会計ソフトのメンバー招待と権限設定|税理士・経理担当への共有方法

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

決算前になって「税理士さんに会計ソフトを見てもらいたいのに、どうやって招待するのか分からない」「社員に経費入力だけ任せたいが、口座残高まで見えてしまうのは避けたい」——会計ソフトの共有は、会社が2人目を迎えるタイミングで必ず出てくるテーマです。この記事では、メンバー招待の基本的な流れと、誰にどこまで見せるかという権限設計の考え方を、判断の順番が分かる形で整理します。

この記事の結論

  • 会計ソフトへのメンバー招待は、管理者権限を持つアカウントから相手のメールアドレスを登録し、相手が届いた案内から自分のアカウントでログインして承認する、という流れが基本です。
  • 権限は「編集できる範囲」と「見られる範囲」を分けて考え、税理士には全体を確認できる権限、経費入力だけを担う社員には入力に必要な範囲、と役割ごとに最小限から始めるのが扱いやすい設計です。
  • 「アクセス権限がありません」と表示されたときは、ログインしているアカウント・選んでいる事業所・付与されている権限・対象のサービス(会計と給与など)の4点を順に確認すると原因が絞り込めます。

そもそも会計ソフトのメンバー招待とは何をすることか

クラウド会計ソフトは、1つの事業所(会社)のデータに対して、複数のアカウントがそれぞれのIDでログインできる仕組みになっています。メンバー招待とは、この「この事業所のデータを見てよい人」のリストに、相手のアカウントを追加する作業です。自分のIDとパスワードを他人に教えて共有する方法とは、まったく別のものだと考えてください。

IDを使い回すと、誰が入力したのか分からなくなり、退職や契約終了のときに切り離すのも手間になります。招待でアカウントを分けておけば、操作履歴が人ごとに残り、必要がなくなったらそのメンバーだけを外すことができます。ひとり社長の会社でも、税理士と契約した時点でこの仕組みを使うことになります。

招待できるのは、原則として管理者にあたる権限を持つアカウントです。会社を設立したときに最初にアカウントを作った人が管理者になっていることが多いので、招待作業はまずその人が担当する、と覚えておくと迷いません。

招待の前に決めること|誰に、どこまで見せるか

招待の画面を開く前に、紙でもメモでも構わないので「誰に何をしてもらうか」を書き出してください。税理士なら記帳の確認と決算、経理担当の社員なら日々の仕訳入力と請求書発行、営業担当なら経費精算の申請だけ、といった具合です。やることが決まれば、必要な権限は自然に絞られます。

判断の順番はシンプルです。第一に「この人は数字を入力・修正する必要があるか」。必要ないなら閲覧中心の権限から始めます。第二に「口座残高や給与の情報まで見えてよいか」。給与は個人情報の性質が強いため、会計とは別に扱えるなら分けておくと安心です。第三に「他のメンバーを追加したり、事業所の設定を変えたりする必要があるか」。ここまで必要な人は、実質的に管理者です。

迷ったら、狭い権限で招待して、足りなければ後から広げる方向で進めてください。最初から広く渡すと、何が見えているか本人も会社も把握しづらくなります。権限はいつでも変更できるので、様子を見ながら調整するので十分です。

freee会計でメンバーを招待する手順と権限の考え方

freee会計では、管理者権限のアカウントでログインし、設定メニューのメンバー管理(ユーザー追加)にあたる画面から、招待したい相手のメールアドレスと権限を指定して招待します。相手には案内メールが届き、freeeのアカウントを作成またはログインして承認すると、その事業所のデータが自分の画面に表示されるようになります。すでにfreeeのアカウントを持っている税理士であれば、承認だけで完了することが多いです。

freee会計の権限は、あらかじめ用意された役割(管理者・一般・取引登録のみ、といった区分)から選ぶ形と、必要に応じて機能ごとに細かく調整する形があります。税理士には事業所全体を確認・修正できる権限、経費を入力するだけの社員には取引登録中心の権限、というように役割に当てはめて選ぶのが基本です。なお、区分の名称や選べる範囲は契約しているプランによって異なるため、詳細は公式のヘルプで最新の内容を確認してください。

注意したいのは、freeeは会計・人事労務・請求書などサービスが分かれている点です。会計に招待しても、人事労務側は別に招待が必要になる場合があります。「給与明細が見られない」と言われたときは、たいていこの分かれ目が原因です。

