記帳代行を依頼する流れ|必要書類と毎月の資料の渡し方
記帳代行を頼みたいけれど、何から連絡して、何を渡せばいいのか分からない。そんな状態で止まっている方は多いはずです。この記事では、問い合わせから契約、初回にそろえる書類、そして毎月の資料の渡し方までを、実際に手を動かす順番で整理します。領収書やレシートをどこまで整理してから渡すか、どこまで「丸投げ」できるのかも、判断の基準つきで説明します。
この記事の結論
- 記帳代行の依頼は、①問い合わせ・見積り②契約と初期ヒアリング③初回資料の提出④毎月の資料提出と月次確認、という流れで進むのが一般的です。
- 初回に用意するのは、会社の基本情報が分かる書類(登記事項証明書や定款の写しなど)、前期の決算書や申告書(設立初年度なら開業時の資料)、預金通帳とクレジットカードの明細、売上と仕入の請求書、領収書・レシート一式です。
- 毎月の資料は「通帳・カード明細・売上請求書・経費の領収書」の4点を軸に、月初に前月分をまとめて渡す運用にすると、遅れにくくなります。
記帳代行を依頼する流れは、大きく4ステップ
記帳代行の依頼は、どの事務所に頼んでも大枠は似ています。まず問い合わせと見積り、次に契約と初期ヒアリング、そして初回の資料提出、最後に毎月の資料提出と月次の確認、という4ステップです。最初の2つは一度きり、後ろの2つが毎月続く作業だと考えると、全体像がつかみやすくなります。
最初の問い合わせでは、業種、年商の規模感、月の取引件数(通帳の入出金や領収書の枚数の目安)、使っている会計ソフトの有無、決算月を伝えます。この4点がそろうと、相手も作業量を見積もりやすく、やりとりが短く済みます。料金は取引件数や対応範囲で変わるため、各事務所の公式サイトや見積りで最新の条件を確認してください。
契約が決まったら初期ヒアリングです。ここで、資料の渡し方(紙かデータか)、毎月の締め日、いつまでに何を返してもらえるか、決算や申告まで頼むのかを決めます。ここを曖昧にしたまま走り出すと、毎月「まだですか」のやりとりが発生しがちなので、最初に文章で残しておくことをおすすめします。
初回に用意する必要書類|会社の情報と過去の数字
初回はどうしても書類が多くなります。まず会社の基本情報として、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)や定款の写し、法人番号が分かるもの。税務署などに提出済みの届出書の控え(法人設立届出書、給与支払事務所等の開設届出書、青色申告の承認申請書など)があれば、それも渡します。控えが見当たらない場合は、その旨を伝えれば対応方法を案内してもらえます。
次に過去の数字です。2期目以降なら前期の決算書と法人税・消費税の申告書の控え、総勘定元帳。設立したばかりなら、設立前後に立て替えた開業費用の領収書と、資本金の振込が分かる通帳のページをそろえます。前期の数字がないと期首残高が決まらないため、ここは早めに探しておくと後がラクです。
加えて、日常の取引に関わるものとして、法人口座の通帳(またはネットバンキングの明細)、法人クレジットカードの明細、売上の請求書控え、仕入・外注の請求書、経費の領収書とレシート。従業員や役員に給与を払っているなら、給与明細や賃金台帳、社会保険・源泉所得税の納付書の控えも必要になります。何が必要かは事務所ごとに細かく違うので、渡されたチェックリストに沿ってそろえるのが確実です。
領収書・レシートはどこまで整理して渡す?
よくある疑問が「領収書は整理してから渡すべきか」です。判断の順番はシンプルで、まず①事務所から指定の整理方法があるか確認する、②なければ「月ごとに封筒やクリアファイルで分ける」だけやる、③日付順の並べ替えや科目分けは、料金や手間との兼ね合いで決める、という順で考えます。整理を自分でやるほど作業量が減り、その分の条件が変わることもあるため、見積り時に聞いてみるとよいでしょう。
最低限おすすめしたいのは、「月でまとめる」「私用と事業用を混ぜない」「感熱紙のレシートは早めにスキャンかコピーを取る」の3つです。感熱紙は時間が経つと文字が薄くなることがあります。また、何の支払いか分かりにくい領収書には、その場で相手先や目的をメモしておくと、後から「これは何ですか」と聞かれる回数が減ります。
データで渡す場合は、スマホで撮影した画像やPDFをクラウドストレージの月別フォルダに入れる方法が一般的です。なお、電子データで受け取った請求書や領収書の保存方法については電子帳簿保存法の考え方が関わってきます。要件の詳細は国税庁の資料を確認し、自社の運用で問題ないかは税理士に相談してください。
毎月の資料の渡し方とスケジュールの決め方
毎月渡す資料は、基本的に「通帳(またはネットバンキングの明細)」「クレジットカードの明細」「売上の請求書控え」「経費の領収書・レシート」の4点セットです。ここに、給与を払っているなら給与明細、現金商売なら現金出納帳や日次売上の記録が加わります。毎月同じ4点を出す、と決めてしまうのがいちばん続きます。
