法人税の納付方法と納付期限|申告と納税の順番を整理
法人税は「申告」と「納付」がセットで、しかも期限が同じ日に来ます。決算作業に集中していると、納税資金の準備や納付手続きが後回しになり、期限の直前で慌てることになりがちです。この記事では、決算から申告・納付までの順番、期限の数え方、納付方法の選び方、そして申告期限を延長した場合の見込納付までを、初めて決算を迎えるひとり社長でも動けるように整理します。
この記事の結論
- 法人税の申告期限と納付期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内で、同じ日に到来します。
- 申告書を提出しただけでは納税は終わらず、税額が確定したあとに自分で納付手続きをする必要があります。
- 申告期限の延長を受けている場合でも納付期限は延びないため、期限までに見込額を納める「見込納付」を検討するのが一般的です。
法人税の申告と納付の期限はいつ?
法人税の確定申告書の提出期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。そして納付の期限も、同じく事業年度終了の日の翌日から2か月以内とされています。つまり「申告してからしばらくして納税」ではなく、申告と納税の締切が同じ日に来る、と覚えておくのが実務的です。
たとえば3月31日が事業年度の末日なら、5月31日が期限です。12月31日決算なら2月末日が期限になります。期限の日が土日祝日にあたるときは、その翌営業日が期限として扱われます。
同じタイミングで、法人住民税・法人事業税といった地方税の申告と納付、そして消費税の課税事業者であれば消費税の申告と納付も並びます。法人税だけを見て資金を用意すると足りなくなるので、「その月に出ていく税金の合計」で考えるのが安全です。
決算から納付までの流れと順番
流れは大きく5段階です。①決算日を迎えて帳簿を締める、②決算整理をして決算書(貸借対照表・損益計算書など)をつくる、③株主総会などで決算を承認する、④法人税・地方税・消費税の申告書を作成して提出する、⑤確定した税額を納付する。この順番は前後しません。
つまずきやすいのは③と④の間です。申告書には決算が確定していることが前提になるため、決算を放置したまま申告書だけ先に作る、という進め方はできません。ひとり社長の会社でも、株主総会議事録を残しておくと後から流れを説明しやすくなります。
時間の目安としては、決算日から1か月程度で決算書を固め、残りの1か月で申告書の作成と納税資金の手当てに充てる組み方が現実的です。税理士に依頼している場合は、決算日から2〜3週間で資料を渡せるように、日々の記帳を溜めないことが結局いちばん効きます。
納付方法はどれを選ぶ?
法人税の主な納付方法には、e-Taxを使ったダイレクト納付、インターネットバンキング等による電子納税、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(QRコードやバーコードを使う方法)、金融機関や税務署の窓口での現金納付があります。どれを使っても納税額そのものは変わりませんが、手続きの手間と、納付までにかかる準備期間が変わります。
選ぶ順番としては、まず「e-Taxで申告しているか」を見てください。e-Taxを使っていて、事前に預貯金口座の届出(ダイレクト納付利用届出書)を済ませているなら、ダイレクト納付は納付書の準備や金融機関への移動が不要で、手間が少ない選択肢です。次に、口座の届出がまだ間に合わないなら、インターネットバンキングやスマホアプリ、クレジットカードといった電子納付を検討します。ネット環境や電子申告の準備がない場合は、税務署や金融機関の窓口で納付書を使う方法になります。
注意点として、クレジットカード納付には決済手数料がかかり、金額に応じて変わります。また、コンビニ納付やスマホアプリ納付には利用できる金額の上限が設けられています。手数料や上限額、対応するカード・アプリの種類は変更されることがあるため、利用前に国税庁の公式サイトで最新の条件を確認してください。なお、個人の所得税などで使われる口座振替(振替納税)は、法人税では利用できない扱いになっています。
申告期限を延長したときの見込納付
会計監査を受けている、あるいは定款の定めなどにより決算日から2か月以内に株主総会を開けない、といった事情がある法人は、「申告期限の延長の特例」の申請により、法人税の申告期限を延ばせる場合があります。適用を受けるには、あらかじめ所轄の税務署に申請書を提出しておく必要があります。
ここで重要なのが、延長されるのは申告書の提出期限であって、納付の期限は延びないという点です。本来の期限(原則として事業年度終了の翌日から2か月)を過ぎて納付すると、その期間について利子税がかかる扱いになります。そこで実務では、本来の期限までにおおよその税額を計算して先に納めておく「見込納付」を行い、後日の確定申告で差額を精算する方法がよく使われます。
見込納付をするときは、少なめに見積もると不足分に利子税がかかることがあるため、やや余裕をもった金額で納めておき、納めすぎた分は確定申告で還付を受ける、という考え方をとることが多いです。どの程度の見積もりが適切かは会社の状況によって変わるので、顧問税理士に相談しながら決めてください。
中間申告(予定申告)が必要になるのはどんなとき?
