社会保険手続きのマイナンバーと基礎年金番号|番号がわからないときの対応
はじめて人を雇うとき、最初につまずきやすいのが「社会保険の届出に書く番号」です。マイナンバーなのか基礎年金番号なのか、本人がどちらも分からないと言ったらどうするのか。この記事では、入社時に何をどの順で集め、番号が揃わないときにどう進めるかを、実務の流れに沿って整理します。
この記事の結論
- 健康保険・厚生年金の資格取得届は、原則としてマイナンバーまたは基礎年金番号のいずれかを記入して届け出る形になっており、どちらか一方が分かれば手続きを進められるのが基本です。
- 従業員がマイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー入りの住民票の写しや通知カード(記載事項が最新の場合)などで番号を確認し、あわせて本人確認書類を確認するのが一般的な進め方です。
- 基礎年金番号もマイナンバーも分からないときは、本人に年金事務所や「ねんきんネット」で確認してもらうか、事業主として年金事務所に相談したうえで届出の方法を確認します。
社会保険の手続きでマイナンバーと基礎年金番号はどちらが必要か
健康保険・厚生年金保険の資格取得届では、従業員の個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号を記入する欄が設けられています。つまり、どちらか一方が確認できれば届出そのものは進められる設計になっています。両方を無理に集めなければならない、というわけではありません。
実務では、マイナンバーを記入するほうがスムーズなことが多くなっています。基礎年金番号は、年金手帳を紛失していたり、転職を繰り返して手元に資料がなかったりすると、本人もすぐには分からないことが少なくないためです。マイナンバーであれば、マイナンバーカードや住民票で本人が確認しやすい、という事情もあります。
一方で、マイナンバーは取り扱いのルールが厳しい情報です。集める目的を伝え、必要な範囲でだけ利用し、保管と廃棄の方法を決めておく必要があります。「番号を書けば早い」だけで判断せず、社内の管理体制とセットで考えてください。
入社時に何をどの順で集めるか(手順)
まず、内定を出した段階か入社日の前までに、提出してほしい書類を一覧にして本人へ渡します。社会保険関係では、マイナンバーが分かる書類、本人確認書類、基礎年金番号が分かるもの(年金手帳や基礎年金番号通知書など、手元にあれば)、扶養家族がいる場合は家族分の情報、が中心になります。あわせて、雇用保険の被保険者番号が分かる書類(前職の離職票や雇用保険被保険者証)も依頼しておくと、後の手続きが早く進みます。
次に、入社日までに書類を受け取り、内容を確認します。マイナンバーについては、番号の確認と本人確認の両方が必要とされています。マイナンバーカードがあれば1枚で両方を兼ねられますが、カードがない場合はマイナンバー入りの住民票の写しなどで番号を確認し、運転免許証などで本人確認を行う形が一般的です。
最後に、入社(資格取得)後、定められた期限内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を年金事務所(または加入している健康保険組合)へ提出します。提出は電子申請、郵送、窓口のいずれかで行えます。期限は短めに設定されているため、番号が揃わないまま日数だけが過ぎる、という状況は避けたいところです。詳細な期限や様式は日本年金機構の公式サイトで最新の案内を確認してください。
マイナンバーカードがない従業員への対応
マイナンバーカードを持っていない人は珍しくありません。その場合、番号の確認はマイナンバーが記載された住民票の写し(または住民票記載事項証明書)で行うのが基本です。通知カードについては、記載されている氏名・住所が現在の内容と一致している場合に限り番号確認に使えるとされています。引っ越しや結婚で記載が変わっている場合は使えないことがあるため、住民票を取得してもらうほうが確実性が高くなります。
番号の確認と別に、本人確認(その番号の持ち主本人かどうかの確認)も必要です。運転免許証、パスポート、在留カードなど、顔写真付きの公的書類が使われることが多いです。すでに雇用関係にあり、人違いでないことが明らかな場合は本人確認書類を省略できる取り扱いもあるとされていますので、自社の運用は所管官庁の資料や社会保険労務士に確認してください。
入社手続きでマイナンバーのコピーを受け取る場合は、扱いに注意が必要です。コピーは鍵のかかる場所に保管する、閲覧できる人を限る、不要になったら廃棄する、といったルールをあらかじめ決めておきます。メールやチャットに画像を貼って回覧する、共有フォルダに置きっぱなしにする、といった運用は避けたほうがよいでしょう。給与計算ソフトや労務ソフトのマイナンバー管理機能を使う方法もありますので、機能の有無や対応範囲は各社の公式サイトで確認してください。
基礎年金番号がわからない・年金手帳をなくした場合
