電子帳簿保存法の解像度・画質の要件|スマホ撮影とまとめてスキャンの考え方

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

紙の領収書をスマホで撮って保存するとき、「この画質で足りるのか」「まとめて撮ってもいいのか」で手が止まる方はとても多いです。電子帳簿保存法のスキャナ保存には、読み取りの解像度や階調(カラーかどうか)についての考え方が示されていて、そこを外すと後から撮り直しができません。この記事では、スキャナ保存の画質まわりの判断基準と、複数枚の領収書の扱い、スマホ撮影の実務、さらに「画面の写真」で済ませてはいけないケースまで、順番に整理します。

この記事の結論

  • 電子帳簿保存法のスキャナ保存では、一般に200dpi相当以上の解像度と、赤・緑・青それぞれ256階調以上のカラー読み取りが基準として示されており、詳細は国税庁の一問一答で確認するのが確実です。
  • いわゆる白黒(グレースケール)での保存は、書類の重要度によって扱いが分かれるため、迷ったらカラーで撮っておくのが実務上は安全です。
  • 領収書を複数枚まとめて1枚の画像にすると、書類ごとの検索や確認がしにくくなるため、原則は1書類=1ファイルで保存する運用をおすすめします。

電子帳簿保存法の解像度は何dpi?画質の基準の考え方

紙で受け取った領収書や請求書をスキャンして保存する「スキャナ保存」では、読み取り時の解像度と階調について基準が示されています。一般に、解像度は200dpi相当以上、色は赤・緑・青それぞれ256階調以上(いわゆるフルカラー)で読み取ることが求められる、と説明されています。あわせて、読み取った画像の解像度や階調の情報を保存しておく、という考え方も示されています。

この「200dpi相当」は、スキャナの設定値としてだけでなく、スマホやデジカメで撮影した場合の画素数の目安としても語られます。A4サイズの書類を200dpi相当で読み取ると、おおよそ400万画素弱に相当する、という換算がよく使われます。最近のスマートフォンのカメラであれば、標準的な設定でこの水準を下回ることは多くありませんが、「メール送信用に縮小」「アプリ側で自動圧縮」といった設定が入ると足りなくなることがあります。

数値の細かい要件や例外は改正で変わることがあるため、社内ルールを作る前に、国税庁が公開しているスキャナ保存関係の一問一答やパンフレットで最新の内容を確認してください。判断に迷う部分は、顧問の税理士に確認しておくと運用が安定します。

白黒(グレースケール)で保存してよいのか

「カラーだとファイルが重いので白黒にしたい」という相談はよくあります。制度上は、書類の重要度によって扱いが分かれる、という整理がされています。契約書や領収書のように資金や物の流れに直結する書類は、原則としてカラーでの読み取りが想定されます。一方、見積書や注文書など、それ以外の書類については、グレースケールでの保存が認められる場合がある、と説明されています。

ただし、この区分を書類ごとに社内で判断しようとすると、担当者によってブレが出ます。運用を回す立場から言うと、「全部カラー」で統一してしまうほうが、判断コストもミスも減ります。ストレージ容量が心配な場合でも、画質を落とすより、保存先のプランや保管ルールを見直すほうが安全です。

なお、割印や訂正印、朱書きの但し書きなど、色が意味を持つ情報は白黒にすると読み取れなくなります。後から税務調査で確認を求められたときに「色が飛んでいて判別できない」となると困るため、その意味でもカラーをおすすめします。

スマホ撮影でもいいの?撮るときのチェック順

スマホのカメラで撮影して保存すること自体は、画質などの条件を満たしていれば一般的に行われています。実務では、次の順番で確認すると失敗が減ります。まず①カメラの解像度設定が縮小されていないか、次に②書類全体が枠内に入り、四隅が切れていないか、そして③文字・金額・日付・発行者名が拡大しても読めるか、最後に④影や光の反射で一部が白飛びしていないか、です。

撮影するときは、無地の机やクリアファイルの上に置き、真上から撮るのが基本です。斜めから撮ると文字がゆがみ、レシートの折り目部分が読めなくなります。屋内の照明だけだと自分の影が落ちやすいので、窓際や明るい場所で撮るか、書類の正面から光が当たる位置に立ってください。

経費精算アプリや会計ソフトのスマホ撮影機能を使う場合は、アプリ側で自動的にトリミング・補正・圧縮が行われることがあります。どの解像度で保存されるかは提供元によって異なるため、導入前に各サービスの公式サイトやヘルプで仕様を確認し、実際に1枚撮って拡大表示し、文字が読めるかを自分の目で確かめておくと安心です。

