freee会計の使い方|法人が設立直後にやる初期設定の順番
会社をつくったあと、会計ソフトを開いて最初の画面で固まってしまう人は少なくありません。freee会計は「取引を登録すれば帳簿ができる」設計ですが、その前提になる初期設定を飛ばすと、あとで数字が合わずにやり直すことになります。この記事では、法人が設立直後にやるべき初期設定を順番どおりに整理し、勘定科目の考え方や「わかりにくい」と感じたときの立て直し方までまとめます。
この記事の結論
- freee会計を法人で使い始めるときは、①事業所の基本設定 ②開始残高の登録 ③口座・カードの同期 ④勘定科目と取引先の整理 ⑤日々の取引登録、の順に進めると手戻りが少なくなります。
- 開始残高(設立時の資本金や創立費など)を登録しないまま取引を入れ始めると、残高が実際の通帳と合わなくなるため、最初に済ませておくのが安全です。
- freee会計が「わかりにくい」と感じる原因の多くは、簿記の仕訳画面ではなく「収入/支出」という独自の入力形式に慣れていないことなので、まずは口座同期からの自動登録で流れをつかむのが近道です。
freee会計でできること|法人が使う範囲を先に把握する
freee会計は、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、取引として登録することで帳簿(総勘定元帳や試算表)が自動的に作られる会計ソフトです。法人の場合は、日々の記帳に加えて、請求書の作成、経費精算、決算書の出力、法人税申告や給与計算との連携など、周辺の機能とセットで使うケースが多くなります。どこまでを自社で使うかは、契約するプランや連携サービスによって変わるため、機能の範囲と料金は各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。
設立直後のひとり社長であれば、当面必要なのは「口座の入出金を記録する」「領収書を保存する」「月次の残高を確認する」の3つです。請求書発行や経費精算は、取引が増えてから追加で使い始めても間に合います。最初から全機能を使いこなそうとすると、設定だけで疲れてしまいます。
逆に、従業員を雇う予定がある、あるいは取引先への請求が毎月発生する会社は、早い段階で請求書と給与まわりの連携を想定しておくと、後から入力方法を変える手間が減ります。自社がどちらに近いかを先に決めてから、初期設定に入ってください。
初期設定はこの順番|①事業所設定から始める
最初にやるのは、事業所(会社)の基本情報の登録です。会社名、決算期(事業年度の開始日と終了日)、消費税の課税区分、法人か個人かの区分を設定します。ここを間違えると、集計される期間や税区分がずれてしまい、あとから直すのが面倒になります。定款と登記事項証明書を手元に置いて、決算日を正確に入れてください。
消費税の設定は、設立直後の会社では特に迷いやすいところです。インボイス制度に登録して課税事業者として届け出たのか、当面は免税事業者のままなのかで、入力時の税区分の扱いが変わります。届出書の控えを見ながら設定し、判断に迷う場合は税理士に確認するのが安全です。
あわせて、ユーザーの招待権限も確認しておきます。税理士や社労士に見てもらう予定があるなら、閲覧・編集の権限を分けて招待できるようにしておくと、決算前のやりとりがスムーズになります。
freee会計の料金プラン
freee会計の料金は次のとおりです。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
| プラン | 料金 | 使える人数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| スターター | 年払い 5,480円/月+従量課金 | 3人(メンバー追加は年額払い月額300円/人) | 初年度法人向け。経費精算・出入金管理・電話サポート。税区分はページに明記なし |
| スタンダード | 年払い 8,980円/月+従量課金 | 3人(追加300円/人) | 経営分析・月締め・給与連携。税区分はページに明記なし |
| アドバンス | 年払い 39,780円/月+従量課金 | 5人(追加1,000円/人) | カスタム権限・ワークフロー・CRM連携。税区分はページに明記なし |
| エンタープライズ | 記載なし(問い合わせ) | 記載なし | 固定資産管理・管理会計・セキュリティ強化 |
②開始残高の登録|設立時の資本金と創立費をここで入れる
法人の会計は、設立日時点の残高からスタートします。freee会計では「開始残高の設定」という項目があり、ここに設立時点の現預金、資本金、役員借入金などを入力します。この作業を飛ばして日々の取引だけを登録すると、通帳の残高とソフト上の残高が一致せず、月次確認のたびに原因探しをすることになります。
設立直後に多いのが、法人口座が開設される前に社長個人のお金で払った費用です。定款認証や登録免許税、印鑑作成、設立前の打ち合わせ費用などは、創立費・開業費として整理し、役員借入金(社長からの立替)として計上する扱いが一般的です。ただし、どこまでを創立費とするか、いつ費用化するかは判断が分かれるため、税理士に確認しながら進めてください。
用意するものは、登記完了後の残高がわかる通帳またはネットバンキングの画面、設立前後に支払った領収書、資本金の払込証明に使った通帳コピーです。これらを並べて、設立日時点の貸借を作るイメージで入力します。ここを丁寧にやると、以降の作業が一気に楽になります。
③口座・カードの同期と自動登録ルール|入力を減らす
