法人税をe-Taxで電子申告する|やり方と郵送・紙との違い

・会計・税務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

法人税の確定申告は、紙に印刷して税務署へ持ち込む・郵送するほかに、e-Taxで電子申告する方法があります。ひとり社長や小さな会社では「そもそも何から準備すればいいのか」「紙のままではだめなのか」で止まりがちです。この記事では、e-Taxで法人税申告を行うための事前準備、当日の送信手順、紙・郵送との実務的な違いを、判断の順番が分かる形で整理します。

この記事の結論

  • 法人税をe-Taxで電子申告するには、①電子証明書の取得、②e-Taxの開始届出による利用者識別番号の取得、③申告書を作成・送信できるソフトの用意、の3つを先に済ませる必要があります。
  • e-Taxで送信した申告は送信日時が到達の記録となり、受信通知(メッセージボックスに届く通知)が提出の証拠になるため、紙の控えに代わる保存対象になります。
  • 一定規模以上の法人には電子申告が義務づけられており、対象範囲や添付書類の取扱いは国税庁の資料で最新情報を確認してください。

法人税の確定申告をe-Taxでするとは、具体的に何をすること?

法人税の確定申告書(別表一をはじめとする各別表)と、貸借対照表・損益計算書などの財務諸表、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書を、紙ではなくデータで税務署に送信する手続きです。窓口に行く必要も、郵便局に持ち込む必要もなく、深夜や休日でも送信自体は行えます(e-Taxの利用可能時間は国税庁のサイトで確認してください)。

注意したいのは、国に納める法人税(国税)と、都道府県・市区町村に納める法人住民税・法人事業税(地方税)は、システムが分かれている点です。国税はe-Tax、地方税はeLTAX(エルタックス)を使います。片方だけ電子で送って、もう片方を忘れるという取り違えが起きやすいので、申告先を一覧にしてから作業を始めると安全です。

なお、一定規模以上の法人については電子申告が義務づけられています。自社が対象かどうかは資本金の額などで判断されるため、国税庁の案内で対象範囲を確認するか、顧問税理士に確認してください。

e-Taxで申告する前に準備するもの(この順に進めます)

最初に用意するのは電子証明書です。法人の場合は、法務局が発行する商業登記電子証明書を使う方法と、代表者個人のマイナンバーカードを電子署名に使う方法があります。どちらが向くかは、社内で誰が送信作業を担当するかで決めると整理しやすく、代表者本人が送信するならマイナンバーカード、経理担当者が法人名義で運用するなら商業登記電子証明書が検討しやすい、という考え方になります。

次に、e-Taxの開始届出を提出して利用者識別番号を取得します。オンラインで届出を行う方法と、書面で所轄の税務署に提出する方法があります。取得後は、利用者識別番号と暗証番号をパスワード管理の対象として保管してください。担当者が退職したときに誰も入れなくなる、という事故が起きがちな部分です。

最後に、申告書を作るソフトを決めます。選択肢は大きく、国税庁が提供するe-Taxソフト、市販の申告ソフト、会計ソフトの申告機能、そして税理士による代理送信の4つです。別表の作成に自信がない、あるいは初年度で判断に迷う項目が多い場合は、税理士に依頼して代理送信してもらう形が現実的です。

マイナンバーカードで電子署名をする場合はICカードリーダライタやスマートフォンの読み取り機能、あわせて国税庁が案内する事前設定(ルート証明書のインストールやブラウザ設定など)も必要になります。ソフトごとに手順が異なるため、各ソフトの公式マニュアルに沿って進めてください。

法人税をe-Taxで電子申告するやり方(当日の流れ)

決算が固まったら、まず決算書を確定させます。順番としては、①試算表の確定 → ②決算整理仕訳 → ③貸借対照表・損益計算書の確定 → ④別表の作成、です。別表は決算書の数字を前提に作るため、決算書が動くと別表もやり直しになります。ここを急ぐと二度手間になりがちです。

次に、申告ソフトで別表一・別表四・別表五(一)などを作成し、財務諸表、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書を添付データとして用意します。財務諸表はXBRLやCSVなど所定の形式で送る方式が案内されていますので、使っているソフトの出力機能を確認してください。

データがそろったら、電子署名を付与して送信します。送信後はメッセージボックスに受信通知が届くので、内容(受付日時、受付番号、提出先)を確認し、PDFなどで保存します。エラーで受け付けられていないのに送信できたと思い込むケースがあるため、受信通知を見るまでが送信作業だと考えてください。

申告が終わったら納付です。ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、窓口での納付など複数の方法があります。ダイレクト納付を使う場合は、金融機関への届出が事前に必要で、手続きに日数がかかることがあるため、申告期限のぎりぎりに準備を始めないようにしましょう。

