仮想オフィスツールの比較|oVice・Gather・MetaLifeの選び方
「バーチャルオフィス」と検索すると、登記に使う住所レンタルのサービスと、リモートワークでアバターが集まる仮想オフィスツールの両方が出てきます。この記事は後者、つまりoViceやGather、MetaLifeのような画面上のオフィスに出社するタイプのツールの選び方です。機能表を眺めても違いが分かりにくいので、「自分の会社の働き方だと、どの軸で絞ればいいか」という順番から整理します。
この記事の結論
- 仮想オフィスツールは、話しかけやすさ重視ならoVice、遊び心のある空間づくりならGather、日本語での導入しやすさならMetaLife、音声通話の軽さならVoicePingというように、重視する用途から絞ると比較しやすくなります。
- 多くのツールに無料で試せる範囲や試用期間が用意されているため、候補を2つに絞ったうえで同じ業務を1〜2週間ずつ動かして比べるのが現実的です。
- 料金や人数の条件は変わることがあるため、最終判断の前に各社の公式サイトで最新のプラン内容を確認し、実際の業務時間に使ってみると判断しやすくなります。
そもそも「バーチャルオフィス」には2種類ある
検索でよく混ざるのが、住所を借りる「バーチャルオフィス(住所レンタル)」と、リモートワーク用の「仮想オフィスツール(バーチャルオフィスアプリ)」です。前者は登記や郵便物の受け取りに使うサービス、後者はパソコンの画面上にオフィスを再現して、アバターで出社し会話するソフトウェアです。この記事で扱うのは後者です。
仮想オフィスツールの目的は、チャットだけでは拾えない「ちょっといいですか」を取り戻すことにあります。ビデオ会議ツールが「予定された会議」に強いのに対して、仮想オフィスは「予定していない相談」に強い、と考えると役割の違いが分かりやすくなります。
逆に言えば、全員が完全に非同期で働いていて雑談の必要がない会社では、導入してもログインされないまま終わることがあります。まず「今、何が足りていないのか」を一文で書き出してから比較に進むと、機能表に振り回されにくくなります。
oVice・Gather・MetaLife・VoicePingは何が違うのか
oViceは、平面のマップ上でアイコンを動かし、近づいた相手と自然に音声がつながるタイプです。距離によって声の聞こえ方が変わる仕組みで、来客用のスペースやイベント会場のような使い方をしている例も見かけます。日本発のサービスで、国内企業での導入事例が紹介されている点も、社内説明の材料になりやすいところです。
Gatherは、ドット絵のマップを自分たちで組み立てられる自由度の高さが特徴です。会議室や休憩スペースを配置したり、ちょっとしたゲーム的な仕掛けを置いたりできるため、カルチャーづくりやオンボーディングに使いたいチームと相性がよい傾向があります。英語圏のサービスなので、管理画面やヘルプの言語を事前に確認しておくと安心です。
MetaLifeは日本語での案内が整っており、マップ編集も比較的やさしい部類です。VoicePingは音声中心で軽く動かすことに寄っており、常時接続して仕事をするスタイルに向きます。いずれも仕様は更新されるため、最新の機能と料金は各社の公式サイトで確認してください。
迷ったらこの順番で絞る:4つの判断軸
最初に見るのは「常時つないでおきたいか、必要なときだけ集まりたいか」です。常時接続を前提にするなら、動作の軽さとマイクまわりの安定性が最優先になり、音声中心のツールが候補に上がります。必要なときだけ集まる使い方なら、空間の作り込みや来客対応のしやすさを優先して構いません。
次に「社外の人を招くかどうか」です。取引先や採用候補者を呼ぶなら、アプリのインストールが不要でブラウザから入れるか、URLを送るだけで参加できるかが効いてきます。ここは無料の試用中に、社外の知人に一度入ってもらって確かめると判断が早くなります。
