社労士の顧問料の相場|従業員数別の月額と依頼範囲の決め方

・採用・労務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「社労士の顧問料っていくらくらいなの?」と検索すると、いろいろな金額が出てきて、かえって分からなくなります。実際のところ、社労士の顧問料は全国一律の定価があるわけではなく、従業員数と依頼する業務範囲の組み合わせで決まるのが一般的です。この記事では、金額そのものを当てにいくのではなく、見積もりを読み解いて自社に合う契約を選ぶための考え方を整理します。読み終わったときに「どの条件で何社に相見積もりを取ればいいか」が分かる状態を目指します。

この記事の結論

  • 社労士の顧問料は全国一律の定価がなく、従業員数と依頼する業務範囲(手続き代行のみか、給与計算や相談対応まで含むか)の組み合わせで決まるのが一般的です。
  • 月額顧問料に含まれる業務と、就業規則作成や助成金申請のように別料金(スポット)になりやすい業務を切り分けて確認すると、見積もりを比較しやすくなります。
  • 料金を知りたいときは、従業員数・給与計算の有無・入退社の年間件数など前提条件を揃えたうえで複数の社労士事務所に見積もりを依頼すると、比較しやすくなります。

社労士の顧問料はいくら?相場が一つに決まらない理由

社労士の顧問料について「相場はいくらですか」と聞かれることは多いのですが、税理士や弁護士と同じく、報酬額は各事務所が自由に設定しています。かつて存在した報酬基準は現在は廃止されており、料金表は事務所ごとに異なります。そのため、ネット上で見かける金額をそのまま自社に当てはめても、見積もりと食い違うことがよくあります。

金額が動く要因は、大きく分けて三つあります。ひとつ目は従業員数(正社員だけでなくパート・アルバイトを含む人数)、ふたつ目は依頼する業務範囲、みっつ目は入退社や勤務形態変更の発生頻度です。従業員が少なくても入退社が多い業種では、手続き件数が増えるため料金が上がる設計になっていることがあります。

つまり「自社の相場」を知る近道は、平均値を探すことではなく、自社の前提条件を紙に書き出してから見積もりを取ることです。具体的な料金は各事務所の公式サイトや見積書で最新の内容を確認してください。

月額顧問料に含まれる業務・含まれない業務の切り分け方

社労士の顧問契約で月額に含まれることが多いのは、労働社会保険の各種手続き(入退社に伴う資格取得・喪失、扶養異動など)、年度更新や算定基礎届といった定例の届出、そして労務に関する相談対応です。相談対応は「メール・電話で回数の制限なく」という形もあれば、「月◯回まで」「訪問は年◯回」と区切る形もあります。ここは事務所ごとの差が大きい部分です。

一方で、別料金(スポット)になりやすいのが、就業規則や賃金規程の新規作成・大幅改定、助成金の申請支援、労働基準監督署の調査対応、労使トラブルへの個別対応、そして給与計算です。特に給与計算は、顧問料と別立てで人数に応じた料金を設定している事務所が多く見られます。

見積もりを受け取ったら、「この金額でどこまでやってもらえるか」を業務名レベルで確認してください。曖昧なまま契約すると、後から追加費用が発生したときに納得感が持てなくなります。

従業員数別に考える|1人・10人・30人・100人で変わるポイント

ひとり社長や役員だけの会社では、そもそも顧問契約が要るかどうかから検討します。従業員を雇っていない段階では手続きの発生が限られるため、必要なときだけ依頼するスポット活用で足りるケースもあります。ただし、最初の従業員を採用するタイミングで手続きが一気に増えるので、採用が視野に入ったら相談先を決めておくと動きやすくなります。

従業員が10人前後になると、就業規則の整備が論点になります。常時使用する労働者が一定人数以上の事業場では就業規則の作成・届出が原則として必要とされています(人数の考え方や届出先の詳細は所轄の労働基準監督署、または社会保険労務士にご確認ください)。この規模では、顧問契約に加えて就業規則作成をスポットで依頼する組み合わせが検討されることが多いです。

30人を超えるあたりから、勤怠管理や残業時間の運用、休職・復職の対応といった「制度の運用」の相談が増えます。さらに100人規模になると、手続き件数そのものが多くなるうえ、人事制度や労務監査など踏み込んだ支援を求める場面も出てきます。「社労士 顧問料 相場 100人」で検索する方は、単価の比較よりも、担当者の体制(誰が実務を回すか、繁忙期に連絡が取れるか)を先に確認したほうが失敗しにくくなります。

