法人クレジットカードと会計ソフトの連携|仕訳の作り方と締め日の扱い

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

法人カードをつくったものの、会計ソフトにどう取り込めばいいのか、引き落としの金額と明細の金額がなぜ合わないのか、で手が止まる人はとても多いです。原因のほとんどは「利用日」と「引き落とし日」のズレを仕訳でどう表すか、という一点にあります。この記事では、連携の設定から、未払金を使った仕訳の型、締め日をまたぐときの扱い、決算期末の確認までを、実際に作業する順番でまとめます。

この記事の結論

  • 法人クレジットカードの仕訳は、利用日に「費用/未払金」、引き落とし日に「未払金/普通預金」と2段階で記録するのが基本の型です。
  • クラウド会計にカードを連携すると利用明細が自動で取り込まれますが、引き落とし額と一致させるには、銀行口座側の引き落としを未払金の消込として処理する必要があります。
  • カード利用日と引き落とし日が決算期末をまたぐ場合は、期末時点の未払金残高がカード会社の未請求・未決済額と一致しているかを確認します。

なぜ法人クレジットカードの仕訳はややこしく感じるのか

現金や銀行振込なら、お金が動いた日と経費が発生した日がほぼ同じです。ところがクレジットカードは、買い物をした日(利用日)と、口座からお金が引かれる日(引き落とし日)が1〜2か月ずれます。このズレをどう帳簿に表すかが、最初のつまずきどころです。

会計のルールでは、経費は原則として「使った日」に計上します。つまり利用日に費用として記録し、その時点ではまだ払っていないので、相手科目に「未払金」という負債を立てます。そして引き落とし日に、その未払金が現金で消える、という2段階になります。

この二段構えを理解しないまま、引き落とし日に一括で「支払手数料」などにまとめてしまうと、月ごとの損益がずれ、消費税の区分も曖昧になります。まずは「利用日と引き落とし日で2回記帳する」と覚えてしまうのが近道です。

基本の仕訳の型|未払金を使って2段階で書く

たとえば、ある月に広告費をカードで使ったとします。利用日には「広告宣伝費/未払金(カード会社名)」と記録します。金額は税込の利用額、消費税区分は本来の取引内容に合わせます。同じ月に別の経費があれば、それぞれ利用日ごとに1行ずつ立てます。

翌月以降の引き落とし日には「未払金(カード会社名)/普通預金」と記録します。ここでは費用科目は一切出てきません。費用はすでに利用日に計上済みだからです。引き落とし額と、その請求に含まれる未払金の合計が一致すれば、残高はきれいに消えます。

未払金の補助科目は、カード会社ごと・カード番号ごとに分けておくと、残高の突き合わせが一気に楽になります。カードが複数枚ある会社ほど、最初にこの設定をしておく価値があります。なお、役員が個人カードで立て替えた分は未払金ではなく「未払費用」や「役員借入金」など別の整理になることがあり、扱いに迷う場合は税理士に確認してください。

クラウド会計にカードを連携する手順

作業の順番はどのサービスでもおおむね同じです。まず、カード会社のWeb明細サービスのIDとパスワード(または連携用の認証情報)を手元に用意します。次に会計ソフトの「口座・金融機関の連携」メニューからカード会社を選び、認証して連携を追加します。あわせて、そのカードの引き落とし先である法人銀行口座も連携しておきます。

連携が完了すると、カードの利用明細が日付・金額・利用先の形で自動的に取り込まれます。freee会計では取り込まれた明細を「取引の登録」画面で勘定科目に振り分け、マネーフォワード クラウド会計では「自動で仕訳」の画面で仕訳候補を確認して登録する、という流れになります。画面名や手順は改定されることがあるため、各サービスの公式ヘルプで最新の操作を確認してください。

注意したいのは、カード会社によっては連携できる明細の期間や取得できる項目に制限がある点です。連携後は、カード会社のWeb明細と会計ソフト側の件数・合計を一度だけ照合して、取りこぼしがないかを確かめておくと安心です。

引き落としが二重計上になるのを防ぐ設定

カードと銀行口座の両方を連携すると、同じ支出が二度取り込まれる形になります。カード側からは「利用明細」、銀行側からは「カード会社への引き落とし」が入ってくるためです。ここで銀行側の引き落としまで費用にしてしまうと、経費が二重に計上されます。

対処はシンプルで、銀行口座側に現れた引き落としは、費用ではなく「未払金の減少」として登録します。freee会計では、カード明細から作った取引に対して銀行側の引き落としを「決済」として紐づける操作があり、マネーフォワード クラウド会計では引き落とし行の勘定科目を未払金(該当カードの補助科目)にして登録します。いずれも、費用科目を使わないのがポイントです。

