freeeサインの承認フローと権限設定|複数承認・複数署名の進め方
電子契約を導入すると、紙のときに回覧印でやっていた「上長のチェック」をどこで挟むかが最初の悩みになります。freeeサインでは、社内の承認と、相手方を含む署名の順番を分けて考えると設計がすっきりします。この記事では、承認フローと権限設定の考え方、複数承認・複数署名の組み方、却下や差し戻しが出たときの進め方を、導入前でも判断できる順番で整理します。
この記事の結論
- freeeサインの承認は「社内で契約書の内容を確認する工程」、署名は「当事者が電子的に合意する工程」で、この2つを分けて設計すると迷いません。
- 複数承認も複数署名も、誰が・どの順番で・何を見るかを先に紙に書き出してから設定すると、差し戻しの往復が減ります。
- 権限設定は、まず「文書を作れる人」「承認する人」「見るだけの人」の3層に分け、部署や取引先ごとの閲覧範囲を後から絞るのが実務的です。
freeeサインの「承認」と「署名」はどう違うのか
電子契約の設定でつまずく原因のほとんどは、社内承認と署名を同じものとして考えてしまうことです。承認は、送信する前に社内の誰かが契約書の中身を確認して「これで出していい」と判断する工程です。一方で署名は、自社と相手方が契約内容に合意したことを電子的に記録する工程で、契約の効力に直接関わります。
順番としては、社内承認が終わってから相手に送るのが基本形です。承認前に送ってしまうと、条文の修正が必要になったときに相手に再送をお願いすることになり、印象もよくありません。逆に言えば、承認フローは「相手に出す前の最後の関所」と位置づけると設計しやすくなります。
freeeサインでは、契約書の作成・送信・承認・署名といった操作ごとに担当を分けられる設計になっています。ただし利用できる機能や設定項目はプランや契約内容によって異なることがあるため、自社で使える範囲はfreeeサインの公式ヘルプや管理画面で確認してください。
権限設定は「作る人・承認する人・見る人」の3層から決める
権限を細かく設定しようとすると、最初から完璧な設計を目指して手が止まりがちです。まずは、文書を作成して送信する人、内容を承認する人、参照だけできる人の3層に分けてください。ひとり社長なら実質すべて自分ですが、将来的に人が増えることを考えて、役割としては分けて定義しておくと後が楽です。
次に閲覧権限を考えます。契約書には取引条件や単価が書かれていることが多く、社内の誰でも見られる状態は望ましくありません。営業部は自部署の取引先の契約だけ、経理は支払いに関わる契約を、といった具合に、業務上必要な範囲に絞るのが基本です。freeeサインでは文書を格納する場所や共有範囲で参照できる人をコントロールする考え方になるため、フォルダ構成を先に決めておくと権限設計が素直になります。
管理者権限を持つ人は複数用意しておくことをおすすめします。ひとりだけにすると、その人が退職・休職したときに設定変更も文書の取り出しもできなくなります。一方で管理者を増やしすぎると設定が勝手に変わる原因になるため、2名前後から始めて必要に応じて見直すのが現実的です。
freeeサインの料金プラン
freeeサインの料金は次のとおりです。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
| プラン | 月額 | 1件あたりの送信料 | ユーザー数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 無料 | 0円(税抜) | 電子サイン無料枠 1通/月 | 3名 | 送信・締結とタイムスタンプのみ |
| Starter | 年払い 5,980円/月(年額71,760円)、月払い 7,180円/月(税抜) | 電子サイン100円/SMS100円/電子署名200円(税抜)。無料枠50通/月 | 無制限 | フォルダ管理、テンプレート、API/Webhook |
| Standard | 年払い 29,800円/月(年額357,600円)、月払い 35,760円/月(税抜) | 同上。無料枠100通/月 | 無制限 | 契約チェック機能、Wordテンプレート、グループ管理 |
| Advance / Enterprise | 記載なし(問い合わせ) | 無料枠1,000通/月〜 | 記載なし | IP制限、SSO、ワークフロー、権限管理 |
複数承認フローの組み方|順番と条件の決め方
複数人の承認を挟むときは、直列(順番に回す)か並列(同時に依頼する)かを最初に決めます。判断基準はシンプルで、前の人の判断結果を見てから次の人が判断する必要があるなら直列、それぞれ独立した観点でチェックするなら並列です。たとえば「法務が条文を見る→役員が金額を承認する」は直列、「法務と経理が別々の観点で確認する」は並列が向いています。
承認者は少ないほど早く回ります。契約金額や契約期間で線を引き、一定額を超えるものだけ役員承認を挟む、といった条件分岐を社内ルールとして決めておくと、日常の契約が滞りません。ルールは口頭ではなく、契約管理規程や社内マニュアルとして文章にしておくと、担当者が変わっても運用が続きます。
