議事録の書き方の基本|文体・敬称・出席者の書き方と項目の決め方
「議事録をお願い」と言われたものの、どこまで書けばいいのか分からない——はじめて書く人がつまずくのは、たいてい文章力ではなく「ルールを知らないこと」です。文体、敬称、出席者の並べ方、決定事項の書き分け。この記事では、社内会議の議事録を例に、迷いやすいポイントを判断の順番つきで整理します。会社法上の議事録(株主総会・取締役会)との違いにも触れるので、ひとり社長の方も自分に必要な型が分かります。
この記事の結論
- 議事録は「日時・場所・出席者・議題・決定事項・次のアクション」の6項目をそろえれば、社内会議用としては形になります。
- 文体は常体(だ・である調)または体言止めでそろえるのが読みやすく、社外に出す可能性がある場合はです・ます調にするなど、読み手で決めます。
- 敬称は「社内は役職名のみ・社外は会社名+氏名+様」のように一つのルールを決め、同じ議事録の中で混在させないことが基本です。
議事録は何のために書くのか|まず目的を決めると書く内容が決まる
議事録の目的は大きく二つあります。一つは「決まったことを後から確認できるようにする」こと、もう一つは「その場にいなかった人に共有する」ことです。どちらを重く見るかで、書く量も書き方も変わります。
記録が目的なら、決定事項と決定の理由を厚く、発言の細かいやり取りは薄くします。共有が目的なら、背景を知らない人が読んでも分かるように、議題の前提を一〜二行足しておくと親切です。社内の定例会議なら、ほとんどの場合は「決定事項と次のアクションが分かればよい」に落ち着きます。
はじめて書くときは、上司や前任者に過去の議事録を一つ見せてもらうのが近道です。会社ごとに暗黙の型があり、それに合わせるだけで「読みにくい」と言われる確率が下がります。型がない会社なら、この記事の項目をそのまま雛形にして構いません。
議事録に入れる項目の決め方|まずはこの6つからはじめる
社内会議の議事録であれば、①日時、②場所(オンラインならその旨とツール名の代わりに「オンライン開催」)、③出席者・欠席者、④議題、⑤決定事項、⑥次のアクション(担当と期限)の6つを入れておけば、必要な情報はおおむねそろいます。これに⑦「配布資料」「保留・持ち越し事項」を足すかどうかは、会議の性質で判断します。
項目を増やすか減らすかで迷ったら、「後日この議事録を読み返す人が、何を探して開くか」を考えます。ほとんどの場合、探されるのは決定事項と、自分が何をいつまでにやるのかです。逆に、議論の細かい経緯は探されにくいので、優先度は下げて構いません。
本文の前に、決定事項だけを数行でまとめた「サマリー」を置く形も広く使われています。読み手が忙しい会社ほど効果があり、冒頭で全体像をつかんでから本文に進めます。長い会議ほど、この一手間が効きます。
議事録の文体|です・ます調と常体、どちらで書くか
文体は、常体(だ・である調)、です・ます調、体言止め(名詞で終える書き方)の三つが代表的です。判断の順番はシンプルで、まず「社内だけで完結するか、社外の人の目に触れる可能性があるか」を見ます。社内限定なら常体や体言止めで簡潔に、社外に共有する可能性があるならです・ます調にしておくと、そのまま出しても違和感が少なくなります。
次に見るのは、会社に既存の雛形があるかどうかです。雛形があるなら、好みより統一を優先します。雛形がなく、自分が最初の書き手になる場合は、書きやすい文体を一つ選んで、以後それを社内の標準にしてしまうのが手間が少ない方法です。
注意したいのは混在です。「〜を決定した」と「〜することになりました」が同じ文書に並ぶと、読み手は書き手の迷いを感じ取ります。決定事項は「〜とする」「〜を決定」、発言要旨は「〜との意見があった」のように、種類ごとに語尾の型を決めておくと自然にそろいます。
敬称と出席者の書き方|迷いやすいところを先に決めておく
敬称は「一つのルールを決めて、その議事録の中で貫く」ことが基本です。社内会議であれば、役職者は「氏名+役職」または「役職のみ」、役職のない社員は「氏名(敬称略)」とし、冒頭か末尾に「敬称略」と書き添える形がよく使われます。社外の方が同席する会議では、社外の方だけ「会社名+氏名+様」とし、社内は敬称略にする、という書き分けも一般的です。
出席者の並べ方は、役職順にするのが無難です。同じ役職が複数いる場合は五十音順にすると、意図しない序列と受け取られにくくなります。社外の方がいる場合は、社外・社内の順に分けて記載し、それぞれの所属が分かるようにします。
欠席者と途中参加・途中退席も書いておくと、後から「この決定のとき誰がいたか」が確認できます。途中退席がある会議では、「○○は議題3の途中で退席」のように、どの議題まで在席していたかを添えると精度が上がります。オンライン会議では、接続していたが発言しなかった人も出席として扱うのが通例ですが、社内の慣行に合わせてください。
