年末調整の進め方とスケジュール|いつからいつまでに何をするか

・採用・労務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

年末調整は、毎年決まった時期に決まった順番でやってくる仕事です。逆にいえば、一度スケジュールを組んでしまえば、翌年以降はそれをなぞるだけで回せます。この記事では、書類をいつ配って、いつ回収して、いつ計算して、いつどこに出すのかを、ひとり社長や少人数の会社の目線で順に整理します。

この記事の結論

  • 年末調整は、おおむね10月下旬〜11月に従業員へ書類を配布し、11月中〜12月上旬に回収、12月の給与計算に合わせて過不足を精算する流れで進みます。
  • 年末調整の対象期間は、その年の1月1日から12月31日までに支払いが確定した給与・賞与で、1月に支払われる12月分の給与は原則として翌年分の扱いになります。
  • 年末調整後は、源泉徴収票の交付、源泉所得税の納付、給与支払報告書・法定調書合計表の提出が翌年1月までの作業として続きます。

年末調整はいつからいつまで?全体の流れをつかむ

年末調整は「12月にやるもの」と思われがちですが、実務の準備は秋から始まります。大きく分けると、①書類の配布(10月下旬〜11月)、②回収と内容チェック(11月中〜12月上旬)、③年税額の計算と過不足の精算(12月の給与計算時)、④源泉徴収票の交付と各種提出(12月〜翌年1月)の4つの段階です。

このうち、社内で一番つまずくのが②の回収です。計算や提出は日付が決まっていますが、従業員から書類が返ってこないと先に進めません。そのため、スケジュールを組むときは「回収の締切を、計算開始日より1〜2週間前に置く」ことを起点に逆算すると組み立てやすくなります。

対象になるのは、その年の1月1日から12月31日までに支払いが確定した給与と賞与です。12月末締め・翌年1月払いの給与は、原則として翌年分として扱われます。自社の給与の締め日と支払日がどちらのパターンかを、最初に確認しておいてください。

10月〜11月:書類の配布と社内アナウンス

最初の仕事は、従業員に提出してもらう書類を配ることです。一般的には、扶養控除等(異動)申告書、基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除の申告書、保険料控除申告書が基本セットになります。住宅ローン控除を2年目以降に受ける人は、税務署から届く控除証明書と金融機関の残高証明書も必要です。

配布と同時に伝えたいのが「添付書類は本人が集めるもの」という点です。生命保険料や地震保険料の控除証明書、小規模企業共済等掛金の証明書などは、10月ごろに保険会社などから本人宛に届きます。届いたらなくさないよう、配布時のアナウンスで一言添えておくと、11月の問い合わせがかなり減ります。

国税庁が提供する年末調整の電子化に対応したソフトや、給与計算クラウドの年末調整機能を使うと、従業員がスマートフォンから入力し、そのままデータで回収できます。紙の配布・回収に手間を感じている場合は、この時期に一度検討しておくとよいでしょう。導入可否や利用条件は各サービスの公式サイトで最新情報を確認してください。

11月中〜12月上旬:回収とチェックのコツ

回収の締切は、12月の給与計算に入る日から逆算して決めます。たとえば12月20日が給与支払日で、計算作業を12月10日ごろに始めるなら、締切は11月末から12月初めに置くのが現実的です。締切日を「○月○日(金)17時まで」と曜日つきで示すと、提出率が上がります。

回収した書類でよく確認したいのは、氏名・住所・マイナンバーの記載漏れ、押印や署名の欠落、控除証明書の添付漏れ、配偶者や扶養親族の所得見積額の記載です。特に配偶者の収入は、本人が正確に把握していないまま概算で書いてしまうことがあり、後から修正が必要になりやすい項目です。

中途入社の人がいる場合は、前職の源泉徴収票が必要になります。手元にないケースもあるため、11月の早い段階で該当者に個別に声をかけ、前職へ発行を依頼してもらいましょう。締切までに揃わない見込みなら、その人だけ年末調整の対象から外し、本人に確定申告をしてもらう判断になることもあります。取り扱いに迷う場合は税理士にご確認ください。

