合同会社の本店移転登記|総社員の同意書など必要書類と手順

・住所・オフィス・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

事務所の引っ越しや自宅住所の変更で、合同会社の本店を移すことになった。まず気になるのは「何を書いて、どこに出すのか」だと思います。合同会社の本店移転は、株式会社と流れは似ていますが、決議の主体が「社員」である点と、定款にどこまで住所を書いているかで手続きの重さが変わる点が特徴です。この記事では、判断の順番と必要書類、登記後にやることまでを、実務の流れに沿って整理します。

この記事の結論

  • 合同会社の本店移転は、まず定款の本店所在地の記載範囲を確認し、記載した範囲を超えて移る場合は総社員の同意による定款変更が必要になるのが一般的です。
  • 必要書類は、本店移転登記申請書に加えて、定款変更が必要なら総社員の同意書、不要なら業務執行社員の決定書(業務執行社員が複数なら過半数の一致を示す書面)を添えるのが基本形です。
  • 本店移転の登記は移転日から原則2週間以内に管轄の法務局へ申請し、登記完了後に税務署・都道府県・市区町村・年金事務所などへの住所変更届出が続きます。

合同会社の本店移転で、最初に確認するのは定款の書き方

合同会社の本店移転は、いきなり申請書を書き始めるとやり直しになりがちです。最初に見るのは、自社の定款にある本店所在地の条文です。ここが「当会社は、本店を東京都〇〇区に置く」のように市区町村までの記載なのか、「〇〇区〇〇一丁目1番1号」のように番地まで入っているのかで、必要な手続きが分かれます。

判断の順番はシンプルです。(1)定款の記載が市区町村までか、番地までかを確認する。(2)新しい本店が、定款に書かれた範囲の中に収まるかを確認する。(3)収まるなら定款変更は不要で、業務執行社員の決定だけで進められることが多く、収まらないなら総社員の同意による定款変更が必要になります。

もう一つ確認したいのが、移転先が今の法務局の管轄内かどうかです。同じ市区町村内でも管轄が違うことがありますし、管轄が変わると申請の書き方や添付の考え方が変わります。管轄は法務局のサイトで公開されている管轄一覧で調べられます。

総社員の同意書と業務執行社員の決定書、どちらが必要か

定款を変更する場合、合同会社では総社員の同意が原則とされています(定款に別段の定めがある場合はその定めによります)。そのため、定款に書いた市区町村の外へ移るときは「総社員の同意書」を作成し、同意の日付、変更後の条文、社員全員の記名押印を残します。ひとり社長の合同会社なら、社員が自分一人なので同意書も一枚で足りますが、書面自体は省略せずに作るのが安全です。

定款変更が不要なケース、つまり定款に市区町村までしか書いておらず、その市区町村内で移転する場合は、具体的な所在場所と移転日を決める書面を作ります。業務執行社員が一人なら「業務執行社員の決定書」、複数いるなら過半数の一致を示す書面という形が一般的です。ここで決めた移転日が、登記申請の期限の起算点になります。

定款に番地まで書いているのに同じ建物内で部屋番号だけ変わる、といった細かいケースは判断に迷うところです。この場合は総社員の同意書と決定書の両方を用意しておくと、窓口でのやり直しを減らせます。迷ったら管轄法務局の登記相談や司法書士に確認してください。

合同会社の本店移転登記の必要書類と申請の進め方

用意する書類の基本形は次のとおりです。①本店移転登記申請書、②総社員の同意書(定款変更が必要な場合)、③業務執行社員の決定書または過半数の一致を証する書面、④代理人に頼む場合は委任状。登記申請書には会社法人等番号を記載します。押印については法務局の記載例や案内に沿って準備してください。

進め方は、決める→書面を作る→出す、の順です。まず移転日と新住所を確定し、その日付で同意書・決定書を作成します。次に申請書を作り、移転日から原則2週間以内に管轄の法務局へ提出します。管轄が変わる移転(管轄外移転)では、旧本店の管轄法務局を経由して申請するのが従来の取扱いで、新旧両方の登記所分の登録免許税がかかる扱いになります。金額は法務局の案内や公式サイトで最新のものを確認してください。

登記が完了すると、登記事項証明書や印鑑証明書に新しい住所が反映されます。後続の届出や銀行・取引先への連絡で登記事項証明書を求められることが多いので、完了後にまとめて必要部数を取得しておくと手戻りが少なくなります。

管轄内移転と管轄外移転、どちらに当てはまるかで変わる点

管轄内移転(同じ法務局の管轄の中での引っ越し)は、比較的シンプルです。申請先は今と同じ法務局で、登録免許税も一件分として扱われるのが一般的です。定款に市区町村までしか書いていなければ定款変更も不要で、決定書と申請書だけで済むことが多いです。

