電子署名を依頼するときのメール例文|送付先の確認と依頼の流れ

・契約・電子署名・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

電子契約サービスを導入して最初につまずくのが、「誰のメールアドレスに送ればいいのか」と「どう依頼すれば相手が戸惑わないか」です。電子署名は、送付先を一文字間違えるだけで契約が成立しないまま止まってしまいます。この記事では、送付先の決め方、事前連絡と署名依頼のメール例文、相手が署名してくれないときのリマインドまで、依頼する側の手順として整理します。

この記事の結論

  • 電子署名の送付先は、契約を締結する権限のある人か、その人から明確に指定された担当者のメールアドレスを、依頼前に相手に確認して決めます。
  • 署名依頼は「事前連絡のメール」と「サービスからの署名依頼メール」の二段構えにすると、相手が迷わず、迷惑メール扱いも防ぎやすくなります。
  • 依頼メールには、契約書の名称・署名してほしい人・期限・操作は数分で終わること・差出人名を必ず書き、完了後は署名済みPDFを双方で保管します。

電子署名の送付先メールアドレスはどう決める?

最初に決めるのは「誰に署名してもらうか」です。契約書に記名押印する立場の人、つまり代表者や契約権限を委任された役職者が原則の送付先になります。実務では代表者名義の契約でも、担当部署の方が操作することがありますが、その場合も「誰の名義で署名するか」と「誰のアドレスに送るか」を相手に確認してから送るのが安全です。

送付先候補が複数あるときは、この順で見ていきます。まず、過去の紙の契約書で記名押印していた人がいるならその人。次に、先方から「契約関係はこの担当へ」と案内されているならその担当者。どちらも不明なら、窓口になっている担当者に「署名をお願いする方のお名前とメールアドレスをご教示ください」と聞くのが早いです。

アドレスは、できるだけ個人宛の会社ドメインのアドレスを使います。info@ や代表アドレスのような共有アドレスは、誰が開封したか分からず、署名の本人性の説明が難しくなることがあります。フリーメールしか案内されない場合は、その旨を社内で確認し、必要なら別の本人確認手段を組み合わせるか、税理士や弁護士に取り扱いを相談してください。

依頼の流れは「事前連絡→署名依頼→リマインド→保管」の4ステップ

電子契約サービスから届く署名依頼メールは、差出人がサービス名になっていることが多く、相手にとっては見慣れない通知です。そのため、いきなりシステムから送るのではなく、先に自分のメールで一報を入れます。この一手間で、迷惑メールフォルダに埋もれたり、フィッシングと疑われたりする事故がかなり減ります。

流れは、①契約内容が固まった段階で事前連絡のメールを送り、送付先アドレスと署名者名を確定する、②サービスから署名依頼を送信し、その直後に「お送りしました」と自分のメールでも伝える、③期限の数日前に届いていないか確認のリマインドを送る、④署名完了後に署名済みPDFを保管する、という順です。

④の保管は見落としがちです。電子契約で締結した契約書は、電子データのまま保存することが求められる場面があり、電子帳簿保存法の考え方が関係してきます。要件の詳細は国税庁の資料を確認し、判断に迷う点は税理士にご確認ください。サービス上に残っているから大丈夫と考えず、社内の保管場所とファイル名の付け方も決めておくと後が楽です。

事前連絡のメール例文(送付先を確認する)

契約内容の合意はできたが、まだ署名依頼は送っていない段階のメールです。目的は「電子契約で進めてよいか」と「送付先」の二点を確認することに絞ります。

件名:【ご確認】〇〇契約書の電子契約でのご締結について 株式会社〇〇 〇〇部 〇〇様 いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。 先日ご相談いたしました〇〇契約書について、内容が固まりましたので締結の手続きに進めさせていただきたく、ご連絡いたしました。 弊社では電子契約サービスを利用しており、メールでお送りするリンクからオンラインで署名いただけます。押印や郵送は不要で、ご操作は数分程度です。 恐れ入りますが、下記についてご教示いただけますでしょうか。 ・電子契約でのご締結が可能かどうか ・ご署名いただく方のお名前とご役職 ・署名依頼メールの送付先メールアドレス ご確認のうえ、ご返信いただけますと幸いです。 どうぞよろしくお願いいたします。

相手が電子契約に慣れていない場合は、「初めてでも操作は画面の案内に沿って進めるだけです」「アカウント登録が必要かどうかはサービスによって異なりますので、事前にお知らせします」と添えると不安が下がります。先方の社内規程で紙の契約書しか認められないこともあるため、断られた場合の紙での進め方も用意しておくと止まりません。