領収書を複数枚まとめてスキャン・撮影してよいのか

「小さなレシートを何枚か並べて1回で撮りたい」というニーズは根強くあります。結論から言うと、技術的にできても、原則は1書類=1ファイルで保存する運用をおすすめします。理由は、スキャナ保存では取引年月日・取引金額・取引先といった項目で検索できる状態にしておくことが求められるためです。1枚の画像に複数の領収書が写っていると、どの検索条件でヒットした画像なのかが分かりにくく、確認にも時間がかかります。

また、1枚にまとめると、後から1件だけ差し替えたい・訂正したいときに全体を作り直すことになります。1枚ずつ分かれていれば、該当分だけ対応できます。仕訳との紐づけも、1対1のほうが圧倒的に楽です。

複数ページにわたる契約書や請求書のように、もともと一つの書類が複数枚で構成されている場合は、1つの書類として扱い、ページ順に1ファイルへまとめるのが自然です。「別々の取引の領収書を1枚にまとめる」のと「1つの書類の複数ページをまとめる」のは意味が違う、と押さえておいてください。実際の運用ルールをどこまで簡略化できるかは、税理士に相談しながら決めると安全です。

「画面の写真」で保存してはいけないケース

注意が必要なのが、Webサイトやメールに表示された領収書・請求書を、スマホで画面ごと撮影して保存するケースです。データでやり取りした取引情報は「電子取引」に当たり、原則としてデータのまま保存することが求められます。画面を撮影した写真は、元のデータそのものではないため、この保存として適切とは言いにくい場面があります。

ECサイトや各種サービスの管理画面から領収書PDFをダウンロードできるなら、PDFをそのまま保存してください。PDFが出せずHTML表示だけの場合は、画面をPDFとして出力(印刷→PDFで保存)する、スクリーンショットをそのまま保存する、といった方法が案内されることがあります。どの方法が自社に合うかは、取引先ごとの発行形式によって変わります。

逆に、紙で受け取った書類をスキャン・撮影するのはスキャナ保存の話であり、こちらは画像での保存が前提です。「紙で受け取った=スキャナ保存」「データで受け取った=電子取引としてデータ保存」という入口の分岐を、社内ルールの最初に書いておくと、担当者が迷いません。

社内ルールに落とし込む手順

まず、書類の入口を棚卸しします。紙で受け取るもの(店舗のレシート、郵送の請求書)、データで受け取るもの(メール添付PDF、Web発行の領収書)を一覧にして、それぞれの保存先を1つに決めます。保存先が複数に散ると、検索も引き継ぎもできなくなります。

次に、撮影・スキャンの担当と期限を決めます。スキャナ保存には、受け取ってから保存するまでの期間や、タイムスタンプ・訂正削除の履歴が残るシステムの利用といった要件も関わります。「経費精算は毎月◯日までにアプリへ登録」のように、社内の締め日とセットで決めるのが実務的です。

最後に、ファイル名と検索項目のルールを決めます。日付・取引先・金額が分かる形で統一しておくと、会計ソフト側の検索機能と合わせて運用しやすくなります。ここまで決めたら、実際に数枚流してみて、拡大表示で読めるか、検索でヒットするかを確かめてください。要件の解釈や自社の運用が適切かどうかは判断が分かれる部分もあるため、最終的な運用ルールは顧問税理士に確認したうえで固めることをおすすめします。制度の細かい要件は国税庁の公開資料が一次情報です。

よくある質問

電子帳簿保存法の解像度は何dpi必要ですか?

一般に、スキャナ保存では200dpi相当以上の解像度と、赤・緑・青それぞれ256階調以上のカラー読み取りが基準として示されています。スマホ撮影の場合はA4で400万画素弱が目安として語られることが多いです。細かい要件は改正されることがあるため、国税庁の一問一答で最新の内容を確認してください。

領収書を複数枚まとめてスキャンしてもよいですか?

別々の取引の領収書を1枚の画像にまとめるのは、検索や差し替えの面で不都合が出やすく、おすすめしません。原則は1書類=1ファイルで保存し、複数ページある1つの書類だけをまとめる運用が実務的です。自社の運用が要件を満たすか不安な場合は税理士にご確認ください。

白黒やグレースケールで保存してもよいですか?

書類の重要度によって扱いが分かれ、見積書などについてはグレースケールが認められる場合があると説明されています。ただし社内で区分を判断するとブレが出るため、すべてカラーで統一するほうが安全です。朱書きや印影など色が意味を持つ情報の判別にも役立ちます。

Web画面に表示された領収書をスマホで撮った写真でも保存になりますか?

データでやり取りした取引情報は電子取引として、原則データのまま保存することが求められます。画面を撮影した写真は元データそのものではないため、適切とは言いにくい場面があります。PDFをダウンロードできる場合はPDFを保存し、判断に迷うときは税理士に相談してください。

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