本店移転登記の費用と期間|登録免許税と自分で申請する場合の目安

・住所・オフィス・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

オフィスを引っ越した、自宅兼事務所から借りたオフィスに移した、バーチャルオフィスを変えた。理由は何であれ、会社の住所が変わったら本店移転の登記が必要です。「いくらかかるのか」「いつまでに出すのか」「申請してから何日で反映されるのか」。この3つを、判断の順番に沿って整理します。

この記事の結論

  • 法人の住所変更(本店移転)登記の費用は、登録免許税と、司法書士に依頼する場合の報酬、印鑑カードの再発行や証明書取得などの実費で構成されます。
  • 本店移転の登記は、移転した日から2週間以内に申請することとされており、期限を過ぎると過料の対象になることがあります。
  • 申請から登記完了までは各法務局が公表する完了予定日次第で、完了後でなければ新住所入りの登記事項証明書は取得できません。

法人の住所変更にかかる費用は何で決まるのか

本店移転登記の費用は、大きく3つに分かれます。ひとつ目が法務局に納める登録免許税、ふたつ目が司法書士に依頼する場合の報酬、3つ目が登記事項証明書や印鑑証明書の取得費用などの実費です。自分で申請する場合は、2つ目がかからない代わりに、書類作成と法務局とのやりとりの手間が自分に乗ります。

費用を左右する最大のポイントは、「管轄する法務局が変わるかどうか」です。同じ法務局の管轄内での移転であれば登記は1件ですが、管轄が変わる移転では、旧管轄への申請と新管轄への申請という形になり、登録免許税も2件分の考え方になります。つまり、同じ引っ越しでも、区や市をまたぐかどうかで費用が変わります。

登録免許税の額は法令で定められていますが、資本金の額や移転の形態によって扱いが異なる場合があります。申請前に、法務局の公式サイトや管轄法務局の案内で最新の税額を確認してください。司法書士に依頼する場合の報酬も事務所ごとに異なるため、見積もりを取って比較するのが確実です。

まず確認するのは「管轄が変わるか」と「定款に住所がどこまで書いてあるか」

手続きを始める前に、確認する順番があります。第一に、移転先が現在と同じ法務局の管轄かどうか。法務局の管轄は市区町村単位で区切られているので、法務局の管轄一覧で新旧の住所を照らし合わせます。ここで管轄内と分かれば、手続きは比較的シンプルです。

第二に、定款に本店所在地がどこまで書いてあるかを見ます。定款に「東京都○○区」のように最小行政区画までしか書いていない場合、同じ区内の移転であれば定款変更は不要で、取締役会(取締役会非設置会社なら取締役の決定)で具体的な所在場所を決める流れになります。一方、定款に番地まで書いている場合や、定款上の市区町村の外へ移る場合は、株主総会の特別決議による定款変更が必要になります。

この2点の組み合わせで、必要な書類と費用感がほぼ決まります。「管轄内・定款変更不要」がもっとも軽く、「管轄外・定款変更あり」がもっとも重い、と覚えておくと判断しやすくなります。ひとり社長の会社でも、株主総会議事録や決定書といった書面は作成しておく必要があります。

期限は移転日から2週間以内。いつ何を用意して、どこに出すか

会社法では、本店移転の登記は移転の日から2週間以内に申請することとされています。期限を過ぎてもその登記ができなくなるわけではありませんが、代表者が過料の対象になることがあるため、引っ越しが決まった時点で逆算して準備を始めるのが安全です。

手順は、①移転日を決める、②定款を確認し、必要なら株主総会の特別決議で定款変更を行う、③取締役会または取締役の決定で新しい所在場所と移転日を決める、④議事録・決定書をそろえて登記申請書を作成する、⑤移転日以後に管轄法務局へ申請する、という流れです。管轄が変わる場合は、旧本店所在地を管轄する法務局を経由して申請する方法が案内されています。

