IT導入補助金で会計ソフトを導入する|対象になる条件と申請の流れ
「会計ソフトを入れたいけれど、初期費用と月々の負担が気になる」。そんなときに候補になるのがIT導入補助金です。ただし、自分で好きなソフトを買って後から申請する、という仕組みではありません。対象になる会社の条件、対象になるソフトの探し方、申請の順番を、はじめての人向けに整理します。
この記事の結論
- IT導入補助金で会計ソフトを導入する場合、あらかじめ事務局に登録されたIT導入支援事業者と、登録されたツールの組み合わせでしか申請できません。
- 申請は「支援事業者を決める→gBizIDプライムを取得する→支援事業者と一緒に申請する→交付決定を待つ→発注・契約する」という順番で、交付決定前に契約や支払いをすると対象外になることがあります。
- パソコンなどのハードウェアは枠や条件によって扱いが異なるため、対象になるかどうかは申請予定の枠の公募要領とIT導入支援事業者への確認で判断します。
IT導入補助金で会計ソフトは対象になる?まず押さえる3つの前提
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が業務効率化やデジタル化のためにITツールを導入する費用の一部を補助する制度です。会計ソフト、請求管理、給与計算といったバックオフィス系のソフトは、この制度の中でもよく使われている分野にあたります。ただし「会計ソフトなら何でも対象」ではない点が、最初につまずきやすいところです。
前提の1つ目は、対象になるのは事務局に登録されたITツールだけ、ということです。ソフトの提供会社が自社製品を事務局に登録し、その製品が公開されている場合に限って、補助の対象として申請できます。自分で家電量販店やオンラインで買ってきたソフトを、後から補助金として申請することはできません。
2つ目は、申請は自社単独ではできず、IT導入支援事業者(登録された販売・導入パートナー)と一緒に進める形になることです。3つ目は、交付決定を受ける前に契約・発注・支払いをしてしまうと、その費用は対象外と扱われることがある点です。「先に導入して後から申請」は通らない、と覚えておいてください。
自社は対象になる?申請前に確認する順番
まず、自社が中小企業・小規模事業者の定義に当てはまるかを確認します。業種によって資本金と従業員数の基準が分かれていて、法人だけでなく個人事業主が対象になる枠もあります。設立直後の会社や、開業したばかりの個人事業主でも申請できる場合がありますが、申請時点で開業・設立が済んでいることや、確定申告の実績を求められるケースもあります。
次に見るのが、どの枠で申請するかです。IT導入補助金にはいくつかの申請枠があり、汎用的な業務ソフトを入れる枠、インボイス対応の会計・受発注・決済ソフトに重点を置いた枠、セキュリティ関連の枠など、目的ごとに条件が分かれています。会計ソフトの導入は、インボイス対応に関する枠の対象になることが多いのですが、年度ごとに枠の名称や要件が見直されるため、最新の公募要領で確認してください。
判断の順番としては、①自社が中小企業・小規模事業者の定義に当てはまるか→②導入したい会計ソフトが登録ツールとして公開されているか→③そのツールがどの枠で申請できるか、の順に見ていくと迷いにくくなります。この3つのうち1つでも外れると、その組み合わせでは申請できません。
freee・弥生など使いたいソフトが対象か調べる方法
「freee 会計はIT導入補助金の対象か」「弥生会計は使えるのか」という調べ方をする人は多いのですが、正しい確認先は各ソフトの広告ページではなく、IT導入補助金の公式サイトにあるITツール検索です。ここで製品名や事業者名を検索すると、登録されているツールと、そのツールを扱うIT導入支援事業者が確認できます。
もう一つの方法は、各ソフトの公式サイトで補助金に関する案内ページを探すことです。多くのソフト会社が、自社が支援事業者になっているか、あるいはどの販売パートナーを通せばよいかを案内しています。料金やプランの内容は年度や時期で変わるため、金額については各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。
ソフト選び自体の基準も整理しておきましょう。仕訳の自動化やレシート取り込みを重視するならクラウド型、既存の税理士事務所とのデータ連携を優先するなら、その事務所が日常的に扱っているソフトに合わせる、という考え方があります。補助金が使えるかどうかだけでソフトを決めると、補助が終わった後の運用で合わなくなることがあるので、まず業務に合うかを先に見て、その中で登録ツールがあるかを確かめる順番がおすすめです。
IT導入支援事業者の選び方と、申請から報告までの流れ
