会計ソフトの無料お試しの使い方|試用期間に確認しておくこと
クラウド会計ソフトの多くは、契約前に一定期間ためせる無料お試しを用意しています。ただ、画面をひと通り眺めただけで終わってしまい、期間が切れてから「結局どこが違うのか分からなかった」となる人は少なくありません。この記事では、お試し期間に何を、どの順番で確認すれば本契約の判断ができるのかを、ひとり社長や小さな会社のバックオフィス担当者向けに整理します。
この記事の結論
- 会計ソフトの無料お試しでは、機能一覧を眺めるよりも、自社の実際の取引を1か月分入力してみて毎月の作業がどのくらいの時間で終わるかを見るほうが、使い勝手を確かめやすい方法です。
- 確認する順番は、①銀行・カードの連携ができるか、②自動で提案される仕訳がどこまで自社の勘定科目に合うか、③決算・申告まで必要な書類が出せるか、の3つを先に見ると判断が早くなります。
- お試し期間の終了日と、そのまま有料契約に移行するかどうかの扱いは各社で異なるため、申し込み時に公式サイトの案内を確認し、カレンダーに終了日を入れておくと安心です。
会計ソフトの無料お試しでは、まず何をすればいい?
無料お試しを申し込んだら、最初にやることは機能の見学ではなく「事業所(会社)の基本設定」です。会社名、事業年度、消費税の課税・免税の区分、勘定科目といった設定を入れないと、あとから入力した仕訳の見え方が変わってしまい、試した意味が薄くなります。設定画面は多くのソフトで初期設定ウィザードとして用意されているので、そこを最後まで通すのが出発点です。
次に、実際に使っている銀行口座とクレジットカードを1つずつ連携してみます。ここでつまずくと以降の自動化が全部効かなくなるため、優先度が高い作業です。連携の方式や対応している金融機関は各社・各金融機関で異なるので、自社のメインバンクが使えるかどうかは、お試しの初日に確かめておきたいところです。
基本設定と連携が済んだら、直近1か月分の取引を入力していきます。サンプルデータをいじるのではなく、自社の実際の領収書と通帳の動きを使うのがポイントです。ここまでやって初めて、「毎月これをやり続けられるか」が体感として分かります。
「1か月分を実際に入力してみる」のは有効な判断方法のひとつ
会計ソフトの比較記事を読み込んでも、自社に合うかどうかはなかなか分かりません。というのも、合う・合わないを決めるのは機能の数ではなく、自社の取引パターンとソフトの自動化の相性だからです。売上が毎月同じ数社からの振込で完結する会社と、現金売上と経費精算が毎日発生する会社とでは、快適に感じるソフトが変わります。
そこで、お試し期間の前半で直近1か月分を入力し、かかった時間をざっくり記録してみてください。「銀行明細の取り込みから仕訳の確定まで何分」「レシートの入力に何分」と分けて測ると、どこが自社のボトルネックかが見えます。2社を比べるなら、同じ1か月分を両方に入れてみると差が出ます。
この作業をすると、後から効いてくる副産物もあります。本契約したときに、その1か月分のデータをそのまま使えるかどうか(お試しデータが引き継がれるか)も確認できますし、入力に慣れておけば初月の立ち上がりが楽になります。データの引き継ぎ可否は各社の案内を確認してください。
試用期間に確認しておくチェック項目
確認は次の順番で進めると、判断に必要な材料が早くそろいます。まず①金融機関・カード・決済サービスとの連携。自社で使っている口座、法人カード、ネットショップや決済サービスがつながるかを見ます。次に②自動で提案される仕訳の精度と、勘定科目・補助科目を自社の形に整えられるか。ここが合わないと、毎月の修正作業がずっと残ります。
続いて③帳票と申告まわりです。試算表、総勘定元帳、決算書の形式が出せるか、消費税の集計や適格請求書(インボイス)に関する登録番号の管理がどう扱われるかを見ておきます。制度対応の細かい要件は年度によって整理が変わることがあるため、国税庁など所管官庁の資料もあわせて確認し、判断に迷う部分は税理士にご相談ください。
最後に④運用まわりです。複数人で使う場合の権限設定、税理士や会計事務所を招待できるか、スマホアプリでどこまで操作できるか、CSVでのインポート・エクスポートに対応しているか。特にエクスポートは、将来ほかのソフトへ移るときや顧問税理士とデータをやり取りするときに使うので、試用中に一度実行して中身を見ておくと安心です。
無料プランと無料お試しは何が違う?
