オンライン決済の導入方法|必要なものと導入費用、進め方の順番
「自社サイトでカード決済を受けられるようにしたい」。そう思って調べ始めると、決済代行、ゲートウェイ、加盟店審査といった見慣れない言葉が次々に出てきて、どこから手をつければいいのか分からなくなりがちです。この記事では、オンライン決済の導入を「何を決めるか」「何を用意するか」「どの順に進めるか」の3点に分解して整理します。ひとり社長や小さな会社が、申込から公開までを自力で進められる状態を目指します。
この記事の結論
- オンライン決済の導入は、①決済手段を決める→②決済代行会社を選ぶ→③申込と加盟店審査→④サイトへの組み込みとテスト→⑤公開と入金確認、の順に進めるのが基本です。
- 法人が申し込む際は、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)や代表者の本人確認書類、法人口座の情報、販売するサービス内容が分かるサイト情報などを求められることが一般的です。
- 費用は「初期費用」「月額固定費」「決済ごとの手数料」「入金にかかる費用」の4つに分かれるため、合計の負担を各社の公式サイトで最新情報を確認して比較します。
オンライン決済の導入とは何をすることか
オンライン決済の導入とは、自社サイトやサービス上で、お客さまがクレジットカードなどで代金を支払える状態をつくることです。自社がカード会社一社一社と直接契約する方法もありますが、小さな会社では、複数の決済手段をまとめて扱える決済代行会社(ペイメントサービス)を経由する形が一般的です。
決済代行を使うと、カード会社やブランドとの契約手続き、決済データのやりとり、売上の集計と入金までをまとめて任せられます。自社側は、決済画面をサイトに組み込み、注文と入金の突き合わせができる状態を整えることに集中できます。
導入の難易度は、扱う商材とサイトの作り方で大きく変わります。ネットショップ作成サービスを使っているなら管理画面の設定だけで済むことが多く、自社開発のサイトやアプリなら、API連携の開発作業が必要になります。まずは自社がどちらなのかを確認するところから始めます。
最初に決めるのは「どの決済手段を受けるか」
決済代行の比較に入る前に、自社が受け付けたい決済手段を先に決めます。クレジットカードは多くの場合に必要になりますが、それ以外にコンビニ決済、銀行振込(バーチャル口座)、キャリア決済、各種QRコード決済、後払いなど、選択肢は広がっています。全部載せにすると管理が煩雑になるので、顧客層から逆算して絞るのが現実的です。
判断の順番としては、まず「相手が法人か個人か」を見ます。法人向けの請求なら銀行振込が中心になり、カード決済は補助的な位置づけになることがあります。個人向けなら、カード決済に加えて、カードを持たない層に向けたコンビニ決済やQRコード決済を検討します。
次に「単発の販売か、継続課金か」を見ます。月額のサブスクリプションや会費を扱うなら、カード情報を安全に保管したうえで自動的に課金を繰り返す仕組み(継続課金・トークン化)に対応しているかが、選定の分かれ目になります。導入後に追加するのは手間がかかるため、将来やる可能性があるなら最初から対応可否を確認しておきます。
決済代行会社の選び方と比較の順番
決済代行会社は数多くありますが、最初から手数料の細かい差で比べると決められなくなります。比較は「①自社の商材が扱えるか→②必要な決済手段がそろうか→③サイトへの組み込み方が自社に合うか→④費用の合計→⑤入金サイクル」の順に見ていくと、候補が自然に絞れます。
①は見落としやすい重要な点です。決済代行には取り扱いが難しい、あるいは追加の確認が必要な商材のジャンルがあります。デジタルコンテンツ、予約や前受け、定期購入、無形サービスなどは条件が細かく設定されていることがあるため、申込前に自社の商材を伝えて可否を確認しておくと、審査での差し戻しを減らせます。
③の組み込み方は、大きく分けて「決済代行のページに遷移して支払うリンク型・リダイレクト型」と「自社サイト内で完結する埋め込み型・API型」があります。開発リソースがないならリンク型やネットショップ作成サービスの標準機能、購入体験をつくり込みたいならAPI型、という切り分けが分かりやすい基準です。
⑤の入金サイクルは資金繰りに直結します。売上が立ってから入金までの期間と、締め日・入金日のルールを確認し、仕入れや外注費の支払いタイミングと合うかを見ておきます。条件は各社で異なるため、公式サイトの最新情報と申込時の条件書面で確認してください。
導入費用はどこにかかるのか
オンライン決済の費用は、大きく4種類に分かれます。導入時にかかる初期費用、毎月かかる固定費、決済1件ごとにかかる決済手数料(売上に対する率や定額)、そして売上を自社口座へ移す際にかかる入金・振込関連の費用です。「手数料が安い」と見えても、月額固定費や入金ごとの費用が乗ると合計は変わります。
