年末調整後の源泉徴収票と法定調書|給与支払報告書の提出先
年末調整は、社員から書類を集めて計算して終わり、ではありません。本番はそのあとです。源泉徴収票を本人に渡し、税務署に法定調書をまとめて出し、市区町村に給与支払報告書を送る。提出先が3方向に分かれるので、順番と宛先を一度整理しておくと、毎年の1月がぐっと楽になります。この記事では、年末調整後に出す書類とその提出先、eLTAXとe-Taxの使い分け、前職の源泉徴収票や再発行の扱いを、実務の順番どおりに解説します。
この記事の結論
- 年末調整後に会社が出す書類は、本人に渡す「源泉徴収票」、税務署に出す「法定調書合計表と支払調書」、市区町村に出す「給与支払報告書」の3つです。
- 給与支払報告書は社員の住所地(原則としてその年の1月1日時点で住んでいる市区町村)へ、法定調書は会社の所轄税務署へ提出し、電子提出なら前者はeLTAX、後者はe-Taxを使います。
- 提出期限は例年1月31日が基準で、本人への源泉徴収票交付も同じ時期までに行うのが一般的です(最新の期限は国税庁・各自治体の案内でご確認ください)。
年末調整の後、会社はどこに何を出すのか
年末調整で一人ひとりの税額を確定させたら、その結果を「本人」「税務署」「市区町村」の3方向に流します。この3つを別々のものと考えるより、同じ計算結果を3つの宛先に配っている、と捉えるほうが混乱しません。
本人へは源泉徴収票を交付します。税務署へは、源泉徴収票のうち提出が必要な人の分と、報酬などの支払調書、それらをまとめた法定調書合計表を出します。市区町村へは、社員一人ひとりの給与支払報告書と、会社単位の総括表を出します。
中途退職者がいる場合も忘れずに。退職時に源泉徴収票を交付しているはずですが、給与支払報告書は、その年に給与を支払った人について原則提出の対象になります。退職者の分をまとめて漏らすのが、年明けによくあるつまずきです。
給与支払報告書の提出先は「社員の住所地の市区町村」
給与支払報告書の提出先は、会社の所在地ではなく、社員が住んでいる市区町村です。基準になるのは、原則としてその年の1月1日時点の住所(住民税の賦課期日)です。社員が10人いて住まいが10市区町村に分かれていれば、10か所に送ることになります。
そのため、年末調整の書類を集める段階で、住所の確認を必ず一度はさみます。引っ越しの届出が社内で止まっていると、前の市区町村に報告が行き、住民税の通知が届かないといった後追いの手間が発生します。扶養控除等申告書の住所欄と、給与システムの登録住所が一致しているかを見比べてください。
提出先ごとに「総括表」を1枚つけるのが基本の形です。自治体によって様式や記載の細かな指定が異なることがあるため、送付前に各市区町村のサイトで様式と提出方法を確認しておくと安心です。
税務署へは法定調書合計表、eLTAXとe-Taxはどう使い分ける
税務署へ提出するのは、会社の所轄税務署宛てです。給与所得の源泉徴収票(提出が必要な範囲の人の分)、税理士報酬などの報酬・料金の支払調書、不動産の使用料等の支払調書などを、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に集計して添えます。全員分の源泉徴収票を税務署に出すわけではない点に注意してください。提出対象の範囲は国税庁の手引で確認するのが確実です。
電子で出す場合、宛先で使うシステムが分かれます。税務署(国税)はe-Tax、市区町村(地方税)はeLTAXです。ただし、eLTAXから給与支払報告書を送る際に、源泉徴収票の税務署提出分も一緒に送信できる仕組みが用意されています。入力が一度で済むので、両方を扱う小さな会社ほど恩恵があります。
どちらから始めるか迷ったら、まずeLTAXの利用者IDを取得し、給与支払報告書の電子提出を軸に据えるのが実務的です。提出先の市区町村が複数あるほど、紙の封入・郵送の手間が減ります。e-Taxは源泉所得税の納付(ダイレクト納付など)でも使うため、あわせて整えておくと年間を通して回しやすくなります。
前職の源泉徴収票が出てこないときの進め方