12月:年税額の計算と過不足の精算

書類が揃ったら、1年間の給与・賞与の総額と、毎月天引きしてきた源泉所得税の合計を集計します。そこから各種控除を反映して年間の正しい税額を算出し、すでに徴収した額との差額を精算します。多く預かっていれば還付、足りなければ追加徴収です。

精算のタイミングは、12月の給与支払時に反映するのが一般的です。会社によっては12月分の給与計算が間に合わず、翌年1月の給与で精算することもあります。どちらにするかは、書類の回収状況と給与計算の締め日から早めに決めて、従業員にも伝えておくと問い合わせが減ります。

給与計算ソフトを使っている場合は、年末調整用のメニューに控除額を入力すれば税額まで計算してくれることがほとんどです。手計算で進める場合は、国税庁が公開している年末調整のしかたや算出所得税額の速算表を手元に置いて進めてください。

12月〜翌年1月:源泉徴収票の交付と提出書類

年末調整が終わったら、従業員一人ひとりに源泉徴収票を交付します。交付は年内または翌年1月中に行うのが一般的で、退職者には退職後の所定の期間内に交付する扱いになっています。

会社としての提出は、翌年1月31日が一つの区切りです。従業員が1月1日時点で住んでいる市区町村へ給与支払報告書を提出し、税務署へは法定調書合計表(一定の条件に当てはまる源泉徴収票を添付)を提出します。役員報酬や税理士・司法書士などへの報酬がある場合は、その支払調書もあわせて確認してください。

源泉所得税の納付も忘れやすいポイントです。毎月納付の会社は翌月10日まで、納期の特例を受けている会社は7月〜12月分をまとめて翌年1月20日までに納めるのが基本です。年末調整で還付が出て納付額がゼロになる場合でも、納付書の提出が必要になることがあります。自社がどちらの扱いかを確認し、迷ったら所轄の税務署か税理士に相談してください。

ひとり社長・少人数の会社はどう進めるか

役員が自分一人だけの会社でも、役員報酬を出していれば年末調整の対象になります。この場合は書類の配布・回収が自分で完結するので、10月〜11月に控除証明書を集めておき、12月の報酬計算に合わせて一気に処理する形が現実的です。

従業員が数人いる会社では、紙とデータのどちらで回収するかを先に決めます。全員がパソコンやスマートフォンを日常的に使っていて、給与計算クラウドをすでに導入しているならデータ回収が向いています。パート・アルバイトが多く、入力に不慣れな人がいる職場では、紙のほうが結果的に早いこともあります。

税理士に給与計算まで任せている場合は、いつまでに何を渡せばよいかを10月中に確認しておきましょう。事務所側にも繁忙期があり、締切より遅れると翌年1月の提出に影響します。自社で計算して提出だけ依頼する、書類チェックだけ見てもらう、といった分担も相談できます。

年末調整の判断で迷う場面(扶養の範囲、中途入社者の扱い、住宅ローン控除の適用など)は、個別の事情で結論が変わります。自己判断で進めず、顧問税理士や所轄の税務署に確認したうえで処理を進めてください。労働時間や社会保険の絡む論点が出てきた場合は、社会保険労務士に相談するのが安心です。

よくある質問

年末調整の対象期間はいつからいつまでですか?

その年の1月1日から12月31日までに支払いが確定した給与・賞与が対象です。12月末締め・翌年1月払いの給与は、原則として翌年分として扱われます。自社の締め日と支払日でどちらになるか、事前に確認しておくと安心です。

従業員から書類が提出されないときはどうすればいいですか?

まずは締切前にリマインドを行い、未提出者には個別に声をかけます。それでも揃わない場合、控除を反映しないまま処理し、本人に確定申告で対応してもらう形になることがあります。判断に迷う場合は税理士にご確認ください。

年末調整をしても確定申告が必要な人はいますか?

医療費控除や寄附金控除を受ける人、副業などで一定以上の所得がある人などは、年末調整とは別に確定申告が必要になることがあります。会社側で判断しきれない部分もあるため、該当しそうな従業員には早めに案内しておくとよいでしょう。

年末調整の作業は電子化できますか?

従業員がスマートフォンなどで申告内容を入力し、データで回収する方法があります。国税庁が提供するソフトや、給与計算クラウドの年末調整機能などが該当します。対応範囲や利用条件は各サービスの公式サイトで最新情報を確認してください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。