freee・マネーフォワードを使ったまま税理士を変更する|権限の引き渡し手順

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

税理士を変えるとき、いちばん詰まりやすいのが「会計ソフトのアカウントをどうするか」です。クラウド会計は、紙の帳簿と違ってデータが手元にあるのが強みですが、契約者が誰か・誰に権限が付いているかを整理しないまま解約すると、過去のデータに触れなくなることもあります。この記事では、freeeやマネーフォワードを使い続けたまま税理士を変更する場合に、どの順番で何を確認し、どのタイミングで権限を入れ替えるかを整理します。

この記事の結論

  • クラウド会計を使ったまま税理士を変更する場合は、まず「会計ソフトの契約者が自社か税理士か」を確認し、税理士名義なら自社名義への切り替えかデータ移行を先に決めます。
  • 権限の入れ替えは、新しい税理士を招待して引き継ぎが終わったことを確認してから、旧税理士の権限を外す順番で進めると、作業が止まりにくくなります。
  • 解約や権限削除の前に、総勘定元帳・仕訳帳・試算表・決算書・申告書控えなど、後から見返す資料をPDFやCSVで手元に保存しておくと安心です。

まず確認するのは「会計ソフトの契約者は誰か」

税理士変更でトラブルになりやすいのは、会計ソフトの契約名義が税理士事務所になっているケースです。事務所がまとめて契約している環境に自社のデータが置かれている場合、顧問契約が終わると、そのまま同じ画面を使い続けられるとは限りません。

最初にやることは、freeeやマネーフォワードにログインして、契約・プラン情報の画面で「どの名義で契約されているか」「請求先はどこか」を見ることです。自社名義で契約していれば、税理士は招待されたメンバーという立場なので、権限の付け外しだけで話が済みます。

税理士事務所名義だった場合は、(1)自社名義で新たに契約してデータを移す、(2)事務所側の了解のうえで契約の切り替えができるか確認する、のどちらかになります。どちらも旧税理士とのやり取りが必要なので、変更を切り出すときに一緒に相談しておくとスムーズです。

freeeで税理士を変更するときの権限の入れ替え

freeeは、事業所に対してメンバーを招待し、役割(権限)を設定する仕組みになっています。管理者権限を持つアカウントが自社側にあるかどうかが出発点です。管理者が旧税理士だけ、という状態なら、まず自社の代表者アカウントに管理者権限を付けてもらいます。

新しい税理士が決まったら、メールアドレスを聞いてメンバー招待をします。顧問税理士向けの招待や権限の種類は機能追加で変わることがあるため、画面の表示とfreeeのヘルプページで最新の手順を確認してください。招待後は、新しい税理士に「過去の仕訳と残高が見えるか」を実際に確認してもらうのが確実です。

旧税理士の権限を外すのは、その確認が取れてからにします。順番を逆にすると、質問したいときに旧税理士が画面を見られず、やり取りが電話とメールだけになって時間がかかります。

マネーフォワードで税理士を変更するときの流れ

マネーフォワード クラウドも考え方は同じで、事業者(テナント)にメンバーを追加し、役割を割り当てる形です。会計だけでなく、請求書・給与・勤怠など複数のサービスを使っている場合は、サービスごとに誰が使えるかが分かれていることがあるので、会計だけ切り替えて給与は旧税理士のままだった、という抜けに注意します。

手順としては、事業者の管理者権限が自社にあることを確かめ、新しい税理士をメンバー追加し、担当範囲に合う権限を設定します。給与計算を社労士が見ている場合は、社労士の権限に触れないよう、誰にどの権限が付いているかを一覧で書き出してから作業すると混乱しません。

銀行やクレジットカードの明細連携(自動連携)の設定が、旧税理士のアカウント経由になっていないかも見ておきます。連携が切れると月次の入力が止まるため、変更後に数日は取り込みが動いているかを確認してください。

権限を外す前に手元へ残しておきたいデータ

クラウド会計は解約しても一定期間はデータが残る設計のものもありますが、条件はサービスや契約状態によって異なります。権限を外す・契約を切り替える前に、後から見返す可能性がある資料をダウンロードしておくのが安全です。

具体的には、直近数期分の総勘定元帳・仕訳帳・試算表・決算書、固定資産台帳、賃金台帳や源泉徴収簿(給与ソフトを使っている場合)、そして法人税・消費税の申告書控えと勘定科目内訳明細書です。申告書控えは会計ソフトではなく税理士側の申告ソフトで作成されていることが多いので、旧税理士に電子データまたはPDFでの提供を依頼します。