署名依頼を送ったときのメール例文とリマインド例文

署名依頼を送信したら、続けて自分のメールでも一報を入れます。差出人名と件名を伝えておくことが肝心です。 件名:【送信済のご連絡】〇〇契約書の電子署名のお願い 株式会社〇〇 〇〇様 お世話になっております。株式会社△△の□□です。 ただいま、電子契約サービス「(サービス名)」より〇〇契約書の署名依頼をお送りいたしました。 ・差出人:(サービス名)/株式会社△△ □□ ・件名:(届くメールの件名) ・送付先:〇〇様のメールアドレス ・ご対応期限:〇月〇日 メール内のリンクを開き、内容をご確認のうえご署名をお願いいたします。 見当たらない場合は、迷惑メールフォルダもご確認いただけますでしょうか。届いていないようでしたらお手数ですがご一報ください。再送いたします。 よろしくお願いいたします。

期限が近づいても署名がない場合のリマインドは、催促ではなく「届いていないかもしれない」という前提で書くと角が立ちません。 件名:【再送のご案内】〇〇契約書のご署名について お世話になっております。株式会社△△の□□です。 〇月〇日にお送りした〇〇契約書の署名依頼につきまして、その後のご状況はいかがでしょうか。 メールが届いていない、リンクが開けないなどのお困りごとがございましたら、お気軽にお知らせください。再送や別のご担当者様への送付も可能です。 ご多用のところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

署名者を変更したい、社内で回覧してから署名したいといった要望が出ることもあります。サービスによって署名者の差し替えや複数人の順次署名に対応しているかは異なるため、各サービスの公式サイトやヘルプで対応範囲を確認してください。

受け取り側が不安になるポイントを先に潰しておく

受け取り側からよく出るのが「このメールは本物か」「登録や費用が必要なのか」「印鑑がないが有効なのか」という三点です。事前連絡で差出人名と件名を伝えておけば一点目は解消します。二点目は、署名する側にアカウント登録や費用の負担が生じるかどうかがサービスによって違うため、自社が使っているサービスの仕様を確認し、事前に伝えておきます。

三点目については、電子契約は電子署名法などの枠組みのもとで運用されており、押印のない契約書でも当事者の合意があれば成立し得ると一般に説明されます。ただし、契約の種類によっては書面の交付が求められるものもあります。自社の契約が電子でよいか判断に迷うときは、弁護士や司法書士に確認してください。

社内側の準備としては、送付先アドレスの二重チェック、契約書名とファイル名の付け方、締結後の保管フォルダの決め方を、ひとり社長の段階でも簡単な手順書にしておくと、人が増えたときにそのまま使えます。誤送信は取り消し操作ができるサービスもありますが、送る前の確認に勝る対策はありません。

迷ったときの判断の順番

送付先で迷ったら、①契約権限のある人が明確か→明確ならその人、②不明なら窓口担当者に署名者名とアドレスを確認、③共有アドレスしか案内されないなら本人性の扱いを社内で検討、の順で見ます。ここを飛ばして「たぶんこの人」で送らないことが、やり直しを防ぐ一番の近道です。

電子か紙かで迷ったら、①相手が電子契約に応じられるか→応じられるなら電子、②相手の社内規程で不可なら紙、③電子でよいか法令上の確認が必要な契約なら専門家に相談、の順です。取引先ごとに違って構いません。全社一律にしようとして止まるより、できるところから電子にしていく方が実務は進みます。

契約書の内容そのものに不安がある、保存方法が要件を満たしているか分からない、という段階まで来たら、自己判断で進めずに専門家に確認しましょう。契約条項や電子化の可否は弁護士、締結後の書類の保存や税務上の取り扱いは税理士に相談するのが目安です。制度の要件は改正されることがあるため、所管官庁の最新資料もあわせて確認してください。

よくある質問

電子署名の依頼メールは代表アドレス(info@)に送ってもよいですか?

送れますが、誰が開封して署名したのか説明しづらくなるため、可能であれば署名する方個人のアドレスを教えていただくのが安全です。共有アドレスしか案内がない場合は、署名者のお名前を事前にメールで確認し、やり取りの記録を残しておくとよいでしょう。取り扱いに迷うときは弁護士にご確認ください。

取引先が電子契約に対応していない場合はどうすればよいですか?

無理に勧めず、紙での締結に切り替えるのが現実的です。相手の社内規程で電子契約が認められていないケースもあるため、事前連絡の段階で確認しておくと手戻りがありません。次回以降に向けて、電子でも締結できるかを継続して相談していく形がおすすめです。

署名依頼を送ったのに相手に届いていないと言われました。

まず迷惑メールフォルダの確認をお願いし、それでも見つからなければアドレスの誤りがないか照合します。差出人がサービス名になっていて気づかれないことも多いため、届くメールの件名と差出人名を伝えたうえで再送するとスムーズです。社内のメールフィルタで弾かれている場合は、先方の情報システム担当への確認をお願いすることになります。

署名が完了した契約書はどこに保管すればよいですか?

署名済みのPDFをダウンロードし、自社で決めた保管フォルダに契約書名と締結日が分かるファイル名で保存しておきます。電子契約で締結した書類は電子データのまま保存が求められる場面があり、電子帳簿保存法の考え方が関係します。要件の詳細は国税庁の資料を確認し、自社の保存方法が適切かは税理士にご確認ください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。