年金手帳は新規の発行が終了しており、現在は「基礎年金番号通知書」が交付される取り扱いになっています。そのため、若い人ほど年金手帳を持っていないことがあります。手帳がない=年金に加入していない、ということではありませんので、慌てる必要はありません。
本人が基礎年金番号を確認する方法としては、手元の基礎年金番号通知書や年金手帳を探す、ねんきん定期便を確認する、「ねんきんネット」にログインして確認する、年金事務所の窓口や電話で問い合わせる、といった手段があります。まずは本人に確認してもらうのが原則です。会社が代わりに照会する場合は、本人の同意や委任の取り扱いを含めて年金事務所に確認してください。
どうしても基礎年金番号が分からない場合でも、マイナンバーが確認できていれば資格取得届は進められるのが通常です。逆にマイナンバーの提出を本人が拒んでいるなど、番号が揃わない事情がある場合は、届出の期限を優先して年金事務所に事情を伝え、進め方を相談するのが現実的です。放置して未提出のままにするのがいちばん避けたい対応です。
マイナ保険証への移行で入社手続きはどう変わるか
健康保険証は、マイナンバーカードを保険証として利用する仕組み(いわゆるマイナ保険証)への移行が進んでいます。資格取得の届出を行うと、本人の資格情報がオンラインの仕組みに登録され、マイナンバーカードで医療機関を受診できるようになるのが基本的な流れです。カードを持っていない人や、登録をしていない人に向けては、資格確認書などの方法が案内されています。
会社側の実務としては、「届出を期限内に出す」ことの重要性が以前より増しています。届出が遅れると、本人が医療機関の窓口で資格の確認を受けられず、いったん全額を立て替えることになる場合があります。入社日が決まったら、番号の確認と届出をセットで前倒しに進めておくと安心です。
制度の細かい運用は見直しが続いている分野です。資格確認書の取り扱いや、扶養家族分の手続きなどは、日本年金機構や加入している健康保険組合の最新の案内を確認してください。社内の説明資料を作るときも、断定的に書かず「最新の案内を確認してください」と添えておくと、後から訂正する手間が減ります。
番号を扱うときの社内ルールと、迷ったときの相談先
マイナンバーを扱う会社は、規模にかかわらず取り扱いのルールを決めておくことが求められます。ひとり社長の会社でも、従業員を1人雇えばマイナンバーを預かることになります。最低限、①集める目的を本人に伝える、②必要な書類だけを受け取る、③保管場所と閲覧できる人を決める、④退職後の保管期間と廃棄の方法を決める、の4点を紙1枚にまとめておくとよいでしょう。
運用で迷いやすいのは「どこまでコピーを残すか」です。番号確認のために受け取った書類のコピーを保管する運用にするのか、確認したら記録だけ残して廃棄するのか、最初に決めておきます。決めないまま進めると、担当者ごとにバラバラの運用になり、後から整理するのが大変になります。
社会保険の届出そのものは、様式と番号が揃えば自社でも進められます。一方で、扶養の判定、加入の対象になるかどうか(短時間労働者の扱いなど)、マイナンバーの管理体制が制度の考え方に沿っているかといった判断は、専門的な確認が必要な場面です。自社だけで判断しきれないと感じたら、社会保険労務士に相談しておくと安心です。マイナンバーの保管や委託先の管理について具体的な体制を整えたい場合も、早めに相談しておくと後戻りが少なくて済みます。
よくある質問
従業員がマイナンバーの提出を拒んだ場合、社会保険の手続きはできませんか。
資格取得届は、マイナンバーまたは基礎年金番号のいずれかを記入する形になっているため、基礎年金番号が確認できれば手続きを進められるのが通常です。提出を求めた経緯を記録に残しつつ、届出の期限を優先して年金事務所に進め方を相談してください。対応に迷う場合は社会保険労務士に確認しておくと安心です。
入社手続きでマイナンバーカードのコピーは表裏どちらも必要ですか。
番号の確認と本人確認の両方が必要になるため、番号が記載された面と顔写真が記載された面の情報を確認する流れが一般的です。ただし、コピーを保管するか記録のみとするかは会社の運用で決める部分もあります。取り扱いのルールは個人情報保護委員会などの公式資料を確認し、社内で統一しておいてください。
年金手帳がない人はどうすればよいですか。
年金手帳は新規発行が終了しており、現在は基礎年金番号通知書が交付されています。手帳がなくても、ねんきん定期便やねんきんネット、年金事務所への問い合わせで基礎年金番号を確認できます。マイナンバーが分かっていれば、そちらで届出を進められることが多いです。
扶養に入れる家族の分もマイナンバーは必要ですか。
被扶養者の届出でも家族のマイナンバーを記入する取り扱いが一般的です。配偶者や子どもの番号を本人経由で確認し、収入や続柄を確認する書類とあわせて提出する流れになります。必要書類は加入先(年金事務所または健康保険組合)の案内で最新の内容を確認してください。