申請は、窓口・郵送・オンライン(登記・供託オンライン申請システム)から選べます。オンライン申請は電子証明書の準備が必要なので、初めてなら窓口や郵送のほうが迷いにくいでしょう。申請書の様式と記載例は法務局の公式サイトで公開されているため、自社のケースに近い様式を選んで埋めていくのが近道です。

自分で申請する場合と司法書士に頼む場合、どちらを選ぶか

判断の基準はシンプルです。①管轄内の移転で、②定款変更が不要または軽微で、③登記の期限までに2週間以上の余裕がある。この3つがそろうなら、自分で申請するハードルはそれほど高くありません。法務局の記載例を見ながら書類を作り、事前に管轄法務局の相談窓口で確認してもらう進め方が取れます。

逆に、管轄が変わる移転、定款変更や役員変更・目的変更などを同時に行う場合、あるいは移転日が迫っていて手戻りが許されない場合は、司法書士に依頼したほうが結果的に早く済むことが多いです。補正(申請後の訂正)が入ると完了までの日数が延びるため、確実性を優先したい場面では専門家に任せる判断も合理的です。

なお、司法書士の報酬は事務所や案件の内容によって異なります。複数の事務所に、移転の形態(管轄内か管轄外か)、資本金、同時に行う登記の有無を伝えて見積もりを取り、登録免許税や実費を含めた総額で比較してください。

申請してから住所が反映されるまでの期間と、その後にやること

登記の完了までにかかる日数は、申請の方法や法務局の混雑状況によって変わります。各法務局は登記完了予定日を公表しているので、申請前にその日付を見ておくと予定が立てやすくなります。書類に不備があって補正の連絡が来ると、その分完了は後ろにずれます。

登記が完了するまでは、新しい住所が記載された登記事項証明書は取得できません。銀行口座やクレジットカード、許認可、取引先への届け出で「新住所の登記事項証明書」を求められることが多いので、完了予定日を起点に、その後の手続きのスケジュールを組むのが現実的です。印鑑カードは、管轄が変わる移転では新しい法務局で再度交付を受ける流れになります。

登記が終わっても手続きは続きます。税務署・都道府県税事務所・市区町村への異動届、年金事務所や労働基準監督署・ハローワークへの所在地変更の届け出、銀行口座やカード、許認可の変更、契約書の住所、名刺やウェブサイトの表記。抜けやすいのは、社会保険と労働保険の届け出、それから請求書に記載している住所です。チェックリストを作って、登記完了日にまとめて着手すると漏れにくくなります。

税務や労務の届け出は提出先ごとに期限や様式が異なり、会社の状況によって必要書類も変わります。登記の書類づくりで迷ったら司法書士に、移転にともなう税務の扱いや届け出については税理士に、社会保険・労働保険の届け出については社会保険労務士に、早めに相談してください。

よくある質問

法人の住所変更登記は自分でできますか。

同一法務局の管轄内で、定款変更が不要なケースであれば、法務局が公開している申請書の様式と記載例を使って自分で申請することもできます。管轄が変わる移転や定款変更をともなう場合は書類が増えるため、司法書士に依頼する選択肢も検討してください。

住所変更の登記に期限はありますか。過ぎるとどうなりますか。

本店移転の登記は、移転の日から2週間以内に申請することとされています。期限を過ぎた場合でも登記自体は可能ですが、代表者が過料の対象となることがあるため、早めの申請をおすすめします。

申請してから新しい住所はいつ反映されますか。

登記が完了するまでは新住所の登記事項証明書は取得できません。完了までの日数は法務局や時期、補正の有無によって変わるため、管轄法務局が公表している登記完了予定日を確認してください。

費用は具体的にいくらかかりますか。

登録免許税は法令で定められており、管轄が変わる移転では2件分の考え方になるため、管轄内の移転より負担が大きくなります。具体的な税額は法務局の公式サイトで、司法書士報酬は各事務所の見積もりで確認してください。

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