会社設立の流れと手順|準備から登記完了までのやることリスト
会社をつくると決めたものの、「で、最初に何をすればいいんだろう」で止まってしまう人は多いです。会社設立は、大きく分けると「決める」「つくる」「出す」「届ける」の4段階で進みます。この記事では、株式会社を例に、準備から登記完了、その後の届出までの流れを順番に並べ、自分で進めるときのやることリストとして使える形に整理しました。
この記事の結論
- 会社設立は、①基本事項を決める→②定款をつくって認証を受ける→③資本金を払い込む→④法務局へ登記を申請する→⑤設立後の届出を出す、という順番で進みます。
- 登記申請書を法務局が受け付けた日が会社の設立日になり、申請から登記完了までは数日から1週間程度かかるのが一般的です。
- 合同会社は公証役場での定款認証が不要なぶん手順が少なく、株式会社は認証が入るため、スケジュールに余裕を見ておくと安心です。
会社設立の流れは全体で5ステップ|まず全体像をつかむ
会社設立の手続きは、細かく見ると書類の種類が多く複雑に見えますが、流れ自体はシンプルです。順番は、①基本事項を決める、②定款を作成して認証を受ける(株式会社の場合)、③資本金を払い込む、④法務局へ登記を申請する、⑤設立後に税務署・年金事務所などへ届出を出す、の5つです。
この順番は入れ替えられません。たとえば資本金の払い込みは、定款を作成した日より後の日付であることが求められるため、先に振り込んでしまうとやり直しになることがあります。逆に言えば、順番さえ守れば、一つずつ潰していける作業です。
期間の目安は、準備に時間をかけない場合で2〜3週間、じっくり検討するなら1〜2か月ほど。印鑑の発注や公証役場の予約など、自分の作業スピードではどうにもならない待ち時間が入るので、「この日を設立日にしたい」という希望がある人は逆算して動き始めてください。
ステップ1:株式会社設立で最初に決めること(チェックシート)
最初にやるのは、書類づくりではなく「決めること」の洗い出しです。ここが固まっていないと、定款も印鑑も発注できません。決める項目は、商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金の額、発行可能株式総数、事業年度(決算期)、役員構成と任期、株式の譲渡制限の有無、公告の方法、発起人と出資額です。
迷いやすいのは事業目的と決算期です。事業目的は、いま始める事業に加え、近い将来やる可能性のあるものまで書いておくと、後から定款を変更する手間を減らせます。許認可が必要な事業は、目的の書き方が審査に影響することがあるため、許認可の窓口や専門家に文言を確認しておくと安心です。
決算期は、設立日から1年近く先になるように設定すると、最初の事業年度を長めに使えます。繁忙期と決算作業が重ならない月を選ぶ、という決め方もあります。消費税の扱いとも関係するため、判断に迷う場合は税理士に相談してください。商号は、同じ住所に同じ商号の会社がないかを法務局の登記情報で確認し、ドメインやSNSのアカウントが取れるかも合わせて見ておくと後が楽です。
ステップ2:定款の作成と認証|株式会社と合同会社で手順が分かれる
決めた内容を文章にしたものが定款です。商号、目的、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人の氏名・住所などは、記載がないと定款自体が効力を持たないとされる項目なので、漏れなく書きます。ひな形は法務局や公証役場のサイトで公開されているものを土台にすると作りやすいです。
株式会社の場合、作成した定款は公証役場で認証を受ける必要があります。事前に定款案をメールなどで送って内容を確認してもらい、日程を予約してから出向く流れが一般的です。発起人の印鑑証明書や本人確認書類が必要になるので、予約時に何を持参するか必ず確認してください。認証にかかる費用は資本金の額などで変わるため、公証役場または日本公証人連合会の公式情報で最新の取扱いを確認しましょう。
紙の定款ではなく電子定款にする方法もあります。電子署名の環境を用意する必要がありますが、収入印紙の扱いが紙とは異なります。一方、合同会社は公証役場での認証が不要で、定款を作成したらそのまま次の段階に進めます。「手続きを軽くしたい」「認証の日程調整を挟みたくない」という理由で合同会社を選ぶ人もいます。
ステップ3:資本金の払い込みと会社の印鑑の準備
定款ができたら、発起人個人の銀行口座に資本金を振り込みます。会社名義の口座は登記が終わらないと作れないため、この時点では個人口座を使います。自分ひとりで出資する場合も、「誰がいくら振り込んだか」が通帳に記録として残るよう、残高があっても一度引き出して入金し直す、または振込の形にしておくのが確実です。
