定款の製本と押印の仕方|袋とじ・契印・割印と用紙や書式のルール

・会社設立・登記・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

会社設立の書類のなかで、最初につまずきやすいのが紙の定款の製本です。文面は整ったのに「どう綴じるのか」「どこに印鑑を押すのか」が分からず手が止まる、という相談はとても多いところ。この記事では、印刷から綴じ方、契印・割印の位置、公証役場に持っていくまでの流れを、作業の順番どおりに整理します。

この記事の結論

  • 紙の定款はA4・縦置きで印刷し、表紙を付けてホチキスで綴じたうえで、背に製本テープを貼る「袋とじ」にするのが一般的な形です。
  • ページのつながりを示す契印は、袋とじにした場合は表紙と裏表紙の製本テープの境目に発起人全員の印を押し、袋とじにしない場合は全ページの見開きの綴じ目に押します。
  • 株式会社は原則3部(公証役場保存用・会社保存用・登記申請用)を同じ体裁で用意し、製本や押印の細かい扱いは認証を受ける公証役場に事前に確認するのが確実です。

そもそも紙の定款の製本は何のために必要か

定款は会社の基本ルールを定めた書類で、株式会社を設立する場合は公証人の認証を受けることになります。複数枚にわたる書類を、あとから差し替えたり抜き取ったりできない形にしておくことが求められるため、綴じ方と押印がセットで問題になります。製本と契印は、その「ひとつながりの書類である」ことを示すための作業だと考えると分かりやすいはずです。

なお、電子定款を選ぶ場合は紙への印刷・製本そのものが不要になり、印紙税の扱いも紙とは異なります。ただし電子署名の環境を自分で用意するか、専門家に依頼するかの判断が必要になります。紙にするか電子にするかをまだ決めていない方は、先にそこを決めてからこの記事の手順に進んでください。

合同会社の場合は公証人の認証が不要とされていますが、登記申請に添付する定款は作成し、社員(出資者)の押印をして綴じることになります。認証がないぶん手順は簡単ですが、綴じ方や契印の考え方は基本的に同じです。

定款の用紙サイズ・書式・両面印刷のルール

用紙はA4・白色の普通紙、縦置き・横書きが一般的です。特殊な紙を使う必要はなく、家庭用のプリンターで印刷したもので差し支えない場合がほとんどです。文字サイズや余白に厳密な決まりがあるわけではありませんが、読みやすさと押印スペースを考えて、上下左右に2〜3cm程度の余白を取っておくと綴じたときに文字が隠れません。

両面印刷にするか片面印刷にするかは、どちらでも受け付けられることが多い一方、公証役場によって運用に差があるといわれます。迷ったら片面印刷にしておくと、ページ数は増えますが契印の位置が分かりやすく、後から差し替える際にも扱いやすくなります。片面で作る場合は裏面を白紙のままにし、白紙側に何も書き込まないようにします。

ページ番号は必須ではありませんが、1ページ目から通し番号を振っておくと、抜け落ちや順番違いに気づきやすくなります。条文の途中でページが変わってもかまいません。印刷後は、条番号の飛び、誤字、会社名や本店所在地の表記ゆれを、押印前に必ず読み返しておきます(押印してから直すとやり直しになります)。

定款の袋とじのやり方|手順を順番に

用意するものは、印刷した定款本文、表紙(付けるのが一般的です)、A4が綴じられるホチキス、製本テープ、発起人(合同会社なら社員)の印鑑、朱肉です。製本テープは文具店やホームセンターで手に入る、A4製本用の幅のものを使います。

手順は次の順番です。①表紙を一番上に置き、本文を順番どおりに重ねる。②左端をホチキスで2か所留める(上下に均等な位置だと安定します)。③製本テープを、書類の高さより少し長めに切る。④表紙側の左端にテープを貼り、背を包むように裏表紙側へ折り返して貼る。⑤上下にはみ出した部分を折り込むか、切りそろえる。テープが本文の文字にかからないよう、貼る前に位置を合わせてから貼りはじめると失敗しにくくなります。

表紙には「定款」という表題と、会社の商号を書くのが一般的です。作成年月日や発起人名を入れる形もありますが、決まった様式があるわけではありません。テンプレートを探すよりも、表題と商号が分かればよい、と考えたほうが早く進みます。同じものを株式会社なら3部作ることになるので、印刷部数を先に確認しておきましょう。

契印・割印はどこに押す?押印箇所の一覧

まず用語を整理します。契印は、1つの書類の中でページがつながっていることを示す押印です。割印は、2つ以上の書類が同じ内容(または対になる関係)であることを示す押印で、複数部を少しずらして重ねて、またぐように押します。定款の製本でよく話題になるのは契印のほうです。