保存の際は、電子データで受け取った帳簿書類の扱い(電子帳簿保存法の考え方)にも触れることになります。保存方法の要件は改正があるため、国税庁の資料を確認し、判断に迷う部分は税理士に相談してください。

税理士変更のタイミングと、進める順番

切り替えの時期は、決算・申告が一段落した直後が動かしやすいと言われます。期の途中で変えると、新しい税理士が前半の処理内容を確認する手間が増えますが、月次がうまく回っていないなど事情があれば期中の変更もあり得ます。年末調整や消費税の申告が近い時期は、担当が二重になりやすいので避けられるなら避けたいところです。

進める順番は、(1)現在の契約内容と会計ソフトの名義・権限を洗い出す、(2)新しい税理士を探し、クラウド会計に対応しているかと使用中のサービス名を伝えて確認する、(3)旧税理士に契約終了の意向を伝え、引き継ぎ資料とデータの提供を依頼する、(4)新しい税理士をソフトに招待し、閲覧できることを確認する、(5)旧税理士の権限を外し、必要なら契約名義を切り替える、という流れです。

新しい税理士を探す段階で、「今使っているのはfreeeかマネーフォワードか」「給与や請求書も同じシリーズで使っているか」を最初に伝えてください。事務所によって得意なソフトが分かれるため、ここが合わないと、結局ソフトの乗り換えまで発生します。

税務署への届出としては、税理士が税務代理権限証書を提出している場合、新しい税理士があらためて提出することになります。e-Taxの利用者識別番号やID・パスワードを税理士に預けている場合は、変更後に必要に応じて見直しておくとよいでしょう。

よくあるつまずきと、その回避策

よくあるのは、旧税理士の権限を先に削除してしまい、直前期の仕訳の意図が分からなくなるパターンです。摘要が短い仕訳や、独自の補助科目の使い方は、本人に聞かないと分からないことがあります。引き継ぎのための質問を一度にまとめて聞ける期間を、変更前に確保しておきましょう。

もうひとつは、会計ソフト以外の連携先の見落としです。銀行のインターネットバンキング、クレジットカード、請求書サービス、経費精算、電子契約など、税理士のアカウントが入っているものがないか、社内で使っているサービスを一覧にして確認します。

料金やプランは各社・各事務所で異なり、変更のたびに条件も変わります。会計ソフトの費用は各社の公式サイトで最新の内容を確認し、顧問報酬は複数の事務所に見積もりを取って、対応範囲(記帳代行の有無、月次面談、年末調整、給与計算など)とあわせて比べてください。

判断に迷うところは税理士に確認を

会計データの引き継ぎ自体は事務作業ですが、その先にある処理の判断、たとえば期中で処理方針が変わる場合の扱いや、消費税の課税方式の選択、電子データの保存方法などは、個別の事情で結論が変わります。ここを自己判断で進めると、後の申告でやり直しが発生することがあります。

新しい税理士が決まったら、最初の面談で「過去の処理で気になる点はあるか」「保存しているデータで足りないものはあるか」を確認してもらってください。契約前の段階で不安があれば、複数の税理士に相談したうえで決めても構いません。

税務上の取り扱いや届出の要否については、この記事の内容は一般的な考え方の範囲です。実際の対応は税理士に、労務に関わる部分は社会保険労務士に、契約の解除条件で揉めそうなときは弁護士にご確認ください。

よくある質問

税理士を変更したら、freeeやマネーフォワードのデータは消えてしまいますか。

契約名義が自社であれば、税理士のアカウント権限を外してもデータは自社の事業所に残るのが一般的です。ただし税理士事務所名義の契約に相乗りしていた場合は扱いが異なるので、契約画面で名義を確認し、必要な帳簿類は事前にPDFやCSVで保存しておくと安心です。

旧税理士の権限は、いつ外せばよいですか。

新しい税理士を招待し、過去の仕訳や残高がきちんと見える状態を確認してから外す順番がおすすめです。先に削除すると、処理内容の質問ができず引き継ぎが止まることがあります。

新しい税理士が今のクラウド会計に対応していない場合はどうなりますか。

事務所指定のソフトへ乗り換えるか、対応できる別の税理士を探すかの選択になります。乗り換えには過去データの移行作業が伴うため、税理士を探す段階で「freeeかマネーフォワードか」「給与や請求書も同じシリーズを使っているか」を先に伝えて確認してください。

期の途中で税理士を変更しても大丈夫でしょうか。

期中の変更も実務上は行われていますが、新しい税理士が前半の処理を確認する手間が増えます。決算・申告が終わった直後や、年末調整など繁忙期を外したタイミングのほうが進めやすいので、事情とあわせて税理士に相談してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。