混同されやすいのですが、「無料お試し(トライアル)」は有料プランの機能を期間限定で使えるもの、「無料プラン」は機能や登録件数などに制限をつけたうえで継続して使えるものを指すことが多いです。前者は期間が来ると使えなくなり、後者は制限の範囲内なら使い続けられます。どちらが用意されているか、内容がどうなっているかは提供会社やプランによって異なります。
法人の場合、無料プランでは決算書の出力や一部の申告関連機能が対象外になっているケースがあります。個人事業から法人成りした人が、個人時代の感覚で「無料でいけるだろう」と考えると、決算のタイミングで足りないことに気づく、ということが起こりがちです。法人で使うなら、決算まで一巡できるかを軸に見てください。
キャンペーンやキャッシュバックの案内を見かけることもありますが、条件や実施期間は変わります。金額や適用条件をこの記事で書くことはできませんので、申し込み前に各社の公式サイトで最新の料金とキャンペーン条件を確認してください。判断の順番としては、まず自社の運用に合うかを決め、そのうえで費用面を見る、という順が無難です。
乗り換えを検討している場合に見ておくこと
すでに別の会計ソフトを使っていて乗り換えを考えている場合、お試し期間に確かめるべきは「移行できる範囲」です。過去の仕訳データ、勘定科目の設定、取引先マスタ、固定資産の登録内容などは、そのまま移せるものと手で作り直すものに分かれます。ここは普段は意識しませんが、乗り換えの負担が大きくなりやすい部分です。
実務的には、期首(新しい事業年度の開始)に合わせて切り替えると、期中のデータを分割して扱う手間が減ります。決算期の途中で乗り換えると、同じ年度の帳簿が2つのソフトにまたがることになり、決算作業が煩雑になりやすいです。どうしても期中に移す場合は、移行時点の残高をどう引き継ぐかを事前に決めておいてください。
顧問税理士がいる会社は、乗り換えの前に一言相談しておくことをおすすめします。事務所側が対応しているソフトかどうかで、月次のやり取りのしやすさが変わります。電子帳簿保存法に関する保存方法の設定も、ソフトによって画面や考え方が異なるため、要件の詳細は国税庁の資料を確認し、自社の運用が適切かは税理士にご確認ください。
お試し期間が終わる前にやっておくこと
申し込んだ日に、お試し期間の終了日をカレンダーに登録しておきます。あわせて、終了後に自動で有料契約へ移行するのか、いったん停止するのかを公式サイトの案内で確認しておくと、想定外の請求を避けやすくなります。解約や停止の手順も、必要になってから探すのではなく、先に場所だけ見つけておくと落ち着いて判断できます。
終了日の数日前には、入力したデータのエクスポートを一度試しておきましょう。仕訳データや取引先一覧をCSVなどで書き出せるか、書き出したファイルが読める形式かを見ます。もしそのソフトを選ばなかった場合でも、試した記録が手元に残るので、次の候補を試すときの比較材料になります。
最終判断の基準はシンプルで、「毎月の入力・確認作業を、自分(または担当者)が無理なく続けられるか」「決算と申告まで必要な書類がそろうか」の2点です。どちらかに不安が残るなら、もう1社を同じ手順で試すか、顧問税理士に自社の取引内容を伝えたうえで相談してみてください。制度対応や税務処理の判断を含む部分は、税理士に確認しながら進めると安心です。
よくある質問
会計ソフトの無料お試しは、何日くらい使えますか?
期間は提供会社やプランによって異なり、変更されることもあります。申し込み前に各社の公式サイトで期間と終了後の扱いを確認し、開始日と終了日をカレンダーに入れておくとよいでしょう。
無料お試し中に入力したデータは、本契約後もそのまま使えますか?
そのまま引き継げる場合と、引き継げない場合があります。試用開始時にヘルプやサポートで確認し、念のため期間終了前に仕訳データをCSVなどで書き出しておくと安心です。
複数のクラウド会計ソフトを同時に試してもいいですか?
同時に試すこと自体は可能ですが、設定と入力の手間が倍になります。同じ1か月分の取引を両方に入力して作業時間と仕訳提案の合い方を比べると、違いが分かりやすくなります。
法人でも無料プランだけで運用できますか?
無料プランは機能や件数に制限があることが多く、法人の決算や申告に必要な機能が対象外の場合があります。決算まで一巡できるかを基準に確認し、判断に迷う場合は税理士にご相談ください。