タイミングは、前月分をまとめて月初に渡す形が回しやすいです。たとえば「毎月10日までに前月分を提出、月末までに試算表を受け取る」のように、提出期限と返却期限をセットで決めます。カード明細の締め日が月末とずれる場合は、その月に確定した明細を渡す、と最初にルールを決めておくと混乱しません。
渡し方は、紙の郵送・レターパック、直接持参、クラウドストレージやチャットでのデータ共有、会計ソフトの共有アカウントなど。判断基準は、①現金と紙の領収書が多いなら紙の郵送や持参が現実的、②ネット決済中心で紙が少ないならデータ共有が速い、③自社でも数字をすぐ見たいならクラウド会計の共有が向く、という順です。紙で渡す場合は、渡す前に写真を撮っておくと、原本が手元を離れている間も内容を確認できます。
「丸投げ」はどこまでできるのか
記帳代行で言う「丸投げ」は、多くの場合「資料を袋ごと渡せば、仕訳の入力と試算表の作成までやってもらえる」という意味です。領収書の整理から帳簿の作成まで任せられる一方、渡す資料そのものを集めるのは依頼する側の仕事として残ります。通帳の記帳、請求書の保管、領収書をなくさないこと。ここは代行できません。
また、取引の中身を知っているのは社長本人だけ、という場面が必ず出てきます。「この入金は何の売上か」「この支出は誰との会食か」といった確認のやりとりには、月に一度は時間を取るつもりでいてください。ここを放置すると、内容が確定しない仕訳が積み上がり、決算前にまとめて聞かれることになります。
なお、記帳代行と税務申告は別のサービスです。税務代理や税務相談は税理士の業務とされているため、記帳のみを請け負う事業者に申告まで頼めるとは限りません。決算・申告まで一本で任せたいのか、記帳だけ切り出したいのかは、契約前にはっきりさせておきましょう。
依頼先を選ぶときに見る順番
候補を比べるときは、①決算・申告まで含めるかどうか、②資料の渡し方が自社のやり方に合うか、③月次の試算表がいつ出てくるか、④質問への返答手段と速さ、⑤料金と、取引件数が増えたときの扱い、の順に見ると迷いにくくなります。金額から入ると、後から「これは範囲外」となりがちです。
業種特有の事情がある場合は、その点を最初に聞いてみてください。飲食や小売のように現金と日次売上が多い業種、建設業のように工事ごとの原価管理が要る業種、越境ECのように外貨や決済サービスが絡む業種では、対応の慣れがそのまま手間の差になります。
料金体系は取引件数や対応範囲で各社まちまちです。金額や条件は各社の公式サイト、または見積りで最新の内容を確認してください。契約前に、途中解約の条件と、これまでのデータを引き継げるかどうかも確認しておくと安心です。
最初の一歩:今週やること
まずは手元の状態を確認します。法人口座の通帳(またはネットバンキング)、カード明細、今年に入ってからの領収書、直近の請求書。この4つがどこにあるか分かれば、問い合わせの準備はほぼ終わりです。見つからないものがあっても、その状態のまま相談して構いません。
次に、業種・決算月・月の取引件数の目安・会計ソフトの有無をメモにまとめ、2〜3か所に問い合わせます。同じ内容を伝えると、返ってくる提案の差が比べやすくなります。
最後に、記帳の方法や経費の扱い、消費税の取り扱いについては、会社の状況によって判断が変わります。インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も含め、自社に当てはめた判断は税理士にご相談ください。設立直後で登記関係の書類が整っていない場合は司法書士、従業員を雇い始めるタイミングなら社会保険労務士に相談すると、必要な届出が一度に整理できます。
よくある質問
記帳代行は毎月何を渡せばいいですか?
基本は、通帳またはネットバンキングの明細、クレジットカードの明細、売上の請求書控え、経費の領収書・レシートの4点です。給与を払っている場合は給与明細や納付書の控えも加わります。事務所ごとにチェックリストがあることが多いので、契約時に確認して毎月同じものを出す運用にすると続きます。
領収書はバラバラのまま渡しても大丈夫ですか?
月ごとに分けるだけでも受けてもらえることが多いですが、対応範囲や条件は事務所によって異なります。最低限、月別に封筒やファイルで分け、私用のものを混ぜないようにしておくと、確認のやりとりが減ります。日付順の並べ替えまで必要かは、見積りの段階で聞いておきましょう。
記帳代行に丸投げすれば、確定申告や決算もやってもらえますか?
記帳代行と税務申告は別のサービスで、税務代理や税務相談は税理士の業務とされています。決算・申告まで任せたい場合は、その範囲を含む契約かどうかを事前に確認してください。記帳のみの契約なら、申告は別途、税理士に依頼する形になります。
設立したばかりで過去の資料がありません。依頼できますか?
設立初年度であれば、前期の決算書がないのは自然なことです。代わりに、定款や登記事項証明書、資本金の振込が分かる通帳のページ、設立前後に立て替えた開業費用の領収書をそろえて相談してください。書類が足りない場合の対応も含めて案内してもらえます。