ネット銀行の法人口座を一覧で比較|主要行の違いと向く会社
会社をつくったら、まず決めるのが銀行口座です。ネット銀行は申し込みから開設まですべてオンラインで完結することが多く、設立直後のひとり社長にも選びやすい選択肢になっています。とはいえ「GMOとSBI、どっちがいいの?」と検索しても、比較表の数字は改定されていることが多く、そのままでは決められません。この記事では、法人口座を開ける主要なネット銀行を一覧で整理したうえで、料金の細かい数字に頼らずに候補を2つまで絞るための判断の順番をまとめます。
この記事の結論
- 法人口座を開ける主要なネット銀行は、GMOあおぞらネット銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行・楽天銀行・セブン銀行などで、いずれもオンライン申し込みに対応しています。
- ネット銀行の法人口座は、振込手数料が比較的抑えられていること、API連携で会計ソフトと自動でつながること、24時間オンラインで操作できることが主なメリットです。
- 選ぶときは「①現金や手形を扱うか ②融資や補助金の入金口座にするか ③使う会計ソフトと連携できるか」の順に見て、最後に各社公式サイトで最新の料金を確認するのが現実的です。
法人口座を開けるネット銀行の一覧と、それぞれの特徴
法人口座を開設できる主なネット銀行としては、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行、楽天銀行、セブン銀行などが挙げられます。いずれも店舗に出向かずオンラインで申し込みができ、設立したばかりの会社でも申し込み自体は受け付けられています(審査の結果は会社ごとに異なります)。
大まかな傾向として、GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行は、API連携やバーチャル口座など「事業の仕組みに組み込む」用途の機能が手厚い印象があります。PayPay銀行と楽天銀行は、それぞれのグループの決済サービスやECモールを使っている会社との相性を打ち出しています。セブン銀行はATMネットワークが強みで、現金の入出金が発生する事業と親和性があります。
ただし、各行の機能やサービス内容は継続的に見直されています。振込手数料、口座維持にかかる費用、デビットカードやAPIの提供条件は、必ず各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。この記事では数字ではなく「どの軸で比べるか」に絞って整理します。
ネット銀行の法人口座のメリットとデメリット
メリットは大きく3つです。1つ目は振込手数料が都市銀行に比べて抑えられている傾向があること。取引先への支払いや外注費の振込が多い会社ほど、この差が積み上がります。2つ目は、会計ソフトやクラウド請求書サービスとの連携がしやすいこと。明細が自動で取り込まれると、記帳の手間がかなり減ります。3つ目は、深夜や休日でも残高確認と振込予約ができることです。
デメリットも理解しておく必要があります。窓口がないため、トラブル時の相談は電話やチャットが中心になります。また、現金の入金・出金はATMや提携先を経由することになり、多額の現金を日常的に扱う業態では不便です。手形や小切手の取り扱いにも対応していないことが一般的です。
加えて、取引先や公的機関の側が「メガバンクか地方銀行の口座を」と求めるケースが、まだ残っています。補助金の入金口座や、一部の取引先の登録口座で条件が付くことがあるため、ネット銀行1行だけに絞らず、2行目を後から用意する前提で考えておくと安心です。
迷ったらこの順に見る|3つの判断基準
まず①現金・手形を扱うかを確認します。日常的に現金の入出金があるなら、ATM網の広さが効いてきます。現金がほとんど発生しない受託業・IT・コンサルなどであれば、この基準は無視してかまいません。手形や小切手が必要な業態なら、ネット銀行単独では完結しないため、金融機関を分ける前提で考えます。
次に②融資や補助金を見据えるかです。将来的に日本政策金融公庫や信用保証協会付きの融資を考えているなら、地域の金融機関との関係づくりも並行して進める価値があります。ネット銀行をメイン口座にしつつ、地元の信用金庫に2行目を開く、という組み方をしている会社もあります。
最後に③会計ソフトとの連携です。freee・マネーフォワード・弥生などを使う予定があるなら、そのソフトが対応している金融機関かどうかを、ソフト側の連携一覧で先に確認します。連携できない口座をメインにすると、毎月の記帳が手作業になり、後から口座を変えるのは意外と手間がかかります。この3つを順に見れば、候補はだいたい2行まで絞れます。
GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行はどう違う?