マネーフォワード クラウド会計の招待と権限設定

マネーフォワード クラウド会計も流れは同じで、管理者にあたるアカウントから、事業所のメンバー管理画面でメールアドレスを入力して招待します。相手が招待を承認すると、その事業所にアクセスできるようになります。税理士事務所側から「招待してください」と依頼されることも多いので、担当者のメールアドレスを事前に確認しておくとスムーズです。

マネーフォワードでは、会計・請求書・給与・経費などのサービスごとに利用できる範囲を設定する考え方が取り入れられています。そのため「会計は編集できるが給与は見られない」といった分け方がしやすく、経理担当と労務担当が別の人になっている会社では扱いやすい構成です。どの区分でどこまで操作できるかは、公式サイトのガイドで確認してください。

freeeとマネーフォワードのどちらを使っていても、税理士に共有する目的であれば手順の本質は変わりません。「管理者が招待する」「相手が自分のアカウントで承認する」「役割に合った権限を選ぶ」の3点を押さえておけば、画面の違いにはすぐ慣れます。

「アクセス権限がありません」と出たときの確認順

エラー表示が出たときは、あわてて再招待する前に次の順で確認してください。まず、ログインしているアカウントが招待したメールアドレスと同じか。個人用と会社用でアドレスを使い分けている人は、別アカウントでログインしているケースがよくあります。次に、画面上部で選んでいる事業所が目的の会社になっているか。税理士は複数の関与先を切り替えて使っているため、選択ミスも起こります。

この2点が問題なければ、付与した権限の範囲を見直します。閲覧中心の権限では編集画面に入れない、設定変更は管理者のみ、といった制限が原因であることが多いです。最後に、開こうとしている機能が会計ソフト本体なのか、給与や請求書など別サービスなのかを確認します。別サービスなら、そちらにも招待が必要です。

それでも解決しない場合は、招待メールの有効期限が切れている、承認が完了していない、といった可能性もあります。管理者側のメンバー一覧で「招待中」のままになっていないかを見て、必要なら招待を送り直してください。

招待したあとの運用|見直しのタイミングを決めておく

権限は一度設定したら終わりではありません。社員の担当が変わったとき、退職したとき、税理士との契約を終了したときは、その都度メンバー一覧を見直して、不要になったアカウントを削除または権限変更します。特に退職時は、パソコンの返却と同じタイミングで会計ソフトのアクセスも外す、と社内ルールにしておくと漏れにくくなります。

定期的な棚卸しも有効です。決算が終わった月や期首など、年に一度でよいので「いまこの事業所に誰がアクセスできるか」を一覧で確認する習慣をつけてください。人が増えるほど、把握していないアカウントが残りやすくなります。

あわせて、二要素認証などのログイン保護を各メンバーに設定してもらうことも検討してください。会計データは取引先や資金繰りの情報を含むため、アクセスできる人を絞ることと、各自のログインを守ることの両方が必要です。設定できる保護機能はサービスごとに異なるので、公式サイトで最新の内容を確認してください。

なお、税理士とどこまでデータを共有するか、どの範囲の作業を依頼するかは、顧問契約の内容によって変わります。記帳代行まで含むのか、チェックと決算のみなのかで必要な権限も違ってきますので、契約前後に担当の税理士へ具体的な運用を確認しておくと、招待後のやり取りがスムーズになります。

よくある質問

税理士に会計ソフトを見てもらうには、IDとパスワードを教えればよいですか

IDの共有ではなく、メンバー招待の機能を使って税理士のアカウントを追加する方法が一般的です。招待であれば操作履歴が人ごとに残り、契約終了時にそのアカウントだけを外すことができます。税理士側が普段使っているメールアドレスを確認してから招待してください。

社員に経費の入力だけを任せたいのですが、権限はどう設定しますか

取引や経費の登録に必要な範囲に限定した権限を選び、事業所の設定変更やメンバー追加ができる管理者権限は渡さないのが基本です。選べる区分の名称や範囲はサービスとプランによって異なるため、公式のヘルプで最新の内容を確認してください。まず狭く設定し、不足があれば後から広げる進め方が扱いやすいです。

招待できる人数に上限はありますか

利用しているプランによって、追加できるメンバー数や使える権限の細かさが変わる場合があります。人数が増える見込みがあるときは、契約内容を事前に確認しておくと安心です。条件や料金は変更されることがあるため、各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

招待メールが届かないときはどうすればよいですか

迷惑メールフォルダに振り分けられていないか、入力したメールアドレスに誤りがないかをまず確認してください。それでも届かない場合は、管理者側のメンバー一覧で招待の状態を確認し、必要なら送り直します。会社のメールで受信制限をかけている場合は、システム担当に設定を確認してもらってください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。