クラウドサインの権限設定と書類の共有|閲覧者・複数アカウントの管理
電子契約を導入して最初につまずきやすいのが、「誰がどの契約書を見られるのか」という社内の権限設計です。全員が全部見られる状態にすると人事や役員案件が筒抜けになりますし、逆に絞りすぎると、担当者が自分の送った書類すら探せなくなります。この記事では、クラウドサインの権限設定を「アカウントの権限」と「書類の共有範囲」の二階建てで整理し、社内メンバーの追加から、よくある『閲覧権限がありません』の対処、複数アカウントを持つべきかの判断までを順番に説明します。なお機能名や画面構成、利用できる範囲は契約しているプランや時期によって異なるため、最終的な設定内容は公式のヘルプページでご確認ください。
この記事の結論
- クラウドサインの権限は「アカウントに付与する権限(管理者か一般利用者か)」と「書類ごとの共有範囲(誰を閲覧者にするか)」の二階建てで考えると整理しやすくなります。
- 社内メンバーに契約書を見せたいときは、アカウント権限を広げるのではなく、その書類の閲覧者として個別に追加する方法から検討します。
- 『閲覧権限がありません』と表示された場合は、ログインしているアカウント、その書類の送信者・閲覧者設定、所属するグループの順に確認します。
クラウドサインの権限設定は「アカウント権限」と「書類の共有範囲」の二階建て
クラウドサインの権限を考えるときは、いきなり画面を触る前に、二つの層があることを押さえておくと迷いません。一つ目は、アカウントそのものに与える権限です。会社の設定を変えたりメンバーを追加したりできる管理者と、自分の業務として書類を送ったり受け取ったりする一般的な利用者では、できることが違います。
二つ目は、個々の書類をどこまで社内に見せるかという共有範囲です。同じ会社のメンバーでも、初期状態では他人が送った書類まで自由に見られるわけではありません。見せたい相手を、その書類の閲覧者として追加していく、という考え方になります。
この二層を混同すると、「この人に契約書を見せたい」という理由だけで管理者権限を付けてしまい、社内設定まで触れる人が増える、という事故が起きます。まずは共有範囲の調整で足りないかを考え、それでも足りないときにアカウント権限を見直す、という順番がおすすめです。なお、権限やグループに関する機能はプランによって使える範囲が異なる場合があるため、自社で何ができるかは公式サイトとヘルプで確認してください。
最初に決める3つ:誰が送るか、誰が見るか、誰が管理するか
設定を始める前に、紙に書き出してほしいのが次の三つです。第一に、契約書を実際に送信するのは誰か。営業担当が自分で送るのか、法務や管理部門が窓口となってまとめて送るのかで、必要なアカウント数が変わります。第二に、締結後の契約書を見る必要があるのは誰か。経理が請求の根拠として見るのか、上長が承認履歴を確認するのか、用途まで書くと範囲が決めやすくなります。
第三に、社内設定やメンバー管理を担当するのは誰か。管理者は複数人にしておくと、担当者の不在時や退職時に設定変更ができなくなる事態を避けられます。ひとり社長の場合でも、将来の増員を見越して「管理者は自分、実務担当は一般利用者」という形を最初から想定しておくと移行が楽です。
この三つが決まると、設計はほぼ自動的に決まります。たとえば「送信するのは営業3名、締結後を見るのは経理1名と社長、管理者は社長と総務」といった具合です。人事・労務系の書類や役員に関する契約など、見せる範囲を限定したいものがある場合は、この段階で別枠として印を付けておきます。
クラウドサインの料金プラン
クラウドサインの料金は次のとおりです。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
| プラン | 月額 | 1件あたりの送信料 | ユーザー数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Free | 0円 | 無料(月2件まで) | 1名 | 月の送信2件が上限。書類管理機能に制限 |
| Light | 11,000円(税抜)/12,100円(税込) | 220円(税抜)/242円(税込) | 無制限 | AI契約書管理(インポート時)非対応、キャビネット機能なし |
| Corporate | 28,000円(税抜)/30,800円(税込) | 220円(税抜)/242円(税込) | 無制限 | 専任CSM非対応、一部の内部統制機能に制限 |
| Business / Enterprise | 記載なし(個別) | 記載なし(ボリュームディスカウントあり) | 記載なし | 料金は問い合わせ |
社内メンバーを追加して閲覧者を設定する手順
メンバーの追加は、管理者アカウントでログインし、管理画面のメンバー管理にあたるメニューから行います。用意するものは、追加する人の会社のメールアドレスと、その人に与える権限の区分だけです。招待メールが届いたら本人がパスワードを設定してログインし、利用が始まります。個人のフリーメールではなく、会社ドメインのメールアドレスで統一しておくと、退職時の整理がしやすくなります。
書類を見せたい相手が決まっているときは、書類を送信する画面で閲覧者(共有先)として社内メンバーを指定する方法があります。送信前に指定しておけば、締結後もその人が一覧から書類を開けます。送信後に「経理にも見せたい」となった場合は、該当書類の詳細画面から共有先を追加できるかを確認します。操作メニューの名称は変更されることがあるため、見当たらないときは公式ヘルプで現在の手順を確認してください。
