ドキュサインの電子署名の仕組み|認証局とPDFへの署名の流れ
電子契約サービスを検討していると、「画面でクリックするだけで、なぜ契約が成立したことになるのか」が気になってきます。紙の契約書なら押印と割印で形が見えますが、電子契約は仕組みが画面の裏側に隠れているため、上司や取引先に説明しづらいという声もよく聞きます。この記事では、ドキュサインをはじめとする電子署名サービスに共通する仕組みを、認証局と電子証明書、PDFへの署名、監査証跡という三つの要素に分けて整理します。あわせて、印影画像(いわゆる電子印)との違いと、導入前に自社で確認しておきたい順番も具体的に書いていきます。
この記事の結論
- ドキュサインの電子署名は、署名者の本人確認(メールや認証コードなど)、認証局が発行する電子証明書による署名、署名後の改ざん検知、この三つが組み合わさって成立しています。
- 署名が完了すると、合意内容のPDFに電子署名の情報が埋め込まれ、誰が・いつ・どの操作をしたかを記録した監査証跡が別途残る形が一般的です。
- 画面に表示される印影風の画像(電子印)は見た目の要素であり、証明を支えているのは背後の電子署名と証跡だと説明されることが多いため、両者は分けて理解しておくと安心です。
ドキュサインの電子署名の仕組みは、三層に分けると分かる
電子契約サービスの仕組みは、ひとかたまりで理解しようとすると難しくなります。分解すると、①署名する人が本人であることをどう確かめるか、②その合意をどう文書に固定するか、③あとから変更されていないことをどう示すか、の三層になります。ドキュサインを含む多くのサービスは、この三層をそれぞれ別の技術で担保しています。
①は、署名依頼を送ったメールアドレスへのアクセス、追加の認証コード、身分証の確認など、契約の重さに応じて強度を選べる設計になっていることが一般的です。②は、合意の内容をPDFとして確定させ、そこに電子署名を施す処理です。③は、電子署名に含まれるハッシュ値(文書の指紋のようなもの)と、操作ログである監査証跡が担います。
説明を求められたときは、この三層の順で話すと伝わりやすくなります。「本人確認はこの方法、文書の固定はPDFへの電子署名、改ざん検知はハッシュと証跡」と並べれば、法務や経理から質問が来ても筋道を崩さずに答えられます。
ドキュサインの認証局と電子証明書は、どんな役割をしているのか
電子署名には、署名に使う鍵と、その鍵が誰のものかを示す電子証明書が必要です。この証明書を発行する機関が認証局です。紙の世界でいえば、実印そのものが鍵、印鑑証明書が電子証明書、印鑑登録をしている自治体が認証局にあたる、とイメージすると整理しやすくなります。
電子契約サービスでは、サービス事業者が自社または提携する認証局の証明書を使って、サービス名義で署名を施す方式が広く使われています。この場合、証明書上の署名者はサービス事業者で、「誰が同意したか」はサービス側の本人確認記録と監査証跡で示す構成になります。いわゆる立会人型(事業者署名型)と呼ばれる方式です。
一方で、署名する本人が自分名義の電子証明書を用意して署名する方式もあります(当事者型)。どちらが向くかは契約の性質によります。相手が不特定多数で数も多いなら立会人型が回しやすく、金額が大きい、あるいは取引先や業界の慣行で本人名義の証明書が求められる場面では当事者型を検討する、という順で考えると判断しやすいでしょう。具体的な要件は、各サービスの公式資料と、必要に応じて弁護士や司法書士に確認してください。
Docusign(ドキュサイン)の料金プラン
Docusign(ドキュサイン)の料金は次のとおりです。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
| プラン | 月額 | 1件あたりの送信料 | ユーザー数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Personal | 1,333円/月(年間一括 16,000円/年) | 月5通まで | 1ユーザー | 別途税金が発生する場合あり |
| Standard | 3,300円/月・ユーザー(年間一括 39,600円/年) | 年間100通/ユーザー | 最大50ユーザー | 共同編集、ブランド設定 |
| Business Pro | 5,300円/月・ユーザー(年間一括 63,600円/年) | 年間100通/ユーザー | 最大50ユーザー | Webフォーム、支払い回収、一括送信 |
| 拡張プラン | 記載なし | カスタム | 51ユーザー以上 | 組織管理、24時間サポート |
署名が完了したPDFには、何が入っているのか
署名が終わると、合意した内容がPDFとして確定し、そこに電子署名の情報が付与されます。付与されるのは、文書全体から計算したハッシュ値、それを鍵で処理した署名値、そして署名に使われた電子証明書の情報などです。PDFを開ける閲覧ソフトの中には、この署名情報を読み取って、署名者や有効性の表示を出すものがあります。
