楽天銀行とPayPay銀行の法人口座の違い|条件別の選び方
法人口座をネット銀行で作ろうと決めたあと、多くの人が最後に迷うのが楽天銀行とPayPay銀行です。どちらも設立したばかりの会社でもオンラインで申し込めて、会計ソフトとの連携にも対応しています。ただ、使い勝手の重心が少し違うため、「自分の会社がどちらの型か」を先に決めると答えが出やすくなります。この記事では、比較の軸と、条件別の選び方を順番に整理します。
この記事の結論
- 楽天銀行とPayPay銀行の法人口座は、どちらもオンラインで開設申込ができ、主要な会計ソフトとのデータ連携に対応しているため、基本的な使い勝手に大きな差はありません。
- 選び分けの基準は「自社がすでに使っているサービス経済圏」と「月あたりの振込件数」で、楽天市場や楽天カードを使うなら楽天銀行、PayPay系の決済やヤフー系モールを使うならPayPay銀行が候補になります。
- 料金体系や特典の条件は変更されることがあるため、最終判断の前に必ず両行の公式サイトで最新の法人向け手数料ページを確認してください。
楽天銀行とPayPay銀行の法人口座、まず押さえる共通点
この2行は、どちらも実店舗を持たないインターネット専業の銀行です。法人口座の申し込みはオンラインで完結し、設立直後の会社でも申込自体は受け付けられます。通帳は発行されず、入出金の確認はウェブの管理画面やアプリで行う形が基本です。
もうひとつの共通点は、クラウド会計ソフトとのデータ連携に対応していることです。入出金明細を自動で取り込めるため、記帳の手間を減らせます。ひとり社長や少人数の会社で、経理に時間をかけたくない場合はどちらを選んでも大きな不便は起きにくいでしょう。
逆に言えば、「オンライン完結」「会計連携」だけを条件にすると差がつきません。そこで次の章から、違いが出やすいポイントを順番に見ていきます。
比較する順番:この4つを上から見れば決まります
迷ったときは、次の順で見てください。1つ目は「自社がすでに使っているサービス経済圏」、2つ目は「月あたりの振込件数と振込先の傾向」、3つ目は「同時に使いたい機能(デビットカード、法人カード、外貨など)」、4つ目は「開設審査に通る準備ができているか」です。
この順番にしているのは、1つ目と2つ目で決まるケースが多いからです。売上の入金元や経費の支払先が特定の経済圏に寄っている会社は、その経済圏の銀行にそろえたほうが資金の動きが見やすくなります。振込件数が多い会社は、手数料の積み上がりが効いてきます。
3つ目と4つ目は、1・2で決着がつかなかったときの補助線です。なお、手数料や優遇の条件は各行が見直すことがあるため、必ず公式サイトの最新情報で確認してください。
楽天銀行・PayPay銀行の比較
各社の公式ページで確認した内容を並べます。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
| 銀行 | 同行宛の振込手数料 | 他行宛の振込手数料 | 口座維持手数料 |
|---|---|---|---|
| 楽天銀行 | 52円(税込) | 3万円未満 150円/3万円以上 229円(税込) | 年額 無料 |
| PayPay銀行 | 0円 | 145円(税込) | このページに記載なし |
楽天銀行の法人口座が向くのはどんな会社か
楽天銀行が候補に上がりやすいのは、楽天市場に出店している、楽天カードやその他の楽天系サービスを業務で使っている、といった会社です。売上の入金や支払いが同じ経済圏の中で動くと、資金の流れを1か所で把握しやすくなります。
また、楽天銀行は法人向けのメニューが比較的幅広く、成長して取引が増えてきたときにも選択肢を広げやすい点があります。振込件数が多い会社や、複数の口座を用途別に分けて運用したい会社は、法人向けページで取り扱いの範囲を確認しておくとよいでしょう。
一方で、機能が多いぶん、申込時に選ぶ項目や設定も増えます。ひとり社長で「入出金が見られればいい」という段階なら、最初はシンプルな設定から始めて、必要になったら追加していく進め方が現実的です。
PayPay銀行の法人口座が向くのはどんな会社か
PayPay銀行が候補になりやすいのは、PayPay系の決済を店舗やサービスで受けている会社、ヤフー系のモールやサービスを事業に使っている会社です。入金の確認と事業用資金の管理を近い場所でまとめられるのは、日々の作業としては小さくない差になります。
