定款の原本証明の書き方|「原本に相違ありません」の文例と日付・押印

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

法人口座の開設、補助金の申請、取引先への提出——定款のコピーを出す場面で「原本証明をつけてください」と言われて戸惑う方は少なくありません。やること自体は単純で、写しの末尾に「原本に相違ありません」という一文と、日付・会社名・代表者名を書き添えるだけです。この記事では、実際に書く文例、日付をいつにするか、押印はどう考えるか、複数ページの綴じ方までを順に整理します。

この記事の結論

  • 定款の原本証明とは、定款の写しの末尾に「この写しは原本に相違ありません」という一文と日付・会社所在地・商号・代表者名を記載し、代表者が記名押印して、写しが原本と同じ内容であることを証明するものです。
  • 文例は「上記は、当会社の定款の原本と相違ありません。令和◯年◯月◯日 東京都◯区◯丁目◯番◯号 株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯ ◯◯ 印」の形が基本で、提出先の指定があればそれに合わせます。
  • 日付は提出日か、その直前の日付を入れるのが一般的で、複数ページある場合は全ページをまとめて綴じ、契印(割印)を押すか、ページ数を明記して一体であることを示します。

定款の原本証明とは何か|「奥書」と呼ばれることもあります

原本証明とは、書類の写し(コピー)に対して「これは原本と同じ内容です」と作成者自身が証明する記載のことです。定款の場合は、会社の代表者が自社の定款の写しに対して行います。書類の末尾に書き添えるため「奥書(おくがき)」「奥書証明」と呼ばれることもありますが、実務上はほぼ同じものを指しています。

なぜ必要かというと、提出先は原本を預かりたくない一方で、コピーだけでは改変の有無が分からないからです。代表者が責任をもって「原本と相違ない」と記名押印することで、提出先はその写しを原本に準じた資料として扱えます。法人口座の開設、補助金・助成金の申請、許認可の申請、入札参加資格の登録、取引先の与信審査などで求められる場面が多いです。

定款そのものに手を加えるわけではないので、原本証明をつけたからといって定款の内容が変わることはありません。あくまで「写しの信頼性を担保するための添え書き」と理解しておけば十分です。

「原本に相違ありません」の文例|そのまま使える基本形

最もよく使われるのは、次の形です。定款の写しの最終ページの余白、または末尾に1枚紙を足して記載します。

【文例1・基本形】 「この写しは、原本と相違ありません。  令和◯年◯月◯日  東京都◯◯区◯◯一丁目2番3号  株式会社◯◯◯◯  代表取締役 ◯◯ ◯◯ ㊞」

【文例2・「定款」であることを明示する形】 「上記は、当会社の定款の原本と相違ないことを証明します。  令和◯年◯月◯日  (本店所在地)  (商号)  代表取締役 (氏名) ㊞」

【文例3・提出先向けに用途を添える形】 「本書面は、当会社の定款の写しであり、原本と相違ありません。  令和◯年◯月◯日  (本店所在地・商号・代表者氏名) ㊞」

どれを使っても趣旨は変わりません。迷ったら文例1で問題になることは少ないでしょう。ただし提出先が独自の様式や文言を指定している場合は、そちらが優先です。申請の手引きや記載例が配布されていないか、先に確認してください。

日付・氏名・押印はどう書く?迷いやすい3点

まず日付です。原本証明は「その日時点で写しと原本が一致していることを証明する」ものなので、提出日か、その数日前の日付を入れるのが一般的です。定款を作成した日や認証を受けた日を書く必要はありません。古い日付のままだと提出先から差し替えを求められることがあるため、提出のたびに新しく作り直すのが安全です。

次に氏名・肩書です。株式会社なら「代表取締役」、合同会社なら「代表社員」または「代表社員 職務執行者」など、登記されている肩書をそのまま書きます。本店所在地と商号も、登記されているとおりに記載してください。「1-2-3」のような略記ではなく「一丁目2番3号」と登記どおり書いておくと、提出先での照合がスムーズです。

押印については、近年、行政手続全般で押印を求めない方向の見直しが進んでいます。そのため提出先によっては押印不要とされることもありますが、原本証明は民間の提出先で求められることも多く、実務では代表者印(会社の実印)または会社の角印を押しておくのが無難です。どの印を押すか指定がない場合、代表者印を押しておけば問題になりにくいでしょう。押印の要否や種類に指定があるかは、提出先の案内で確認してください。

