法人の税理士の探し方|依頼範囲と面談で確認すること
法人をつくると、決算と法人税の申告が毎年やってきます。個人の確定申告と違い、法人の申告書は作成の手間も判断も増えるため、どこかの段階で税理士に相談する会社がほとんどです。とはいえ「どこで探すのか」「何をどこまで頼むのか」「面談で何を聞けばいいのか」が分からないまま、知り合いの紹介でなんとなく決めてしまう例も少なくありません。この記事では、依頼範囲の決め方から探す経路、面談での確認事項、契約前に見るポイントまでを順番に整理します。
この記事の結論
- 法人の税理士は「決算・申告だけを頼むか、毎月の記帳や相談まで頼むか」を先に決めてから探すと、候補の絞り込みと見積り比較がしやすくなります。
- 探す経路は、紹介・税理士会の相談窓口・マッチングサービス・事務所サイトからの直接問い合わせが中心で、2〜3事務所に同じ条件で見積りを依頼して比較するのが基本の進め方です。
- 面談では、担当者が誰か、連絡手段と返信の目安、使える会計ソフト、料金に含まれる範囲と含まれない作業、決算前後の進め方の5点を必ず確認します。
税理士の探し方が分からないときは、まず「依頼範囲」から決める
「税理士 探し方 わからない」と検索する人の多くは、事務所を探す前の段階でつまずいています。候補が絞れない原因は、自分が何を頼みたいのかが決まっていないことにあります。頼む範囲が決まっていないと、見積りの金額も比較できません。
法人が税理士に頼む範囲は、大きく分けると三段階です。ひとつ目は決算と法人税などの申告書作成だけを依頼する形。ふたつ目は、それに加えて毎月または数か月ごとに帳簿をチェックしてもらう形。三つ目は、給与計算や年末調整、資金繰りの相談まで含めて継続的に見てもらう形です。
どれを選ぶかは、取引の量と、自分が経理にかけられる時間で決まります。月の取引が少なく、会計ソフトへの入力を自分でできるなら決算中心の依頼から始める選択肢があります。従業員を雇っていて給与や社会保険の処理がある、売上の変動が大きく途中で相談したい、といった場合は毎月見てもらう形が合いやすくなります。
法人の税理士はどこで探す?4つの経路と向き不向き
ひとつ目は紹介です。取引先や同業の経営者、設立を手伝ってくれた司法書士などから紹介を受ける方法で、相性や仕事ぶりの実感が事前に分かるのが利点です。一方で、断りにくい、料金交渉がしづらいという面もあるため、紹介であっても他の事務所と並べて検討する姿勢は持っておきたいところです。
ふたつ目は税理士会などが行う無料相談や紹介の窓口です。地域の税理士会が相談会を開いていることがあり、最初に何を頼むべきかを整理する場として使えます。三つ目は税理士紹介のマッチングサービスで、条件を伝えると複数の事務所を提示してもらえます。手早く比較したいときに向きますが、提示される候補はサービスの登録事務所に限られる点は理解しておきましょう。
四つ目は、事務所のウェブサイトから直接問い合わせる方法です。「法人 記帳代行」「クラウド会計 対応」など、自社の状況に近い言葉で検索し、対応業種や対応ソフトが自社と合う事務所に連絡します。時間はかかりますが、事務所の考え方が事前に分かりやすいのが利点です。どの経路でも、最終的には2〜3事務所に同じ条件を伝えて見積りを取り、面談で比べるのが基本の進め方です。
マイクロ法人・ひとり社長の税理士の探し方
役員が自分ひとりで従業員がいないマイクロ法人の場合、日々の取引量は限られます。この場合、記帳は自分で会計ソフトに入力し、決算と申告だけを依頼する「決算のみ」のスタイルが選択肢に入ります。ただし、決算のみの依頼を受け付けていない事務所もあるため、問い合わせの段階で「決算と申告のみの依頼が可能か」を聞いておくと空振りが減ります。
もうひとつの判断軸は、役員報酬や社会保険の扱いについて相談したいかどうかです。役員報酬の金額や改定のタイミングは、法人税・所得税・社会保険料のいずれにも関わり、扱いを誤ると損金として認められないことがあります。設立初年度にこのあたりを相談したいなら、年に数回の面談が含まれる契約のほうが安心です。
