合同会社の代表社員とは|業務執行社員との違いと肩書の決め方

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

合同会社をつくると、最初に迷うのが「自分の肩書をどうするか」です。株式会社なら代表取締役で迷いませんが、合同会社では「社員」「業務執行社員」「代表社員」という似た言葉が並び、しかも「社員」は従業員のことではありません。この記事では、それぞれの立場の違いと、登記に載る肩書・名刺に書く肩書の決め方を、ひとり社長と複数人の会社に分けて整理します。

この記事の結論

  • 合同会社の代表社員とは、会社を代表して契約などを行う権限を持つ社員のことで、株式会社の代表取締役にあたる立場です。
  • 合同会社では出資者を「社員」と呼び、そのうち業務を行う人が業務執行社員、さらに会社を代表する人が代表社員という三層の関係になっています。
  • 登記される肩書は「代表社員」ですが、名刺や対外的な呼称として「代表」「社長」「CEO」を併記することは一般に行われています。

合同会社の代表社員とは?社員・業務執行社員との関係

合同会社でいう「社員」は、従業員ではなく出資してその会社の持分を持つ人のことです。株式会社でいえば株主に近い立場ですが、合同会社では出資者がそのまま経営に関わるのが原則という点が大きく違います。まずこの言葉の意味を押さえておかないと、求人票の「社員募集」と混同して話が噛み合わなくなります。

その社員のうち、実際に会社の業務を決めて動かす人が業務執行社員です。定款で特に定めなければ、社員全員が業務執行社員として扱われるのが原則とされています。逆に、出資はするけれど経営には関わらない人がいる場合は、定款で業務執行社員を絞り込む形をとります。

さらに、業務執行社員の中から会社を代表する人を決めたのが代表社員です。代表社員は契約書に署名し、銀行口座の開設や届出の名義人になるなど、対外的に会社そのものとして振る舞う権限を持ちます。ひとりで設立した場合は、その人が社員であり業務執行社員であり代表社員という、すべてを兼ねた状態になります。

合同会社で「代表取締役」は名乗れる?肩書の決め方

登記簿に記載される役職名は「代表社員」であり、合同会社には取締役という機関がないため、登記上の肩書として代表取締役を使うことはできません。契約書や登記関係の書類、法務局・金融機関に出す書面では「代表社員」と書くのが基本です。ここを崩すと、契約の当事者表示があいまいになったり、手続きの差し戻しにつながることがあります。

一方で、名刺やウェブサイトなど対外的な呼称まで「代表社員」に縛られるわけではありません。実務では「代表」「社長」「CEO」といった通称を使い、必要に応じて「代表社員」を併記する形が広く行われています。取引先にとって分かりやすいのは前者、正式な立場を示すのは後者なので、名刺には両方を載せておくと説明の手間が減ります。

迷ったら、次の順で決めるのが分かりやすいです。まず契約書・登記・金融機関向けは「代表社員」で固定する。次に名刺やサイトは相手に伝わる呼称を選ぶ。最後に、社内規程や議事録の書き方を「代表社員(代表)」のように統一しておく、という流れです。

共同代表にできる?代表社員を複数置くときの判断

合同会社では、代表社員を複数人置くこともできます。共同で創業した2人がどちらも対外的に動く場合や、事業部門ごとに責任者を分けたい場合には、それぞれを代表社員として登記する選択肢があります。名刺には両者とも「代表社員」と記載でき、実務上「共同代表」と呼ばれることがあります。

ただし、代表社員が複数いるということは、それぞれが単独で会社を代表して契約できるということでもあります。片方が結んだ契約に会社全体が拘束されるため、金額や契約内容によっては社員間の合意を要する、といった内部ルールを定款や社内規程で決めておくと安心です。内部ルールに反した契約の効力は相手方の認識などによって判断が分かれることがあるため、重要な取引ほど事前の取り決めが効いてきます。

判断の目安としては、対外的な契約・入金の窓口を一本化したいなら代表社員は1人、それぞれが独立して営業や契約を進める必要があるなら複数、と考えると整理しやすくなります。後から増減させることもできますが、そのつど登記の変更が必要になる点は押さえておきましょう。

法人が代表社員になる場合はどうする?職務執行者の考え方

合同会社では、個人だけでなく法人が社員となり、代表社員になることもできます。既存の会社が新規事業のために子会社をつくるときや、複数社で共同出資する事業会社をつくるときによく使われる形です。この場合、登記には代表社員としてその法人名が記載されます。