複数ページの定款はどう綴じる?契印と割印の考え方

定款は通常、複数ページにわたります。写しを提出するときは、全ページをコピーしたうえで一体の書類として扱えるようにします。順序としては、①原本の全ページ(表紙・末尾の認証文言や発起人署名部分も含む)をコピーする、②ページ順に揃えてホチキスで左綴じにする、③最終ページの末尾に原本証明の文言を記載する、という流れです。

ページの差し替えができないことを示すため、見開きごとに代表者印で契印を押す方法が一般的です。ページ数が多い場合は、袋とじにして背の部分に契印を押す方法もあります。どちらでも構いませんが、押し忘れのページがないように、綴じたあとで通しで確認してください。

契印を省略する場合は、原本証明の文言に「全◯枚」とページ数を書き添えておくと、一体性が分かりやすくなります。たとえば「この写し(全5枚)は、原本と相違ありません。」といった形です。提出先から枚数の記載を指定されることもあるので、案内を先に読むことをおすすめします。

電子定款の場合はどうする?紙の原本がないときの扱い

電子定款で会社を設立した場合、紙の原本は存在せず、PDFに電子署名がされたデータが原本にあたります。この場合、提出先に確認したうえで、①PDFデータそのものを提出する、②PDFを印刷したものに原本証明をつけて提出する、のどちらかになることが多いです。窓口によって扱いが異なるため、自己判断で進める前に提出先に聞くのが近道です。

印刷物に原本証明をつける場合の文言は、紙の定款と同じ形で差し支えありませんが、「電磁的記録である定款を印刷したものであり、その内容に相違ありません」といった趣旨を加えると、提出先に状況が伝わりやすくなります。電子署名の情報が印刷に反映されない点も、必要に応じて口頭で補足しておくとよいでしょう。

なお、公証役場で電子定款の認証を受けた場合、同一の情報の提供(いわゆる謄本)を請求できます。提出先が公証役場発行の謄本を求めているのか、自社の原本証明付きの写しで足りるのかは、要求される書類名が「定款の写し」なのか「定款の謄本」なのかで変わります。書類名を確かめてから動くと、二度手間を防げます。

提出前の最終チェックと、迷ったときの相談先

出す前に、次の点を上から順に確認してください。①提出先が求めているのは「写し+原本証明」か「謄本」か。②現行の定款か(変更後に作り直しているか)。③全ページがコピーされているか、表紙や末尾の署名部分が欠けていないか。④日付は新しいか。⑤商号・所在地・代表者名が登記どおりか。⑥押印と契印に漏れがないか。

特に見落としやすいのが②です。設立後に商号変更や本店移転、事業目的の追加などで定款を変更している場合、変更を反映した現行定款の写しが必要になります。株主総会議事録だけ残っていて定款本体を更新していない、という状態は小さな会社では起こりがちなので、この機会に現行版を1本整えておくと、次からの提出が楽になります。

定款の内容そのものに変更が必要な場合や、現行定款がどれか分からなくなっている場合、登記と定款の記載が食い違っているように見える場合は、司法書士に相談すると整理が早いです。補助金や許認可の申請に添付する書類として原本証明の要否を判断したいときは、申請窓口に確認したうえで、必要に応じて税理士や行政書士など、その手続に詳しい専門家に相談してください。

よくある質問

定款の原本証明に押印は必要ですか?

行政手続では押印を求めない方向の見直しが進んでおり、提出先によっては押印不要とされることもあります。一方で民間の提出先では押印を前提とする運用も残っているため、指定がなければ代表者印を押しておくのが無難です。要否や印の種類は提出先の案内で確認してください。

原本証明の日付は定款を作った日ですか、提出する日ですか?

提出日、またはその直前の日付を入れるのが一般的です。原本証明は「その時点で写しと原本が一致している」ことを示すものなので、定款の作成日や認証日を書く必要はありません。提出のたびに新しく作り直すと安心です。

原本証明は代表者以外の人が書いてもいいですか?

会社の書類について証明するものなので、代表取締役(合同会社なら代表社員)の名義で作成するのが基本です。実際の作成作業を担当者が行っても構いませんが、記名押印は代表者名義にしてください。支店長名などで求められる場合は、提出先の指定に従います。

「奥書」と「原本証明」は違うものですか?

実務上はほぼ同じ意味で使われています。書類の末尾に書き添えることから「奥書」「奥書証明」と呼ばれ、内容は「この写しは原本と相違ありません」という証明です。提出先が「奥書をつけてください」と言う場合も、この記事の文例で対応できることが多いです。

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