クラウドサインの英語対応と海外の取引先|使える範囲と依頼の進め方
海外の取引先と契約を結ぶとき、「いつも使っているクラウドサインを、そのまま英語の契約書でも使えるのか」で手が止まる方は多いはずです。結論から言うと、英文のPDFを送ること自体は日本語の契約書と同じように進められます。迷いどころはむしろ、相手が電子契約を受け入れるか、どの言語で案内するか、準拠法や保管をどう整理するかという運用面です。この記事では、使える範囲の見極め方と、海外の相手に依頼するときの手順を順番に整理します。
この記事の結論
- クラウドサインにアップロードするPDFの言語に制限はなく、英文契約書をそのまま送信して相手に合意してもらう運用は一般的に行われています。
- 相手側は専用アカウントの用意なしに、メールで届いたリンクから内容を確認して同意する流れになるため、海外の取引先でも受け取り自体はしやすい仕組みです。
- 海外案件では「相手が電子契約を受け入れるか」「準拠法・裁判管轄がどこか」を先に確認し、必要に応じて弁護士に相談したうえでツールを決めるのが安全です。
クラウドサインに英語版はある?まず押さえる3つのレイヤー
「クラウドサイン 英語対応」と検索したとき、実は3つの別々の話が混ざっています。①管理画面(送信する自分側)の表示言語、②相手に届くメールや確認画面の言語、③アップロードする契約書PDFそのものの言語です。この3つは連動していないので、分けて考えると整理しやすくなります。
このうち③、つまり契約書PDFの中身については、言語の制約はありません。英文でも中国語でも、PDFにしてアップロードすれば同じように送信でき、合意後の締結済みファイルにもそのまま反映されます。多くの会社が英文契約で使っているのは、この部分が言語に依存しないためです。
①②の表示言語や英語表記の切り替えについては、提供状況や設定場所がアップデートで変わることがあります。自社アカウントで何ができるかは、クラウドサインの公式ヘルプやサポートで最新の情報を確認してください。「英語 マニュアル」を探している場合も、公式ヘルプセンターの記事を相手に共有するのが、内容が古くならずに済む方法です。
海外の取引先に使えるか迷ったら、この順番で判断する
判断は上から順に見ていくと迷いません。最初に見るのは「相手が電子契約という方式そのものを受け入れるか」です。ここが通らなければ、ツールの機能を比べても意味がありません。担当者レベルで賛成でも、相手の法務が紙の原本と印章・公証を求めるケースはあります。
次に「準拠法と裁判管轄がどこか」を確認します。日本法を準拠法とする契約であれば、日本の電子署名に関する考え方を前提に整理しやすくなります。一方、相手国の法を準拠法とする契約や、不動産・身分関係など書面性が求められうる類型では、その国の制度で電子的な締結が想定されているかを個別に確認する必要があります。EUのeIDASや米国の電子署名関連法など、国ごとに枠組みが異なるため、重要な契約では弁護士に確認したほうが安心です。
三つ目が「相手が指定するツールがあるか」です。海外企業は自社で電子契約サービスを標準化していることが多く、先方から別サービスでの送信を提案される場面があります。このときは、どちらが送信側になるかを早めに決めてしまうのが実務的です。自社が送信側なら自社ルールで、相手が送信側ならその案内に従う、という切り分けにしておくと、毎回ゼロから議論せずに済みます。
クラウドサインの料金プラン
クラウドサインの料金は次のとおりです。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
| プラン | 月額 | 1件あたりの送信料 | ユーザー数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Free | 0円 | 無料(月2件まで) | 1名 | 月の送信2件が上限。書類管理機能に制限 |
| Light | 11,000円(税抜)/12,100円(税込) | 220円(税抜)/242円(税込) | 無制限 | AI契約書管理(インポート時)非対応、キャビネット機能なし |
| Corporate | 28,000円(税抜)/30,800円(税込) | 220円(税抜)/242円(税込) | 無制限 | 専任CSM非対応、一部の内部統制機能に制限 |
| Business / Enterprise | 記載なし(個別) | 記載なし(ボリュームディスカウントあり) | 記載なし | 料金は問い合わせ |
英文契約書を送る手順:いつ・何を用意して・どこに出すか
準備は契約書が固まる前から始めます。ドラフトのやり取りをしている段階で、相手の署名権限者の氏名・役職・メールアドレスを確認しておきます。海外では「署名するのは誰か」が日本以上に明確に決まっていることがあり、担当者と署名権限者が別人であることも珍しくありません。ここを後回しにすると、送信後に転送や差し替えが発生します。
次に、合意した最終版をPDFにします。Wordで編集していた場合は、レイアウト崩れやフォントの置き換えが起きていないか、PDF化したあとに目視で確認してください。ページ数が多い英文契約では、別紙(Exhibit/Schedule)の付け忘れがよくあるトラブルです。