申請の前に、IT導入支援事業者を決めます。同じ会計ソフトでも、扱っている支援事業者は複数あることが多く、対応の丁寧さや、導入後のサポート範囲に差が出ます。選ぶときは、①自社が入れたいソフトを扱っているか、②申請書類の作成をどこまで手伝ってくれるか、③導入後の初期設定や操作レクチャーが含まれるか、④事業報告(効果報告)の時期にも連絡が取れるか、の4点を聞いてみてください。補助金は交付されて終わりではなく、その後の報告まで付き合いが続きます。
流れは大きく次の順です。まず、申請に必要な「gBizIDプライム」というアカウントを取得します。法人の場合は法人の印鑑証明書などを用意して申請する形で、発行までに日数がかかることがあるため、導入を考え始めた時点で先に手を付けておくと安心です。あわせて、SECURITY ACTIONという情報セキュリティ対策の自己宣言を求められる枠もあります。
次に、支援事業者と一緒に交付申請を行います。申請では、導入するツールの内容のほか、履歴事項全部証明書や税務関係の書類など、会社の実在と事業実態を示す書類を求められるのが一般的です。交付決定の通知を受け取ってから、契約・発注・支払いを行い、導入が済んだら実績報告を提出します。補助金が支払われるのは実績報告の後なので、導入費用はいったん自社で立て替える形になります。その後も、決められた期間は事業の効果報告が続きます。
パソコン購入は対象になる?ハードウェアの扱い
「IT導入補助金 弥生会計 パソコン購入」のように、ソフトと一緒にパソコンも買いたいという相談はよくあります。ハードウェアについては、枠によって扱いが異なり、ソフトの導入に必要な範囲で対象になる場合と、そもそも対象外の場合があります。年度ごとの見直しも入るため、「去年は対象だったから今年も」と考えるのは避けたほうが無難です。
判断の順番としては、①申請したい枠の公募要領で、ハードウェアが補助対象経費に含まれているかを読む→②含まれている場合、どの機器が該当するのか(パソコン、タブレット、レジ、プリンタなど)の区分を確認する→③導入するソフトの利用に必要な構成として説明できるかを整理する、という流れになります。
そのうえで、IT導入支援事業者に「この枠で、この機種は対象になりますか」と具体的な構成を示して確認すると、認識のズレによる確認漏れを防げます。曖昧なまま先に機器を買ってしまうと、交付決定前の購入として対象外になることもあります。買う前に確認、を徹底してください。
補助金が使えなかったときの代替案と、相談先
登録ツールに希望のソフトがなかった、申請の時期に間に合わなかった、採択されなかった——こうしたケースもあります。その場合でも、会計ソフトの導入自体を止める必要はありません。多くのクラウド会計ソフトには無料の試用期間があり、まず少人数で使って運用を固めてから本格導入する、という進め方ができます。費用は各社の公式サイトで最新の料金を確認してください。
国の補助金以外に、自治体が独自にIT導入やデジタル化の費用を支援している場合もあります。本店所在地の都道府県・市区町村のホームページで「デジタル化 補助」「IT導入 支援」といった語で探してみてください。商工会議所や商工会、よろず支援拠点でも、地域の制度をまとめて案内してもらえることがあります。
なお、補助金を受け取った場合の会計処理や税務上の取り扱いは、受け取った時期や使途によって判断が分かれることがあります。圧縮記帳の可否なども含め、処理の仕方は顧問税理士に確認してください。申請要件や書類の解釈に迷う部分は、事務局の窓口とIT導入支援事業者に確認したうえで、税務の扱いについては税理士に相談する、という分担で進めると安心です。
よくある質問
すでに使っている会計ソフトのプランを上げる場合も対象になりますか。
既存契約の継続や単純な更新は対象外と扱われることが一般的です。新規に導入するツールや、登録された機能の追加であれば対象になる場合があるため、申請予定の枠の公募要領と、IT導入支援事業者への確認をおすすめします。
設立したばかりの会社でも申請できますか。
枠によっては創業間もない法人や個人事業主も申請できますが、申請時点で登記や開業が済んでいることや、直近の決算・確定申告に関する書類の提出を求められることがあります。用意できる書類を先に確認してから、申請時期を決めてください。
補助金はいつ振り込まれますか。
導入・支払いが終わった後に実績報告を提出し、その内容が確認されてから交付される流れが一般的です。そのため導入費用はいったん自社で立て替える必要があり、資金繰りを見込んでスケジュールを組んでおくと安心です。
申請は自分だけで進められますか。
IT導入補助金は、登録されたIT導入支援事業者と共同で申請する仕組みのため、自社単独では手続きを完結できません。まず導入したいソフトを扱う支援事業者を探し、gBizIDプライムの取得と並行して相談を始めるとスムーズです。