電子署名で文字化け・文字種エラーが出るとき|原因と直し方
電子契約サービスで署名しようとしたら「使用できない文字が含まれています」と出た、署名済みPDFを開いたら会社名が「?」や「□」になっていた——。電子署名まわりの文字化け・文字種エラーは、たいてい「入力した文字の種類」「表示に使うフォント」「入力欄そのものの制限」のどれかが原因です。この記事では、あわてて別の端末を試す前にどこから見ればよいか、判断の順番を具体的に整理します。
この記事の結論
- 電子署名の文字種エラーの多くは、丸数字や旧字体などの環境依存文字、絵文字、全角スペース、機種依存の記号が氏名・会社名欄に入っていることが原因です。
- 署名済みPDFだけが文字化けする場合は入力内容ではなく表示側(フォント未埋め込み・PDF閲覧ソフト・ブラウザのプレビュー)が原因のことが多く、別の閲覧ソフトで開くと切り分けられます。
- 送信後に文字を直したいときは、多くのサービスで「署名前なら修正・再送、署名後は合意解除して作り直す」という扱いになるため、送る前に氏名表記を確定させておくのが安全です。
電子署名で文字化け・文字種エラーが出る主な原因
原因は大きく三つに分かれます。ひとつ目は入力した文字そのものの問題です。丸数字(①など)、ローマ数字(Ⅰ、Ⅱ)、旧字体・異体字(髙、﨑、𠮷など)、単位記号(㎡、℡)、絵文字といった、いわゆる環境依存文字は、システム間でやり取りする際に置き換わったり、はじかれたりすることがあります。
ふたつ目は文字コードとフォントの問題です。入力は正しくても、PDFに書き出す段階で日本語フォントが埋め込まれていない、閲覧ソフトが該当の文字を持っていない、といった理由で「□」や「?」として表示されることがあります。この場合、元のデータは壊れていないのに見た目だけが崩れます。
三つ目は入力欄の仕様です。署名欄や宛先の氏名欄が半角英数のみ、全角◯文字以内、記号不可といった制限を持っていることがあり、その条件から外れると「文字種エラー」として弾かれます。メールアドレス欄に全角文字や前後の空白が混ざっているケースも定番です。
まず試す切り分け:入力側か、表示側か
最初に見るのは「エラーが出て先に進めない」のか「先には進めるが表示が崩れている」のかです。エラーで止まるなら入力側、つまり文字の種類か入力欄の制限が原因である可能性が高くなります。表示だけ崩れているなら、フォントや閲覧環境が原因である可能性が高くなります。
入力側が疑わしいときは、問題の欄の内容をいったんメモ帳のようなプレーンテキストの場所に貼り付けてみてください。コピー元がWordやWeb、メール本文だと、見えない制御文字や全角スペース、いわゆるスマートクォート(曲がった引用符)が紛れ込んでいることがあります。プレーンテキストを経由して貼り直すだけで通ることは珍しくありません。
表示側が疑わしいときは、同じPDFを別の方法で開き直します。ブラウザの簡易プレビュー、パソコンの標準PDFビューア、一般的なPDF閲覧ソフトの三つで見比べて、どれか一つでも正しく表示されれば、ファイル自体は保たれていると判断できます。スマートフォンだけで崩れる場合も同様に、端末側のフォント不足が疑われます。
文字種エラーの直し方:チェックする順番
順番に見ていくのが早道です。まず、氏名・会社名・役職欄から環境依存文字を探します。「髙」は「高」、「﨑」は「崎」、「①」は「(1)」、「㈱」は「株式会社」、「Ⅲ」は「III」といった具合に、一般的な文字へ置き換えられるかを検討します。ただし契約当事者の表記を勝手に変えると相手方の確認が必要になるため、変更する場合は事前に一言添えておくと安全です。
次に、目に見えにくい要素を疑います。氏名の姓と名の間の全角スペース、コピー時に混入した前後の空白、改行、タブ、機種依存の長音記号やハイフン(‐ ― − のような似た記号)です。半角ハイフンや半角スペースに統一するだけで通ることがあります。
それでも通らないときは、入力欄ごとの制限を確認します。メールアドレスは半角のみ、電話番号は数字とハイフンのみ、署名欄は文字数上限あり、といった条件が画面のヒントやヘルプに書かれていることが多いので、該当箇所を読み直してください。最後に、ブラウザを最新版に更新する、キャッシュを消す、別のブラウザで開く、拡張機能をいったん切る、という順で環境要因をつぶします。
署名済みPDFが文字化けするときの対処
署名後のPDFで文字が崩れて見える場合、まずやることは閲覧環境の変更です。別のPDF閲覧ソフトや別の端末で開いて正しく見えるなら、原本のデータは保たれていると考えられます。取引先から「文字化けしている」と連絡が来たときも、まずどの環境で見ているかを聞くと話が早く進みます。