管轄外移転(別の法務局の管轄へ移る場合)は、手続きが一段増えます。定款に書いた市区町村を出ることになるため、総社員の同意による定款変更がセットになるのが通常です。また、新しい管轄の登記所でも登記記録を起こす必要があるため、費用の扱いも変わります。印鑑の届出についても新管轄での取扱いを確認しておきましょう。

どちらに当てはまるかは、移転前後の住所を管轄一覧に当てて確認します。ビルの建て替えで住居表示が変わった、市町村合併で表記が変わったなど、自社が動いていないのに住所が変わるケースは「行政区画の変更」として別の扱いになることがあります。この場合は移転登記が不要なこともあるため、管轄法務局に事情を伝えて確認してください。

合同会社の本店移転登記はオンラインでできるのか

本店移転登記は、法務省の登記・供託オンライン申請システム(申請用総合ソフト)を使ったオンライン申請に対応しています。会社の電子証明書やマイナンバーカード等による電子署名の準備が必要で、添付書面をPDFで電子署名して送る方法と、書面を別途郵送・持参する方法(いわゆる半ライン)があります。初めてなら、申請データはオンラインで送り、同意書などは書面で提出する形が取り組みやすいでしょう。

オンラインを選ぶ判断基準は、電子証明書の準備が済んでいるか、今後も役員変更や商号変更などで登記の機会がありそうか、の2点です。準備が整っていないなら、一回だけの手続きのために環境を作るより、書面で管轄法務局に提出したほうが早いこともあります。

登録免許税の納付方法や、オンライン申請で利用できる手続きの範囲は変わることがあります。申請前に登記・供託オンライン申請システムの案内と、管轄法務局の最新の情報を確認してください。

登記が終わったあとに出す届出と、忘れやすい連絡先

登記は出発点で、住所変更の連絡はその後に続きます。税務では、税務署・都道府県税事務所・市区町村へ異動届出書等を提出する流れが一般的です。提出先や様式は自治体で異なるので、移転前後それぞれの自治体のサイトで様式を確認してください。提出期限や添付書類(登記事項証明書の写しなど)の扱いも確認しておくと安心です。

社会保険に加入している場合は年金事務所へ、従業員がいる場合は労働基準監督署・ハローワークへの手続きも発生します。管轄が変わる移転では、届出先そのものが変わる点に注意してください。あわせて、銀行口座の住所、法人カード、クレジット決済や請求書発行サービスの登録情報、許認可の届出、ドメインや郵便物の転送設定も一覧にして潰していくと漏れにくくなります。

請求書や契約書に載せる住所、名刺、ウェブサイトの会社概要も更新対象です。インボイス制度の下では登録事業者の情報に住所が含まれる場合があるため、国税庁の案内を確認し、必要な手続きがあるかを確かめてください。電子帳簿保存法の要件を含む書類保存のルールは、所管官庁の資料で最新の内容を確認するのが確実です。

移転と同時に社員の変更や事業目的の追加を考えている場合、まとめて登記したほうが手間が少ないこともあります。定款の書き方や登記の組み合わせで迷うとき、期限が近いときは、司法書士に依頼する、税務の影響については税理士に確認する、という切り分けで進めると安心です。

よくある質問

合同会社の本店移転登記は、いつまでに申請すればよいですか。

移転日から原則2週間以内に申請するものとされています。移転日は業務執行社員の決定書や総社員の同意書に書いた日付が基準になるため、引っ越し作業のスケジュールとあわせて逆算して決めておくとよいでしょう。遅れた場合の扱いについては管轄法務局に確認してください。

合同会社の本店移転に総社員の同意書は毎回必要ですか。

必要になるのは定款を変更する場合です。定款に市区町村までしか記載しておらず、その市区町村内で移る場合は、業務執行社員の決定書で足りることが一般的です。定款に番地まで書いている場合は、同じ市区町村内でも定款変更が必要になることがあります。

本店を自宅から借りたオフィスへ移す場合、賃貸借契約書は必要ですか。

本店移転登記の添付書類として賃貸借契約書の提出を求められないのが通常です。ただし、許認可の手続きや銀行の住所変更では使用権限を示す資料を求められることがあるため、契約書の写しは手元に用意しておくと手続きが進めやすくなります。

自分で申請するか、司法書士に頼むかの判断基準はありますか。

管轄内移転で定款変更も不要なら、法務局の記載例を見ながら自分で進められる範囲です。管轄外移転、同時に他の登記もある、期限が迫っている、電子署名の環境がないといった条件が重なるなら、司法書士に依頼したほうが結果的に早く済むことが多いでしょう。

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