採用動画の制作費用の相場|価格帯ごとにできることの違い

・採用・労務・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

「採用動画っていくらかかるんですか」と聞かれたとき、ひとつの金額で答えられないのがこのジャンルの難しいところです。同じ3分の動画でも、スマホ1台で撮ったものと、ロケ地を押さえて出演者を立てたものでは、費用の桁が変わります。この記事では、金額そのものより「何が費用を動かしているのか」を分解し、自社がどの価格帯を狙うべきかを判断できるようにします。具体的な金額は各制作会社の見積もりで確認していただく前提で、比較の物差しをお渡しします。

この記事の結論

  • 採用動画の制作費用は、企画・撮影日数・出演者・編集の手の込み方・素材の権利処理という5つの要素でほぼ決まり、尺の長さ自体は思ったほど費用を左右しません。
  • 価格帯が上がるほど「撮影前の設計(企画・構成・ヒアリング)」に時間が割かれ、低価格帯では既存フォーマットへの当てはめが中心になります。
  • まず用途(説明会で流す/求人媒体に載せる/SNSで拡散する)を決め、次に社内で撮れる素材の有無を確認してから、2〜3社に同じ条件で見積もりを依頼するのが失敗の少ない進め方です。

採用動画の制作費用は何で決まるのか

採用動画の見積もりは、ざっくり「人が動いた時間」と「権利の処理」で構成されます。ディレクターが企画に何時間かけるか、撮影に何日入るか、編集に何日かかるか。この積み上げが金額の大部分です。機材費やスタジオ費もありますが、小規模な案件では人件費の比重が大きくなりがちです。

費用を大きく動かす要素は、主に次の5つです。①企画・構成にどこまで踏み込むか、②撮影日数とロケ地の数、③出演者(社員のみか、俳優やナレーターを立てるか)、④編集の手の込み方(テロップ程度か、モーショングラフィックスやアニメーションを入れるか)、⑤音楽・写真などの素材ライセンスと、二次利用の範囲。

逆に、意外と費用に効かないのが「尺」です。3分を5分にしても、撮影日数が増えなければ編集工数の伸びは限定的です。むしろ「撮影日を1日増やす」「ロケ地を2か所にする」ほうが金額に跳ね返ります。見積もりを下げたいときは、尺を削るより撮影日を絞るほうが効きやすい、と覚えておくと交渉しやすくなります。

価格帯ごとにできること・できないことの違い

低価格帯は、テンプレート化された構成に自社の情報を流し込むスタイルが中心です。社員インタビューを数本撮って字幕とBGMをつける、既存の写真素材をスライド的につなぐ、といった作り方になります。スピードが出るのが利点で、「まず1本、説明会で流すものが欲しい」という段階には合います。一方、自社ならではの切り口を引き出す企画工程は薄くなります。

中価格帯になると、事前ヒアリングや構成台本の作成が工程として入ってきます。誰にどのメッセージを届けるかを決めたうえで、撮影対象の社員を選び、質問設計をしてから撮る。撮影も1日以上かけ、オフィスの様子や仕事風景といったイメージカットを押さえられるようになります。求人媒体や自社サイトに長く置く前提なら、この帯が候補になりやすいところです。

高価格帯では、採用ブランディングの設計そのものから関わる座組みになります。複数日のロケ、プロの出演者やナレーション、モーショングラフィックス、複数尺(フル版・30秒版・縦型版)の同時納品などが視野に入ります。ここまで来ると動画単体ではなく、採用サイトや説明会資料とセットで設計する話になります。採用人数が多く、毎年使い回す前提がある会社向けです。

内製と外注、どちらを選ぶか

判断の順番はシンプルです。まず「誰が編集するか」を決めてください。社内に編集を担当できる人がいて、その人の時間を月に数十時間確保できるなら、内製が選択肢に入ります。確保できないなら、外注を前提に考えたほうが結果的に早く安く済むことが多いです。内製の本当のコストは、機材やソフトではなく担当者の時間です。

次に「何本作るか」を考えます。年に1本なら外注、SNS向けに毎月何本も出すなら内製寄り、という分け方が現実的です。継続して出すコンテンツは、社内の人が回したほうが鮮度を保ちやすく、外注だと都度の発注コストがかさみます。看板となる1本を外注し、派生する短尺を内製する、という組み合わせもよく取られます。

そのうえで、社内で撮れる素材を棚卸ししましょう。オフィスの写真、過去のイベント映像、社員の顔出しOKリストなどが揃っていると、撮影日数を減らせて見積もりが下がります。制作会社に「この素材は提供できます」と最初に伝えるだけで、提案の前提が変わります。

