年末調整の用紙と様式|最新様式のダウンロードと記入の流れ
年末調整の季節になると、まず詰まるのが「どの用紙を、どこから取ってくるのか」です。用紙は国税庁のウェブサイトでその年分の様式が公開されており、PDFで入手できます。この記事では、様式の入手先と3種類の申告書の使い分け、記入の順番、そして「欄が足りない」「書き損じた」といったよくあるつまずきへの対処を、小さな会社の実務目線で整理します。
この記事の結論
- 年末調整の申告書様式は、国税庁ウェブサイトの「年末調整がよくわかるページ」および源泉所得税関係の申告書・記載例のコーナーから、その年分のPDFをダウンロードできます。
- 年末調整で従業員に配るのは主に「扶養控除等(異動)申告書」「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」「保険料控除申告書」の3種類で、住宅ローン控除がある人はこれに住宅借入金等特別控除申告書が加わります。
- 記入欄が足りないときは、同じ様式をもう1枚使って続きを書き、合計欄は1枚目にまとめるなど、勤務先の指示に沿って処理するのが一般的です。
年末調整の用紙はどこからダウンロードできますか
年末調整で使う申告書の様式は、国税庁のウェブサイトで公開されています。トップページから「年末調整がよくわかるページ」に進むと、その年分の各申告書のPDFと記載例(見本)がまとめて置かれていることが多く、まずここを見るのが早道です。あわせて、源泉所得税関係の申告書・届出書の一覧ページにも様式が並んでいます。
ダウンロードするときに一番気をつけたいのが「年分」です。年末調整の申告書は、その年分のものと翌年分のものを同じ時期に扱うため、ファイル名やPDFの左上にある年分の表示を必ず見比べてください。前年の様式をそのまま使い回すと、控除の記入欄の構成が変わっていて書き直しになることがあります。
PDFには、手書き用のものと、画面上で入力してから印刷できる入力用のものが用意されている場合があります。従業員が自宅で書く前提なら手書き用、社内で配って回収まで短期間で回したいなら入力用、と使い分けると回収がスムーズになります。給与計算ソフトを使っている会社では、ソフト側が同じ様式を出力できることも多いので、先にソフトの機能を確認しておくと二度手間を防げます。
年末調整で使う申告書は何種類ありますか
従業員に配る中心となるのは3種類です。1つ目が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で、これは翌年分を年末に提出してもらい、あわせて今年分の内容に変更がないかを確認する使い方をします。2つ目が「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」といった名称の、複数の申告が1枚にまとまった様式です。3つ目が「給与所得者の保険料控除申告書」で、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金を書きます。
これに加えて、住宅ローン控除を2年目以降に受ける人は「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を提出します。この用紙は税務署から本人あてに交付されているもの、または電子交付されたデータを使うのが基本で、会社側で新たにダウンロードして配る性質のものではありません。
様式の名称は年によって長くなったり統合されたりします。名称で迷ったら、国税庁ページに並んでいるその年分の一覧をそのまま上から確認し、自社の従業員構成(配偶者がいる人、保険に入っている人、住宅ローンがある人)に必要なものだけを選んで配るのが実務的です。全員に全種類を配ると、書かなくてよい用紙まで悩ませてしまいます。
どの順番で記入してもらうとスムーズですか
配布は11月上旬から中旬に始め、回収期限を11月末から12月初旬に置くのが一つの目安です。12月の給与計算に間に合わせる必要があるため、期限は「給与計算の締め日の何日前か」から逆算して決めます。配るときは、記入例(国税庁の記載例を印刷したもの)と、添付書類の一覧を一緒に渡すと、問い合わせがぐっと減ります。
従業員に案内する記入の順番は、①扶養控除等申告書で家族の状況を確定させる → ②基礎控除申告書側で本人と配偶者の見積所得を書く → ③保険料控除申告書に手元の控除証明書を見ながら転記する、という流れが分かりやすいです。①で扶養に入れる・入れないの判断を先にしておかないと、②の配偶者控除等の欄で手が止まります。
