NDA(秘密保持契約)を電子契約で結ぶには|やり方と記載する文言

・契約・電子署名・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

打ち合わせの前にNDAを結びたいけれど、押印して郵送していると数日かかる。電子契約なら当日中に締結まで進められることが多く、NDAは電子契約と相性のよい書類の代表格です。この記事では、NDAを電子契約で締結する手順と、契約書本文に入れておきたい電子契約の文言、相手が紙を希望したときの対応を、判断の順番に沿って整理します。

この記事の結論

  • NDAは電子契約で締結できるのが一般的で、法令上、書面での作成や押印が求められる契約類型には通常あたらないと説明されています。
  • 電子契約でNDAを結ぶ手順は、①内容の確定②署名者の確認③電子契約サービスで送信④相手の署名⑤締結済みファイルの保存、の順です。
  • 契約書末尾に「本契約は電磁的記録により作成し、両当事者が電子署名を行う」旨の条項を入れておくと、紙の原本がないことをめぐる認識のずれを防げます。

NDAは電子契約で結べるのか

契約は当事者の合意で成立するのが原則で、書面の作成や押印が法令で求められている一部の類型を除けば、電子的な方法でも締結できると一般に説明されています。NDA(秘密保持契約)はこの「一部の類型」にはあたらないと考えられており、実務でも電子契約での締結が広く行われています。

気をつけたいのは「法的に結べるか」より「相手の社内ルールで通るか」のほうです。会社によっては、押印規程で紙と社印を前提にしていたり、電子契約は指定のサービスしか使えないと決まっていたりします。送る前に「電子契約で進めても差し支えないか」を一言確認しておくと、後戻りが減ります。

なお、締結した電子ファイルは、取引に関する書類として一定期間の保存が求められる場合があります。電子で受け取った契約書の保存方法には電子帳簿保存法の考え方が関わるため、詳細は国税庁の資料を確認するか、税理士にご確認ください。

NDAを電子契約で締結する手順

まず、送信前に本文を確定させます。秘密情報の範囲、目的外使用の禁止、第三者への開示の制限、有効期間と契約終了後の秘密保持期間、返還・廃棄の扱い、この5点が入っているかを見ます。電子契約サービスに載せてから修正すると、送り直しになって相手の手間が増えます。

次に、署名する人を確認します。相手側で誰が署名権限を持つのか(代表者か、部門長か)を先に聞いておき、その人のメールアドレスを宛先にします。担当者のアドレスに送ってしまい、社内で転送されて誰が署名したのか分からなくなる、というのがよくあるつまずきです。

そのうえで、電子契約サービスにPDFをアップロードし、署名欄・日付欄の位置を指定して送信します。相手がメールのリンクから署名すると締結完了となり、締結済みPDFと、いつ誰が署名したかの記録(監査ログ)が残ります。最後に、締結済みファイルを自社のフォルダに保存し、相手方名・契約日・有効期限が分かる名前を付けておきます。

契約書に入れる電子契約の文言(例)

紙の契約書では末尾に「本契約締結の証として本書2通を作成し、各自記名押印のうえ各1通を保有する」と書きますが、電子契約ではここを書き換えます。たとえば「本契約の成立を証するため、本電子契約書ファイルを作成し、甲乙双方が電子署名を行い、各自その電磁的記録を保管する。」といった文言です。

電子署名の方式に触れたい場合は「甲および乙は、本契約書の電磁的記録に、電子契約サービスを利用して電子署名を行う。」のように、サービス名を固定せず一般的な表現にしておくと、後で別のサービスを使うことになっても矛盾しません。締結日についても「本契約は、双方の電子署名が完了した日をもって成立する。」と書いておくと、日付欄の扱いで迷いません。

相手が先に紙の雛形を送ってきた場合は、この末尾の1段落だけを差し替える提案をすると話が早く進みます。本文の条件を変えるわけではないので、先方の法務も確認しやすい修正です。文言の妥当性に不安があるときは、弁護士に確認しておくと安心です。

無料で使える範囲と、サービスを選ぶときの見方

電子契約サービスの多くは、送信件数や機能を限った無料の枠を用意しています。NDAのように件数が少なく、条項も定型的な書類であれば、まず無料の範囲で試してから判断する進め方が現実的です。ただし提供条件は変わるため、無料枠の有無や上限は各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。