見積もりを取るときに揃えておく情報

問い合わせの前に、次の4点をメモにしておくと話が早く進みます。①用途と掲載先(説明会/自社採用ページ/求人媒体/SNS)、②ターゲット(新卒か中途か、職種)、③公開したい時期、④社内で用意できる素材と、出演可能な社員の人数。金額から聞くより、この4点を先に伝えたほうが、比較できる見積もりが返ってきます。

依頼先は2〜3社に絞り、全社に同じ条件を提示します。条件が揃っていない見積もりは並べても比較になりません。見積書が届いたら、総額ではなく内訳を見てください。企画費・撮影費・編集費・素材費・修正対応の回数が分かれて書かれているか。修正回数と、回数を超えた場合の扱いが明記されているかは、後々のトラブルを避けるうえで重要な確認点です。

もうひとつ見落としやすいのが、納品後の権利関係です。撮影素材(未編集データ)をもらえるのか、音楽や写真素材の利用期間に制限はあるのか、出演社員が退職した場合にどう扱うのか。これらは契約条件によって扱いが変わるため、書面で確認しておくことをおすすめします。具体的な料金体系や対応範囲は、各制作会社の公式サイトや見積書で最新の内容をご確認ください。

費用を抑えたいときの現実的な打ち手

最初に検討したいのは、撮影日をまとめることです。インタビュー、オフィスカット、仕事風景を別日に分けると、そのぶん人件費が重なります。1日に詰め込めるスケジュールを社内で組めるかどうかが、費用を左右します。社員のスケジュール調整は発注側でしかできない仕事なので、ここを頑張ると効果が出ます。

次に、1回の撮影から複数の成果物を作る発想です。フル版に加えて短尺版や縦型版を同時に発注すると、撮影を繰り返すより効率的です。ただし追加の編集工数は発生するため、同時発注でどのくらい変わるかは見積もり段階で確認してください。

逆に、削らないほうがよいのが企画工程です。ここを省くと「きれいだけど自社らしさのない動画」になりやすく、作り直しのほうが高くつきます。予算が限られるなら、演出の派手さを落として企画に時間をかけるという配分のほうが、採用の現場では効きやすい傾向があります。

作った後の運用と、社内で確認しておきたいこと

採用動画は納品されて終わりではありません。どこに置くか(採用ページ、求人媒体、動画プラットフォーム、説明会)、誰が更新するか、いつ作り直すかを決めておかないと、数年後に古い情報のまま残ってしまいます。出演社員の異動や退職があったときの対応方針も、公開前に社内で合意しておくと安心です。

制作費の会計上の扱いは、金額や内容、使用期間によって費用処理か資産計上かの判断が分かれることがあります。広告宣伝費として処理されるケースもあれば、別の扱いになることもあるため、自社の状況に沿った判断は顧問税理士にご確認ください。

また、社員を出演させる際の同意の取り方、肖像の利用範囲、撮影に伴う労働時間の扱いなどは、労務・法務の観点が絡みます。判断に迷う点があれば、労務面は社会保険労務士、契約書や権利関係は弁護士に相談しておくと、公開後の不安が減ります。小さな会社ほど、最初の1本で型を決めておくと、2本目以降がぐっと楽になります。

よくある質問

採用動画の費用相場はいくらくらいですか

構成や撮影日数、出演者の有無で大きく変わるため、ひとつの相場額で示すのは現実的ではありません。まず用途と撮影日数の想定を固めたうえで、同じ条件で複数社に見積もりを依頼し、各社の公式サイトや見積書で最新の金額を確認してください。

動画の長さが2倍になると費用も2倍になりますか

多くの場合、そこまで単純には増えません。費用の中心は撮影日数と編集工数のため、同じ撮影から尺を伸ばすぶんには増え方が緩やかなことがあります。一方で撮影日やロケ地が増えると、金額への影響は大きくなりやすいです。

スマホで内製しても採用動画として通用しますか

用途によっては十分機能します。社員の日常やSNS向けの短尺なら、手作り感が伝わることもあります。ただし会社の看板として長く使う1本は、企画と音声品質の確保が難しいため、外注と併用する会社が多い傾向です。

出演した社員が退職したら動画は使えなくなりますか

契約や同意の取り方によって扱いが変わります。公開前に、利用範囲と退職時の対応を書面で確認しておくと安心です。判断に迷う場合は弁護士にご相談ください。

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この記事は一般的な情報をまとめたものです。税務・法務・労務の個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。 料金や条件は変わることがあるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトで最新の内容をご確認ください。