添付が必要になるのは、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民年金保険料の控除証明書、小規模企業共済等の掛金証明書などです。証明書は秋に郵送または電子交付されるため、「なくした」という相談が出ます。その場合は発行元に再発行を依頼してもらう必要があり、時間がかかるので、配布時点で「証明書は手元にありますか」と一声かけておくと安心です。
記入欄が足りないときはどうすればいいですか
保険料控除申告書で契約数が多い場合や、扶養控除等申告書で扶養親族が多い場合など、欄が足りなくなることがあります。一般的な対処は、同じ様式をもう1枚印刷して続きを記入し、合計額は1枚目にまとめて記載する方法です。2枚目には氏名を書き、「2枚目」と分かるようにしたうえで、1枚目とホチキス留めして提出してもらいます。
別紙に一覧を作って添付する方法をとる会社もありますが、集計する担当者が後から見返しにくくなることがあります。社内でどちらの扱いにするかを先に決めて、配布時の案内文に書いておくと、回収後の確認が揃って楽になります。
書き損じたときは、修正液ではなく二重線と訂正内容の記入で対応するのが一般的です。押印の要否を含め、細かい取り扱いは変更されることがあるため、その年分の国税庁の記載例や案内を確認してください。判断に迷うケースは、顧問の税理士に確認するのが確実です。
紙と電子、どちらで集めるべきですか
判断の順番としては、まず①従業員数と、②給与計算をどこでやっているか、を見ます。従業員が数名で、給与計算を社内の表計算ソフトで行っているなら、紙の様式をダウンロードして配るのが手間が少ないことが多いです。一方、給与計算ソフトや労務管理サービスをすでに使っていて、そこに年末調整の入力機能があるなら、電子で集めたほうが転記ミスが減ります。
電子で集める場合、従業員が提出する申告書を電磁的方法で受け取るには、事前に税務署への届出など所定の手続きが関係することがあります。要件は制度改正で変わるため、導入前に国税庁の資料で最新の取り扱いを確認し、不明点は税理士に相談してください。
途中で切り替えるなら、区切りのよいタイミングは年末調整が終わった直後です。1月から3月は比較的落ち着いているため、次の年末に向けて仕組みを試す時間が取れます。今年は紙で回して、回収時に「どこで詰まったか」をメモしておくと、翌年の判断材料になります。
回収後、会社は何をどこに出しますか
申告書そのものは、原則として会社(給与の支払者)が保管し、税務署に提出はしません。ただし税務署から提出を求められたときに出せるよう、一定期間の保管が必要とされています。保管年数や電子データで保存する場合の要件は、電子帳簿保存法の考え方とも関係してくるため、所管官庁の資料で確認してください。
会社が外部に出すのは、年末調整の結果をまとめた書類です。従業員には源泉徴収票を交付し、税務署には法定調書合計表と一定の要件に当てはまる人の源泉徴収票を、従業員の住む市区町村には給与支払報告書を提出します。いずれも年明けの期限が決まっているため、12月の給与計算が終わったらすぐに準備に入ると余裕が持てます。
申告書の内容には家族構成や保険契約といった個人情報が含まれます。回収した紙は鍵のかかる場所に、データはアクセス権を限った場所に保管し、担当者以外が見られない状態にしておいてください。
扶養の判定、配偶者の所得見積り、年の途中で入社した人の前職分の取り扱いなどは、個別の事情で結論が変わることがあります。自社だけで判断しきれないと感じたら、早めに税理士に、従業員の社会保険に関する論点が絡むときは社会保険労務士にご相談ください。
よくある質問
年末調整の用紙は国税庁のサイト以外からも入手できますか
税務署の窓口で配布されているほか、給与計算ソフトや労務サービスから同じ様式を出力できる場合があります。いずれの場合も、その年分の様式かどうかを左上の年分表示で確認してから使ってください。
記入例(見本)はどこで見られますか
国税庁のウェブサイトでは、各申告書のPDFとあわせて記載例が公開されていることが多く、そのまま印刷して従業員に配れます。自社の状況に近いケースを選んで渡すと、問い合わせが減ります。
提出期限を過ぎてから証明書が出てきた場合はどうなりますか
会社の年末調整のやり直しで対応できる期間もありますが、間に合わない場合は従業員本人が確定申告で控除を受ける流れになることがあります。取り扱いに迷うときは税理士にご確認ください。
前年の用紙をコピーして使ってもよいですか
様式は年によって欄の構成が変わることがあるため、その年分としてダウンロードしたものを使うのが安全です。古い様式で集めると、記入し直しになる可能性があります。