法人決算と申告を会計ソフトで行う|e-Tax対応と申告ソフトの関係

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

会計ソフトに1年分の取引を入力し終えると、「このまま申告まで進めるのだろうか」という疑問にぶつかります。結論から言うと、会計ソフトが担うのは決算書までで、法人税の申告書はもう一段別の仕組みが必要になることが多いです。この記事では、会計ソフトと申告ソフトの境目、e-Tax対応という言葉の意味、そして自分でやるか税理士に頼むかの判断の順番を整理します。

この記事の結論

  • 会計ソフトは仕訳から決算書(貸借対照表・損益計算書など)までを作るもので、法人税申告書そのものは申告ソフトや税理士のシステムで作成するのが一般的です。
  • 「e-Tax対応」と書かれた会計ソフトでも、対応範囲は電子申告データの出力、消費税申告、法人税申告と製品ごとに異なるため、対応する税目を公式サイトで確認する必要があります。
  • freee会計とfreee申告のように、同じブランドでも会計(決算書づくり)と申告(申告書づくり)は別の製品として分かれていることがあり、両方そろえて初めて申告まで進む構成になります。

法人決算は会計ソフトだけで完結する?まず役割の境目を知る

法人の決算から申告までの流れは、大きく「帳簿をつける」「決算書をつくる」「税額を計算して申告書をつくる」「税務署などへ提出する」の4段階に分かれます。会計ソフトが得意なのは前半の2つ、つまり日々の仕訳を集計して貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表といった決算書を出すところまでです。

後半の「税額を計算して申告書をつくる」は、会計上の利益に税務上の調整(別表での加算・減算)を加える作業で、会計ソフトの集計とは別のロジックになります。法人税申告書は別表一、別表四、別表五といった様式の集まりで、ここを扱えるかどうかが会計ソフトと申告ソフトの境目です。

そのため「会計ソフトを入れたから申告まで全部できる」と考えると、決算期末になって手が止まりがちです。契約する前の段階で、そのソフトがどこまでをカバーするのかを、製品ページの機能一覧で確かめておくと安心です。

会計ソフトと申告ソフトはどう違うのか

会計ソフトは、取引の記録と集計が中心です。銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、勘定科目を割り当て、月次・年次で数字を締める。ここで作られた決算書は、株主総会での承認や、金融機関への提出、税務申告のベースとして使われます。

申告ソフトは、その決算書の数字を出発点にして、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・消費税といった税目ごとの申告書を作る道具です。減価償却の税務上の限度額、交際費の扱い、繰越欠損金など、会計と税務でズレが出る項目を別表で調整していきます。

小さな会社でも、この2つを別々の製品でそろえる形と、会計ソフトのオプションや上位プランとして申告機能が用意されている形があります。どちらにせよ「決算書までのソフト」と「申告書までのソフト」を分けて考えると、必要なものが整理しやすくなります。

「e-Tax対応の会計ソフト」は何に対応しているのか

e-Taxは国税の電子申告・納税システム、eLTAXは地方税の電子申告システムです。「e-Tax対応」と書かれていても、対応の中身は製品によって幅があります。たとえば、消費税の申告データだけ出せるもの、法人税の申告データまで出せるもの、申告書は作れないが決算書データの出力に対応しているもの、といった違いです。

確認したいのは次の3点です。第一に、対応している税目(法人税・消費税・地方税)。第二に、ソフトから直接送信できるのか、データを書き出してe-Taxソフトに読み込ませる形なのか。第三に、電子証明書やマイナンバーカード、ICカードリーダーなど、送信に必要な準備物です。この順で製品の公式サイトを読むと、足りないものが見えてきます。

また、一定規模以上の法人には電子申告が義務づけられる制度がありますが、対象や適用開始の考え方は法人の区分によって異なります。自社が対象かどうかは、国税庁の案内や顧問の税理士に確認してください。

freee会計とfreee申告の違い、そしてキャッシュフロー計算書

同じブランドの中でも、会計の製品と申告の製品が分かれていることがあります。freeeでいえば、freee会計が日々の記帳から決算書作成までを担い、法人税の申告書作成にあたる部分は申告向けの製品が用意されている、という構成です。マネーフォワードや弥生など他社でも、会計と申告(法人税申告・決算書作成)を別の製品として提供している例があります。

ですから「freee会計 freee申告 違い」を調べている方は、片方だけ契約して申告書まで作れると考えないほうが安全です。申告まで自社で行う想定なら、会計側と申告側の両方の機能範囲と、データ連携の可否を公式サイトで確認してください。料金体系やプラン構成は変更されることがあるため、最新の情報は各社の公式ページでご確認ください。

キャッシュフロー計算書については、上場会社など一部を除き、中小の法人で作成・開示が求められる場面は限られます。会計ソフトに作成機能や参考資料としての出力がある場合もありますが、税務申告のために必須というより、資金繰りの把握や金融機関への説明のために使う資料と考えるとよいでしょう。融資の場面で求められることがあるため、作れるなら作っておいて損はありません。

