会社設立の費用の内訳|登録免許税・定款認証・専門家報酬の目安
会社設立の費用は「よく分からないまま見積もりを見て驚く」ことが多い項目です。実際には、法律で決まっている法定費用と、頼むかどうかで変わる専門家報酬、そして印鑑や証明書などの実費の3系統に分かれます。この記事では内訳の考え方、株式会社と合同会社の差がどこで生まれるか、そして抑えられる部分とそうでない部分の見分け方を、判断の順番で整理します。具体的な金額は制度改正や各社の料金体系で変わるため、最新の数字は法務局・公証役場・各事務所の公式情報でご確認ください。
この記事の結論
- 会社設立の費用は、①登録免許税、②定款にかかる費用(認証手数料・収入印紙)、③印鑑や証明書などの実費、④専門家報酬の4つに分けて考えると全体像がつかめます。
- 株式会社と合同会社で費用に差が出る主な理由は、登録免許税の税率区分と、株式会社では公証人による定款認証が必要な点にあります。
- 抑えられるのは「定款を電子定款にする」「依頼範囲を絞る」の2点が中心で、登録免許税そのものは原則として減らせません。
会社設立の費用は4つの内訳に分けて考える
会社設立の費用を調べると、サイトごとに金額がバラバラに見えます。これは「法定費用だけを書いているもの」と「専門家報酬まで含めたもの」が混在しているためです。まずは内訳を4つに分けて、どれが自分のケースで発生するかを確認するところから始めてください。
4つとは、①登記の際に納める登録免許税、②定款にかかる費用(公証役場の認証手数料、紙の定款に貼る収入印紙、謄本の交付手数料など)、③会社実印の作成費用や印鑑証明書・登記事項証明書の取得費用といった実費、④司法書士や税理士などに依頼する場合の報酬です。①と②は法律や規程で決まっている部分が多く、③④は自分の選択で変わります。
さらに、設立後すぐに発生する費用として、法人口座の開設に伴う各種手数料、会計ソフトの利用料、社会保険の手続きなどがあります。「設立費用」だけを見ていると資金計画を誤りやすいので、開業から最初の数か月の支出もあわせて見積もっておくと安心です。金額は各機関・各社の公式サイトで最新のものをご確認ください。
設立にかかる法定費用
どちらの形態でもかかる、国が定めた費用です。設立代行サービスの手数料は、これとは別にかかります。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税(設立登記) | 資本金の額の1,000分の7。15万円に満たないときは1件につき15万円 | 資本金の額の1,000分の7。6万円に満たないときは1件につき6万円 |
| 定款の認証手数料 | 資本金100万円未満 3万円/100万円以上300万円未満 4万円/300万円以上 5万円 | 日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし |
| 定款の謄本(同一の情報の提供) | 1枚につき250円 | 日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし |
| 収入印紙(紙の定款の場合) | 4万円 | 日本公証人連合会の手数料の案内に掲載なし |
登録免許税と定款認証──法律で決まっている部分
登録免許税は、法務局に設立登記を申請するときに納める税金です。資本金の額に一定の税率をかけて計算し、計算結果が法定の最低額を下回る場合は最低額を納める、という仕組みになっています。つまり資本金を大きくすると登録免許税も増えることがあるため、「法人化 費用 資本金」で調べている方は、資本金の額が税額に影響し得る点を押さえておいてください。
定款については、株式会社は公証人による認証が必要で、認証手数料と謄本の交付手数料がかかります。合同会社は原則として認証が不要なため、この分の費用が発生しません。株式会社と合同会社の設立費用の差は、主にこの定款認証の有無と、登録免許税の区分の違いから生まれます。
また、定款を紙で作成する場合は収入印紙が必要になりますが、電子定款(電子データで作成し電子署名を付すもの)では印紙が不要とされています。ここは後述する「費用を抑える」で最も効きやすいポイントです。具体的な税率・手数料・最低額は改正されることがあるため、法務局と日本公証人連合会の公式情報で必ず最新をご確認ください。
株式会社と合同会社、費用で選んでよいのか
費用だけを比べると、一般に合同会社のほうが設立時の負担は軽くなります。定款認証が不要で、登録免許税の区分も株式会社より低く設定されているためです。設立後も、合同会社は決算公告の義務がない、役員の任期の定めによる再任登記が生じにくいなど、ランニング面で手間が少ない場面があります。
一方で、取引先や採用の場面で「株式会社」という形態を前提にされるケースがあること、将来的に株式による資金調達や上場を視野に入れるなら株式会社が前提になることは、費用とは別の判断軸です。迷ったら、次の順に見てください。①外部からの出資を将来受ける予定があるか(あるなら株式会社)、②取引先や顧客が法人格を気にする業種か(気にするなら株式会社を検討)、③どちらでもなく、まず小さく始めたいか(合同会社が候補)。
なお、合同会社から株式会社へ組織変更する道もありますが、変更には登記と一定の手続き費用が別途かかります。「後で変えられるから」と安易に決めるより、上の3つの質問で当面2〜3年の姿を想像してから選ぶほうが、結果的にコストを抑えやすくなります。
自分でやる場合と専門家に依頼する場合の分かれ目
