法人ETCカードの作り方|複数枚発行と年会費の考え方

・法人カード・決済・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

社用車が増えてくると、最初にぶつかるのが「ETCカードを人数分・台数分どう用意するか」という問題です。立替精算を毎月やるのは面倒ですし、社長の個人カードのETCを使い回すのも、経理上あとで困ります。この記事では、法人ETCカードの2つのルート、複数枚発行の手順、年会費の考え方、そして発行後の経理のまわし方までを、判断の順番に沿って整理します。

この記事の結論

  • 法人ETCカードには、法人クレジットカードに付帯して発行するタイプと、NEXCO各社などが発行するETCコーポレートカードの2つのルートがあり、社用車が少なく高速道路の利用が不定期ならクレジットカード付帯型が扱いやすいです。
  • ETCカードは基本的に「1枚=1車両または1利用者」で運用するため、社用車の台数分を追加発行し、追加発行の可否・上限枚数・年会費の条件はカード会社ごとに異なるので公式サイトで確認します。
  • ETCカードはカード会社での審査・製造・郵送を経るため即日での発行は一般に難しく、社用車の納車や出張の予定から逆算して早めに申し込むのが現実的です。

法人ETCカードは2つのルートがある|まずどちらかを選ぶ

法人でETCカードを用意する方法は、大きく2つに分かれます。ひとつは、法人クレジットカード(ビジネスカード)を契約し、そのカードに紐づくETCカードを発行してもらう方法です。もうひとつは、NEXCO各社などが取り扱うETCコーポレートカードを、事業者として直接申し込む方法です。名前が似ていますが、発行元も申込先も審査の考え方も別物です。

選び方の順番はシンプルです。まず「高速道路の利用が、特定の路線で毎日のように発生するか」を見てください。運送業や定期配送のように同じ区間を高頻度で走る事業であれば、NEXCOの割引制度を前提にしたETCコーポレートカードが検討対象になります。一方、営業車で不定期に移動する、出張のときだけ使う、という使い方であれば、法人クレジットカード付帯のETCカードのほうが手続きも経理も軽く済みます。

迷ったら、創業直後や社用車が数台までの会社は、まず法人クレジットカード付帯型から始めるのが無難です。経費決済用の法人カードを1枚作れば、その延長でETCカードを追加できるため、支払い口座や明細を一本化しやすいという利点があります。事業が伸びて高速道路の利用が積み上がってきた段階で、コーポレートカードへの切り替えや併用を検討し直せば十分です。

法人クレジットカード付帯のETCカードを作る手順

手順は、①法人クレジットカードを申し込む、②カードが届く、③ETCカードを追加申請する、という三段階が基本です。カードによっては、クレジットカードの申込画面で「ETCカードも同時に希望する」にチェックできるものもあります。同時申込ができるなら、届くまでの待ち時間を短縮できるので、申込フォームをよく確認してください。

用意する書類は、一般に法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)、代表者の本人確認書類、法人名義の口座情報などです。設立して間もない会社では、決算書の代わりに事業計画や取引予定を求められることもあります。必要書類はカード会社ごとに違うため、申込前に公式サイトの案内を確認し、法務局で取得する証明書は発行日から一定期間内のものを求められる点に注意しましょう。

提出先はカード会社です。オンライン申込に対応していれば、書類をアップロードして完結することもあります。審査から発行、郵送までにはそれなりの日数がかかるのが通常で、ETCカードはクレジットカードの発行後にさらに製造・郵送されるケースも多いため、社用車の納車日や長距離出張の予定からは余裕をもって逆算してください。

社用車の台数分を発行するには|複数枚発行の考え方

ETCカードは、車載器に挿して使う性質上、1枚を複数の車で使い回すと、どの車の走行分なのかが分からなくなります。経理上も「誰がどの車でいつ走ったか」を後から説明できるようにしておきたいので、原則は車両ごと、または常用するドライバーごとに1枚ずつ持たせる運用が扱いやすくなります。

法人クレジットカード付帯型の場合、複数枚を発行する方法は2通りあります。1つは、1枚の法人カードに複数のETCカードを紐づける方法。もう1つは、従業員向けの追加カード(社員カード)を発行し、それぞれにETCカードを付ける方法です。前者は支払いと明細をまとめやすく、後者は社員ごとの利用管理がしやすいという違いがあります。管理部門が一人で見るなら前者、部署や拠点ごとに分けて見たいなら後者、と考えると整理しやすいでしょう。

ここで必ず確認したいのが、1契約あたりのETCカード発行可能枚数の上限です。カード会社によって、複数枚を発行できるもの、1枚までのものなど扱いが分かれます。将来的に社用車を増やす予定があるなら、申込前に「上限は何枚か」「追加発行に条件はあるか」を公式サイトやサポート窓口で確認しておくと、後から作り直す手間を避けられます。

年会費と「無料」の読み方|どこまでが無料なのか

「法人カード ETC 年会費無料」で探すと多くの情報が出てきますが、無料の対象が何を指しているのかは、必ず切り分けて読んでください。チェックすべきは、①クレジットカード本体の年会費、②追加カード(社員カード)の年会費、③ETCカード自体の年会費、④ETCカードの新規発行手数料、の4つです。この4つのうち一部だけが無料、という設計も珍しくありません。