法人そのものは手足を持たないため、実際に業務を行う自然人として「職務執行者」を選び、その氏名も登記します。名刺には「代表社員 ○○株式会社 職務執行者 △△」のように書くのが一般的で、対外的には職務執行者が窓口になります。選任の手続きや必要書類は個人が代表社員になる場合と異なるため、設立前に確認しておくと手戻りがありません。

法人を代表社員にするか、親会社の役員個人を代表社員にするかは、意思決定の速さと責任の所在のどちらを重視するかで変わります。グループとしての統制を効かせたいなら法人、現場の判断で機動的に動きたいなら個人、というのが一つの考え方です。持分の扱いや税務上の整理は状況によって異なるため、税理士にご確認ください。

合同会社の代表社員に任期はある?変更が必要になる場面

株式会社の取締役には任期があり、期間が来るたびに改選と登記が必要になります。一方、合同会社の代表社員や業務執行社員には、法律上の任期という仕組みが設けられていないのが一般的な理解です。そのため、定期的な重任登記の手間がかからない点は、合同会社を選ぶ理由の一つになっています。

ただし「変更が一切いらない」わけではありません。代表社員の氏名や住所が変わったとき、代表社員を交代したとき、新たに社員が加入または退社したときなどは、内容に応じて定款の変更や登記の変更が必要になります。変更登記には期限の定めがあるため、事情が生じたら早めに動くのが安全です。

手順としては、まず社員の同意(総社員の同意や業務執行社員の過半数など、定款の定めに従います)を得て、同意書や決定書を作成します。次に定款の該当部分を改めたうえで、法務局に変更登記を申請します。登記が終わったら、銀行、税務署や自治体、取引先への届出・連絡も忘れずに行いましょう。

設立時に決める順番|ひとり社長と複数人の場合

ひとりで設立する場合はシンプルです。自分が唯一の社員となり、定款で「社員は業務を執行する」「○○を代表社員とする」といった形を定め、登記に代表社員として自分の氏名と住所を記載します。名刺は「代表社員」に加えて「代表」や「CEO」を併記するかを決めれば完了です。

複数人で設立する場合は、次の順で決めると整理しやすくなります。①誰がいくら出資して社員になるか、②そのうち誰を業務執行社員にするか(全員か、一部か)、③業務執行社員の中から代表社員を誰にするか、1人か複数か、④利益の分配割合をどうするか。合同会社は出資割合と損益分配を定款で柔軟に定められる点が特徴なので、ここを口約束で済ませないことが後々の揉めごとを防ぎます。

定款には、代表社員の定め方(定款で直接指名するのか、社員の互選で決めるのか)も書いておきます。互選方式にしておくと、交代のたびに定款そのものを大きく書き換えずに済む場合があります。どちらが自社に合うかは将来のメンバー構成の見通し次第なので、迷ったら設立段階で司法書士に相談しておくと、後の変更手続きまで見通した設計ができます。

迷ったら専門家に相談を

代表社員の決め方や共同代表の可否は、定款の書き方ひとつで後の運営のしやすさが変わります。とくに複数人での設立、法人が社員になるケース、途中で社員が加入・退社するケースは、定款と登記の整合を取る必要があり、自力での判断が難しい場面が出てきます。

定款作成や登記手続きについては司法書士、社員への利益分配や役員報酬の扱いなど税務に関わる部分は税理士、従業員を雇う際の社会保険や労働保険の手続きは社会保険労務士が相談先になります。制度の要件は改正されることがあるため、最新の内容は法務局や所管官庁の資料もあわせて確認してください。

よくある質問

合同会社の名刺に「代表取締役」と書いてもいいですか?

合同会社には取締役という機関がないため、登記や契約書では「代表社員」を使います。名刺やウェブサイトで「代表」「社長」「CEO」といった通称を使うことは一般に行われていますが、「代表取締役」は誤解を招きやすいため避けるのが無難です。

業務執行社員と代表社員は何が違いますか?

業務執行社員は会社の業務を行う権限を持つ社員で、代表社員はその中から選ばれ、対外的に会社を代表して契約などを行う人です。ひとりで設立した場合は同じ人が両方を兼ねることになります。

合同会社の代表社員に任期はありますか?

合同会社の代表社員や業務執行社員には、法律上の任期という仕組みが設けられていないのが一般的な理解で、株式会社のような定期的な重任登記は生じません。ただし氏名や住所の変更、代表社員の交代があったときは変更登記が必要です。

代表社員を2人にすると何かデメリットはありますか?

それぞれが単独で会社を代表して契約できるため、意思決定の窓口が分かれ、想定外の契約が結ばれるリスクがあります。一定金額以上は社員間の合意を要するなど、内部ルールを定款や社内規程で決めておくとよいでしょう。

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