法人の青色申告承認申請|提出期限と設立年度の出し方
会社をつくったら、登記が終わって一息…とはいかず、税務署に出す書類がいくつかあります。その中でも「後から取り返しがつかない」タイプなのが、青色申告の承認申請書です。期限を1日過ぎると、その事業年度は青色申告ができません。この記事では、設立した法人がいつまでに何を出せばいいのか、期限の数え方から同時に出しておきたい届出まで、順番に整理します。
この記事の結論
- 法人が青色申告をするには、納税地の所轄税務署長に「青色申告の承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。
- 設立第1期の提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日と、第1期事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までとされています。
- 期限を過ぎるとその事業年度は白色申告となり、欠損金の繰越しなど青色申告を前提とした取扱いが受けられなくなるため、設立直後にまとめて提出するのが安全です。
そもそも法人の青色申告とは何か
法人税の申告には、青色申告と白色申告があります。青色申告は、一定の帳簿書類を備え付けて記録・保存し、あらかじめ税務署長の承認を受けた法人が選べる申告方法です。承認は自動では付いてこないので、申請書を出していない法人は白色申告の扱いになります。
青色申告を選ぶと、赤字(欠損金)を翌期以降に一定期間繰り越して所得と相殺できる、一定の資産について取得時の経費算入に関する特例を使える、といった取扱いが用意されています。設立初年度は赤字になる会社も少なくないため、この繰越しが使えるかどうかは後々の税額に効いてきます。ただし適用できる範囲や条件は会社の規模や資産の内容で変わるため、具体的な判断は税理士にご確認ください。
逆に言えば、青色申告を選んだからといって何もしなくていいわけではありません。帳簿を備え付けて取引を記録し、決められた期間保存することが前提です。帳簿がまったくない、記帳が著しく不十分といった状態が続くと、承認が取り消されることがあります。
設立第1期の提出期限はどう数えるのか
設立したばかりの法人が第1期から青色申告をする場合、提出期限は「設立の日以後3か月を経過した日」と「第1期の事業年度終了の日」のうち、いずれか早い日の前日までとされています。二つの日付を出して、早いほうを採るという二段構えの数え方です。
たとえば設立日が4月1日、決算月が3月末の会社であれば、3か月を経過した日は7月1日、事業年度終了の日は翌年3月31日です。早いのは7月1日なので、その前日である6月30日までに提出する、という考え方になります。一方、設立日が4月1日で決算月が5月末という短い第1期なら、事業年度終了の日である5月31日のほうが早いので、その前日である5月30日までとなります。
ここでいう「設立の日」は、原則として設立登記をした日です。定款の作成日や、実際に営業を始めた日ではありません。登記事項証明書で設立年月日を確認してから数えるようにしてください。判断に迷う日付の会社は、所轄税務署か税理士に確認すると安心です。
2期目以降に青色へ切り替えるときの期限
すでに設立から時間が経っていて、これまで白色申告だった法人が青色に切り替える場合は、期限の考え方が変わります。青色申告の適用を受けようとする事業年度の開始の日の前日までに提出する、というのが基本です。3月決算の会社が翌期から青色にしたいなら、その期が始まる前日までに出す、というイメージです。
期の途中で気づいて申請しても、その事業年度に遡って青色にすることはできません。「今期はもう間に合わないので、来期分として出す」という整理になります。そのため、切り替えを考えているなら決算期末より前に動き始めるのが現実的です。
過去に青色申告の承認を取り消されたことがある法人や、青色申告をやめる旨の届出をした法人については、再申請できる時期に制限が設けられています。該当しそうな場合は、申請前に税理士や所轄税務署に相談してください。
申請書の書き方と提出先
使うのは「青色申告の承認申請書」という様式で、国税庁のサイトから最新の様式をダウンロードできます。書く内容は、納税地・法人名・法人番号・代表者の氏名住所・事業年度・青色申告によろうとする事業年度、そして帳簿組織の状況などです。設立第1期の申請では、設立年月日を記入する欄もあります。