最後に送信です。宛先に相手のメールアドレスを入れ、件名と本文を英語で書きます。件名は「Request for signature: ○○ Agreement」のように、何の書類かが一目で分かる形にします。送信後は、相手に別途メールやチャットで「クラウドサインというサービスからリンクが届きます」と一言伝えておくと、迷惑メールフォルダで埋もれるのを防げます。締結が完了したら、締結済みPDFをダウンロードして自社の保管場所に置き、相手にも控えを共有しておくと安心です。
相手に送る英語の案内文には、この4点を入れる
海外の担当者がつまずくのは、機能そのものより「何をすればいいのか分からない」ことです。案内文には最低限、次の4点を入れておくと問い合わせが減ります。1つ目は、どのサービスからメールが届くか(差出人の表示名とドメイン)。2つ目は、受信側にアカウント登録やソフトのインストールが不要であること。3つ目は、リンクを開いて内容を確認し、画面上の操作で同意する流れであること。4つ目は、いつまでに対応してほしいかの期限です。
期限を書くときは、タイムゾーンを添えます。「by Friday」だけだと、相手の金曜と日本の金曜がずれます。「by Friday, October 3 (JST)」のように書いておくと行き違いが起きにくくなります。
文面の例としては、「We will send you a signature request from an electronic contract service. You do not need to create an account — please open the link, review the document, and complete the agreement online.」といった短い説明で足ります。長い説明より、届くメールの見た目(差出人名・件名)を先に伝えておくほうが効果的です。公式ヘルプに受信者向けの案内ページがあれば、そのURLを添えるのもよい方法です。
海外案件でつまずきやすいポイントと、その手当て
いちばん多いのはメールが届かないケースです。相手の会社が外部ドメインからのメールを制限していたり、リンク付きメールを自動で隔離していたりすることがあります。送信前に差出人ドメインを伝えて許可リストに入れてもらう、届かない場合は再送する、という段取りをあらかじめ決めておくと止まりません。
次に、アクセスコードや二要素認証を設定した場合の伝達です。セキュリティを高める設定は有効ですが、コードを別経路で伝える手間が増えます。海外の相手だと時差で往復に数日かかることもあるため、契約の重要度に応じて設定を使い分ける運用が現実的です。
もう一つは社内の押印規程との整合です。海外契約だけ別フローにすると、誰がいつ承認したかが後から追えなくなります。電子契約を使う場合の承認ルートを規程に書き込み、締結済みファイルの保管場所も一本化しておきましょう。なお、取引に関して電子的に授受した契約書は、電子帳簿保存法上の電子取引データとして扱われることがあります。保存方法の要件は国税庁の資料を確認し、判断に迷う場合は税理士にご相談ください。
クラウドサインと海外向けサービス、どちらを使うか
選び方は「どちらが優れているか」ではなく、「その契約でどちらが摩擦が少ないか」で決めるのが実務的です。国内取引が大半で、海外案件がときどき発生する会社であれば、普段使っているツールに統一したほうが管理は楽になります。締結済みファイルがあちこちに散らばるほうが、後々の検索や監査で負担になるからです。
逆に、海外顧客との契約が事業の中心だったり、相手が自社の電子契約基盤での締結を条件にしていたりする場合は、相手側のツールに合わせる判断もあります。この場合も、締結済みPDFは自社の保管場所にコピーして一元管理しておくと、管理台帳を二重に持たずに済みます。
両方を併用するなら、「自社が送信側になる契約はこちら、相手が送信側の契約は受け入れる」という一文を社内ルールに書いておきましょう。料金やプランの条件は各社で改定されるため、導入前にクラウドサインおよび比較対象サービスの公式サイトで最新の内容を確認してください。契約の有効性や準拠法の扱いに不安がある場合は、英文契約に詳しい弁護士に、保存方法の要件については税理士に相談されることをおすすめします。
よくある質問
クラウドサインで英語の契約書を送ることはできますか。
アップロードするPDFの言語に制限はないため、英文契約書をそのまま送信して合意してもらう運用は一般的に行われています。ただし画面表示やメール文面の言語設定は別の話なので、自社アカウントで何ができるかは公式ヘルプで確認してください。
海外の取引先はアカウント登録が必要ですか。
受信して同意する側は、届いたメールのリンクから内容を確認して手続きを進める形が基本で、専用アカウントを用意しない運用が想定されています。相手が不安がる場合は、登録不要である旨とメールの差出人情報を事前に伝えておくとスムーズです。
英語のマニュアルはどこで手に入りますか。
提供状況は変わることがあるため、クラウドサインの公式ヘルプセンターやサポート窓口で最新の案内を確認するのが確実な方法です。相手に共有するときは、PDFを作って渡すより公式ページのURLを送るほうが、内容が古くならずに済みます。
海外の相手との契約でも、電子契約で有効に成立しますか。
契約の準拠法や契約類型によって扱いが変わり、国ごとに電子署名の制度も異なります。日本法を準拠法とする一般的な業務委託や売買では電子的に締結する例が多い一方、書面性が求められうる類型もあるため、重要な契約は弁護士にご確認ください。