格安の税理士顧問料は何が違うか|安い料金表の見方と払えないときの対応

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

税理士事務所のサイトを並べて見ると、同じ「顧問契約」という言葉でも金額の幅が大きいことに気づきます。安いほうが得に見えますが、料金差の多くは「誰がどこまで手を動かすか」の差です。この記事では、格安プランで省かれやすい作業、料金表を読むときに確認する項目、いま払えないと感じたときの相談の順番を整理します。

この記事の結論

  • 税理士の顧問料が安いプランは、記帳や資料整理を会社側が行う前提になっていることが多く、料金差の大半は「会社と税理士のどちらが手を動かすか」の差です。
  • 料金表を見るときは、月額に含まれる範囲・決算申告料が別かどうか・訪問や面談の頻度・記帳代行の有無・年末調整や給与計算などの追加業務の扱いの5点を順に確認します。
  • 顧問料の支払いが苦しいときは、解約を決める前に、担当税理士に業務範囲の縮小や支払い時期の相談ができないかを先に持ちかけるのが現実的です。

税理士の顧問料が安いプランでは、何が省かれているのか

顧問料の差は、税理士の能力の差というより、契約に含まれる作業量の差であることがほとんどです。安いプランでは、日々の記帳を会社側が会計ソフトに入力し、税理士はそのデータの確認と決算・申告に集中する形が一般的です。逆に金額が上がるプランでは、領収書や通帳のコピーを丸ごと預かり、記帳から仕訳のチェックまで税理士事務所側が行います。

省かれやすいのは、記帳代行、毎月の対面訪問、経営数値の詳しい説明、給与計算や年末調整、各種届出書の作成といった付随業務です。これらは「オプション」として別料金になっていることが多く、料金表の下のほうに小さく書かれている場合があります。

もうひとつ差が出やすいのが、連絡手段と回答の早さです。メールやチャットのみ、質問は月に何件まで、といった形で運用を絞ることでコストを下げている事務所もあります。どれも悪いことではなく、自社が何を自分でできるかによって、向き不向きが変わります。

顧問料の内訳はどう分かれているか

顧問料は、大きく「月々の顧問料」と「決算申告の報酬」に分かれるのが一般的です。月々の顧問料は、記帳内容の確認、税務の相談対応、試算表の作成などに対する対価で、決算申告の報酬は、年に一度の決算書作成と法人税等の申告書提出に対する対価です。サイトに月額だけが大きく載っていて、決算申告料が別記載になっているケースは珍しくありません。

さらに、消費税の申告、年末調整、法定調書や償却資産申告、給与計算、社会保険手続きの取り次ぎなどが、それぞれ別建てになっていることがあります。年間で実際にいくら払うのかを知りたいときは、月額×12+決算申告+年末調整まわり、という形で足し算してみると比較しやすくなります。

売上や仕訳数によって金額が変わる料金表も多く見かけます。この場合、契約時の規模で決まった金額が、事業が伸びたときに改定される前提になっていることがあります。改定の条件がどこに書かれているかを、契約前に確認しておくと後で揉めにくくなります。

安い料金表を見るときのチェック順

まず見るのは「月額に何が含まれるか」です。記帳代行が含まれるのか、こちらが入力したデータの確認だけなのか。ここが一番大きな分岐なので、最初に確定させます。自社に経理担当がおらず、社長が領収書を袋に入れているだけの状態なら、記帳代行を含まないプランは結局どこかで行き詰まります。

次に、決算申告料が別かどうか、消費税の申告が別かどうかを見ます。三つ目に面談の頻度と方法、四つ目に年末調整・給与計算の扱い、五つ目に会計ソフトの指定があるかどうかです。ソフトが指定されている場合、その利用料は別途かかることがあるので、各社の公式サイトで最新の料金を確認してください。

最後に、途中解約の条件と、資料の返却方法を確認します。合わなかったときに抜けられるかどうかは、契約前でないと聞きにくい話です。見積もりの段階で「年の途中で解約する場合、決算申告はどうなりますか」と一度聞いておくと、その事務所の対応の丁寧さも同時に見えます。

顧問料が高いと感じたとき、まず何を比べるか

高いと感じる原因は、金額そのものより「何に払っているか分からない」ことにある場合が多いです。まず、直近1年で実際に依頼した作業を書き出してみてください。記帳をどこまで自社でやったか、相談を何回したか、決算以外に何を作ってもらったか。これが見えると、いまの契約が過剰なのか妥当なのかを判断しやすくなります。