決定事項・発言・宿題の書き分け|箇条書きを使うコツ
議事録で最も読まれるのは決定事項です。「何を」「誰が」「いつまでに」がそろっているかを、書き終えたあとに指差しで確認する癖をつけると、抜けが減ります。担当者が決まらなかったものは、あえて「担当未定。次回までに○○が候補を出す」と書いておくと、宙に浮きません。
箇条書きは便利ですが、使いどころがあります。並列する項目(決定事項、宿題、資料一覧)は箇条書きが読みやすく、理由や経緯など前後関係がある内容は短い文章のほうが伝わります。一つの箇条書きが三行を超えそうなら、文章に直すか、項目を分けるサインです。
発言の記録は、逐語ではなく要旨でまとめるのが一般的です。「A案は費用面で懸念があるとの意見があった」「B案について、来月の繁忙期と重なる点が指摘された」のように、誰の意見かを書く必要があるかどうかも先に決めておきます。個人名を出すと責任の所在が明確になる一方、率直な発言が出にくくなることもあるため、会議の性質で使い分けてください。
結論が出なかった議題は、「保留」とだけ書かず、何が決まれば結論が出るのかを一行添えます。「見積もりが出そろった時点で再度検討」のように書いておくと、次回の議題設定がそのまま決まります。
当日と提出までの進め方|いつ・何を用意して・どこに出すか
会議前に、議題と配布資料をもとに、日時・出席予定者・議題見出しまで入力した枠を作っておきます。当日は空欄を埋めるだけになるので、聞き取りに集中できます。オンライン会議で録音・録画をする場合は、開始時に参加者へ一言伝えて了承を得るのが無難です。
会議中は、決定事項と宿題を最優先でメモします。聞き逃したときは、その場で「今の件、○○さんが来週までに、で合っていますか」と確認したほうが早く、後から悩むより正確です。会議の最後に、決定事項と宿題を読み上げて確認する時間を取れると、議事録の精度はぐっと上がります。
提出までの流れは、当日または翌営業日までに草案を作り、会議の主催者または上長に確認してもらってから、社内の共有先(共有フォルダ、チャット、グループウェアなど)に配置する、という順番が基本です。保管場所とファイル名のルール(日付+会議名など)を決めておくと、後から探せます。電子データで保存する場合、書類の種類によっては電子帳簿保存法などの保存ルールが関わることがありますので、対象や要件は国税庁など所管官庁の資料で確認してください。
株主総会・取締役会の議事録は別もの|社内メモと同じ感覚で書かない
ここまでは社内会議の議事録の話です。株主総会議事録や取締役会議事録は、会社法やその関連法令で記載すべき事項や作成・備置きの扱いが定められており、社内メモと同じ感覚では作れません。役員変更の登記や許認可の申請などで提出を求められる場面もあり、記載の不備が手続きの滞りにつながることがあります。
ひとり社長の会社でも、株主総会や取締役会にあたる意思決定を記録として残す必要が生じる場面があります。「うちは一人だから不要」と決めつけず、自社の機関設計(取締役会を置いているかどうかなど)を前提に、どの決定でどの議事録が要るのかを整理しておくと安心です。
登記に使う議事録や、役員の選任・報酬などに関わる議事録は、書式や記載事項の判断が必要になります。作成の要否や書き方に迷う場合は、登記手続きに関することは司法書士、法的な効力や紛争の可能性が絡む内容は弁護士、役員報酬など税務に関わる部分は税理士へ、早めに確認することをおすすめします。
よくある質問
議事録はです・ます調と常体、どちらで書くべきですか。
決まりはありませんが、社内だけで使うなら常体や体言止めで簡潔に、社外の方に共有する可能性があるならです・ます調にすると扱いやすくなります。大切なのは一つの議事録の中で文体を混在させないことです。会社に既存の雛形があれば、そちらに合わせてください。
出席者の敬称はどう書けばいいですか。
社内は役職名または敬称略、社外の方は会社名と氏名に「様」を付ける、といったルールを先に決め、文書全体で統一します。敬称略にする場合は、出席者欄の末尾に「敬称略」と書き添えると誤解がありません。並び順は役職順、同役職は五十音順が無難です。
発言はすべて書き起こす必要がありますか。
多くの社内会議では、逐語ではなく要旨でまとめれば足ります。優先すべきは決定事項と、誰が何をいつまでに行うかで、議論の経緯は結論に影響した部分だけを残せば十分です。逐語が求められるのは、記録の正確性が特に重視される会議に限られます。
議事録はいつまでに提出すればいいですか。
社内ルールがなければ、当日中か翌営業日までに草案を出し、主催者の確認を経て共有するのが一般的な流れです。記憶が新しいうちのほうが早く正確に書けますし、宿題の期限が迫っている場合は共有が遅れるほど意味が薄れます。保管場所とファイル名の付け方も合わせて決めておくと後から探せます。