では、料金も運用の重さも変わります。相手方に求める手続きの負担も違うため、どの契約にどちらを使うかを先に決めてから料金を比べるほうが、後戻りが少なくて済みます。方式ごとの法的な扱いについては、所管官庁の資料や弁護士にご確認ください。
3つ目は、解約・データの持ち出しです。契約書は解約後も一定期間保存が必要になることがあります。解約したときに締結済みの文書をまとめてダウンロードできるか、どの形式で出せるかは、乗り換えを考えるときに効いてきます。
4つ目は、電子帳簿保存法への対応です。電子で受け取った契約書の保存には要件があり、サービス側がその要件に沿った保存機能を備えているかで、社内で追加対応が必要かどうかが変わります。要件の詳細は国税庁の公表資料を確認し、判断に迷う部分は税理士にご相談ください。
無料プラン・お試しはどう使う?
多くのサービスに、機能や通数を絞った無料の枠や試用期間が用意されています。これは料金を下げるためというより、自社の運用に合うかを確かめるために使うものと考えてください。試すときは、実際に社内で一番よく使う契約書を1本選び、作成から送信、相手の署名、保管、検索までを通しでやってみるのがおすすめです。
確認したいのは、相手方の操作が分かりやすいかどうかです。電子契約は自社だけでなく取引先が操作します。相手がつまずいて電話が来るようなら、料金が安くても実務の負担は増えます。可能であれば、社内の別の人に取引先役をお願いして、スマートフォンからも署名してみてください。
試用期間が終わると自動で有料に切り替わる設計のものもあります。申し込み時に、切り替えのタイミングと解約の手順をメモしておきましょう。無料枠の範囲や試用条件は変更されることがあるため、各社の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
導入後にランニングコストを見直すタイミング
電子契約の費用は、入れて終わりではありません。見直しの目安は、年間の通数が当初想定から大きく動いたとき、社内で使う人が増えたとき、そして契約更新の時期の3つです。年に一度、契約更新の少し前に、実際の送信通数とプランの含み通数を突き合わせる時間を取ってください。
よくあるのは、上位プランに入ったまま通数が想定に届いていないケースと、逆に従量課金が積み上がって上位プランのほうが安くなっているケースです。どちらも、月次の請求書を1年分並べれば気づけます。経理の月次処理のついでに、送信件数をメモしておく運用にしておくと後が楽です。
紙の契約にかかっていた印紙、郵送、保管、押印のための出社といった手間が減った分も含めて考えると、単純な利用料の比較だけでは見えない差が出ることがあります。印紙税の取り扱いは契約の内容や形態によって判断が分かれるため、自社のケースについては税理士にご確認ください。契約書の内容や電子化の可否に不安がある場合は弁護士、登記関係の書類がからむ場合は司法書士に相談すると、判断を誤りにくくなります。
よくある質問
電子契約の料金は月額と送信単価のどちらで比べればいいですか?
どちらか一方では比較になりません。年間の送信通数を出したうえで「基本料×12か月+送信単価×年間通数+必要なオプション」を計算し、年間の総額で並べてください。通数が想定より増えた場合と減った場合の2パターンを出しておくと、判断しやすくなります。
契約の件数が少ない会社でも電子契約は割に合いますか?
通数が少ない段階では、基本料が軽く送信ごとに課金される形のほうが総額を抑えやすい傾向があります。郵送や保管、押印のための移動といった手間が減る効果もあわせて考えると、通数だけでは判断しきれない部分もあります。まずは試用で実際の運用を通してみるのが確実です。
電子契約にすると印紙は不要になりますか?
契約書の作成形態によって扱いが変わるとされており、一律には言えません。自社が結ぶ契約の種類ごとに判断が必要になるため、国税庁の公表資料を確認したうえで、具体的な取り扱いは税理士にご相談ください。
途中で別の電子契約サービスに乗り換えられますか?
乗り換え自体は可能ですが、締結済みの契約書を取り出せるか、どの形式でダウンロードできるかを事前に確認しておく必要があります。契約書は解約後も保存が必要になることがあるため、申し込み前に解約時のデータの扱いを各社の利用規約で確認しておくと安心です。