契印の押し方は綴じ方で変わります。袋とじにした場合は、表紙側と裏表紙側の、製本テープと紙の境目にまたがるように押します。この2か所に、発起人全員の印を押すのが一般的な形です。袋とじにせずホチキス留めだけにした場合は、全ページの見開き部分(ページとページの綴じ目)すべてに、発起人全員の印を押していくことになります。ページ数が多いほど手間が増えるので、袋とじをおすすめする理由はここにあります。

本文の押印箇所は、末尾の発起人欄です。発起人(合同会社なら社員)の氏名・住所を記載し、その横に押印します。株式会社の設立で使う印鑑は個人の実印とされ、印鑑証明書を添えるのが通常です。印影がかすれたり二重になったりすると押し直しを求められることがあるため、下に固い台を敷き、朱肉をつけすぎずにまっすぐ押します。失敗した場合の訂正方法は役場によって扱いが異なるので、自己判断で消したり重ね押ししたりせず、問い合わせてから対応してください。

公証役場に持っていくまでの流れと、当日までの準備

株式会社の場合、認証を受ける公証役場は、本店を置く都道府県内の役場になります。流れとしては、①定款の文案を作る、②公証役場に文案をメールやFAXで事前チェックしてもらう、③指摘を反映して確定させる、④印刷・押印・製本する、⑤予約した日に出向いて認証を受ける、という順番です。製本は文案が確定してからが鉄則で、先に綴じてしまうと修正のたびに作り直しになります。

当日に持参するものは、製本した定款(株式会社は通常3部)、発起人全員の印鑑証明書、来場する人の本人確認書類と印鑑、認証手数料などの費用です。費用は資本金の額などによって変わり、改定されることもあるため、金額は事前に公証役場または日本公証人連合会の案内で確認してください。発起人本人が行けない場合は委任状が必要になります。

2020年代に入ってからは、オンラインでの定款認証(テレビ電話方式)の運用も広がっています。紙の製本にこだわる必要がないケースもあるので、時間や移動の負担が気になる方は、予約の連絡をするときに対応可否をあわせて聞いてみるとよいでしょう。

よくある失敗と、迷ったときの判断の順番

多いのは、①押印してから誤字に気づく、②発起人のうち一人分の契印が漏れる、③製本テープが本文の文字にかかる、④部数が足りない、の4つです。いずれも「文案確定→印刷→読み直し→押印→製本」の順番を守れば大半は防げます。読み直しは、画面ではなく印刷した紙で、商号・本店・目的・発起人の住所氏名を一つずつ指差し確認するのが確実です。

迷ったときの判断の順番はこうです。まず、紙か電子かを決める。次に、認証を受ける公証役場に電話し、両面印刷の可否・契印の位置・部数の3点を確認する。そのうえで印刷と押印に進む。公証役場ごとに運用の差があるといわれる部分なので、ネットの情報より、これから認証を受ける役場の回答を優先してください。

定款の内容そのもの(事業目的の書き方、株式の譲渡制限、役員の任期など)は、設立後の運営や登記に影響します。目的の記載が許認可の要件に合っていないと後で変更登記が必要になることもあります。内容に不安がある場合や、設立後の税務・許認可まで見据えて決めたい場合は、司法書士や税理士など、設立手続きに詳しい専門家に早めに相談してください。

よくある質問

定款は必ず袋とじにしないといけませんか?

袋とじは一般的な方法ですが、ホチキス留めのうえで全ページの見開きに発起人全員の契印を押す形で受け付けられることもあります。ページ数が多いと押印の手間が大きくなるため、袋とじのほうが実務上は楽です。どちらで進めるかは、認証を受ける公証役場に事前に確認してください。

定款は両面印刷でもよいですか?

両面印刷が認められる場合もありますが、公証役場によって運用に差があるといわれます。迷う場合は片面印刷にしておくと契印の位置が分かりやすく、無難です。予約の連絡の際にあわせて確認しておくと、当日のやり直しを避けられます。

契印と割印の違いは何ですか?

契印は1つの書類の中でページがつながっていることを示す押印で、袋とじなら製本テープと紙の境目に押します。割印は複数の書類が対になっていることを示すもので、書類をずらして重ね、またぐように押します。定款の製本で主に必要になるのは契印のほうです。

定款は何部作ればよいですか?

株式会社の場合は、公証役場の保存用・会社の保存用・登記申請用として3部用意するのが一般的です。すべて同じ体裁で印刷し、同じように押印・製本します。部数の扱いは役場によって案内が異なることがあるため、事前に確認しておくと安心です。

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