自分で申告するか税理士に頼むか、判断の順番

まず見るのは、取引の複雑さです。売上の形が単純(請求書ベースの取引が中心、在庫なし、固定資産も少数)で、役員1人と少数の従業員という構成なら、ソフトを使って自社で進める余地があります。反対に、在庫を持つ、複数事業がある、海外取引がある、補助金や助成金を受けている、といった要素があると、税務上の判断が増えます。

次に見るのは、時間と締切です。法人税の申告は原則として事業年度終了の翌日から2か月以内が期限で、決算作業と同時に株主総会や決算書の承認も進める必要があります。年度末に本業が忙しくなる会社は、その時期に申告書の様式を初めて読むことになるリスクを考えておきましょう。

三番目が、誤りが起きたときの影響です。申告内容に誤りがあると、修正申告や加算税・延滞税の対象になることがあります。最初の1期だけ税理士に依頼して型をつくり、2期目以降に自社でやる範囲を広げる、という進め方も現実的です。判断に迷う項目が3つ以上出てきたら、その時点で税理士に相談するのが目安になります。

決算から申告までの実務の進め方

決算日の1か月前までに、未処理の仕訳、未回収の売掛金、未払いの経費、在庫の有無を洗い出しておきます。ここで銀行口座・クレジットカードの明細と帳簿の残高を突き合わせておくと、決算作業が短くなります。領収書や請求書の保存方法(紙か電子か)も、この段階で整理しておきましょう。電子取引データの保存については、電子帳簿保存法の考え方が関わるため、要件の詳細は国税庁の資料を確認してください。

決算日を過ぎたら、減価償却費の計上、棚卸、引当金や未払法人税等の処理を行い、会計ソフトで決算書を確定させます。その決算書の数字をもとに、申告ソフトで別表を作り、法人税・地方法人税の申告書に落とし込みます。消費税の課税事業者であれば消費税の申告書も、地方税は都道府県と市区町村それぞれの申告も必要になります。

提出先は、法人税・地方法人税・消費税が所轄の税務署(e-Tax)、法人住民税・法人事業税が都道府県税事務所と市区町村(eLTAX)です。あわせて、決算報告書や勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書といった添付資料も求められます。納税の期限は申告期限と同じ日が基本なので、資金の準備も逆算しておきましょう。

ソフトを選ぶときに見る条件

ひとり社長や少人数の会社なら、まず「今の記帳をどこまで自動化できるか」を見ます。使っている銀行・カード・決済サービスと連携できるか、請求書の発行や経費精算まで一つで回したいのか、それとも会計だけでよいのか。ここが合っていないと、自動化のつもりが手入力の増加につながります。

次に、申告まで一気通貫にしたいのか、決算と申告は税理士に任せるのかを決めます。税理士に任せるなら、その税理士が使い慣れているソフトや、データの受け渡し方法を先に聞いておくと二度手間が防げます。自社で申告まで進めるなら、対応税目と電子申告の送信方法を確認してから契約します。

最後に、将来の従業員数や事業の広がりを考えます。給与計算や社会保険の手続きと連携させたいなら、同じシリーズでそろえるか、外部連携できるかが選択のポイントになります。機能の範囲や料金は各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

迷ったら、期末を迎える前に専門家へ

決算と申告は、期末を過ぎてしまうと選べる手が減っていく作業です。役員報酬の決め方、減価償却の方法、消費税の届出など、期首や期中に決めておくべきことが少なくありません。「このソフトで足りるか」という疑問は、実は「自社の決算がどのくらい複雑か」という問いとつながっています。

税額の計算や別表の書き方、消費税の課税区分、電子帳簿保存の運用については、税理士に相談してください。設立直後で登記事項の変更が絡む場合は司法書士、従業員を雇い始めた場合は社会保険労務士が相談先になります。1期目のうちに一度専門家に見てもらい、2期目以降の自社の運用ルールを固めておくと、その後の決算がずっと軽くなります。

よくある質問

会計ソフトだけで法人の確定申告まで終わりますか。

会計ソフトが作るのは決算書までで、法人税申告書は申告機能を持つソフトや税理士のシステムで作成するのが一般的です。同じブランドでも会計と申告が別製品になっていることがあるため、対応範囲を公式サイトで確認してください。

「e-Tax対応」と書いてあれば法人税の電子申告までできますか。

対応している税目は製品ごとに異なり、消費税だけの対応や、データ書き出しのみという場合もあります。法人税・地方税それぞれの対応可否と、ソフトから直接送信できるかを確認するのが先です。

freee会計とfreee申告は何が違いますか。

会計側は記帳から決算書作成まで、申告側は法人税などの申告書作成を担う位置づけで、役割が分かれています。自社で申告まで行うなら両方の機能範囲とデータ連携を確認し、最新の内容は公式サイトでご確認ください。

キャッシュフロー計算書は法人の決算で必要ですか。

上場会社など一部を除き、中小の法人で開示が求められる場面は限られます。ただし資金繰りの把握や金融機関への説明で役立つため、会計ソフトで作れるなら用意しておくとよいでしょう。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。