もうひとつ見落としやすいのが、「◯枚目までは無料、それ以降は有料」という段階的な条件や、「年に一度も利用がない場合は次年度から有料」といった利用実績の条件です。社用車が増えていく前提なら、枚数が増えたときの総額で比べる必要があります。具体的な金額や条件は改定されることがあるので、必ず各社の公式サイトで最新の料金を確認してください。

比較するときは、「年会費の安さ」だけで決めないことをおすすめします。ETCカードの発行可能枚数、利用明細をCSVなどで出力できるか、会計ソフトと連携できるか、紛失時の再発行にどれくらいかかるか。これらは日々の事務工数に直結します。年会費を抑えても、毎月の明細突合に時間を取られるなら、トータルでは割に合わないこともあります。

高速道路の割引とETCマイレージはどう関係する?

高速道路の割引制度は、カード会社が提供するものではなく、道路事業者側の制度です。代表的なものに、ETCマイレージサービスと、大口・多頻度割引(ETCコーポレートカードの利用が前提となる制度)があります。法人クレジットカード付帯のETCカードでも、ETCマイレージサービスに登録できる場合がありますので、該当するかどうかは制度の公式案内で確認してください。

走行量が多い事業では、大口・多頻度割引の対象になるETCコーポレートカードが選択肢に入ります。ただし、こちらは申込先も審査の考え方もクレジットカードとは異なり、保証金や契約手続きが必要になるなど、事業者として一定の準備が求められます。要件や割引の適用条件は改定されることがあるため、NEXCO各社など所管の公式資料で最新の内容を確認するのが確実です。

現実的な進め方としては、まず法人クレジットカード付帯のETCカードで運用を始め、月次の高速道路利用額を数か月分ためてみることです。その実績を見て、コーポレートカードに切り替えたほうが有利そうなら検討する、という順番なら、判断材料を持ったまま動けます。最初から走行量が読めている運送系の事業であれば、はじめからコーポレートカードを軸に検討して構いません。

発行後の運用|経理と紛失対応を先に決めておく

ETCカードを配る前に、社内ルールを紙一枚でいいので決めておきましょう。決めるのは、誰がどのカードを持つか、私用での利用を認めるか、車を乗り換えるときのカードの扱い、紛失したときの連絡先と手順、の4点です。特に紛失時は、カード会社への連絡と、必要に応じたETC利用照会サービス側の手続きの両方が絡むことがあるため、連絡先を車内やマニュアルに控えておくと安心です。

経理面では、ETCの利用分は法人カードの利用明細にまとめて計上されるのが一般的です。明細だけでは区間や日時の詳細が分からないこともあるため、ETC利用照会サービスなどで明細を取得し、旅費交通費の根拠として保存しておく運用が扱いやすくなります。電子データで受け取った明細の保存方法については、電子帳簿保存法の考え方が関わってくる場面があるので、詳細な要件は国税庁の資料を確認するか、顧問税理士に相談してください。

ETC利用分の勘定科目や消費税の取り扱い、私用利用分が発生した場合の処理などは、会社の実態によって判断が変わることがあります。「これは経費になりますか」という論点は自己判断せず、税理士に確認したうえで社内ルールに落とし込むと、後々の指摘を受けにくくなります。カードを増やす前に処理の型を決めておくほうが、結果的に手戻りが少なく済みます。

よくある質問

法人ETCカードは即日発行できますか?

一般に、法人ETCカードはカード会社の審査を経て製造・郵送されるため、即日で手元に届くことは難しいと考えておくほうが安全です。クレジットカード本体が発行されてからETCカードを追加申請する流れになる場合、さらに日数がかかります。納車日や出張の予定から逆算し、余裕をもって申し込んでください。

社用車が5台あります。ETCカードは5枚発行できますか?

1契約で発行できるETCカードの枚数はカード会社ごとに異なり、複数枚に対応するものもあれば上限が設けられているものもあります。台数分が必要な場合は、申込前に発行可能枚数と追加発行の条件を公式サイトやサポート窓口で確認してください。追加カード(社員カード)ごとにETCカードを付ける方式が使えることもあります。

代表者の個人ETCカードを社用車で使い続けても構いませんか?

運用として不可能ではありませんが、立替精算の手間が毎月発生し、私費と事業費の区別も付けにくくなります。経費処理の根拠を残しやすくするためにも、法人名義での決済に切り替えたほうが管理は楽になります。個人カード利用分の処理方法については、税理士に確認しておくと安心です。

ETCカードの年会費が無料なら、コストはかからないのですか?

「無料」の対象が、本体カードの年会費なのか、ETCカードの年会費なのか、新規発行手数料なのかで意味が変わります。枚数によって条件が変わる設計や、利用実績に応じた条件が付くこともあるため、複数枚発行する前提なら総額で比較してください。金額や条件は改定されることがあるので、各社の公式サイトで最新の情報を確認しましょう。

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