次に、法人口座と法人クレジットカードをfreee会計に連携します。同期すると明細が自動で取り込まれ、あとは一件ずつ勘定科目を割り当てて「登録」するだけになります。手入力する場面を減らすことが、経理を続けられるかどうかの分かれ目です。
同じ支払先が毎月出てくる場合は、自動で経理ルール(登録ルール)を設定しておきます。たとえば通信会社の引き落としは通信費、家賃の振込は地代家賃、といった対応づけを一度覚えさせておけば、翌月以降は確認して登録するだけになります。最初の1〜2か月でルールを作り込むと、その後の作業時間が目に見えて減ります。
注意したいのは、同期は明細の取り込みであって、証憑(領収書・請求書)の保存とは別だという点です。電子で受け取った請求書や領収書の保存方法には、電子帳簿保存法の考え方が関わります。保存要件の詳細は国税庁の資料を確認し、社内での保存ルールを決めておいてください。
④勘定科目と取引先の整理|freee会計の勘定科目で迷ったら
freee会計には標準の勘定科目があらかじめ用意されているので、最初から自作する必要はありません。迷ったときの判断順は、まず「標準科目に近いものがあるか」、次に「同じ内容の支出を毎月同じ科目に入れられるか」、最後に「決算書で見たときに意味が通るか」です。この3つを満たせば、細かい分類にこだわりすぎなくても実務は回ります。
よく迷うのは、会議の飲食代(会議費と交際費)、ソフトの利用料(通信費と支払手数料と消耗品費)、外注先への支払い(外注費と給与)あたりです。特に交際費と外注費は税務上の扱いに影響することがあるため、自社の基準を決めたうえで、税理士に一度見てもらうことをおすすめします。一度決めた基準は、途中で変えずに使い続けることが大切です。
取引先の登録も、早いうちにやっておくと後が楽です。取引先を登録しておくと、誰にいくら払ったか、誰からいくら入金があったかを集計できます。インボイス制度に関連して、取引先の登録番号を保持しておくと確認作業が減る場面もありますので、請求書を受け取った時点で控えておくとよいでしょう。
⑤日々の運用と、freee会計が「わかりにくい」ときの立て直し方
日々の運用は、週に一度、同期された明細を確認して登録する、というリズムにするのが現実的です。月末には試算表を開いて、現預金の残高が通帳と一致しているか、見慣れない科目に金額が入っていないかを見ます。この2点だけ毎月チェックしていれば、決算前に慌てる場面はかなり減ります。
「わかりにくい」と感じる原因の多くは、簿記の借方・貸方で考えようとして、freee会計の「収入/支出」という入力形式とかみ合わないことにあります。簿記の知識がある人は、振替伝票の画面から仕訳形式で入力する方法を試すと、頭の中の処理と一致しやすくなります。逆に簿記を知らない人は、口座同期からの自動登録に絞り、仕訳の理屈は後から追いかけるほうがつまずきません。
操作でつまずいたときは、まず公式のヘルプセンター(オンラインマニュアル)で該当機能の名称を検索してください。画面の名称がわかると解決が早くなります。それでも解決しない場合や、処理方法そのものに迷う場合は、操作の問題ではなく会計処理の判断の問題であることが多いので、税理士に相談するほうが結果的に早く片づきます。
設立直後にやりがちな失敗と、専門家に相談するタイミング
よくある失敗は3つあります。1つ目は開始残高を入れないまま走り出すこと、2つ目は社長個人の支出と会社の支出が混ざったままになること、3つ目は領収書の保存ルールを決めずに数か月放置することです。いずれも、決算の直前にまとめて直そうとすると相当な時間がかかります。
特に、役員報酬の決め方や支払時期、社会保険の加入手続き、消費税の届出のタイミングは、会計ソフトの設定ではなく制度側の判断が関わる部分です。会計ソフトに入力できるかどうかと、税務上・労務上どう扱われるかは別の話なので、切り分けて考えてください。
初期設定が一通り終わった段階、遅くとも最初の決算の3か月前までに、一度税理士に帳簿を見てもらうことをおすすめします。勘定科目の使い方や創立費の処理、消費税の区分など、早い段階で方向を合わせておけば、修正の手間が小さくて済みます。社会保険や給与計算の設定に不安がある場合は社会保険労務士、登記事項の変更が絡む場合は司法書士と、内容に応じて相談先を分けると話が早く進みます。
よくある質問
freee会計は簿記の知識がなくても使えますか。
日々の記帳については、口座同期と自動登録ルールを使えば簿記の知識がなくても進められる設計になっています。ただし、決算や税務上の判断が絡む処理は知識だけでは判断しきれない場面があるため、年に一度は税理士に確認する前提で運用するほうが安心です。
開始残高を入れ忘れて取引を登録してしまいました。どうすればいいですか。
開始残高はあとから設定し直すことができますが、すでに登録した取引と重複しないよう、設立日時点の残高と入力済みの取引を突き合わせて確認する必要があります。件数が多い場合や資本金・創立費が絡む場合は、修正方針を税理士に相談してから作業すると手戻りが減ります。
勘定科目は自分で追加してもいいですか。
標準の科目で足りない場合は追加できますが、まずは標準科目で運用し、どうしても分けて把握したい費用が出てきてから追加するほうが管理しやすくなります。科目を増やしすぎると集計が細かくなり、月次の確認に時間がかかる点にも注意してください。
freee会計のマニュアルはどこを見ればいいですか。
公式のヘルプセンターに機能ごとの操作手順が公開されているので、画面名や機能名で検索するのが早い方法です。料金やプランごとに使える機能が異なる場合があるため、自社の契約内容とあわせて公式サイトで最新の情報を確認してください。