この2行で迷う方が多いので、比べ方を整理します。どちらもオンライン完結型で、法人向けの機能が充実しているという点は共通しています。違いを見るなら、まず「APIやバーチャル口座などの開発者向け機能をどこまで使うか」です。自社サービスの入金消込を自動化したい、システムから振込を実行したいといった要件があるなら、提供されているAPIの内容を両行のサイトで読み比べる価値があります。
次に見るのが、グループとの接点です。GMOあおぞらネット銀行はGMOグループのサービス群、住信SBIネット銀行はSBIグループの金融サービスと近い位置にあります。すでにグループ内の決済サービスやレンタルサーバーなどを使っているなら、手続きや管理画面が一本化しやすい場合があります。
そのうえで、振込手数料・デビットカードの有無・複数ユーザーでの権限設定といった実務条件を、各社公式サイトで確認して比較してください。手数料体系は改定されることがあるため、第三者のまとめ記事の数字をそのまま信じず、必ず一次情報に当たるのが安全です。
なお、片方に決めきれない場合、両方を開設して数か月使い、実際の操作感で判断するという進め方もあります。法人口座は複数持っていても差し支えありませんが、口座を増やすほど経理の管理は増える点には注意してください。
開設までの流れと、準備しておくもの
流れはおおむね共通しています。会社設立の登記が完了し、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が取得できるようになったら、各行のサイトからオンラインで申し込みます。入力後、必要書類をアップロードし、審査を経て、郵送物の受け取りなどを行って利用開始、という順番です。申し込みから開設までの期間は会社の状況により幅があります。
準備しておくとスムーズなのは、登記事項証明書、法人の印鑑証明書、代表者の本人確認書類、そして事業内容が分かる資料です。ウェブサイトや会社案内、取引先との契約書の写しなど、「何をして、誰からお金を受け取るのか」が説明できるものがあると、審査の過程での確認がスムーズになりやすいです。バーチャルオフィスを本店にしている場合は、契約書の写しを求められることがあります。
審査に通らなかった場合でも、理由が開示されないのが一般的です。事業実態の説明資料を整えたうえで、別の金融機関に申し込む、あるいは一定期間おいて再度申し込むといった対応が考えられます。開設まで時間がかかる前提で、設立手続きと並行して早めに動いておくと安心です。
開設後にやること|口座を経理の仕組みに組み込む
口座ができたら、その日のうちに会計ソフトと連携させておくことをおすすめします。取引が少ないうちに連携しておけば、明細の取り込み設定や勘定科目のルール登録も短時間で済みます。後回しにすると、数か月分の明細をまとめて処理することになりがちです。
次に、代表者個人の支払いと法人の支払いを分けます。法人カードやデビットカードを法人口座に紐づけ、事業の支出はそこに集約すると、記帳も証憑の管理もかなり楽になります。個人の口座やカードで立て替えた分は、精算のルールを最初に決めておくと混乱しません。
領収書や請求書の保存方法についても、口座開設と同じタイミングで方針を決めておくとよいでしょう。電子取引データの保存には法令上の要件があり、詳細は国税庁の公表資料で確認してください。自社の処理が要件を満たしているか不安な場合や、口座の使い分けが税務上どう扱われるかが気になる場合は、早い段階で税理士にご相談ください。設立直後に相談先を決めておくと、その後の判断がぶれにくくなります。
よくある質問
ネット銀行の法人口座は、設立直後でも開設できますか?
設立直後でも申し込みは可能で、多くのネット銀行が登記完了後の法人を受け付けています。ただし審査があり、事業内容や本店所在地の説明を求められることがあります。ウェブサイトや契約書など、事業実態が分かる資料を用意しておくと説明しやすくなります。
法人口座は複数の銀行で持ってもよいのでしょうか?
複数の金融機関に法人口座を持つこと自体は一般的で、ネット銀行をメインに、地域の金融機関をサブにする組み方もよく見られます。ただし口座が増えるほど残高管理と記帳の手間は増えます。用途を決めずに増やさないほうが運用は楽です。
GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行、どちらを選べばよいですか?
どちらが優れているというより、使う機能で決めるのが現実的です。APIやバーチャル口座で入金処理を自動化したいか、すでに使っているグループサービスがあるかを先に確認してください。そのうえで、手数料やカードの条件を各社公式サイトで比較しましょう。
ネット銀行だと融資が受けにくくなりますか?
ネット銀行をメイン口座にしているからといって融資の可否が決まるわけではありませんが、日本政策金融公庫や信用保証協会付き融資を視野に入れるなら、地域の金融機関との取引実績も一つの材料になります。資金調達の計画がある場合は、税理士などに早めに相談しておくと進め方を整理しやすくなります。