次に、自社が今後どちらに動くかを考えます。自社で会計ソフトに入力できる体制をつくり、税理士には確認と申告を任せたいのか。それとも本業に集中するために丸ごと預けたいのか。前者なら業務範囲を絞った契約、後者なら記帳代行込みの契約が合いやすく、単純な金額比較はその後の話になります。

他の事務所の見積もりを取るのは有効ですが、同じ条件で並べないと比較になりません。売上規模、仕訳のおおよその件数、従業員数、消費税の課税区分、使っている会計ソフトを揃えて伝えると、比較できる見積もりが返ってきます。なお、税額の見込みや消費税の判定については、個別の状況で扱いが変わることがあるため、税理士にご確認ください。

顧問料が払えないときの対応手順

支払いが苦しいと感じたら、滞納が発生する前に担当税理士へ連絡するのが先です。順番としては、①いま契約に含まれている業務のうち自社でできるものを洗い出す、②業務範囲を縮小した場合の見積もりを出してもらえるか相談する、③それでも難しければ支払い時期の調整が可能かを聞く、という流れになります。無断で支払いを止めるのが一番こじれます。

業務を縮小する例としては、記帳代行を自社入力に切り替える、毎月の訪問を四半期ごとや決算前後に減らす、年末調整を社会保険労務士や自社対応に振り分ける、といったやり方があります。切り替える場合は、期の途中よりも決算後のタイミングのほうが引き継ぎの手間が少なくて済みます。

解約して申告だけを単発で依頼する「スポット契約」に切り替える道もあります。ただし、日々の記帳が滞っていると決算時の作業量が増え、結果として単発の報酬が高くなることがあります。自社で帳簿をつけ続けられる見込みがあるかどうかが、この選択の分かれ目です。

税理士を変える・契約を見直すときの進め方

切り替えを決めたら、まず現契約の解約通知の期限を契約書で確認します。次に、返却してもらう資料を一覧にします。総勘定元帳、決算書、申告書の控え、預かってもらっている領収書や通帳のコピー、会計データのバックアップが代表的なところです。電子データで受け取れるかも聞いておくと引き継ぎが楽になります。

新しい事務所を探すときは、税理士会の名簿や紹介サービス、取引先からの紹介などを使い、複数に同じ条件で問い合わせます。初回面談では、料金だけでなく「連絡はどの手段で、どのくらいで返ってくるか」「担当者は誰か」を確認しておくと、契約後のずれが減ります。

帳簿や保存書類の扱いについては、電子帳簿保存法やインボイス制度の要件が関わってきます。要件の詳細は国税庁など所管官庁の資料を確認したうえで、自社の運用がそれに沿っているかを新旧どちらの税理士にも共有しておくと安全です。判断に迷う点は、契約前でも税理士に相談してよい範囲です。

顧問料の妥当性や契約範囲の見直しは、自社の規模・業種・今後の計画によって答えが変わります。料金表の比較だけで決めきれないと感じたら、複数の税理士に同じ条件で相談し、自社に合う業務範囲を一緒に設計してもらうことをおすすめします。労務や登記が絡む場合は、社会保険労務士や司法書士への相談もあわせて検討してください。

よくある質問

税理士の顧問料が安い事務所は、質も低いのでしょうか。

金額の差は、契約に含まれる作業量や連絡方法の違いによるところが大きく、そのまま質の差とは言い切れません。記帳を自社で行えるなら、範囲を絞った契約でも支障がないことがあります。自社がどこまで手を動かせるかを基準に選ぶのが現実的です。

顧問契約を結ばず、決算申告だけ頼むことはできますか。

決算と申告のみを単発で受ける事務所もあります。ただし日々の記帳が整っていないと作業量が増え、報酬が上がることがあります。自社で帳簿を継続してつけられるかどうかを先に確認してください。

顧問料の支払いが遅れそうなとき、どう伝えればよいですか。

遅れが出る前に、理由と支払える見込みの時期を添えて早めに連絡するのが基本です。あわせて、業務範囲を縮小した場合の見積もりが出せるかも相談すると、継続の道が残りやすくなります。

税理士を変えるのに良いタイミングはありますか。

決算・申告が終わった直後は、引き継ぐ資料がまとまっていて移行しやすいタイミングです。期の途中で変える場合は、資料の返却範囲と申告をどちらが行うかを、双方と事前に確認しておくと混乱を避けられます。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。