年の途中で入社した社員は、前職の給与を含めて年末調整します。そのため前職の源泉徴収票が必要です。手元にない場合は、まず本人から前職の会社へ再発行を依頼してもらいます。退職時に受け取っているケースも多いので、自宅の書類をもう一度探してもらうのが先です。
前職の会社が対応してくれない、連絡が取れないといった場合は、税務署に相談する窓口があります。源泉徴収票不交付の届出という手続きが案内されることがあるため、本人から所轄税務署に問い合わせてもらいましょう。
年末調整の締切までに間に合わない見込みが立ったら、その社員は年末調整の対象から外し、本人が確定申告で精算する形に切り替えます。無理に推計で計算しないこと。会社としては「前職分が未確認のため年末調整できない」ことを本人に伝え、自社分の源泉徴収票を交付するところまでを担当します。
源泉徴収票の再発行と、提出後に誤りが見つかったとき
源泉徴収票を紛失したという相談は、住宅ローンや保育園の手続きの時期によく来ます。会社は給与データを保管しているので、再発行そのものは対応できます。社内で「誰に申請し、何日で出すか」を決めておくと、その都度の判断がいりません。退職者からの依頼も同じ流れで受けられるようにしておきます。
金額の誤りが提出後に見つかった場合は、放置せず訂正します。税務署には訂正分の法定調書を、市区町村には訂正した給与支払報告書を出すのが基本の流れです。様式の余白に「訂正」と表示するなど、提出先ごとに指定がある場合があるため、提出先の案内に従ってください。
住民税の通知が出たあとに訂正すると、社員の住民税額が年度途中で変わります。本人への説明が要るので、できるだけ1月中に気づける状態にしておきたいところです。年末調整の計算が終わった段階で、前職分の合算漏れ・扶養の異動・保険料控除の証明書の枚数を、もう一度だけ突き合わせておくと安心です。
1月にやることを、時系列で並べておく
12月中に年末調整の計算を終えたら、まず源泉徴収票を作成し、本人への交付を進めます。給与明細の配付と同じタイミングにしておくと、渡し忘れが起きにくくなります。電子交付を選ぶ場合は、本人の同意が必要とされているため、社内ルールを先に整えてください。
次に、社員の住所を確定させ、市区町村ごとに給与支払報告書を仕分けます。eLTAXを使うなら、ここで税務署提出分の源泉徴収票もあわせて送信できるか確認します。最後に、税理士報酬や家賃など、支払調書の対象になる支払いを1年分洗い出し、法定調書合計表にまとめて所轄税務署へ提出します。
提出期限は例年1月31日が基準です。ただし休日の関係などで変わることがあるため、その年の期限は国税庁および各市区町村の案内でご確認ください。支払調書の対象範囲や源泉徴収票の税務署提出範囲は判断に迷いやすい部分なので、自社で決めきれない場合は顧問の税理士に確認しておくと、後からの訂正を減らせます。
よくある質問
年末調整の書類は、どこに提出すればいいですか。
源泉徴収票は社員本人へ、法定調書合計表と対象となる支払調書は会社の所轄税務署へ、給与支払報告書は社員が住む市区町村へ提出します。提出先が3方向に分かれる点が、年末調整後の実務でいちばん間違えやすいところです。
前職の源泉徴収票がないと、年末調整はできませんか。
前職分を含めて計算する必要があるため、そろわない場合は年末調整を行わず、本人に確定申告で精算してもらう形が一般的です。まずは前職の会社へ再発行を依頼し、対応が得られないときは本人から所轄税務署に相談してもらってください。
源泉徴収票を紛失した社員から再発行を頼まれました。対応できますか。
会社は給与データを保管しているため、在職者でも退職者でも再発行に対応できます。申請の窓口と発行までの目安日数を社内で決めておくと、依頼が重なる時期でも処理が滞りません。
eLTAXとe-Taxは、どちらを使えばいいですか。
市区町村へ出す給与支払報告書はeLTAX、税務署へ出す法定調書はe-Taxが基本です。eLTAXから給与支払報告書を送る際に源泉徴収票の税務署提出分もあわせて送信できる仕組みがあるため、詳細は各システムの公式サイトで最新の手順をご確認ください。