法人カードの選び方|比較する項目と決め方の順番
法人カードは種類が多く、比較サイトを開くほど迷いやすいカテゴリです。ただ、選ぶ基準そのものは意外とシンプルで、「自社がカードに何をさせたいか」が決まれば候補は数枚まで絞れます。この記事では、比較すべき項目と、それを見る順番を実務の流れに沿って整理します。
この記事の結論
- 法人カードは人気ランキングで選ぶより、決済枠・引き落とし口座・追加カードの枚数・会計ソフトとの連携という順に自社の条件と突き合わせて絞り込むのが近道です。
- 設立直後で決算書がない会社は、代表者の情報を中心に審査される種類のカードや、取引のある銀行系のカードから検討すると話が進みやすい場合があります。
- 還元率やポイントは最後に比べる項目で、まず「毎月の支払いが問題なく通る枠かどうか」と「経理の手間が減るかどうか」を優先して判断します。
法人カードの選び方は「還元率」から入らない
法人カードの比較記事を読むと、まず還元率や付帯サービスが並びます。ただ実務で効いてくるのは、毎月の支払いが止まらないこと、経理処理が楽になること、この2点です。広告費やクラウドサービス利用料が枠を超えて決済できなかった、という事態のほうが、還元率の差よりずっと痛手になります。
そのため比較の順番は、①決済枠(利用可能額)②引き落とし口座と締め日③追加カード・ETCカードの発行④会計ソフトや経費精算との連携⑤年会費と特典、の順がおすすめです。①〜④が合わない相手は、いくら特典が魅力的でも運用でつまずきます。
「法人カード おすすめ」で出てくる一覧は、あくまで候補の母集団だと考えてください。そこから自社の条件で落としていくと、たいていは2〜3枚に収まります。
比較する項目①決済枠と引き落とし口座
最初に確認したいのは、月にいくらカードで払う予定があるかです。広告出稿、クラウドツール、出張費、仕入れの一部まで乗せるなら、その合計を無理なく通せる枠が必要になります。カードによって枠の考え方や増額の相談方法が異なるため、申込前に各社の公式サイトで条件を確認してください。
次に引き落とし口座です。法人名義の口座からの引き落としに対応しているか、個人名義口座でも申し込めるかは、カードによって扱いが分かれます。法人口座がまだ開設できていない段階なら、個人名義口座で使える種類のカードから当たると進めやすいことがあります。
締め日と支払日も見ておきましょう。仕入れや広告費が先に出て入金が後になる商売では、締め日から支払日までの日数が長いほど手元資金に余裕が生まれます。ここは還元率より実務への影響が大きい項目です。
比較する項目②追加カード・ETC・利用者管理
従業員がいる会社では、追加カードを何枚まで、どういう条件で発行できるかが分かれ目になります。役員・社員それぞれに持たせるのか、部署に1枚置くのか。人数分の発行に追加費用がかかる場合もあるため、枚数と条件はセットで確認してください。
ETCカードも同じです。営業車が複数あるなら、車両の台数分を発行できるかを先に見ます。発行枚数の上限や申込方法はカードごとに違うので、公式サイトの案内を確認しましょう。
利用者ごとに明細が分かれるか、限度額を個別に設定できるかも、社員数が増えると効いてきます。ひとり社長のうちは不要でも、2〜3年後に人を採る予定があるなら、拡張できるカードを選んでおくと乗り換えの手間が省けます。
比較する項目③会計ソフト連携と明細の扱い
法人カードを持つ一番の実利は、経費の支払いを1本にまとめて、明細をそのまま帳簿に流せることです。使っている(あるいはこれから使う)会計ソフトと連携できるかは、必ず確認したい項目です。連携できれば、利用明細を取り込んで勘定科目を割り当てるだけで済み、領収書の山と格闘する時間が減ります。
明細の取得方法もチェックポイントです。Web明細の保存期間、CSVでのダウンロード可否、利用者別・月別の出し分けができるかなど、後から「欲しい形で出せない」と気づくと面倒です。
なお、カードの利用明細と領収書の保存については、電子帳簿保存法の考え方が関わります。電子でやり取りしたものの保存方法など、要件の詳細は国税庁の資料や所管官庁の案内を確認し、判断に迷うときは税理士にご相談ください。
設立直後・中小企業はどう絞り込むか
設立して間もない会社は、決算書がまだありません。この場合、法人の業績よりも代表者個人の情報を中心に見る種類のカードがあり、そうしたカードのほうが申し込みやすいことがあります。「法人カード 審査」で調べると条件がいろいろ出てきますが、各社が公表している申込条件を直接読むのが確実です。
もう一つの入口は、取引のある銀行の系列カードです。法人口座を開いた銀行で相談すると、口座との紐づけや引き落としの設定がスムーズに進む場合があります。すでに融資や口座の取引実績があるなら、まず窓口で聞いてみる価値はあります。
従業員が数名〜十数名の会社では、追加カードの発行条件と利用者別の管理機能を軸に絞るとうまくいきます。逆にひとり社長なら、追加カードより「支払日までの日数」と「会計ソフト連携」を優先したほうが日々の効きが大きいでしょう。
2枚持ちという選択肢と、申し込みの進め方
1枚に絞りきれないときは、役割を分けた2枚持ちも現実的です。たとえば、固定費(クラウドサービス・通信費など)を引き落とす常用カードと、広告費や仕入れなど変動の大きい支出を通すカードを分けると、枠の逼迫と明細の見やすさの両方に効きます。ただし管理する口座と明細が増えるので、経理を1人で回している間は無理に増やさないほうが無難です。
申し込みの流れは、①必要書類を揃える②公式サイトから申し込む③審査結果を待つ④カード到着後に口座振替や利用者登録を設定する、という順になります。書類は一般に、登記事項証明書や代表者の本人確認書類などが求められることが多く、カードによって異なります。申込ページの案内に従って準備してください。
最後に、決めきれないときの判断基準をひとつ。「このカードが使えなくなったら明日の支払いが止まるか」を想像して、止まると困る支出を通す側を主軸に選ぶ。これで優先順位はだいたい整理できます。年会費やポイントの比較は、その後で十分です。
よくある質問
法人カードのランキングを見て上位のものを選べばよいですか。
ランキングは候補を知る材料にはなりますが、順位は評価の観点によって変わります。自社の決済額、追加カードの必要枚数、使っている会計ソフトという3点で絞ったほうが、結果的に納得できる1枚にたどり着きやすいです。
設立直後でも法人カードは作れますか。
決算書の提出を前提としない種類のカードもあり、設立直後でも申し込める場合があります。ただし審査の基準は各社が定めており公表されていない部分もあるため、申込条件を公式サイトで確認したうえで申し込んでください。
個人名義のクレジットカードを事業で使い続けてもよいですか。
事業用の支出を個人カードで払うこと自体はよくありますが、私的な支出と混ざると仕訳や証憑の管理が煩雑になります。事業用に分けておくほうが帳簿が整理しやすく、経費計上の扱いに迷う場面も減ります。判断に迷う点は税理士にご確認ください。
年会費が無料のカードと有料のカード、どちらを選ぶべきですか。
年会費の有無だけでは決まらず、追加カードの枚数や付帯サービス、限度額の考え方とセットで比べる必要があります。料金は改定されることがあるため、最新の金額は各社の公式サイトで確認してください。