給与計算まで頼むべき?顧問契約とアウトソースの比較

給与計算を社労士に依頼するかどうかは、迷いやすいポイントです。判断の順番としては、まず「毎月の給与計算に何時間かかっているか」、次に「社会保険料や雇用保険料の改定、年末調整との連携でつまずいていないか」、最後に「担当者が退職したら回らなくなる状態か」を見てください。時間がかかっている、または属人化しているなら、外部に出す価値が出てきます。

社内で行う場合は、給与計算ソフトを使い、社会保険の手続きだけ社労士に任せる形が取りやすいです。逆に、勤怠集計が複雑(シフト制、深夜勤務、複数の手当がある)な会社や、給与の締めから支給までの日数が短い会社は、計算そのものを外部に出したほうが負担が軽くなることがあります。

なお、年末調整や源泉所得税の取り扱いは税務の領域と重なる部分があるため、社労士と税理士のどちらがどこまで担当するかを事前に整理しておくとスムーズです。担当範囲の線引きは事務所によって異なるので、契約前に確認してください。

「安い」で選んで後悔しないための比較の手順

相見積もりを取るときは、条件を揃えることが大前提です。①従業員数(雇用形態別の内訳)、②事業所の数、③年間のおおよその入退社件数、④給与計算の要否と支給回数、⑤勤怠管理の方法(紙・エクセル・クラウド)、⑥就業規則の有無、この6点をメモにまとめ、同じ内容を各事務所に渡します。条件が揃っていない見積もりを並べても、比較にはなりません。

次に、金額以外の項目を比べます。連絡手段(チャット対応の可否)、返信の目安、担当者が変わるときの引き継ぎ、電子申請への対応、既に使っている労務システムとの連携可否などです。月額が抑えられていても、手続きのたびに追加料金が積み上がる設計であれば、年間の総額では逆転することがあります。年額換算での比較をおすすめします。

最後に、契約書の解約条件と、スポット業務の料金の決まり方を確認します。「都度見積もり」とだけ書かれている場合は、代表的な業務(就業規則改定、監督署調査の立ち会いなど)について目安の考え方を聞いておくと、後のすれ違いを減らせます。

顧問契約とスポット依頼、どちらから始めるか

判断の目安として、従業員を雇っておらず手続きの発生が年に数回程度なら、まずはスポット依頼から始める選択肢があります。逆に、毎月のように入退社がある、勤怠や残業の相談が出てきている、就業規則を整えたい、という状況なら、顧問契約のほうが結果的に動きやすくなることが多いです。

もうひとつの基準は「聞ける相手が社内にいるか」です。労務の判断は、ひとつ間違えると従業員との信頼関係や後の紛争に影響します。都度調べて自己判断している時間が増えているなら、相談できる顧問を持つ意味は金額以上に大きくなります。

なお、社会保険や労働保険の具体的な適用要件、就業規則の記載事項などの詳細は、厚生労働省や日本年金機構などの所管機関の資料で最新の内容を確認してください。そのうえで、自社の状況に合わせた判断については社会保険労務士に、税務が絡む部分については税理士にご相談ください。契約前の初回相談に対応している事務所も多いので、まずは2〜3か所に同じ条件で問い合わせてみるところから始めるとよいでしょう。

よくある質問

社労士の顧問料の平均はいくらですか?

社労士の報酬は各事務所が自由に設定しており、全国一律の平均額や定価はありません。従業員数・給与計算の有無・入退社件数などの前提条件を揃えて複数の事務所に見積もりを依頼すると、自社に近い水準を把握しやすくなります。最新の料金は各事務所の公式サイトや見積書でご確認ください。

社労士の顧問料には給与計算も含まれますか?

給与計算は顧問料と別立てになっている事務所が多く、人数や支給回数に応じた料金が設定されるのが一般的です。含まれるかどうかは事務所ごとに異なるため、見積もりの段階で「給与計算込みか、別料金か」を明記してもらうと比較しやすくなります。年末調整の担当範囲についても、税理士との役割分担を含めて確認しておくと安心です。

従業員100人規模だと顧問料はどう変わりますか?

従業員数が増えるほど手続き件数や相談件数が増えるため、料金は人数区分に応じて上がる設計が一般的です。100人規模では単価の比較だけでなく、担当者の体制、繁忙期の対応スピード、電子申請や労務システムとの連携可否も含めて検討することをおすすめします。

顧問契約をせず、必要なときだけ社労士に依頼できますか?

就業規則の作成や労働社会保険の手続きなど、スポット(単発)で依頼を受け付けている事務所もあります。手続きの発生が少ない段階ではスポットから始め、従業員数が増えたり相談が増えてきた段階で顧問契約に切り替える進め方も検討できます。どちらが適しているかは自社の状況によるため、社会保険労務士に相談したうえで判断してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。