郵送・紙の提出とどう違う?迷ったときの判断基準

一番大きな違いは「いつ提出したことになるか」です。郵送の場合は通信日付印(消印)の日付が提出日として扱われ、信書として送る必要があります。窓口持ち込みは受付時間内でなければ提出できません。e-Taxは送信が完了して受け付けられた日時が記録として残るため、期限日の夜でも作業できる点が実務上の利点です。

控えの扱いも違います。紙では控えに受付の記録をもらう運用が長く行われてきましたが、収受日付印の取扱いは見直されています。最新の取扱いは国税庁のサイトで確認してください。e-Taxでは受信通知と申告データそのものが提出の記録になるため、金融機関や取引先から申告書の控えを求められたときは、申告書PDFと受信通知をセットで示す形が一般的です。

どちらを選ぶかで迷ったら、次の順で考えてみてください。第一に、電子申告が義務づけられる法人に該当するか。該当するなら電子一択です。第二に、税理士に申告を依頼しているか。依頼しているなら代理送信が使えるので、自社での準備は最小で済みます。第三に、自社で作る場合、電子証明書とソフトを申告期限までに整えられるか。整えられないなら今期は紙で出し、次の期に向けて準備を進める、という判断もあり得ます。

よくあるつまずきと、期限まわりで気をつけること

法人税の申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。決算作業、別表作成、送信準備をこの中に収める必要があるため、逆算してスケジュールを引いておくと落ち着いて進められます。定款で株主総会の時期が後ろになるなどの事情がある場合は、申告期限の延長の特例という制度もありますので、該当しそうなら税理士に相談してください。なお、申告期限を延長しても納付に関する取扱いは別なので、そこも合わせて確認が必要です。

つまずきやすいのは、電子証明書の有効期限切れ、暗証番号の失念、法人の名称や所在地を変更したのにe-Taxの登録情報を更新していない、といった事前準備まわりです。いずれも期限直前に気づくと再取得に日数がかかります。決算日を迎えた時点で、証明書の有効期限とログインの可否を一度確認しておくと安心です。

また、e-Taxで送信した申告関係のデータや受信通知は、帳簿書類とあわせて保存の対象になります。電子帳簿保存法の考え方も関わるため、保存場所とファイル名のルールを最初に決めておくと後が楽です。具体的な保存要件は国税庁の資料で確認し、判断に迷う点は税理士に確認してください。

税理士に頼む場合と自社でやる場合、どちらを選ぶか

自社で電子申告する形が向くのは、取引がシンプルで、会計ソフトから決算書まで自社で作れており、別表の内容もおおむね理解できている会社です。この場合、会計ソフトの申告機能や市販ソフトでそのまま送信まで完結できます。

一方、初年度の申告、役員報酬や貸倒れ、固定資産の減価償却など判断を伴う論点がある、あるいは赤字の繰越や税額控除を使いたい場合は、税理士への依頼を検討する場面です。税理士が代理送信する場合、電子証明書は税理士側のものを使う運用となるため、自社での証明書準備の負担が減るという副次的な利点もあります。

税額計算や申告内容の判断は個々の事情で結論が変わります。この記事は一般的な流れの説明にとどまりますので、自社のケースでどう扱われるかは、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

よくある質問

法人税の確定申告は、紙で郵送してもいいのですか?

電子申告が義務づけられている法人に該当しない場合は、書面での提出も引き続き行われています。郵送する場合は信書として送り、通信日付印の日付が提出日として扱われる点に注意してください。自社が義務化の対象かどうかは、国税庁の案内または税理士に確認しましょう。

e-Taxで送ったあと、控えはどうやって保管すればいいですか?

送信後にメッセージボックスへ届く受信通知と、送信した申告書のPDFをセットで保存するのが一般的です。金融機関などから控えの提示を求められた際も、この2点を示す形が多く使われています。保存方法は電子帳簿保存法の考え方も関わるため、要件は国税庁の資料で確認してください。

法人税をe-Taxで出せば、地方税の申告もまとめて終わりますか?

いいえ、国税はe-Tax、地方税(法人住民税・法人事業税)はeLTAXと、使うシステムが分かれています。どちらも忘れずに提出する必要があるため、申告先の自治体を事前に一覧化しておくと漏れにくくなります。

マイナンバーカードがなくても電子申告はできますか?

法人の場合は、法務局が発行する商業登記電子証明書を使って電子署名を行う方法もあります。また、税理士に依頼して代理送信してもらう場合は、税理士側の電子証明書で送信されます。どの方法が自社に合うかは、送信作業を誰が担当するかを基準に選ぶと決めやすいでしょう。

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