法人の税理士顧問料の相場|料金が決まる条件と契約内容

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「法人だと税理士の顧問料はいくらくらいなのか」は、会社をつくった人がほぼ必ず調べるテーマです。ただ、顧問料は一律の定価があるものではなく、会社の規模と、税理士にどこまで任せるかで大きく変わります。この記事では、金額そのものを当てにいくのではなく、「自分の会社ならどの条件に当てはまり、どう見積もりを取れば比較できるか」という順番で整理します。

この記事の結論

  • 法人の税理士顧問料は定価があるものではなく、売上規模・仕訳数・訪問や面談の頻度・記帳代行の有無・給与計算などの付帯業務によって決まるのが一般的です。
  • 顧問料とは別に決算申告の報酬が設定されていることが多く、年間の総額で比較しないと各事務所の見積もりは正しく比べられません。
  • マイクロ法人やひとり社長の合同会社のように取引数が少ない会社は、記帳を自社で行い決算と申告を中心に依頼する形にすると、依頼範囲を絞りやすくなります。

法人の税理士顧問料はいくら?金額を検索しても答えが出ない理由

税理士報酬はかつて報酬規程で目安が示されていた時期がありましたが、現在は各事務所が自由に料金を設定しています。そのため「法人なら月いくら」という共通の正解は存在せず、同じ会社が複数の事務所に見積もりを依頼すると、内容も金額も違う提案が出てくることは珍しくありません。

ネット上に出回る金額のレンジは、前提となる会社の規模や依頼範囲がばらばらのまま並んでいることが多く、自分の会社に当てはめても判断材料になりにくいのが実情です。金額を調べるより先に、「うちの会社はどの条件に該当するのか」を整理したほうが早く答えにたどり着きます。

実際の金額は、各事務所の公式サイトの料金ページや、問い合わせ時の見積もりで確認してください。料金体系を公開している事務所も、個別見積もりのみの事務所もあります。

顧問料が決まる条件は?まずこの5つを自社に当てはめる

顧問料の見積もりで最初に聞かれるのは、おおむね次の5点です。①年間の売上規模、②月あたりの取引件数や仕訳数、③記帳を自社でやるか税理士に任せるか、④面談や訪問の頻度(毎月か、四半期ごとか、決算前だけか)、⑤給与計算・年末調整・社会保険手続きなど付帯業務の有無です。

この中で金額への影響が大きいのは、②の仕訳数と③の記帳代行です。領収書や通帳をそのまま渡して入力から任せる形は手間が増えるため、会計ソフトに自社で入力して確認とアドバイスだけを依頼する形より高くなる傾向があります。逆に、自社入力を選ぶなら、経理担当がいるか、社長が毎月入力を続けられるかを先に見極める必要があります。

④の頻度も効きます。毎月訪問して試算表を説明してもらう契約と、年に数回の面談で済ませる契約では、同じ事務所でも料金の前提が変わります。融資を予定している、株主や親会社への報告が必要、といった事情がなければ、まずは低い頻度から始めて必要に応じて増やす、という選び方もできます。

顧問料に含まれる内容は?決算料・年末調整との切り分け

「顧問料」という言葉が指す範囲は事務所によって違います。一般的には、月次の記帳内容のチェック、試算表の作成や説明、税務に関する相談対応、税務署からの問い合わせへの対応などが含まれることが多いですが、どこまでが月額に入るかは契約書で確認するべき部分です。

一方で、決算書の作成と法人税等の申告は「決算報酬」「申告報酬」として別建てになっているケースがよくあります。年末調整、法定調書や償却資産申告、消費税申告、給与計算、税務調査の立会いなども別料金として設定されていることが多い項目です。月額だけを見て安いと判断すると、年間の総額では逆転することがあります。

比較するときは、「月額×12+決算報酬+想定される別料金」を一枚にまとめて並べてください。その際、各社に同じ前提条件(売上規模、仕訳数、記帳を誰がやるか、面談頻度)を伝えて見積もりを依頼すると、比べやすくなります。

マイクロ法人・ひとり社長の合同会社はどう考える?