設定の手順としては、(1)契約の種類ごとに承認者と順番を紙に書き出す、(2)freeeサイン上で承認者に設定するメンバーを招待して権限を付与する、(3)テスト用の文書で実際に1周回して、通知が届くか・承認ボタンが押せるかを確認する、という流れが安全です。本番の契約でいきなり試すと、相手を待たせることになります。
複数署名・署名者変更・転送機能の使い方
署名者が複数になるケースは大きく3つです。自社側で代表者と担当者の両方が署名する場合、相手方が複数社にわたる三者間契約の場合、そして相手方の社内で決裁者と実務担当者が別々に署名する場合です。いずれも、誰が何番目に署名するかという順序を送信前に確定させておくと、途中で止まりにくくなります。
実務では「送ったけれど署名権限を持つのは別の人だった」ということが起きます。こうしたときに使えるのが、受信者側が社内の適切な人へ回す転送の考え方や、送信者側で署名者を変更する操作です。freeeサインでも、署名依頼の宛先を変えたり、受け取った側が担当者を変更したりする運用が想定されています。操作名や可否はバージョンによって異なることがあるため、実際の画面と公式ヘルプで確認してください。
署名者を変更するときは、変更の経緯を社内に残しておくと後で役立ちます。契約の相手方が誰の意思で合意したのかは、後日トラブルになったときに問われやすい点です。誰から誰に変わったのか、その人に署名権限があるとなぜ判断したのかを、メールやメモの形で保管しておきましょう。契約の有効性そのものに不安がある場合は、弁護士に確認することをおすすめします。
却下・差し戻しが出たときの進め方
承認者が内容に問題を見つけたときは、承認せずに差し戻すことになります。ここで大事なのは、差し戻しの理由を必ずコメントとして残す運用にすることです。「要修正」だけでは作成者が何を直せばいいか分からず、往復が増えます。どの条文の、どの表現を、なぜ直してほしいのかを書く、というルールを最初に決めてください。
すでに相手方へ送信したあとで問題が見つかった場合は、送信の取り消しや無効化にあたる操作を行い、相手に一報を入れるのが筋です。相手がすでに署名している場合は、取り消しではなく、修正した契約書を新たに締結し直すか、変更合意書を交わす形になることがあります。どちらが適切かは契約の内容によるため、判断に迷う場合は弁護士に相談してください。
差し戻しが繰り返し起きる項目があるなら、それはフローではなくテンプレートの問題です。よく指摘される条文をあらかじめ雛形に反映し、入力が必要な箇所だけ埋める形にすると、承認者の負担も減ります。月に一度、却下・差し戻しの理由を振り返る時間を取ると、フロー全体が短くなっていきます。
招待と運用ルール|人が増えても崩れない設計にする
メンバーの招待は、入社時と退職時の手順をセットで決めておくのが鉄則です。招待するときは、どの権限を付けるかを上長が判断し、記録に残します。退職や異動のときは、権限の削除だけでなく、その人が承認者に設定されているフローが止まらないかを確認してください。承認者が不在になったフローは、契約が動かなくなる典型的な原因です。
外部の顧問や業務委託先に見せたい文書がある場合も、アカウントを共有するのではなく、必要な範囲で招待するか、該当の文書だけを共有する形を取ります。アカウントの使い回しは、誰が操作したのかという記録が曖昧になり、監査や後日の確認で困ります。
なお、電子契約で締結した文書の保存については、電子帳簿保存法の電子取引に関する取り扱いが関係してきます。保存の方法や検索できる状態にしておく要件は、国税庁の公表資料で最新の内容を確認してください。自社の保存方法が要件を満たしているかどうかの判断は、税理士に確認しておくと安心です。契約書の条文や締結方法そのものに法的な不安がある場合は、弁護士への相談もあわせて検討してください。
よくある質問
freeeサインで社内承認は必ず設定しないといけませんか。
機能としての承認を使うかどうかは、会社の運用次第です。ひとり社長で自分が最終決裁者なら承認工程を置かない選択もありますが、人が増えたときに誰が内容を確認したのかを残せる点で、早めに承認フローを用意しておく価値はあります。
複数承認を設定すると契約が遅くなりませんか。
承認者が多いほど時間はかかります。契約金額や契約類型で線を引き、一定の条件を超えるものだけ承認者を増やす形にすると、日常の契約は滞らずに重要な契約だけ慎重に扱えます。
相手方の署名者が違う人だった場合はどうすればいいですか。
署名依頼の宛先を変更するか、受け取った側から社内の適切な担当者へ回してもらう運用が想定されています。操作の可否は契約内容や画面のバージョンで異なることがあるため、freeeサインの公式ヘルプで確認してください。
閲覧権限はどこまで細かく分けるべきですか。
最初から細かくしすぎると運用が回らなくなります。まず「全社で見てよい契約」と「限られた人だけが見る契約」の2つに分け、フォルダを分けたうえで、必要が出てきたタイミングでさらに絞るのが現実的です。