この仕組みのポイントは、署名後にPDFの中身を一文字でも書き換えると、計算し直したハッシュ値が元の値と合わなくなる点です。そのため、検証したときに不整合として表示される場合があります。紙でいえば、割印や契印が果たしていた役割を、計算によって置き換えていると考えると分かりやすいでしょう。
もう一つ重要なのが、PDFとは別に残る監査証跡(完了証明書などと呼ばれる記録)です。いつ署名依頼が送られ、いつ閲覧され、どの経路でアクセスがあったかといった操作の履歴がまとまっています。社内で電子契約の証拠性を説明するときは、署名済みPDFとこの証跡をセットで保管する運用にしておくと、後から確認しやすくなります。
ドキュサインの「電子印」は、印鑑の代わりになるのか
電子契約サービスでは、署名欄に印影風の画像を表示できる機能が用意されていることがあります。日本の商習慣に合わせた表示で、社内の見た目の納得感を得やすい一方で、この画像そのものが証明の中心になっているわけではない、と一般には説明されます。証拠性を支えているのは、その背後にある電子署名と監査証跡だという整理です。
そのため、印影画像を表示するかどうかで手続の負担が変わることはあっても、契約の効力の判断は個別の事情によります。取引先から「押印がないと社内を通らない」と言われた場合は、画像表示の機能を使いつつ、電子署名と証跡で成立を示す形を説明する、という進め方が現実的です。効力に関わる判断は、契約内容に即して弁護士に確認することをおすすめします。
なお、印影画像だけを別の文書に貼り付けたとしても、電子署名が付いていなければ、署名情報の検証で不備として確認できる場合があります。見た目と証明を分けて考える、という点は社内研修でも伝えておくと、運用の事故を減らしやすくなります。
導入前に、この順番で確認しておく
まず、自社が電子化したい契約の種類を洗い出します。取引基本契約、業務委託契約、雇用契約、秘密保持契約などを並べ、相手が法人か個人か、件数は多いか少ないかを書き添えます。ここで件数が多く相手も幅広いなら、立会人型を前提に検討を進めるのが自然です。
次に、書面の作成や交付が法令で求められる契約が混ざっていないかを確認します。不動産や一部の重要書類など、電子化にあたって個別のルールが定められている分野があります。該当しそうなものは、所管官庁の資料を確認したうえで、必要に応じて専門家に相談してください。
三つ目に、保存の運用を決めます。電子で受け取った契約書の保存については電子帳簿保存法の考え方が関わってくるため、保存場所、検索できる状態、責任者を先に決めておくと後戻りが減ります。要件の詳細は国税庁の資料で最新のものを確認してください。最後に、サービスの機能や料金は各社の公式サイトで最新情報を確認し、無料で試せる範囲があれば、実際の契約書一通で通しの操作を試してから本番運用に移すと安全です。
社内に説明するときの伝え方
決裁を通すときは、技術の説明より先に「紙のどの作業がどう置き換わるか」を並べると通りやすくなります。印刷、製本、押印、郵送、返送待ち、原本保管という流れが、送信、署名、自動保管に変わる、という対応表を一枚作っておくと議論が早く進みます。
そのうえで、証拠性の話を三層(本人確認・PDFへの電子署名・監査証跡)で説明します。質問が出やすいのは「本当に本人が押したと言えるのか」という点なので、契約の重さに応じて認証の強度を変えられること、証跡が残ることを具体例で示すとよいでしょう。
運用が固まってきたら、契約書の保存と税務上の取扱い、雇用契約を電子化する場合の労務上の手続など、周辺の実務も併せて整えます。保存や税務の扱いは税理士、労働契約の交付方法は社会保険労務士、契約の効力や条項の設計は弁護士と、相談先を分けて考えると話が早くなります。
よくある質問
ドキュサインの電子署名は、どの認証局の証明書を使っているのですか。
電子契約サービスでは、事業者が自社または提携する認証局の電子証明書を用いて署名を施す方式が広く使われています。どの認証局を使い、どの規格に対応しているかはサービスや契約プランによって異なるため、公式サイトの技術資料や仕様の説明で最新の内容を確認してください。
署名済みのPDFが改ざんされていないことは、どう確かめられますか。
署名情報に含まれるハッシュ値と文書の内容を照合することで、変更の有無を確認できる仕組みになっています。閲覧ソフトの署名パネルに表示が出る場合があるほか、サービス側の管理画面や監査証跡と突き合わせる方法もあります。社内では署名済みPDFと証跡を必ずセットで保管する運用にしておくと確認が容易です。
電子印の画像がないと、電子契約として弱くなりますか。
印影風の画像は表示上の要素で、証拠性を支えているのは電子署名と監査証跡だと一般には説明されます。ただし個別の契約でどう評価されるかは事情によりますので、重要な契約については弁護士に確認することをおすすめします。
紙と電子が混在する場合、保存はどうすればよいですか。
電子で受け取った契約書は電子のまま保存することが求められる場合があり、電子帳簿保存法の考え方が関わってきます。保存場所と検索できる状態、担当者を先に決めておくと運用が安定します。要件の詳細は国税庁の資料を確認し、自社の処理方法については税理士にご確認ください。