電子契約サービスの比較|おすすめの選び方と条件別の候補

・契約・電子署名・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

電子契約サービスは数が多く、機能一覧を並べて見比べても違いが分かりにくいものです。ただ、小さな会社が選ぶときに見るべき点は、実はそれほど多くありません。この記事では「立会人型か当事者型か」「月にどれだけ送るか」「締結後の保管をどうするか」という3つの軸で、候補の絞り方を順番に整理します。最後に、条件別にどのタイプを見ればよいかもまとめます。

この記事の結論

  • 電子契約サービスを比較するときは、①署名方式(立会人型か当事者型か)②月間の送信件数③締結後の保管と検索機能、の順に見ると候補が絞りやすくなります。
  • 多くの小さな会社は、相手方に負担をかけにくい立会人型(メール認証で相手が署名する方式)から検討すると、導入がスムーズに進みやすい傾向があります。
  • 無料プランは送信件数や保管期間、ユーザー数に制限があることが一般的なので、月の締結件数と保管の要否を確認してから有料プランと比べてください。

電子契約サービスの比較は、どの順番で見ればいい?

電子契約サービスの比較記事を見ると、機能が何十項目も並んでいて、どこから手をつければよいか分からなくなりがちです。小さな会社の場合、優先順位はある程度はっきりしています。まず「署名方式」、次に「月にどれくらい送るか」、その次に「締結した契約書をどう保管・検索するか」。この3つで大半の候補は絞れます。

逆に、後回しでよいのがワークフロー(社内承認の多段階設定)や外部システム連携です。これらは組織が大きくなるほど効いてくる機能で、社長ひとり、あるいは数人の会社では使う場面が限られます。最初から高機能なプランを選ぶと、使わない機能の分まで負担することになりかねません。

もう一つ、意外と見落とされるのが「相手方の使いやすさ」です。電子契約は自社だけでは完結せず、取引先が署名して初めて成立します。相手にアカウント登録を求める方式か、メールのリンクから署名できる方式かで、締結までのスピードがかなり変わります。

立会人型と当事者型、どちらを選べばいい?

電子契約の署名方式は、大きく分けて立会人型(事業者署名型)と当事者型(電子署名法に基づく電子証明書を使う方式)の2つです。立会人型は、サービス提供事業者の名義で電子署名を行い、メールアドレスの認証などで本人性を担保する仕組みです。相手方は届いたメールのリンクを開いて署名するだけなので、導入のハードルが低いのが特徴です。

当事者型は、契約の当事者それぞれが電子証明書を取得して署名します。本人性の担保はより強くなりますが、相手方にも証明書の取得を求めることになるため、取引先の協力が前提になります。官公庁向けの手続きや、金額の大きい重要契約で求められることがあります。

判断の順番としては、まず「相手方が不特定多数、または中小企業・個人事業主が中心か」を見てください。当てはまるなら立会人型から検討するのが現実的です。一方、「特定の大手企業や金融機関と継続的に契約し、先方から署名方式の指定がある」場合は、その指定に合わせる必要があります。両方に対応できるサービスもあるので、将来的に当事者型が必要になりそうなら、対応の有無を確認しておくと安心です。

なお、どの署名方式であれば法的に有効か、といった個別の判断は契約内容や相手方によって異なります。重要な契約について不安がある場合は、弁護士に確認することをおすすめします。

月に何件送るかで、見るべきプランが変わる

電子契約サービスの料金は、多くの場合「基本料金+送信件数」または「基本料金に一定件数を含む」という形で設計されています。そのため、自社が月に何件契約を締結するかを先に把握しておくと、比較が一気に楽になります。過去半年分の契約書を数えて、月平均を出してみてください。

月に数件程度であれば、無料プランや送信件数の少ないプランでも足りることがあります。ただし無料プランは、送信可能件数、登録できるユーザー数、保管期間、テンプレート機能の有無などに制限があるのが一般的です。「無料で使い続けられるか」ではなく「制限にいつぶつかるか」を見る視点が役立ちます。

月に十数件以上、あるいは業務委託契約や注文書のやり取りが定期的に発生するなら、件数込みのプランのほうが合計では見通しが立ちやすくなります。具体的な料金体系や件数の区切りは各社で異なり、改定もあるため、各社の公式サイトで最新の料金を確認してください。

比較するときは、「1件あたりいくらか」だけでなく、ユーザー数の追加費用、送信取消や再送の扱い、外部保管(他社で締結した契約書の取り込み)が別料金かどうかもあわせて見ておくと、後から想定外の費用が出にくくなります。

締結後の保管と検索は、契約書の電子化で見落としやすい

電子契約は「締結して終わり」ではありません。むしろ、後から契約書を探し出せるかどうかが、日々の業務では効いてきます。取引先名、契約種別、契約期間、金額といった項目で検索できるか、更新期限が近づいたときに通知が出るか。この2点は、契約件数が増えるほど価値が出ます。

