外国人を採用したときの入社手続き|在留資格の確認と届出の順番

・採用・労務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

外国人を採用したときの入社手続きは、日本人を採用するときの手続きに「在留資格の確認」と「外国人雇用状況の届出」が加わる、と考えると整理しやすくなります。順番を間違えると、入社日が来てから慌てることになりがちです。この記事では、内定前の確認から入社後の届出まで、いつ・何を見て・どこに出すのかを順を追って説明します。

この記事の結論

  • 外国人の入社手続きは、①在留カードで在留資格と就労可否を確認、②通常の入社書類を回収、③雇用保険の資格取得届などで外国人雇用状況を届け出る、の順に進めます。
  • 在留資格の確認は内定を出す前に行い、在留カードの原本で氏名・在留資格・在留期間・就労制限の有無・裏面の記載までを見るのが基本です。
  • 雇用保険に加入する人は資格取得届の該当欄に在留資格などを記入することで外国人雇用状況の届出を兼ね、加入しない人は別途ハローワークへの届出が必要になります。

外国人の入社手続きは、日本人と何が違うのか

外国人を採用したときも、雇用契約書の締結、扶養控除等申告書などの税務書類、社会保険・雇用保険の加入手続きといった基本の流れは日本人の場合と変わりません。違うのは、その前後に「働ける在留資格を持っているかの確認」と「外国人を雇い入れたこと・離職したことの届出」が加わる点です。

この2つは性質が違います。在留資格の確認は、採用してよいかどうかを判断するための確認なので、内定を出す前に行います。届出のほうは、雇い入れた事実を国に報告するものなので、入社後に行います。順番としては「確認が先、届出が後」と覚えておくと迷いません。

もう一つの違いは、書類の説明を日本語だけで済ませられないことがある点です。雇用契約書や就業規則の要点、社会保険料が給与から引かれる仕組みなどは、本人が理解できる言語で補足しておくと、入社後のトラブルが減ります。

内定前に確認する在留資格と、在留カードの見方

まず、在留カードの原本を本人に持参してもらい、コピーを取る前に現物を目視で確認します。見るのは、氏名・生年月日・国籍地域といった本人情報のほか、「在留資格」「在留期間(満了日)」「就労制限の有無」の欄です。在留期間が入社予定日より前に満了する場合は、更新の予定を必ず確認しておきます。

次に、その在留資格で任せたい仕事ができるかを見ます。在留資格ごとに認められる活動の範囲は決まっているため、たとえば事務職として採用したのに、その資格では想定されていない業務が中心になる、といったずれがないかを確認します。判断に迷うときは、出入国在留管理庁の資料を確認したうえで、行政書士や弁護士など専門家に相談するのが安全です。

留学生や家族滞在の方をアルバイトとして採用する場合は、在留カードの裏面にある「資格外活動許可」の記載を確認します。就労時間の上限が定められているため、シフトの組み方にも影響します。カード自体が有効なものかどうかは、出入国在留管理庁が提供している在留カード等番号の失効情報照会で確かめることもできます。

入社時に集める本人確認書類と、外国人特有の書類

本人確認書類としては、在留カード(写し)が中心になります。あわせて、住民票(マイナンバーの記載有無は用途に応じて判断します)、マイナンバーが分かる書類、銀行口座の情報、年金手帳または基礎年金番号が分かる書類、雇用保険被保険者証(前職がある場合)、前職の源泉徴収票などを回収する流れは日本人と同じです。

外国人の場合に加えて確認しておきたいのが、パスポートの記載(氏名のつづり)と、旅券上の氏名と在留カード上の氏名が一致しているかです。給与振込口座の名義や社会保険の届出でつづりが揃っていないと、後から訂正が必要になります。ローマ字表記のルールを社内で決めておくと処理が安定します。

転職者の場合は、前職での在留資格に関する届出状況や、資格変更の予定があるかを聞いておきます。所属機関の変更届出は原則として本人が行うものですが、会社側が期限を案内しておくと漏れを防げます。詳細な期限や様式は出入国在留管理庁の案内を確認してください。

入社後に出す届出の順番と提出先

入社後は、通常の加入手続きと外国人雇用状況の届出を並行して進めます。社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件を満たす場合は、資格取得届を年金事務所(または健康保険組合)へ、雇用保険の加入要件を満たす場合は、資格取得届をハローワークへ提出します。提出期限は届出ごとに定められているため、入社日が決まった時点でカレンダーに入れておくと安心です。

外国人雇用状況の届出は、雇用保険に加入する人については、雇用保険被保険者資格取得届の該当欄に在留資格・在留期間・国籍地域などを記入することで兼ねる形になります。雇用保険に加入しない短時間のアルバイトなどは、専用の様式でハローワークに届け出る必要があります。離職時にも同様の届出が必要になる点を忘れないでください。