役員が自分だけ、取引先も限られ、月の取引が数十件に収まるような会社であれば、記帳代行まで含めたフルサポートは過剰になることがあります。会計ソフトを自社で使い、月次の相談と決算・申告を依頼する形にすれば、依頼範囲を絞れます。

ただし、絞りすぎにも注意が必要です。役員報酬の設定、社会保険の加入、消費税の課税事業者になるかどうか、インボイス制度への対応といった判断は、金額の大小にかかわらず影響が続きます。こうした論点だけでも早めに相談できる相手を持っておくと、後から修正する手間が減ります。

なお、合同会社か株式会社かという形態の違いそのものは、顧問料の決定要因としては大きくないことが一般的です。決算公告の要否など手続面の違いはありますが、報酬は取引量と依頼範囲で決まると考えたほうが実態に近いでしょう。

見積もりの取り方と、税理士を比べる順番

依頼前に用意しておくと話が早いのは、直近の決算書(設立初年度なら事業計画や見込みの数字)、月あたりの請求書・領収書のおおよその枚数、使っている、または使う予定の会計ソフト名、従業員の人数、消費税の課税事業者かどうか、の5点です。これを揃えて2〜3事務所に問い合わせると、条件を揃えた比較ができます。

比べる順番としては、まず「自社の業種や規模の会社を扱った経験があるか」、次に「連絡手段と返信のスピードが自社の働き方に合うか」、最後に「年間総額」を見るのがおすすめの並びです。金額から入ると、後から相性の悪さに気づいて乗り換えることになり、引き継ぎの手間が余計にかかります。

チャットやメールで完結する事務所、訪問中心の事務所、クラウド会計に強い事務所など、進め方の得意分野は分かれます。自社が求めるのがスピードなのか、対面での説明なのかを先に決めておくと、判断に迷いにくくなります。

顧問料の値上げを打診されたら?確認する順番

契約後しばらくして値上げを打診されることがあります。多くの場合、契約時の前提より取引量や従業員が増えた、記帳代行の範囲が広がった、消費税の申告やインボイス制度への対応、電子帳簿保存法に関する対応など作業が追加された、といった理由が背景にあります。

まず確認したいのは、契約当初の前提と現在の状況がどう変わったかです。仕訳数や依頼している業務の一覧を並べて、増えた部分を具体的に洗い出してください。そのうえで、自社でできる部分(領収書の整理、会計ソフトへの入力、証憑の電子保存のルール化など)を引き取れば、作業量を減らす交渉の余地が出てきます。

値上げ幅に納得できない場合は、他の事務所からも同じ条件で見積もりを取り、判断材料にする方法があります。ただし、決算期の直前に交代すると引き継ぎが重くなりやすいため、動くなら決算が終わった直後のタイミングが比較的スムーズです。

よくある質問

税理士の顧問料はいくらくらいですか?

法人の顧問料に共通の定価はなく、売上規模、仕訳数、記帳代行の有無、面談の頻度、付帯業務の範囲によって変わります。金額を知りたい場合は、自社の条件を揃えたうえで複数の事務所に見積もりを依頼し、各事務所の公式サイトで最新の料金体系を確認してください。

顧問契約をせず、決算申告だけ依頼することはできますか?

決算と申告のみを受ける事務所もありますが、対応方針は事務所によって分かれます。年間を通じた相談ができない分、役員報酬や消費税の判断が後手に回ることがあるため、依頼範囲を決める前に自社でどこまで処理できるかを整理しておくとよいでしょう。

マイクロ法人でも税理士は必要ですか?

取引数が少なければ自社で申告する選択肢もありますが、法人税の申告は個人の確定申告より項目が多く、役員報酬や社会保険の扱いなど判断を伴う論点があります。まずはスポット相談から始めて、必要に応じて顧問契約に移行する進め方も検討できます。

顧問料を下げてもらうことはできますか?

記帳や書類整理を自社で引き取る、面談の頻度を見直すなど、作業量が減る形を提案すると話し合いの余地が生まれやすくなります。単純な減額交渉より、依頼範囲の再設定として相談するほうが、双方にとって現実的です。

税務や会計の判断に迷ったときはどうすればよいですか?

この記事は一般的な考え方の整理にとどまります。役員報酬の設定、消費税の課税区分、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応など、個別の税務判断は会社ごとに結論が変わることがありますので、税理士にご確認ください。労務や登記に関わる部分は、社会保険労務士や司法書士への相談もあわせて検討してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。