払い込みが済んだら、通帳の表紙・支店名などが分かるページ・入金明細のページをコピーし、払込証明書と綴じて登記の添付書類にします。ネットバンクの場合は、口座名義・金融機関名・入金日・金額が分かる画面を印刷すれば足りることが多いですが、法務局によって求められる範囲が違うこともあるので、事前に確認しておくと安心です。
並行して、会社の印鑑を発注します。代表者印(会社実印)は登記の際に必要になることがあり、銀行印・角印も合わせて作る人が多いです。発注から手元に届くまで数日かかるため、商号が固まった時点で早めに動いておくと、全体のスケジュールが詰まりません。
ステップ4:法務局への登記申請|設立日は申請日で決まる
書類がそろったら、本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。一般的に必要になるのは、登記申請書、定款、発起人の決定書、役員の就任承諾書、払込証明書、印鑑証明書、印鑑届書などです。事案によって追加書類が出るので、管轄の法務局の窓口や公式サイトで、自社のケースに必要な書類を確認してください。登録免許税がかかりますが、金額は資本金の額などで変わるため、法務局の最新の案内を見てください。
ここで覚えておきたいのが、申請書が受け付けられた日が会社の設立日になるという点です。「この日を創立記念日にしたい」という希望があるなら、その日に窓口が開いていることを確認し、書類を完璧に整えて持ち込みます。オンライン申請という方法もありますが、事前の環境準備が必要です。
申請後、審査を経て登記が完了するまでは数日から1週間程度が目安です。完了しても連絡が来るとは限らないので、法務局が案内する完了予定日を控えておき、その後に登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書を取得します。この2つは、この後の銀行口座開設や各種届出でくり返し使うため、複数通まとめて取っておくと二度手間になりません。
不備があると補正の連絡が入り、設立日がずれることもあります。心配な場合は、申請前に司法書士に書類を見てもらう方法もあります。
ステップ5:設立後にやること|届出と口座開設のスケジュール
登記が完了しても、まだ終わりではありません。登記事項証明書が取れたら、税務署へ法人設立届出書や青色申告の承認申請書などを提出します。青色申告の申請には提出期限が定められているため、後回しにすると初年度の扱いに影響することがあります。都道府県税事務所・市区町村にも法人設立の届出が必要です。期限や様式は自治体で異なるので、各窓口の案内を確認してください。
役員報酬を出す場合や従業員を雇う場合は、年金事務所での社会保険の手続きが発生します。ひとり社長でも対象になるケースがあるため、自分が該当するかどうかは年金事務所や社会保険労務士に確認するのが確実です。人を雇うなら、労働基準監督署とハローワークへの手続きも加わります。
そのほか、法人名義の銀行口座開設、会計ソフトの導入、請求書・領収書の保存方法の決定が初期のやることです。帳簿や書類の電子保存にはルールがあり、インボイス制度への対応と合わせて、始める前に自社の運用を決めておくと後から直す手間が減ります。要件の詳細は国税庁の資料で確認し、判断に迷う部分は税理士に相談してください。
会社設立は、一つひとつは調べれば進められる手続きですが、事業目的の書き方、決算期の設定、役員報酬の決め方など、後から変えにくい判断がいくつか含まれます。設立そのものは司法書士、税務まわりは税理士、社会保険や雇用は社会保険労務士と、相談先を分けて考えると質問しやすくなります。自分のケースで迷いが出たら、早い段階でそれぞれの専門家に確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
会社設立でまずやることは何ですか?
最初にやるのは書類づくりではなく、商号・本店所在地・事業目的・資本金・決算期・役員構成などの基本事項を決めることです。ここが固まらないと定款も印鑑も進められません。決めた内容をメモにまとめてから、定款の作成に移ってください。
会社設立の手続きにはどれくらいの期間がかかりますか?
基本事項がある程度決まっている場合で、準備から登記完了まで2〜3週間が一つの目安です。株式会社は公証役場での定款認証があり、印鑑の発注や法務局の審査にも日数がかかるため、希望の設立日がある人は逆算して動くと安心です。
会社設立は自分でできますか?専門家に頼むべきですか?
書類作成と申請自体は自分で進めることもできます。一方で、事業目的の書き方や決算期の設定など、後から変更しにくい判断が含まれるため、不安がある場合は司法書士や税理士に相談する方法があります。費用は依頼先によって異なるので、各事務所の公式情報で確認してください。
会社の設立日はいつになりますか?
一般に、法務局が登記申請を受け付けた日が設立日として扱われます。登記が完了した日ではないため、記念日にしたい日がある場合は、その日に窓口が開いていることを確認し、書類をそろえて申請できるよう準備してください。