合同会社の定款変更の手続き|総社員の同意書の書き方と登記の要否

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

合同会社で「商号を変えたい」「事業を追加したい」「決算期をずらしたい」と思ったとき、最初にやることは定款の変更です。株式会社のような株主総会は合同会社にはないため、手続きの形も少し違います。この記事では、定款変更の進め方、総社員の同意書の書き方、そして「登記が要る変更」と「要らない変更」の見分け方を、実際の作業順に整理します。

この記事の結論

  • 合同会社の定款変更は、定款に別の定めがない限り、社員全員(総社員)の同意によって行うのが会社法上の原則です。
  • 変更した定款そのものを法務局に提出する必要はありませんが、商号・目的・本店・代表社員など登記事項にあたる変更は、変更後2週間以内に管轄の法務局へ登記を申請します。
  • 決算期や社員の内部的な取り決めの変更は登記が不要なことが多く、その場合は総社員の同意書と改訂後の定款を会社で保管し、必要に応じて税務署などへ異動届を出します。

合同会社の定款変更は誰の同意で決まる?

合同会社の定款を変更するには、定款に別段の定めがある場合を除き、社員全員の同意が必要とされています(会社法の定款変更の規定)。ここでいう「社員」は従業員ではなく、出資して持分を持つ人、つまり出資者のことです。ひとり社長の合同会社なら、本人ひとりの同意で成立します。

株式会社のような株主総会の招集手続きや議事録は、合同会社では想定されていません。そのかわりに作るのが「総社員の同意書」です。会議を開いて決める形でも、書面を回して全員が署名する形でも構いませんが、後から証明できるよう書面に残しておくのが安全です。

なお、定款に「定款の変更は業務執行社員の過半数の同意による」といった別段の定めを置いている会社もあります。手を動かす前に、まず現行の定款を開いて、変更手続きについてどう書かれているかを確認してください。ここを見ずに進めると、同意を取る相手を間違えることがあります。

まず現行定款のどこを見る? 変更してよい事項の考え方

定款には、記載がないと定款自体が効力を持たないとされる事項があります。合同会社では、目的、商号、本店の所在地、社員の氏名または名称および住所、社員全員が有限責任社員である旨、社員の出資の目的およびその価額または評価の標準が、これにあたるとされています。これらは削除するのではなく、内容を書き換える形で変更します。

そのほか、定款に書いたときに効力が生じる事項(業務執行社員の定め、代表社員の定め、事業年度、公告方法、持分譲渡のルール、退社・解散に関する取り決めなど)や、任意で入れている条項もあります。変更したい内容が現行定款の何条にあたるのかを先に特定しておくと、同意書も登記申請書も書きやすくなります。

実務でよくあるのは、条文番号がずれることです。1条まるごと追加・削除すると以降の番号が変わるため、「第◯条を次のとおり改める」「第◯条の次に1条を加え、以下の条を順次繰り下げる」といった書き方にすると、新旧の対応が明確になります。

登記が必要な変更・不要な変更の見分け方

判断の順番はシンプルです。「変更する内容が登記事項かどうか」をまず見ます。登記事項の代表例は、商号、目的、本店の所在場所、公告方法、資本金の額、業務執行社員や代表社員の氏名・住所、存続期間や解散事由の定めです。これらを変えたときは、定款変更に加えて変更登記が要ります。

一方で、事業年度(決算期)、社員の議決権や損益分配の割合、持分譲渡の承認ルール、社員総会に相当する意思決定の方法など、会社内部の取り決めは登記事項ではないことが一般的です。この場合は総社員の同意書と改訂後の定款を会社で保管しておけば足り、法務局への申請は生じません。

迷いやすいのが、社員の加入・退社と出資に関する変更です。社員の氏名・住所は定款の記載事項ですが、登記されるのは業務執行社員・代表社員にあたる人です。また出資を追加して資本金の額が変わるなら、資本金の変更登記が必要になります。自分のケースがどちらに当たるか判断しづらいときは、登記情報(登記事項証明書)を取って「今、何が登記されているか」を確認するのが一番の近道です。

総社員の同意書の書き方と記載項目

総社員の同意書は決まった書式があるわけではありませんが、次の要素を入れておくと、登記の添付書類としても社内保管用としても使えます。①表題(総社員の同意書)、②同意の日付、③会社の商号、④同意した内容(定款の何条をどう改めるか)、⑤効力発生日、⑥「総社員の同意をもってこれを決定した」旨の文言、⑦社員全員の氏名と署名または記名押印です。