比較するときは、自社の想定に当てはめて月あたりの合計額を出すのが確実です。「月の決済件数」「平均単価」を仮に置いて、初期費用を除いた月額固定費+(決済手数料×件数・金額)+入金関連費用を計算し、候補ごとに並べます。単価が高く件数が少ない事業と、単価が低く件数が多い事業では、有利な料金体系が変わります。
このほか、自社サイトに組み込むための開発費や、ネットショップ作成サービスの利用料、SSL証明書などのサイト側の費用も実質的な導入コストです。具体的な金額は各社・各案件で異なるため、必ず各社の公式サイトで最新の料金体系を確認し、見積もりを取ったうえで判断してください。
申込から公開までの進め方と、法人が用意するもの
進め方の順番は、(1)決済手段と代行会社の候補を決める、(2)必要書類をそろえて申し込む、(3)加盟店審査を受ける、(4)テスト環境で決済を試す、(5)本番公開して初回の入金を確認する、という流れになります。審査には日数がかかることが多いので、サイトの公開日から逆算して余裕をもって着手します。
法人が申し込むときに求められることが多いのは、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)、代表者の本人確認書類、売上金を受け取る法人口座の情報、そして事業内容や商材が分かる資料です。加えて、サイト上に特定商取引法に基づく表記、利用規約、プライバシーポリシー、問い合わせ先などが掲載されているかを確認されるのが一般的です。審査前にサイト側の表記を整えておくと、やりとりが短くなります。
審査を通過したら、テスト用のキーやテスト環境で、決済の成功・失敗・キャンセル・返金の各パターンを一度ずつ試しておきます。とくに、決済完了後に注文が確定する処理と、通信が途中で切れたときの扱いは、本番で問題が起きやすい箇所です。公開後は、決済代行の管理画面の売上と、自社の受注データ、実際の入金額の3つが一致するかを最初の入金日に必ず突き合わせます(この確認作業は毎月の経理の型にしておくと楽になります)。
導入後に整えておきたい運用と経理まわり
オンライン決済を入れると、売上の計上と入金が別のタイミングになります。決済が成立した日と、決済代行から入金される日がずれるため、帳簿上は売掛金として管理し、入金時に消し込む処理が必要になるのが一般的です。会計ソフトと決済代行の連携機能があるなら、早い段階で設定しておくと突き合わせの手間が減ります。
返金・キャンセル・チャージバック(カード名義人からの支払い異議)への対応方針も、公開前に決めておきます。どの期間まで返金を受け付けるか、送料や手数料の扱いをどうするかをサイト上に明記しておくと、トラブル時の判断が早くなります。
領収書や請求書の発行方法、インボイス制度への対応、取引データの電子的な保存については、自社の状況によって必要な対応が変わります。制度の要件は所管官庁の資料で最新の内容を確認したうえで、売上の計上時期や消費税の扱いに迷う場合は税理士に、利用規約や返金条件の文面に迷う場合は弁護士に相談すると、後からの手戻りを避けやすくなります。
よくある質問
オンライン決済の導入にはどれくらい期間がかかりますか。
決済代行会社への申込後、加盟店審査に日数がかかるのが一般的で、書類の不備やサイト表記の修正があるとさらに延びます。サイトへの組み込みやテストの時間も含め、公開日から逆算して余裕をもったスケジュールを組むことをおすすめします。具体的な所要日数は各社の案内で確認してください。
個人事業主でも申し込めますか。法人のほうが有利ですか。
個人事業主でも申し込める決済代行はありますが、必要書類や審査の観点は法人と異なることがあります。法人の場合は登記事項証明書や法人口座が前提となる一方、事業実態を示しやすい面もあります。どちらが適するかは商材や取引形態によるため、候補先の申込条件を個別に確認してください。
複数の決済代行を併用してもよいのでしょうか。
決済手段ごとに別の会社を使う運用は実際に行われていますが、管理画面や入金サイクルが分かれ、経理の突き合わせが煩雑になります。まずは必要な決済手段を1社でまとめられないかを検討し、どうしても不足する部分だけ追加する、という順で考えると管理しやすくなります。
導入費用を抑えたい場合、どこから見直せばよいですか。
まず月額固定費と決済手数料のどちらが自社の負担に効いているかを、想定件数と単価で試算して確かめます。件数が少ない段階では固定費の軽い体系、件数が増えたら料率の条件、という見直しの順が分かりやすいです。料金体系は変更されることがあるため、各社の公式サイトで最新の内容を確認してください。