法人税の申告に誤りがあったとき|修正申告と更正の請求の使い分けと手順

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

決算が終わって申告書を提出したあとに、「売上の計上がひとつ漏れていた」「経費を二重に入れていた」と気づくことは、珍しいことではありません。大切なのは、気づいた時点でどちらの手続きを使うのかを正しく選び、早めに動くことです。この記事では、法人税の申告に誤りが見つかったときの直し方を、判断の順番にそって整理します。

この記事の結論

  • 提出した法人税の申告で税額が少なすぎた場合は「修正申告」、多すぎた場合は「更正の請求」を使い、どちらも所轄の税務署に提出します。
  • 申告期限より前に誤りに気づいたときは、修正申告ではなく、期限内にもう一度申告書を出し直す「訂正申告」で対応するのが一般的です。
  • 更正の請求は原則として法定申告期限から一定期間内という期限が定められているため、気づいた時点で早めに税理士や税務署に確認することがすすめられます。

法人税の申告の誤りは、まず「いつ気づいたか」で分かれます

申告後に誤りが見つかったとき、最初に確認するのは「今が申告期限の前か後か」です。法定申告期限より前であれば、正しい内容の申告書をもう一度提出することで、あとから出したものが有効な申告として扱われるのが一般的です。これはいわゆる訂正申告で、修正申告とは別の考え方になります。

期限を過ぎてから気づいた場合は、内容に応じて修正申告か更正の請求のどちらかを選びます。ここで判断の分かれ目になるのが「最初の申告と比べて、納める税金が増えるのか減るのか」という点です。

なお、税務署からの連絡がきっかけで誤りが分かったのか、自社で先に気づいたのかによっても、その後の扱いが変わることがあります。自社で先に気づいたなら、できるだけ早く手続きを進めるほうが不利になりにくいと考えられます。

税額が少なすぎたときは修正申告、多すぎたときは更正の請求

売上の計上漏れ、架空ではないが期ずれしていた費用、棚卸資産の評価誤りなどで、本来納めるべき税額より少なく申告していた場合は「修正申告」です。修正申告書を所轄の税務署に提出し、不足していた税額を納付します。納付は提出と同じタイミングで進めるのが基本と考えてください。

反対に、費用の計上漏れや控除の適用漏れなどで税額を多く申告していた場合は「更正の請求」です。こちらは自分で税額を書き換えるのではなく、税務署に「減額の更正をしてほしい」と請求する手続きで、内容の確認を経て還付などにつながります。

迷ったときは、正しい数字で申告書を作り直してみて、当初の申告と税額を比べるのがいちばん確実です。増えるなら修正申告、減るなら更正の請求、と機械的に判断できます。所得金額が変わっても税額が変わらないケースもあるため、判断に迷うときは税理士に確認してください。

修正申告の進め方|いつ・何を用意して・どこに出すか

タイミングは「誤りに気づいたらできるだけ早く」です。税務調査の連絡を受けてから提出する場合と、自主的に提出する場合とで附帯税の扱いが変わることがあるため、先延ばしにするメリットはあまりありません。

用意するものは、当初提出した申告書の控え、修正の根拠となる帳簿や証憑(請求書、契約書、通帳の記録など)、そして正しい数字で作り直した決算書類です。これらをもとに修正申告書を作成し、当初の申告額と修正後の額、その差額が分かる形で記載します。

提出先は当初の申告と同じ所轄の税務署です。e-Taxで申告している法人は、電子で修正申告書を送信するのが一般的です。法人税だけでなく、地方税(法人住民税・法人事業税)や、内容によっては消費税の申告にも影響することが多いので、関連する申告をまとめて見直してください。

更正の請求の進め方と期限の考え方

更正の請求は「更正の請求書」を所轄の税務署に提出します。ポイントは、なぜ当初の申告が過大だったのかを説明する資料を添えることです。計上漏れの経費であれば請求書や支払の記録、契約内容の誤りであれば契約書など、第三者から見て確認できるものを揃えます。

更正の請求には、原則として法定申告期限から一定の期間内という期限が法律で定められています。年数の具体的な取り扱いや、例外的に認められるケース(後から判決などで事実関係が変わった場合など)は制度の細かい規定にかかわるため、国税庁の最新の資料を確認するか、税理士に確認してください。

また、更正の請求は出せばそのまま通るものではなく、税務署が内容を確認したうえで判断します。資料が不十分だと確認に時間がかかったり、認められなかったりすることがあります。請求の前に、根拠資料が説明として成り立っているかを点検しておくと安心です。

修正申告にともなう附帯税と、放置したときのリスク

修正申告で不足税額を納めるとき、本税のほかに延滞税がかかることがあります。また、過少申告加算税などが課される場合もありますが、自主的に修正申告を行ったかどうか、税務調査の通知の前か後かといった事情によって扱いが変わります。具体的な割合や計算方法は国税庁の資料で確認するか、税理士に計算してもらってください。

誤りに気づいていながら放置すると、あとで税務調査で指摘された場合に、自主的に直したときよりも重い扱いになることがあります。金額の大小にかかわらず、気づいた時点で対応を検討するのが基本です。

なお、誤りが起きた原因そのものにも目を向けておきたいところです。請求書の受け取りが遅れて期ずれが起きたのか、勘定科目の判断を都度迷っていたのか。原因が分かれば、翌期の締め作業の手順を変えるだけで再発を減らせることがあります。

法人税の申告について相談するなら、どこに何を聞くか

手続きの様式や提出方法といった形式面は、所轄の税務署に問い合わせて確認できます。国税庁のサイトにも申告書の様式や手引きが用意されているので、まずはそこで全体像をつかむとよいでしょう。

一方で、「この費用は当期の損金になるのか」「この取引はどの事業年度に計上すべきか」といった判断そのものは、事実関係の確認が必要になる領域です。判断を誤ったまま修正申告や更正の請求を出すと、二度手間になったり、かえって不利になったりすることがあります。

ひとり社長や小規模な会社で、決算をご自身で組んでいる場合ほど、誤りの影響範囲が読みにくくなりがちです。法人税・地方税・消費税にまたがる修正が必要かどうかも含めて、税理士に相談したうえで進めることをおすすめします。登記事項に関わる誤り(役員変更の登記漏れなど)が背景にある場合は、司法書士への相談もあわせて検討してください。

よくある質問

申告期限の前に誤りに気づいたときも修正申告になりますか。

期限前であれば、正しい内容の申告書をあらためて提出する訂正申告で対応するのが一般的で、修正申告とは区別されます。最後に提出したものが有効な申告として扱われますが、提出方法や書き方の細かい点は所轄の税務署に確認してください。

修正申告と更正の請求は、どちらを選べばいいですか。

正しい数字で申告書を作り直し、当初の申告と税額を比べるのが判断の近道です。税額が増えるなら修正申告、減るなら更正の請求になります。判断に迷う場合や両方の要素が混ざる場合は、税理士に確認したうえで進めてください。

法人税を修正すると、地方税や消費税の申告もやり直しが必要ですか。

所得金額が変わると法人住民税や法人事業税の申告にも影響することが多く、取引内容の誤りであれば消費税の申告に波及することもあります。どこまで直す必要があるかは誤りの内容によって変わるため、関連する申告をまとめて税理士に見てもらうと安心です。

更正の請求を出せば、必ず税金が戻ってきますか。

更正の請求は税務署に減額の更正を求める手続きで、内容の確認を経て判断されます。根拠資料が不十分だと認められないこともあるため、請求前に説明資料を整えておくことが大切です。

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