住民税の特別徴収や、扶養控除等申告書の提出は日本人と同じ流れです。ただし、海外に住む家族を扶養に入れる場合は、追加の確認書類が求められることがあります。取り扱いは年度によって変わることがあるため、顧問税理士に確認してください。

入社手続きの書類を英語で用意するときの考え方

「入社手続き 英語」で調べる方の多くは、書類そのものを英語化すべきか迷っています。実務では、法定様式(各種届出書)は日本語の様式で提出するため、英語版に差し替えることはできません。英語で用意するとよいのは、法定様式そのものではなく、本人に説明するための資料です。

具体的には、雇用契約書(労働条件通知書)の内容を要約した英語の説明メモ、給与明細の項目の対訳、社会保険料や所得税が控除される理由の説明、就業規則のうち勤怠・休暇・情報管理など日常に直結する部分の要約などが優先度の高いものです。契約書自体を日英併記にする会社もありますが、その場合は日本語を正本とする旨をどう扱うか、弁護士に確認しておくと安心です。

翻訳の範囲は、本人の日本語レベルで決めます。日常会話に問題がなくても、税や社会保険の用語は難しいものです。初回の説明だけ通訳を入れる、用語集を作って毎年使い回す、といった運用にすると負担が偏りません。

よくあるつまずきと、社内での管理のしかた

最も多いのが、在留期間の満了を見落とすケースです。在留カードの満了日を人事の管理台帳に登録し、満了の数か月前にアラートが出る仕組みにしておきます。更新手続きは本人が行いますが、在職証明書や課税証明書など会社が用意する書類を求められることがあるため、依頼が来る前提でスケジュールを組んでおくとスムーズです。

次に多いのが、採用後に担当業務が変わり、在留資格で認められる活動の範囲からずれてしまうケースです。配置転換や職務内容の大きな変更があるときは、人事側で在留資格との整合を確認する運用にしておきます。判断が難しいときは、変更の前に専門家へ相談してください。

在留カードの写しなどは個人情報として取り扱い、保管場所とアクセス権限を決めておきます。更新のたびに写しを差し替え、古いものは保存期間のルールに従って処分する、という運用まで決めておくと、担当者が替わっても回ります。

迷ったときに、誰に相談すればよいか

在留資格そのものの該当性や、変更・更新の可否は、出入国在留管理庁の資料を確認したうえで、入管業務を扱う行政書士や弁護士に相談するのが確実です。採用してよいかどうかの判断に不安が残る段階で相談しておくと、内定後の手戻りを避けられます。

社会保険・雇用保険の加入要件や、外国人雇用状況の届出の実務は社会保険労務士、給与計算における所得税の取り扱いや扶養の判定は税理士の領域です。母国との関係で租税条約や社会保障協定が関わることもあり、個別性が高い部分ですので、自己判断せず専門家にご確認ください。

初めて外国人を採用する会社ほど、最初の1人の手続きを専門家と一緒に整えておく価値があります。そこで作ったチェックリストと台帳が、2人目以降の標準になります。

よくある質問

在留カードのコピーだけで在留資格を確認してもよいですか。

採用前の確認は、原本を目視して行うのが基本です。コピーだけでは偽変造や更新前の古い情報を見落とすおそれがあるため、原本で在留資格・在留期間・就労制限の有無を確認し、そのうえで写しを保管する流れをおすすめします。番号の失効情報は出入国在留管理庁のオンライン照会でも確認できます。

外国人雇用状況の届出は、いつまでに出せばよいですか。

雇用保険に加入する人は資格取得届の提出期限に合わせて届け出る形になり、加入しない人は別の期限が定められています。届出区分によって期限が異なるため、厚生労働省やハローワークの案内で最新の期限と様式を確認し、入社日が決まった段階でスケジュールに組み込んでください。

アルバイトの留学生を採用するとき、追加で見るべき点はありますか。

在留カード裏面の資格外活動許可の記載と、認められている就労時間の上限を確認します。上限を超えるシフトを組まないよう、勤怠管理の側でも上限を設定しておくと安心です。学校の長期休業期間で取り扱いが変わる場合もあるため、所管官庁の資料を確認してください。

雇用契約書は英語で作らなければいけませんか。

日本語で作成すること自体に問題はありませんが、本人が内容を理解できることが重要です。日本語の契約書に加えて要点の英語説明資料を用意する、または日英併記にするなどの方法があります。どちらを正本とするかの整理を含め、弁護士に確認しておくと安心です。

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