合同会社を設立できる条件|年齢制限や設立できないケースの確認
合同会社は、株式会社にくらべて手続きがシンプルで、ひとりでも設立できる会社形態です。とはいえ「誰でも、どんな条件でも作れる」というわけではなく、出資や名前、住所、事業目的などにいくつかの決まりがあります。この記事では、合同会社を設立できる条件を5つの観点に分けて整理し、年齢制限の考え方、設立できない・手続きが止まってしまうケース、設立前に決めておくことのチェックリストまでを順番に確認していきます。
この記事の結論
- 合同会社は、出資する人(社員)が1人以上いて、出資金を払い込み、商号・本店所在地・事業目的を決められれば設立でき、資本金の下限や学歴・資格といった要件は課されていません。
- 年齢そのものを理由に設立を断られる仕組みはありませんが、未成年者が設立する場合は法定代理人の同意や印鑑登録の有無が実務上の壁になりやすく、法務局や司法書士への事前確認が現実的です。
- 設立できない・手続きが止まる典型は、事業目的が不明確、同一住所に同一商号がある、許認可の要件を満たしていない、出資金の払込みが確認できない、といったケースです。
合同会社の設立条件は「人・お金・名前・住所・目的」の5つで確認する
合同会社を設立できるかどうかは、大きく5つの観点に分けると整理しやすくなります。①出資して社員になる人がいること、②出資金を払い込むこと、③商号(会社の名前)を決めること、④本店所在地を決めること、⑤事業目的を決めること。この5つが揃えば、あとは定款を作り、法務局に登記を申請する流れになります。
合同会社には、株式会社のような設立時の公証人による定款認証の手続きがありません。そのぶん準備する書類は少なめですが、「決めなければ先に進めない項目」は同じです。迷ったときは、この5つのうちどれが決まっていないのかを最初に切り分けると、次にやることがはっきりします。
なお、資本金の下限額や、代表者の学歴・職歴・保有資格といった条件は、会社法上は設けられていません。「実績がないと作れないのでは」と心配する必要は基本的にありませんが、業種によっては後述の許認可が別の条件を課すことがあります。
社員(出資者)の条件|1人でもよい、法人でもよい
合同会社で「社員」と呼ばれるのは、従業員ではなく出資者のことです。出資者は1人でも設立でき、いわゆる「ひとり社長」の合同会社はこの形になります。複数人で出資することもでき、その場合は全員が原則として業務を執行する立場になるため、誰が代表社員になるかを定款で決めておくのが一般的です。
出資者は個人だけでなく法人でもかまいません。法人が社員になる場合は、その法人を代表して実際に業務を行う人(職務執行者)を選ぶ必要があり、添付書類も個人のみのケースより増えます。グループ会社の子会社として合同会社を作るときなどは、この点を早めに確認しておくと手戻りが減ります。
外国籍の方が出資者や代表社員になることも可能ですが、在留資格によって日本国内で行える活動の範囲が異なります。就労や経営に関わる在留資格の扱いは個別性が高いため、出入国在留管理庁の情報を確認したうえで、必要に応じて行政書士や弁護士に相談してください。
合同会社の設立に年齢制限はある?未成年でつくる場合の注意点
会社法に「◯歳以上でなければ設立できない」という年齢の条件は置かれていません。ですので、年齢だけを理由に設立が認められないという仕組みにはなっていません。実務上のハードルは、年齢そのものではなく「本人が単独で有効に契約できるか」「印鑑証明書を用意できるか」という点にあります。
未成年者が出資者や代表社員になる場合、定款作成や出資の払込みといった行為について、法定代理人(多くは親権者)の同意書や、同意を示す書類の添付を求められることがあります。また、登記手続きでは印鑑証明書が必要になる場面があり、印鑑登録ができる年齢は自治体の取扱いによって異なります。お住まいの市区町村の窓口で、印鑑登録の可否を先に確認しておくと安全です。
高齢を理由に制限されることもありませんが、成年後見が開始している場合など、判断能力に関する事情があるときは取扱いが変わります。未成年・後見関係のケースは書類の組み立てが個別判断になりやすいので、管轄の法務局の相談窓口か司法書士に、着手前に確認することをおすすめします。
商号・本店所在地・事業目的の条件|ここでつまずく人が多い
商号(会社名)には、「合同会社」の文字を入れることが必要です。使える文字は日本語のほか、ローマ字や一部の符号などに限られ、記号を自由に使うことはできません。また、同じ住所に同じ商号の会社が既に登記されている場合は登記できないため、法務局の窓口やオンラインの登記情報サービスで、事前に類似商号を調べておくと安心です。有名企業と紛らわしい名前は、不正競争防止法などの観点から後々トラブルになる可能性もあります。
本店所在地は、自宅でもかまいません。ただし、賃貸物件の契約や分譲マンションの管理規約で事業用としての使用が制限されていることがあるため、契約書と規約を先に読んでおきましょう。レンタルオフィスやバーチャルオフィスを本店にする場合、業種によっては後述の許認可で「実体のある事務所」が求められ、要件を満たさないと判断されることがあります。