部署単位で管理したい場合は、グループやチームの機能を使い、営業部・管理部といった単位でまとめる方法があります。人が入れ替わってもグループに所属させるだけで済むので、担当者ごとに個別設定をやり直す手間が減ります。ただし、この種の機能は契約プランによって利用可否が分かれることがあるため、自社で使えるかどうかを先に確かめてから設計してください。
「クラウドサイン 閲覧権限がありません」と表示されたときの確認順
この表示が出たときは、原因を思いつく順に試すのではなく、上から順に潰していくのが早道です。まず一つ目、いま開いているブラウザでログインしているアカウントは合っているか。個人で使っている別アカウントや、以前の勤務先のアカウントでログインしたままというケースは珍しくありません。いったんログアウトして、会社のメールアドレスで入り直してみてください。
二つ目、その書類の送信者や閲覧者に自分が含まれているか。受信者としてメールのリンクから署名しただけの場合、社内アカウントの一覧には表示されない、という状況も起こり得ます。送信した本人に、自分を共有先に追加してもらえないか依頼するのが確実です。三つ目、グループやチームの所属が想定どおりかを管理者に確認します。異動後に所属が更新されていないと、以前は見えていた書類が見えなくなることがあります。
四つ目として、そもそもアカウントが有効かどうかも確認します。無効化された、あるいはメンバー数の上限に関わる整理で外された、といった可能性もあります。ここまで見ても解決しない場合は、管理者から公式のサポート窓口に問い合わせてもらいましょう。エラーが出た日時、書類名、ログインしているメールアドレスを控えておくと、やり取りが短く済みます。
複数アカウントは必要か|1社1アカウント+グループ分けが基本
「部署ごとにアカウントを分けたい」「子会社の分も管理したい」という相談はよくありますが、まず検討したいのは、一つの会社アカウントの中でメンバーとグループを分ける方法です。アカウントを分けると、書類の検索が分断され、契約書を探すときにどちらを見ればよいか分からなくなります。監査や更新管理の観点でも、一か所に集まっている方が扱いやすくなります。
一方で、法人格が別なら契約の当事者も別になるため、子会社や関連会社については別アカウントを検討する場面があります。締結名義や請求先を明確に分けたい、契約書の保管責任を法人ごとに切り分けたい、といった事情がある場合です。グループ会社での利用形態については、契約上の扱いも関わるため、導入前にサービス提供元へ相談してください。
なお、一人の人が複数の会社アカウントに参加する形になることもあります。その場合、ログイン後にどの会社の画面を見ているかを取り違えやすいので、送信前に差出人の会社名を毎回確認する習慣をつけておくと安心です。誤送信は、権限設定よりも運用の注意で防ぐ部分が大きい領域です。
入社・異動・退職に合わせた棚卸しのルールをつくる
権限設定は、作った時点よりも、その後の維持のほうが難しくなります。おすすめは、入社・異動・退職の三つのタイミングと、半年に一度の定期確認を、あらかじめ社内ルールとして決めてしまうことです。退職手続きのチェックリストに「電子契約サービスのアカウント無効化」を一行入れておくだけで、放置アカウントはかなり減ります。
定期確認では、メンバー一覧を開いて、在籍していない人や権限が実態と合わない人がいないかを見ます。あわせて、管理者が一人だけになっていないか、退職予定者が唯一の管理者になっていないかも確認してください。担当者が辞めた後に誰も設定を変えられない、という状態は避けたいところです。
また、締結済みの契約書をどこまで社内で共有するかは、個人情報や機密情報の取り扱い方針とも関わります。人事・労務関係の書類や役員に関する契約は、共有範囲を限定するのが一般的な考え方です。電子帳簿保存法など保存に関する要件が関係する書類もあるため、保存方法や検索のしかたの詳細は、所管官庁の資料や顧問の税理士にご確認ください。契約内容そのものの法的な論点については、弁護士に相談すると安心です。
よくある質問
クラウドサインで、他の人が送った契約書を見るにはどうすればいいですか。
原則として、その書類の送信者に共有先(閲覧者)として自分を追加してもらう形になります。部署単位でまとめて見られるようにしたい場合は、グループやチームの機能が使えるかを管理者に確認してください。利用できる機能はプランによって異なることがあるため、詳細は公式のヘルプページをご覧ください。
閲覧だけできて、送信はできないメンバーを作れますか。
アカウントに与える権限の区分と、書類ごとの共有設定を組み合わせて調整するのが基本的な考え方です。経理や上長のように「確認だけできればよい」人は、送信権限を広げるのではなく、必要な書類の閲覧者として追加する方法から検討するとよいでしょう。設定できる区分の名称や範囲は変更されることがあるので、管理画面と公式情報で最新の内容を確認してください。
1つの会社で複数のアカウントを持つことはできますか。
部署ごとに分けること自体は考えられますが、書類が分散して探しにくくなるため、まずは1つの会社アカウント内でメンバーとグループを分ける方法をおすすめします。法人格が別の子会社や関連会社については、契約の当事者が異なるため別アカウントを検討する場面があります。運用形態については、事前にサービス提供元に相談すると安心です。
担当者が退職したら、その人が送った契約書は見られなくなりますか。
アカウントを無効化する前に、締結済み書類の共有先に後任者や管理者を追加しておくと、引き継ぎがスムーズです。退職手続きのチェックリストに、アカウントの無効化と書類の引き継ぎをセットで入れておくと漏れを防げます。具体的な操作手順は公式ヘルプで確認し、判断に迷う場合は管理者からサポート窓口に問い合わせてください。