帳簿組織の状況の欄では、仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳といった備え付ける帳簿の名称と、記帳の時期(毎日・毎月など)、伝票会計や会計ソフトを使うかどうかを書きます。会計ソフトで記帳する予定なら、その旨が分かるように記載しておけば足りることが多いです。難しく考えず、実際にこれから行う記帳の姿をそのまま書けば大丈夫です。
提出先は、本店所在地を管轄する税務署長です。窓口持参、郵送のほか、e-Taxでの電子提出もできます。郵送なら通信日付印の日付が提出日として扱われるのが原則ですが、期限ぎりぎりの発送は避けたいところです。控えを1部余分に用意して、受付印をもらうか、e-Taxなら受信通知を保存しておくと、後で金融機関や補助金の手続きで求められたときに役立ちます。
設立時にまとめて出しておきたい他の届出
税務署への提出物は青色申告の承認申請書だけではありません。法人設立届出書、給与を払うなら給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納付を年2回にまとめたい場合は源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書などがあります。棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法について、法定の方法以外を選びたい場合の届出もあります。
このうち納期の特例は給与の支払人数などの条件があり、消費税に関する届出は課税事業者になるかどうか、インボイス登録をするかどうかで必要なものが変わります。設立直後に判断が必要な論点が重なるため、ここは自己判断で進めず、税理士に一度整理してもらうのが結果的に早いことが多いです。
加えて、都道府県税事務所と市区町村への法人設立届も必要です(東京23区内は都税事務所のみとなるなど、地域で窓口が異なります)。提出期限や添付書類は自治体ごとに定められているので、各自治体の公式サイトで最新の案内を確認してください。
期限に間に合わなかったらどうなるか
設立第1期の期限を過ぎてしまうと、その事業年度について青色申告はできません。遅れて提出した申請書は、原則として次の事業年度から有効なものとして扱われます。第1期が赤字でも、白色申告ではその欠損金を翌期以降に繰り越せないため、影響が残ることがあります。
そのため、対応としては「今からできること」に切り替えます。まず、遅れてでも申請書を提出して次期からの青色申告を確保すること。そして第1期については、帳簿と証憑をきちんと整えて申告を済ませることです。記帳をおろそかにすると、次期の青色申告の前提も崩れてしまいます。
なお、期限や取扱いには例外的な取り決めが設けられている場合もあります。「間に合わなかったかもしれない」と思ったら、あきらめて放置するより、所轄税務署か税理士に事実関係を伝えて確認したほうが選択肢が残ります。
会社設立まわりの税務手続きは、青色申告・消費税・源泉所得税・地方税が同時に走るため、一つ抜けると後から効いてきます。設立日が決まった時点で税理士に相談し、提出物の一覧と期限をカレンダーに落としておくことをおすすめします。労務の届出が絡む場合は社会保険労務士、登記に関する点は司法書士へ、それぞれ確認すると漏れが減ります。
よくある質問
会社設立後、青色申告の申請はいつまでに出せばいいですか。
設立第1期から適用を受けたい場合は、設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までが期限とされています。設立日は原則として設立登記の日を指します。日付の数え方に迷うときは、所轄税務署か税理士に確認してください。
青色申告の承認申請書はどこに出しますか。
本店所在地を管轄する税務署長あてに提出します。窓口持参、郵送、e-Taxのいずれでも提出でき、様式は国税庁のサイトから入手できます。控えに受付印をもらうか、電子申告の受信通知を保存しておくと後の手続きで役立ちます。
申請書を出したら、承認の通知は届きますか。
申請した事業年度終了の日までに承認または却下の通知がない場合、その日に承認があったものとして扱われる取扱いがあります。通知が来ないこと自体は珍しくありませんが、不安であれば提出控えを手元に残したうえで、所轄税務署に確認するとよいでしょう。
青色申告にすると税金が安くなりますか。
欠損金の繰越しなど、青色申告を前提とした取扱いがいくつか用意されていますが、実際の税額は所得の状況や適用できる制度によって変わります。「必ず安くなる」と言えるものではないため、自社にどの取扱いが関係するかは税理士にご確認ください。