事業目的は、第三者が読んで内容を理解できる程度に具体的である必要があります。抽象的すぎる表現や、意味の通らない語句は登記の段階で指摘を受けることがあります。将来やる予定の事業も書いておけますが、並べすぎると取引先や金融機関から事業の軸が分かりにくいと見られることもあるため、当面の主力事業を先頭に据えるのが実務的です。
合同会社を設立できない・手続きが止まる主なケース
「設立できない」と言われる場面の多くは、会社そのものが作れないのではなく、手続きの途中で止まっているケースです。典型は、①事業目的の表現が不明確、②同一住所に同一商号がある、③出資金の払込みを証明する資料が用意できていない、④定款の記載と登記申請書の内容が食い違っている、といったものです。いずれも、書き直しと再提出で解決できることがほとんどです。
一方で、本質的に条件を満たしていないケースもあります。建設業、人材紹介、古物商、飲食業、宅地建物取引業など、許認可が必要な事業では、資格者の配置や事務所の要件が定められていることがあります。会社は登記できても、許認可が下りなければ事業を始められないため、「その業種で会社を作れるか」ではなく「その業種の許認可要件を満たせるか」を先に調べる順番が大切です。
このほか、法令や過去の処分によって一定期間役員等になれない立場の方がいる場合や、法人名義の口座開設が金融機関の審査で進まない場合もあります。口座は各金融機関が独自に審査しており、事業の実体を示す資料を求められることがあります。開設の可否や必要書類は、取引を検討している金融機関の公式サイトで最新の案内をご確認ください。
設立前に決めることチェックリストと、手続きの順番
申請の直前になって迷わないよう、先に決めておく項目を一覧にしておきます。①商号、②本店所在地、③事業目的、④出資者と出資額、⑤代表社員を誰にするか、⑥事業年度(決算月)、⑦会社の印鑑をどうするか、⑧設立日として希望する日。このうち出資額は、当面の運転資金と、許認可で財産要件がある業種かどうかを踏まえて決めます。金額の目安は事業内容によって大きく変わるため、税理士に相談しながら決めるのが確実です。
順番としては、まず上の項目を決め、次に類似商号と本店の使用可否を確認します。続いて定款を作成し、出資者の個人口座に出資金を払い込んで、通帳の記帳内容などから払込みを証明する書類を作ります。最後に、登記申請書と定款、代表社員の就任承諾に関する書類、印鑑届などをそろえて、本店所在地を管轄する法務局へ申請します。申請日が原則として会社の設立日になるため、希望日がある場合は逆算して準備しましょう。
登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を取得し、税務署・都道府県税事務所・市区町村への届出、年金事務所での社会保険の手続き、法人口座の開設、必要な許認可の申請へと進みます。社会保険は、役員1人の会社でも加入対象になる場合があります。要件の詳細は日本年金機構や所管官庁の資料を確認し、判断に迷うときは社会保険労務士にご相談ください。
設立できる条件を満たしているかの最終確認、定款の書き方や登記書類の作成は司法書士、資本金や決算月の決め方と設立後の税務は税理士、許認可の要件は所管官庁や行政書士、社会保険や雇用の手続きは社会保険労務士が相談先になります。自己判断で進めて後から直すより、着手前に一度専門家に見てもらうほうが、結果的に早く進むことが多いです。
よくある質問
合同会社は一人でも設立できますか。
出資者が1人でも設立でき、その人が代表社員として業務を行う形になります。従業員がいなくても問題はなく、ひとり会社として運営されている合同会社は数多くあります。ただし役員1人でも社会保険の手続きが必要になる場合があるため、要件は日本年金機構の資料を確認するか社会保険労務士にご相談ください。
学生や会社員でも合同会社を設立できますか。
身分や職業を理由に設立が制限される仕組みはありません。ただし会社員の場合は勤務先の就業規則で副業や兼業が制限されていることがあり、まず規則を確認しておくと安心です。未成年の学生の場合は、法定代理人の同意書や印鑑登録の可否が実務上の確認事項になります。
自宅を本店にして合同会社を設立できますか。
自宅を本店所在地として登記することは可能です。ただし賃貸借契約やマンションの管理規約で事業利用が制限されていないかを先に確認してください。許認可が必要な業種では事務所の独立性などが求められることがあり、その場合は自宅では要件を満たさないと判断されることもあります。
設立にかかる費用はどのくらいですか。
登録免許税などの法定費用のほか、印鑑作成や専門家に依頼する場合の報酬がかかります。金額は制度改正や依頼先によって変わるため、法務局の公式サイトや依頼を検討している司法書士事務所の公式サイトで最新の費用をご確認ください。