「会社設立 費用 自分で」で調べる方が多いとおり、定款作成から登記申請まで自分で行うことはできます。この場合、専門家報酬はかかりませんが、法定費用と実費は同じように発生します。差が出るのは報酬部分と、あなたの時間です。
自分でやることが向いているのは、発起人・出資者が自分ひとりで、資本金も現金出資のみ、事業目的もシンプル、というケースです。逆に、複数人で出資する、現物出資がある、許認可が必要な業種で事業目的の書き方に条件がある、設立日を特定の日に合わせたい、といった事情があるなら、司法書士に依頼して手戻りを防いだほうが総コストが下がることがあります。
もう一つの分かれ目は電子定款です。電子定款は印紙が不要とされる一方、自分で行うには電子証明書や対応ソフトの準備が必要で、一度きりの設立のために環境を整えると割に合わないこともあります。「紙で自分でやる」「電子で専門家に頼む」のどちらが安いかは、報酬額次第で逆転し得るため、見積もりを取って比較してください。報酬は事務所ごとに異なるので、各事務所の公式サイトでご確認ください。
費用を抑えるなら、この順に見直す
抑えられる余地は大きい順に、①専門家報酬(依頼範囲を絞る、または自分で行う)、②定款の印紙(電子定款にする)、③実費(印鑑セットの仕様、証明書の取得通数を必要最小限にする)です。登録免許税は原則として減らせない前提で計画を立ててください。
依頼範囲の絞り方としては、登記申請だけを司法書士に頼み、設立後の税務届出は自分で出す、あるいは逆に、税理士との顧問契約とセットで設立手続きの支援を受ける、といった組み合わせがあります。設立だけを切り出すか、設立後の記帳・申告まで含めて考えるかで、総額の見え方は変わります。比較するときは「設立時の金額」だけでなく「1年目に払う合計」で並べると判断しやすくなります。
見落としやすいのが、資本金の設定です。資本金は費用ではなく会社の資産になりますが、額によって登録免許税や、設立当初の消費税の取扱い、許認可の要件に影響することがあります。「安いから」だけで決めず、事業に必要な運転資金と、取引先からの見え方も含めて考え、税務上の取扱いは税理士にご確認ください。
設立の流れと、費用が発生するタイミング
費用が「いつ出ていくか」を把握しておくと、手元資金の管理が楽になります。おおまかな流れは、(1)会社の基本事項(商号・本店所在地・事業目的・資本金・役員・事業年度)を決める、(2)会社実印などを作る、(3)定款を作成し、株式会社は公証役場で認証を受ける、(4)資本金を発起人の口座に払い込む、(5)法務局に設立登記を申請する、という順です。
このうち、印鑑の作成費用は(2)、定款の認証手数料と謄本代は(3)、登録免許税は(5)のタイミングで発生します。(4)の払込みは費用ではなく、会社成立後に会社の口座へ移す資金です。登記は申請日が会社の成立日になるのが原則なので、設立日にこだわりがあるなら逆算して準備してください。
登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得し、税務署・都道府県税事務所・市区町村への法人設立の届出、年金事務所への社会保険の手続き、従業員を雇うならハローワークと労働基準監督署の手続きへと進みます。ここでも証明書の取得手数料などの実費がかかります。提出先や必要書類の詳細は、各官公庁の公式サイトで最新の案内をご確認ください。
迷ったら専門家に相談を
設立費用の話は、単なる金額比較ではなく、会社形態・資本金・事業年度・役員構成といった、後から変えにくい設計とつながっています。とくに資本金の額や事業年度の決め方は、税務上の取扱いに影響することがあるため、設立前に税理士へ相談しておくと安心です。
登記手続きそのものや、定款の記載内容、現物出資の扱いについては司法書士が専門です。許認可が必要な業種であれば、事業目的の書き方を事前に確認しておくと、設立後の手戻りを避けられます。従業員を雇う予定があるなら、社会保険・労働保険の手続きについて社会保険労務士に相談する流れも検討してください。
この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の税務・法務の判断を示すものではありません。金額や要件は制度改正で変わることがあるため、最新の情報は法務局・公証役場・国税庁などの公式資料で確認し、判断に迷う点は税理士・司法書士・社会保険労務士にご確認ください。
よくある質問
会社設立の最低費用はいくらですか?
最低限かかるのは登録免許税と、株式会社なら定款認証にかかる費用、それに印鑑や証明書などの実費です。金額は制度改正で変わるため、法務局や日本公証人連合会の公式サイトで最新の額をご確認ください。専門家に依頼しない場合でも、これらの法定費用と実費は発生します。
合同会社のほうが株式会社より設立費用は安いですか?
一般に、合同会社は定款認証が不要で登録免許税の区分も株式会社より低いため、設立時の負担は軽くなる傾向があります。ただし、将来の出資受け入れや取引先からの見え方など、費用以外の要素も判断材料になります。当面数年の事業の姿を想定してから選ぶことをおすすめします。
電子定款にすると費用は抑えられますか?
紙の定款に必要な収入印紙が、電子定款では不要とされています。ただし自分で電子定款を作るには電子証明書や対応ソフトの準備が必要で、その手間と費用を含めると有利にならない場合もあります。専門家に依頼したときの報酬と比較して判断してください。
資本金の額は設立費用に影響しますか?
登録免許税は資本金の額をもとに計算される仕組みのため、資本金が大きいと税額が増えることがあります。また資本金は許認可の要件や消費税の取扱いに関係する場合もあります。事業に必要な運転資金とあわせて考え、税務上の影響は税理士にご確認ください。