三つ目は「端末のスペック」です。3Dや凝った演出があるツールほどパソコンへの負荷が上がるため、社内で一番スペックの低いPCで動くかを事前に試しておくと安心です。四つ目は「既存ツールとのつながり」で、チャットやカレンダーと連携できると、仮想オフィスだけ見に行く習慣が要らなくなります。
無料プラン・無料トライアルの試し方
多くのツールが、人数や機能を限定した無料の範囲、または期間限定の試用を用意しています。ただし無料の条件は変更されることがあるので、「無料で使える」と決めつけずに、申し込み前に公式サイトの記載を確認してください。試用の申し込みは、比較したい候補を2つまでに絞ってから始めると混乱しません。
試すときは、デモとして触るのではなく、実際の業務時間に置き換えるのがコツです。たとえば1週間目はA、2週間目はBと決めて、朝礼・日中の常時接続・夕方の相談という同じ3場面を再現します。同じ条件で比べないと、単に新しいほうが楽しく感じただけ、という結論になりがちです。
評価の記録は、担当者の感想ではなくチーム全員の一言で集めます。「声をかけやすかったか」「重くて閉じたくなった瞬間があったか」の2問だけでも、十分に差が見えてきます。
導入を決めたあとに整えるルール
ツールを入れただけでは、数週間で誰もログインしなくなることがあります。最初に決めておきたいのは、出社時間の目安、離席の表示方法、話しかけてよい状態と集中したい状態の示し方の3つです。細かい規則よりも、「この表示のときは声をかけてよい」という共通認識が1つあるだけで動きます。
会話の録音や画面共有を行う場合は、社内での取り扱いを事前に決めておきます。商談や採用面談で使うときは、相手への事前の案内も含めて運用を整えておくと安心です。個人情報や機密情報の扱いについて判断に迷う場面があれば、社内規程の整備と合わせて弁護士や社会保険労務士に相談する方法もあります。
費用の処理については、ソフトウェアの利用料として経費に計上する形が一般的ですが、契約の形態や支払い方法によって扱いが変わることがあります。年間契約の前払いなどイレギュラーな支払いをする場合は、顧問の税理士にご確認ください。
会社の状況別・向いている選び方
ひとり社長や数名のチームで、業務委託メンバーが出入りするなら、招待のしやすさと無料で使える範囲を先に見ます。常時接続までは不要で、週に数回の打ち合わせが中心なら、既存のビデオ会議ツールで足りることもあります。無理に増やさない判断も、選択肢の一つです。
10〜30名程度で、部署をまたいだ相談が減ってきたと感じている会社は、距離で声がつながるタイプが効きやすい場面です。フロアをチームごとに分け、席のレイアウトを実際のオフィスに近づけると、初日から迷わず使えます。
採用や社内イベントにも使いたい会社は、マップを自由に作れるタイプが候補になります。ただし作り込みには手間がかかるため、社内に担当できる人がいるかを先に確認しておくと、導入後に止まりにくくなります。
よくある質問
バーチャルオフィスのツールは無料で使えますか?
人数や機能を限定した無料の範囲、または期間限定の試用を用意しているサービスが多く見られます。ただし条件は変更されることがあるため、申し込み前に各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。
oViceとGatherはどちらを選べばよいですか?
話しかけやすさと来客対応のしやすさを重視するならoVice、マップを自由に作り込んでカルチャーづくりに使いたいならGatherが候補になりやすい傾向があります。どちらも試用の範囲があるので、同じ業務を1〜2週間ずつ動かして比べると判断しやすくなります。
メタバース型の仮想オフィスは重くないですか?
3Dや演出が多いツールほどパソコンへの負荷が上がる傾向があります。社内で最もスペックの低い端末で試用してから決めると、導入後に使われなくなるリスクを減らせます。
登記に使う住所も一緒に借りられますか?
リモートワーク用の仮想オフィスツールと、登記に使う住所レンタルのバーチャルオフィスは別のサービスです。住所を借りて登記に使う場合は、契約条件や登記可否をサービス提供元に確認し、手続きの詳細は司法書士に相談する方法もあります。