うまく紐づけられているかは、月末に未払金の残高を見れば分かります。残高が意図した金額(まだ引き落とされていない利用分の合計)になっていれば正常、ゼロにならずに膨らみ続けているなら、どこかで消込が漏れています。

締め日・引き落とし日をまたぐときの考え方

カードには締め日があり、締め日までの利用分が翌月以降にまとめて引き落とされます。月次で損益を見るとき、締め日を基準にすると経費の計上月がずれてしまうので、あくまで「利用日」を基準に費用を立てるのが原則です。締め日はあくまで請求をまとめる区切り、と割り切ってください。

問題になりやすいのが決算期末です。期末日までに利用した分で、まだ引き落とされていないものは、期末時点で未払金として残ります。決算のときは、カード会社の明細で「期末日までの利用分の合計」を出し、帳簿の未払金残高と一致するかを確認します。ここがズレる主な原因は、明細の取り込み漏れ、利用日ではなく計上日で登録した行、返品・キャンセルの処理漏れです。

年会費や、利用日と請求の関係が特殊な取引(分割・リボ・海外利用の為替差)については、扱いが単純でないことがあります。分割手数料などは費用の性質が本体と異なるものとして区分することがあり、判断に迷う場合は税理士に確認してください。

証憑の保存とインボイスまわりで押さえること

カード明細だけでは、取引の内容を示す証憑として十分でない場合があります。原則として、各取引の領収書やレシート、請求書を別途保存しておく運用にしてください。クラウド会計にはファイルを仕訳に添付する機能があるので、取り込んだ明細に対してその場で画像を紐づけておくと、後から探す手間が減ります。

電子で受け取った領収書やWeb明細は、電子帳簿保存法の考え方に沿った保存が求められる場面があります。検索できる形での保存など、要件の詳細は国税庁の資料や各会計ソフトの案内で確認するのが確実です。カード連携を始めるタイミングで、社内の保存ルールも一度決めておくとよいでしょう。

消費税の仕入税額控除については、インボイス制度のもとで登録番号の記載された書類の保存が関わってきます。カードの利用明細に登録番号が載らないケースもあるため、店舗側が発行する適格請求書を受け取っておく運用が無難です。自社の課税事業者・免税事業者の区分や、控除の可否に関わる具体的な判断は、税理士にご確認ください。

会計ソフトとカードの組み合わせをどう選ぶか

これから法人カードを選ぶなら、判断の順番は「今使っている(使う予定の)会計ソフトと連携できるか」→「明細の取り込みが自動か、CSV手動か」→「追加カードを社員に配れるか」の順に見ると迷いにくいです。連携の可否は各社の公式サイトに対応金融機関の一覧があるので、そこで確認してください。

会計ソフトが先に決まっている場合は、そのソフトの連携対応一覧からカードを絞るのが早道です。逆にカードが先に決まっているなら、CSVの取り込みに対応していれば大半のソフトで運用はできます。ただし手動の取り込みは月次の作業が増えるので、経費の件数が多い会社ほど自動連携を優先する価値があります。

年会費や付帯サービスの条件は改定されるため、各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。どちらのサービスが向くかは、経費の件数、カードを持つ人数、レシートの回収方法といった自社の事情で変わります。

仕訳の科目選択、期末の未払金の扱い、消費税の区分など、判断が必要な部分は会社ごとに事情が異なります。運用を固める前に、顧問の税理士に一度、科目と処理方法をすり合わせておくことをおすすめします。

よくある質問

法人カードの利用分は、利用日と引き落とし日のどちらで経費にしますか。

原則は利用日に費用を計上し、相手科目を未払金とします。引き落とし日には未払金を減らす仕訳だけを行い、費用科目は使いません。処理方法に迷う場合は税理士にご確認ください。

カードと銀行口座を両方連携すると、経費が二重になりませんか。

銀行側に現れたカード会社への引き落としを、費用ではなく未払金の減少として登録すれば二重にはなりません。freee会計では決済としての紐づけ、マネーフォワード クラウド会計では未払金科目での登録が基本の流れです。

決算期末をまたぐカード利用はどう扱いますか。

期末日までに利用した分は、まだ引き落とされていなくても期末時点の未払金として残ります。カード会社の明細から期末日までの利用合計を出し、帳簿の未払金残高と一致するかを確認してください。

カードの利用明細だけを保存しておけば足りますか。

明細だけでは取引内容の証憑として不足する場合があるため、領収書や請求書もあわせて保存する運用が安全です。電子で受け取った書類の保存要件は国税庁の資料で確認し、判断に迷う点は税理士にご相談ください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。