また、個人事業と法人を両方持っている場合は、その両方をまとめて見てもらえるかも確認しておきましょう。法人だけを担当し個人の確定申告は別料金という事務所もあるため、初回の問い合わせ時に「法人と個人の両方を依頼したい」と伝えておくと、見積りの前提がそろいます。
面談で必ず確認する5つのこと
一つ目は、実際に自社を担当するのは誰かです。面談に出てきた税理士本人が担当するのか、職員が担当し税理士が確認する体制なのかで、やり取りの感触は変わります。どちらが良い悪いではなく、質問したときに誰に連絡すればよいかが明確かどうかが大事です。
二つ目は連絡手段と返信の目安。メールのみか、チャットや電話も使えるか、質問への回答はおおむねどのくらいで返ってくるか。三つ目は会計ソフトです。自社が使っているクラウド会計に対応しているか、事務所指定のソフトに合わせる必要があるかで、日々の手間が大きく変わります。
四つ目は、料金に含まれる範囲と含まれない作業の線引きです。記帳代行、年末調整、償却資産申告、税務調査の立ち会いなどが顧問料に含まれるのか別料金なのかは事務所ごとに異なります。五つ目は決算前後の進め方で、決算の何か月前から準備を始めるか、どの資料をいつまでに渡せばよいかを聞いておくと、初年度の段取りが立てやすくなります。具体的な料金は各事務所の見積りと公式サイトで確認してください。
契約前に見ておきたい点と、依頼してからの進め方
契約前には、契約書に業務範囲・報酬・支払時期・解約の申し出方法が書かれているかを確認します。口頭の約束だけで進むと、後から「これは範囲外」というすれ違いが起きやすくなります。また、税理士登録がされているかは、日本税理士会連合会の検索で確認できます。
合わないと感じたときに変更できるかも、あらかじめ考えておきたい点です。解約の申し出は何か月前までか、預けた資料や会計データの返却はどうなるかを契約時に確認しておけば、後の選択肢が狭まりません。相性の問題は面談だけでは分からないこともあり、一年つき合ってから見直す会社もあります。
依頼が始まったら、領収書や請求書、通帳のデータを決められた形で渡す流れを早めに固めます。渡し方が安定すると、質問のやり取りも減り、決算前に慌てずに済みます。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応方法も、自社の保存方法を伝えたうえで相談し、要件の詳細は国税庁の資料も併せて確認してください。
判断に迷ったら、専門家に相談を
ここまで探し方の順番を整理してきましたが、役員報酬の設定、消費税の課税事業者となる時期の見込み、決算期の変更といった論点は、会社ごとの事情で扱いが変わります。一般的な情報だけで判断すると、後から修正が必要になることもあります。
税務や決算の相談は税理士、給与計算や社会保険の手続きは社会保険労務士、登記に関わることは司法書士、契約書や取引上のトラブルは弁護士が窓口になります。まずは複数の税理士事務所に相談し、自社の状況を伝えたうえで、見積りと進め方を比べたうえで決めることをおすすめします。
よくある質問
法人でも税理士に頼まず自分で申告できますか。
法人の決算と申告を自分で行うことは制度上可能で、実際に自分で進めている会社もあります。ただし法人税・地方税・消費税と提出先が複数にまたがり、判断の必要な項目も多いため、初年度だけでも税理士に確認しながら進める会社が多いです。判断に迷う点があれば税理士にご確認ください。
税理士を探すのはいつがよいですか。
設立直後から初年度の早い時期に探し始めると、役員報酬の設定や帳簿の付け方を最初から相談できます。決算月の直前に探すと、資料が整っておらず受けてもらえないこともあるため、遅くとも決算の数か月前には候補を絞っておくと進めやすいです。
見積りを比べるとき、金額だけで決めてよいですか。
金額だけの比較は避けたほうが無難です。記帳代行や年末調整、税務調査の立ち会いが含まれるかどうかで内訳が変わるため、同じ依頼範囲を伝えたうえで、含まれる作業と含まれない作業を並べて比べてください。最新の料金は各事務所に直接確認しましょう。
今の税理士を変えたいときはどうすればよいですか。
まず契約書で解約の申し出時期と資料返却の取り決めを確認し、決算や申告の区切りに合わせて切り替えると引き継ぎがスムーズです。次の候補を先に決めてから申し出ると、申告時期に空白ができにくくなります。