変更内容は、新旧対照の形で書くと分かりやすくなります。たとえば「第1条(商号) 当会社は、合同会社◯◯と称する。」を「合同会社△△と称する。」に改める、というように、変更前と変更後を並べて書きます。目的の変更なら、追加する事業だけでなく、変更後の目的条項の全文を書き出しておくと、登記申請書に転記しやすくなります。

効力発生日の扱いにも注意してください。同意の日にそのまま効力を生じさせるのか、将来の日付(たとえば新年度の初日)から効力を生じさせるのかで、登記の申請期限の起算日が変わります。本店移転のように実際の移転日と合わせたい場合は、同意書の中で「◯年◯月◯日をもって効力を生ずる」と明記しておきます。

法務局への登記申請はいつ・何を出す?

登記事項にあたる変更をしたときは、効力が生じた日から2週間以内に、本店の所在地を管轄する法務局へ変更登記を申請するのが原則です。用意するのは、変更登記申請書、総社員の同意書、変更の内容によって必要になる書類(代表社員の就任承諾書、本人確認証明書、印鑑証明書など)です。登録免許税は変更の種類によって異なるので、法務局の公式サイトで最新の金額と区分を確認してください。

ここでよく誤解されるのが「変更した定款も提出するのか」という点です。合同会社の定款は設立時に公証人の認証も不要で、変更後の定款を法務局に届け出る仕組みもありません。添付するのは、変更を決めた事実を示す総社員の同意書などです。改訂後の定款は、会社の本店に備え置いて保管します。

申請方法は、窓口持参、郵送、オンライン(登記・供託オンライン申請システム)から選べます。記載例や申請書の様式は法務局のサイトで公開されているので、変更の種類に対応したものをダウンロードして使うと迷いにくくなります。本店を他の法務局の管轄へ移す場合は手続きの流れが変わるため、事前に管轄法務局に確認しておくと安心です。

登記のあとに忘れがちな届出と、専門家に相談する目安

登記が終わっても、それで完了ではありません。商号・本店・事業年度などを変えたときは、税務署、都道府県税事務所、市区町村へ異動届出書を提出するのが一般的です。社会保険に加入している会社なら年金事務所、従業員がいるなら労働基準監督署・ハローワークへの届出も出てきます。あわせて、銀行口座、許認可、契約書、請求書やウェブサイトの表記も見直しが必要です。

事業年度(決算期)の変更は登記こそ不要ですが、その期の決算期間が短くなるなど税務の扱いに影響することがあります。目的の追加も、建設業や人材紹介などの許認可がある業種では、目的の文言が要件に関わることがあります。こうした判断は会社ごとの事情で変わるため、税務面は税理士、許認可や登記手続きの細部は司法書士や行政書士に確認しておくと、やり直しを防げます。

社員の加入・退社をともなう定款変更、持分の譲渡、資本金の変更などは、登記と税務の両方に影響が及ぶことがあります。自分で進めるか専門家に任せるかの目安は、「登記事項が複数同時に動くか」「出資や持分が動くか」です。どちらかに当てはまるなら、早い段階で司法書士や税理士に相談し、同意書の文面と効力発生日の設定まで一緒に確認してもらうことをおすすめします。

よくある質問

合同会社の定款を変更したら、変更後の定款を法務局に提出する必要はありますか?

変更後の定款そのものを法務局に提出する仕組みはありません。登記事項にあたる変更をしたときに、変更登記申請書と総社員の同意書などを提出します。改訂後の定款は会社の本店に備え置いて保管してください。

ひとり社長の合同会社でも総社員の同意書は要りますか?

社員が1人でも、定款変更を決めた記録として同意書を作成しておくのが一般的です。登記の添付書類として求められる場面もありますし、後から変更時期を証明する材料にもなります。日付・変更内容・効力発生日・署名を残しておきましょう。

決算期を変えるのに登記は必要ですか?

事業年度は登記事項ではないため、一般的には変更登記は生じません。ただし定款の変更手続き自体は必要で、変更後は税務署や自治体へ異動届出書を提出するのが通常です。決算期間が短くなることによる税務上の扱いは、税理士にご確認ください。

変更登記の期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

登記は効力発生から2週間以内が原則とされ、遅れると過料の対象になることがあります。気づいた時点で速やかに申請するのが基本的な対応です。事情が複雑な場合は、管轄の法務局や司法書士に相談してください。

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