また、紙で締結した既存の契約書をスキャンして同じ場所にまとめられるかも、比較の分かれ目になります。電子と紙が別々の場所にあると、結局どちらも探しにくくなります。契約書保管サービスとして独立した製品もあるので、締結の機能はシンプルなもの、保管は別の仕組み、という組み合わせも選択肢です。

電子取引でやり取りしたデータの保存については、電子帳簿保存法で一定の要件が示されています。検索要件やタイムスタンプ、訂正削除の履歴といった論点があり、サービス側が対応を用意していることも多いのですが、要件の詳細や自社での運用方法は国税庁の資料を確認し、判断に迷う部分は税理士にご確認ください。

サービスを乗り換える可能性も考えて、締結済みデータを一括ダウンロードできるかを見ておくと安心です。契約書は長期間保管するものなので、データを持ち出せるかどうかは意外に重要な比較軸になります。

条件別に、どのタイプの電子契約サービスを見ればいい?

設立したばかりで、まずは業務委託契約や秘密保持契約を電子化したい会社。この場合は、立会人型で、無料プランまたは小規模向けプランがあるサービスから試すのが現実的です。実際に数件送ってみて、相手方から「開けない」「操作が分からない」といった声が出ないかを確認してから、本格導入を決めると失敗しにくくなります。

取引先が多く、毎月まとまった件数を締結する会社。送信件数込みのプランと、テンプレート機能、宛先の一括送信ができるかを軸に比較してください。同じ内容の契約を繰り返し送る業務が多いなら、テンプレートの作りやすさが実務の負担を大きく左右します。

大手企業や官公庁との取引が中心で、先方から署名方式や書式の指定がある会社。まず先方の要件を確認し、それに対応できるサービスに絞ってから、社内の使い勝手を比べます。ここは自社都合より相手方要件が優先になりやすい領域です。

すでに紙の契約書が大量にあり、まず整理したい会社。締結機能より、保管・検索・期限管理に強い仕組みを先に入れるという順番もあります。「電子契約の導入」と「契約書の電子保管」は別のテーマとして切り分けると、必要な機能が見えやすくなります。

導入するときの進め方と、社内で決めておくこと

進め方としては、①社内で使う契約の種類を洗い出す ②署名方式と月間件数から2〜3社に絞る ③無料トライアルで実際に自社の契約書を1〜2件送ってみる ④相手方の反応を確認して決める、という順が分かりやすいです。カタログの比較だけで決めず、必ず実際の契約書で試してください。

あわせて、社内ルールも決めておきます。誰が送信できるのか、社長以外が送る場合の承認はどうするか、電子と紙をどう使い分けるか、締結済みデータの保管場所はどこか。ひとり社長でも、将来人が増えたときのために一度書き出しておくと、後から整えるのが楽になります。

契約書には収入印紙の扱いや、相手方との合意の取り方など、実務上の論点がいくつかあります。契約内容そのものの適否や、電子化にあたっての社内規程の整備については弁護士に、保存方法や税務上の取り扱いについては税理士に、それぞれ早い段階で相談しておくと、後戻りが少なく進められます。

よくある質問

電子契約サービスは無料でも使えますか?

無料プランを用意しているサービスもありますが、送信件数、ユーザー数、保管期間などに制限があるのが一般的です。月に数件程度なら足りることもあるので、自社の締結件数を数えたうえで、制限内で収まるかを確認してください。具体的な条件は改定されることがあるため、各社の公式サイトで最新の内容をご確認ください。

相手方が電子契約に対応していない場合はどうすればいいですか?

立会人型のサービスであれば、相手方は届いたメールのリンクから署名できることが多く、アカウント登録が不要な場合もあります。それでも難しいときは、その契約だけ紙で締結し、スキャンして同じ場所に保管するという運用も考えられます。電子と紙の使い分けルールを先に決めておくと混乱しにくくなります。

電子契約にした契約書は、どのように保管すればよいですか?

電子取引でやり取りしたデータの保存については、電子帳簿保存法で検索要件などの考え方が示されています。サービス側で要件に沿った保存機能を用意している場合もありますが、自社の運用が要件を満たすかは個別の判断になります。国税庁の資料を確認し、迷う点は税理士にご相談ください。

電子契約のシェアやランキングを基準に選んでよいですか?

導入企業が多いサービスは相手方が操作に慣れている可能性がある、という利点はあります。ただし、必要な署名方式や月間件数、保管機能は会社ごとに違うため、ランキングだけで決めるのは避けたほうが無難です。自社の条件で2〜3社に絞り、実際の契約書で試してから判断してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。