選ぶときは、次の順に見ると判断がぶれません。第一に、相手が受け取るのに会員登録やアプリのインストールが必要かどうか。社外の人に署名してもらうNDAでは、メールのリンクだけで完結するほうが締結率が上がります。第二に、締結済みファイルと監査ログをダウンロードして自社側に保存できるか。サービスを乗り換えたときに過去分を取り出せないと困ります。

第三に、署名の方式です。メール認証による署名(立会人型)で足りるのか、本人確認を伴う電子証明書を使う方式(当事者型)まで必要なのかは、契約の重要度と相手の要求で変わります。NDA単体なら前者で運用し、金額の大きい本契約は方式を上げる、という使い分けをしている会社もあります。

相手が紙を希望したとき・片方だけ電子にしたいとき

相手が紙を希望する場合、無理に電子に統一する必要はありません。NDAは早く締結することに意味がある書類なので、押印して郵送するほうが結果的に速いなら、そちらを選ぶ判断もあります。相手の社内手続きに合わせたほうが、締結までの日数は短くなりがちです。

「自社は電子、相手は紙」という片方だけの締結は、原本が2種類できることになり管理が煩雑になります。どうしても混在する場合は、紙で締結した契約書をスキャンして電子ファイルと同じ場所に保管し、一覧表で締結方法まで記録しておくと、更新時期の管理がしやすくなります。

締結後の管理も決めておきます。NDAは有効期間が数年に及び、契約終了後も秘密保持義務が続く形が一般的です。契約日・有効期限・目的(どの案件のためのNDAか)を一覧にしておくと、同じ相手と二重にNDAを結ぶ事態を避けられます。

締結したあとにやること

締結済みPDFは、相手からの返送を待たずにサービスからダウンロードし、自社の保管場所に置きます。ファイル名は「締結日_相手方名_NDA」のように、検索で見つかる形に統一しておくと後が楽です。社内の誰がアクセスできるかも、この段階で決めておきます。

電子で受け取った契約書の保存には、電子帳簿保存法の電子取引データの保存に関する考え方が関わる場合があります。検索できる状態で保存する、改ざんを防ぐ運用にする、といった点が論点になりますが、要件の詳細は国税庁の資料を確認し、自社の保存方法が適切かは税理士にご確認ください。

NDAを結んだあとは、実際に受け取った秘密情報の扱いにも目を配ります。共有フォルダのアクセス権、退職時の返却・削除、外部への持ち出しなど、契約書に書いた義務を社内で実行できる状態にしておくことが、NDAを結ぶ本来の目的です。条項の解釈や、万一の漏えい時の対応に迷う場合は、弁護士に相談してください。

よくある質問

NDAを電子契約で結ぶと、押印は不要になりますか。

電子契約では、印鑑の代わりに電子署名やメール認証による承認で締結する形が一般的です。法令上、押印が求められる契約類型でなければ、押印なしでも締結できると説明されています。ただし相手の社内規程で押印が求められることはあるため、事前に確認しておくと安心です。

無料で使える電子契約サービスでNDAを結んでも大丈夫ですか。

無料の枠であっても、締結の効力そのものが変わるわけではないと一般に説明されています。確認しておきたいのは、締結済みファイルと署名の記録を自社でダウンロード・保存できるか、という点です。無料枠の条件は変更されることがあるため、各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。

契約書の末尾にはどう書けばよいですか。

「本契約の成立を証するため、本電子契約書ファイルを作成し、甲乙双方が電子署名を行い、各自その電磁的記録を保管する。」といった文言が使われています。あわせて「双方の電子署名が完了した日をもって成立する」と書いておくと、締結日の扱いで迷いません。文言の妥当性が気になる場合は、弁護士にご確認ください。

相手が電子契約に応じてくれない場合はどうすればよいですか。

NDAは早く締結できることが優先されるので、相手の手続きに合わせて紙で進める判断もあります。その場合は締結後にスキャンして電子ファイルと同じ場所に保管し、契約一覧に締結方法まで記録しておくと管理が崩れません。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。