表示がどの環境でも崩れる場合は、PDFを作成した元ファイル側にさかのぼります。文書作成ソフトからPDFへ書き出すときにフォントを埋め込む設定にする、日本語表示に広く対応したフォントを使う、といった対応が考えられます。旧字体を含む氏名は、書体によっては字形が保持されないことがあるため、どうしても正確に残したい場合は、本文中で正字表記を説明する一文を入れる方法もあります。
電子署名を付した後のPDFに文字修正を加えると、署名の検証に影響することがあります。中身を直したい場合は、上書きせずに、合意をいったん取り消したうえで作り直す流れになるのが一般的です。取扱いは利用しているサービスの仕様によるため、ヘルプや問い合わせ窓口で手順を確認してください。
送信前に整えておきたい設定と入力ルール
トラブルの多くは送信前に防げます。契約書を送る前に用意しておきたいのは、①署名者の氏名(戸籍表記と実務表記のどちらを使うかを決めておく)、②会社名の正式表記(株式会社の前株・後株、英字の全角半角)、③署名者のメールアドレス(半角、誤字なし)の三点です。社内でこの三点の表記ルールを一枚のメモにまとめておくと、担当者が替わってもぶれません。
入力の実務ルールとしては、コピー&ペーストは必ずプレーンテキストを経由する、氏名の区切りは半角スペースに統一する、記号は半角に寄せる、絵文字や装飾記号は使わない、の四つを決めておくだけで、エラーの再発はかなり減ります。テンプレート側の差込項目にも同じルールを当てておきます。
もう一段整えるなら、テスト送信を習慣にします。新しいテンプレートを作った日や、署名者の氏名に旧字体が含まれる日は、自分宛てに一通送って、受信・署名・完了PDFのダウンロードまで一往復してみてください。実際に崩れる箇所は、この一往復でほぼ見つかります。
それでも解決しないときの問い合わせと記録の残し方
サービス側の不具合や仕様上の制限であることもあります。問い合わせるときは、発生日時、使っている端末とOS、ブラウザ名とバージョン、操作した画面、入力しようとした文字列、表示されたエラーメッセージの文面、この六点を揃えると回答が早くなります。エラー画面のスクリーンショットも添えてください。
並行して、相手方への連絡も忘れないようにします。署名の期限が迫っている場合は、いったん期限を延ばす、あるいは同じ内容を別の方法(書面での取り交わしなど)で進めるという判断もあり得ます。どちらを選ぶにせよ、やり取りの経緯をメールなどの形で残しておくと、後から契約成立の状況を説明しやすくなります。
なお、氏名表記の違いが契約の有効性や登記・申請に影響するかどうかは、契約の種類や提出先によって扱いが変わることがあります。不動産や会社の登記に関わる書類、許認可の申請に添付する契約書などで表記に迷うときは、司法書士や弁護士など、扱う手続に応じた専門家に確認してください。
よくある質問
電子署名の氏名欄で旧字体(髙・﨑など)が使えません。どうすればよいですか。
サービスや端末によっては旧字体・異体字が扱えないことがあります。まずは相手方に一言断ったうえで常用字体に置き換える、または契約書本文に正式表記を記載しておく、という対応が現実的です。登記や公的手続に使う書類の場合は表記の扱いが問題になることがあるため、司法書士などにご確認ください。
署名済みのPDFが文字化けしていました。作り直さないと直りませんか。
まず別のPDF閲覧ソフトや別の端末で開いてみてください。そこで正しく表示されるなら、データは保たれており閲覧環境の問題と考えられます。どの環境でも崩れる場合は、署名済みファイルを直接編集せず、合意を取り消して作り直す流れになるのが一般的です。
送信後に宛先の氏名の誤字に気づきました。編集できますか。
多くのサービスでは、相手が署名する前であれば取り下げて修正・再送ができる一方、署名完了後は内容の編集ができない仕様になっています。まずは利用中のサービスの「取り下げ」「合意解除」にあたる機能を確認し、相手方にも状況を連絡してから進めてください。
文字種エラーを減らすために、事前にできる設定はありますか。
テンプレートの差込項目に入る氏名・会社名・メールアドレスの表記ルールを社内で決めておくこと、コピー&ペーストはプレーンテキストを経由すること、新しいテンプレートは自分宛てにテスト送信して完了PDFまで確認すること、の三つが効果的です。機能や制限の詳細は各サービスの公式ヘルプで最新の情報を確認してください。