操作画面がわかりやすく、口座開設や振込の手順で迷いにくいという声もよく聞きます。経理の担当者を置かず、社長自身が入出金を扱う小さな会社では、この「迷わなさ」が実用上のメリットになります。
ただし、事業の入金元がPayPay系と関係ない場合、この優位性はほとんど効きません。その場合は次章の振込件数や機能面で比べてください。
条件別・どちらを選ぶかの早見
(A)楽天市場に出店している、または楽天系サービスの支払いが多い会社 → 楽天銀行を第一候補に。(B)PayPayでの決済受け取りやヤフー系サービスの利用が中心の会社 → PayPay銀行を第一候補に。ここで決まる会社がいちばん多いはずです。
(C)どちらの経済圏にも属していない会社 → 月あたりの振込件数で比べます。件数が多いなら、両行の振込手数料と優遇条件(残高や利用状況による割引があるか)を公式サイトで並べて確認し、自社の想定件数で計算してみてください。件数が少ないなら、画面の見やすさや会計ソフトとの相性で選んで差し支えないでしょう。
(D)まだ決めきれない場合 → メイン1行を決めて開設し、事業が動き出してから2行目を検討する、という順番でも構いません。法人はメインバンク以外に口座を持つこともできます。ただし口座が増えると記帳と残高管理の手間も増えるため、目的がはっきりしてから増やすのが無難です。
開設の進め方と、審査でつまずかないための準備
手順は両行ともおおむね同じです。会社設立の登記が完了し、登記事項証明書(登記簿謄本)が取得できる状態になったら、公式サイトから法人口座の申込フォームに入ります。一般に、登記事項証明書、代表者の本人確認書類、会社の実態がわかる資料(事業内容の説明、ウェブサイト、契約書や請求書の控えなど)が求められます。細かい必要書類は銀行ごとに異なるため、申込前に各行の案内を確認してください。
審査でつまずきやすいのは、事業内容が伝わらないケースです。「何を、誰に、どうやって売って、どう入金されるのか」が申込内容から読み取れるように書くこと、会社の所在地や連絡先が実態と一致していること、ウェブサイトや案内資料があるならそれを示せるようにしておくことが役立ちます。
審査の結果や期間は事前に分かるものではありません。決済や取引先への支払い予定がある場合は、余裕をもって申し込んでおくと安心です。なお、口座開設や取引の可否は銀行の判断によるもので、この記事で結果をお約束するものではありません。
口座の設計は、法人カードや会計処理、役員報酬の支払いなど、経理の流れ全体とつながります。設立直後で組み立て方に迷う場合は、顧問を依頼する予定の税理士に、会計ソフトとの連携や記帳の運用まで含めて相談しておくと、後の手戻りが減らせます。登記や定款に関わる部分は司法書士、契約や利用規約に関わる部分は弁護士など、内容に応じた専門家にご確認ください。
よくある質問
楽天銀行とPayPay銀行、両方に法人口座を作ってもいいですか?
法人が複数の銀行に口座を持つことは一般的に行われています。入金用と支払い用で分けるなど目的がはっきりしていれば有効ですが、口座が増えるほど記帳と残高確認の手間も増えます。まずメイン1行を決め、必要が出てから2行目を検討する進め方が扱いやすいでしょう。
設立したばかりの会社でも法人口座を開設できますか?
設立登記が完了していれば、どちらの銀行にもオンラインで申し込むことができます。ただし審査があり、事業内容や会社の実態が確認できることが前提になります。事業内容の説明資料やウェブサイトを用意してから申し込むと、確認がスムーズに進みやすいです。
手数料はどちらが安いですか?
手数料や優遇の条件は各行が見直すことがあるため、この記事では金額を記載していません。両行の法人向け手数料ページを開き、自社の月あたりの振込件数を当てはめて計算してみてください。件数が少ない会社では、手数料より画面の使いやすさのほうが効いてくることもあります。
ネット銀行の法人口座だけで事業を回せますか?
多くの小規模法人はネット銀行の口座を中心に運用しています。ただし、取引先によっては都市銀行や地方銀行の口座を求められることや、融資の相談を考えたときに実店舗のある金融機関との関係が意味を持つ場面もあります。事業の方向性に応じて、税理士に相談しながら組み立てるとよいでしょう。