前事業年度の法人税額が一定額を超える法人は、事業年度の途中で中間申告と納付を行う必要があります。中間申告の期限は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内で、納付期限も同じ日です。3月決算の会社なら、11月末が目安になります。
中間申告には、前期の実績をもとに機械的に計算する「予定申告」と、上半期を一区切りとして実際に決算を組む「仮決算による中間申告」の2つのやり方があります。前期より業績が大きく落ちていて、予定申告だと払いすぎになりそうなときは仮決算を検討する、という判断になりますが、半期分の決算作業が発生するため手間とのバランスで考えます。
対象になる法人には、税務署から予定申告用の用紙や通知が送られてくることが一般的です。ただし届いたかどうかにかかわらず義務は生じるため、設立2期目以降で前期に相応の法人税を納めた会社は、自社が対象になるかを早めに確認しておくと安心です。判断に迷う場合は税理士にご確認ください。
納付が遅れそう・資金が足りないときの動き方
期限までに納付できないと、延滞税がかかる扱いになります。まず優先すべきは「申告書は期限までに出す」ことです。申告期限を過ぎると無申告加算税などの対象になることがあり、納付の遅れとは別のペナルティが重なります。資金が足りなくても、申告だけは期限内に済ませるのが基本の動き方です。
そのうえで、一時に納付することが難しい事情がある場合には、税務署に相談することで分割して納める手続き(換価の猶予など)が案内されることがあります。申請には期限や要件があり、担保が求められる場合もあるため、期限が来る前に所轄の税務署へ早めに相談してください。放置して督促に至ると、選べる選択肢が減っていきます。
根本的な対策としては、決算日の2〜3か月前の時点で「今期の利益がどのくらいで、税金がどのくらいになりそうか」をざっくり試算し、納税用の資金を別口座に分けておくことです。毎月の利益から少しずつ積み立てておくと、決算月に慌てずに済みます。
初めての決算で用意しておくもの
申告と納付に向けて手元に揃えておきたいのは、会計帳簿と試算表、預金通帳や取引明細、請求書・領収書などの証憑、固定資産の台帳、給与や源泉徴収に関する資料、借入金の返済予定表、棚卸の記録といったところです。加えて、法人番号や税務署への各種届出の控え(設立届、青色申告の承認申請書など)も確認しておきます。
e-Taxで申告・納付をするなら、電子証明書やe-Taxの利用者識別番号、ダイレクト納付を使う場合は口座の届出が事前に必要です。届出には一定の処理期間がかかるため、決算期末が近づいてから準備すると間に合わないことがあります。設立直後の落ち着いているうちに済ませておくのがおすすめです。
なお、帳簿や書類の保存方法については電子帳簿保存法の考え方が関係します。電子取引データの扱いなど要件の詳細は見直されることがあるため、国税庁の公表資料で最新の内容を確認してください。
判断に迷ったら税理士に相談を
法人税の申告は、期限と納付方法だけを押さえれば終わりというものではなく、どの費用をいつ計上するか、中間申告をどちらの方法で行うか、見込納付をいくらにするかといった判断が積み重なります。これらは会社ごとの事情によって結論が変わり、この記事の一般的な説明だけでは決められません。
初めての決算であれば、決算日の少なくとも1〜2か月前に税理士へ相談し、必要な資料と受け渡しのスケジュールを決めておくと、期限直前の混乱を避けられます。すでに顧問がいる場合も、納税資金の見込みは早めに共有しておくと資金繰りが立てやすくなります。税務の取扱いについての最終的な判断は、税理士にご確認ください。
よくある質問
法人税は申告書を出せば自動で引き落とされますか?
いいえ、申告書の提出と納付は別の手続きです。e-Taxで申告した場合でも、ダイレクト納付や電子納税などの納付手続きを別途行う必要があります。個人の所得税で使われる口座振替(振替納税)は、法人税では利用できない扱いになっています。
申告期限の延長を受ければ、納税も後回しにできますか?
延長されるのは申告書の提出期限で、納付の期限は原則として延びません。本来の期限を過ぎて納付すると利子税がかかる扱いになるため、期限までにおおよその税額を納める見込納付を行うのが一般的です。金額の見積もりは税理士に相談して決めてください。
納付期限が土日に重なったらどうなりますか?
期限の日が土曜・日曜・祝日などにあたる場合は、その翌営業日が期限として扱われます。ただし金融機関の窓口やシステムの稼働時間によっては当日中の手続きが難しいこともあるため、前倒しで納付しておくと安心です。
法人税のほかに同じ時期に納める税金はありますか?
法人住民税・法人事業税といった地方税の申告と納付が同じ時期に来ます。消費税の課税事業者であれば消費税の申告・納付も重なることが多いです。資金は法人税単体ではなく、その月に出ていく税金の合計で見積もっておくとよいでしょう。