議事録のテンプレートと書き方|AI要約を整える項目の決め方

・会議・情報共有・会社のはじめかた編集部(監修:田中 祐介)

AIの文字起こしや自動要約を使うと、議事録づくりの手間はたしかに減ります。ところが出来上がったものを読み返すと、「話した内容は分かるけれど、結局なにが決まったのか分からない」という状態になりがちです。原因の多くは、AIの性能ではなく、こちら側の項目立てが決まっていないことにあります。この記事では、あとから読める議事録にするためのテンプレート項目の決め方と、WordとExcelの使い分け、会議前後の具体的な流れを整理します。

この記事の結論

  • 議事録のテンプレートは「決定事項」「宿題(担当者と期限つき)」「保留・持ち帰り」の3項目を先に固定し、発言の経緯はその下に補足として置くと読めるものになります。
  • AI要約をそのまま議事録にするのではなく、あらかじめ用意したテンプレートの各項目に要約を割り振り、決定事項と担当者だけは人が確認して確定させる運用が現実的です。
  • 文章として残すならWord、宿題の進捗を追いたいならExcelやスプレッドシートが向き、株主総会や取締役会の議事録は社内会議用テンプレートとは分けて作成します。

なぜAI議事録は「読めない議事録」になりやすいのか

AIの文字起こしや自動要約は、話された内容を漏れなく拾うことが得意です。一方で、その会議で何が確定し、誰が次に動くのかという「重み付け」は、会議の文脈を知らないと判断しきれません。結果として、雑談も検討中の案も決定事項も、同じトーンで並んだ長い要約ができあがります。

読み手が議事録に求めているのは、たいてい「決まったこと」と「自分がやること」の2つだけです。ここが冒頭になく、時系列の発言録の中に埋もれていると、読まれない議事録になります。

つまり必要なのは、AIに賢くまとめてもらうことではなく、まとめる先の箱をこちらが先に用意しておくことです。項目が決まっていれば、AIの出力をその箱に振り分けるだけで済み、修正の手間も一定に収まります。

議事録テンプレートの項目の決め方|3つの必須項目から作る

最初に固定したいのは、「決定事項」「宿題(ToDo)」「保留・持ち帰り」の3つです。決定事項はその会議で確定したこと、宿題は担当者と期限がセットになった作業、保留は今回は決めきれず次回以降に持ち越すものを指します。この3つが分かれているだけで、議事録は一気に読めるようになります。

次に、ヘッダー部分として「会議名」「日時」「場所またはオンライン」「出席者」「欠席者」「作成者」を置きます。ここは毎回同じ形で埋まるので、テンプレートに空欄として用意しておくと迷いません。あとから検索する人は、まずここで目的の会議を探します。

最後に、議題ごとの「議論の経緯」を置きます。ここがAIの要約を貼り付ける場所になります。順序としては、上から「ヘッダー → 決定事項 → 宿題 → 保留 → 議題ごとの経緯」。経緯を先頭に置かないことが、読める議事録の分かれ目です。

宿題の欄は「誰が・何を・いつまでに」の3点をそろえます。「◯◯について検討する」だけでは動きません。「担当:山田/内容:見積を3社取得/期限:次回会議まで」のように、主語と期限を必ず書く形にしておきます。

WordとExcel、どちらのフォーマットにするか

迷ったら、その議事録を「読ませたいのか」「追いかけたいのか」で決めます。経緯や判断理由まで含めて文章で残し、あとから読み返して意思決定の背景をたどりたいなら、WordやGoogleドキュメントのような文書形式が向いています。見出しとリストで構造を作れるので、長い内容でも読めます。

一方、定例会議で宿題が積み上がっていくタイプの会議なら、ExcelやGoogleスプレッドシートが便利です。1行=1つの宿題として、会議日・議題・内容・担当者・期限・ステータスの列を作れば、未完了の宿題だけを絞り込んで次回の冒頭で確認できます。議事録とタスク管理表を兼ねられるのが利点です。

実務では、両方を併用する会社も多いです。文書側に会議ごとの記録を残し、スプレッドシート側に宿題だけを集約する形です。ひとり社長や少人数の会社なら、まずはスプレッドシート1枚から始めて、必要になったら文書形式を足すほうが続きます。

どの形式でも、ファイル名のルールは先に決めておきます。「20260921_定例会議_議事録」のように日付を先頭に置くと、フォルダ内で自然に時系列に並び、後から探しやすくなります。

AI議事録の取り方|会議の前・中・後にやること

会議の前に用意するのは、アジェンダとテンプレートの2つです。アジェンダの議題名を、そのまま議事録テンプレートの見出しに書き写しておきます。議題の箱が先にあると、AI要約を割り振る作業が単なる仕分けになり、考え込む時間がなくなります。録音や文字起こしのツールを使う場合は、参加者に録音する旨を事前に伝え、了承を得ておきます。

会議中は、議事録をその場で完成させようとしないことです。文字起こしはツールに任せ、人間は「いま決まった」「これは宿題」というタイミングだけをメモします。会議の終了5分前に、決定事項と宿題を口頭で読み上げて参加者に確認してもらうと、後の修正がほとんど不要になります。

会議後は、まずAIの要約を議題ごとの経緯欄に貼り付けます。次に、要約の中から決定事項と宿題を抜き出して上部に移し、担当者名と期限を補います。ここだけは人が目で確認します。固有名詞や金額、日付は聞き取りが揺れやすいので、重点的に見直してください。

最後に、当日中か翌営業日までに参加者へ共有します。共有時に「訂正があれば◯日までにご連絡ください」と一言添えると、記憶が新しいうちに修正が入り、記録の精度が上がります。

社内会議の議事録と、株主総会・取締役会の議事録は分けて考える

ここまで説明したテンプレートは、日々の社内会議や打ち合わせを想定したものです。これとは別に、株主総会や取締役会の議事録は、会社法で作成や保存が求められる書類にあたり、記載すべき事項や署名・記名押印の扱いが定められています。登記の添付書類として使う場面もあるため、社内会議のフォーマットを流用するのは避けたほうが無難です。

法定の議事録については、記載事項の詳細を法務省や法令の条文で確認し、実際の様式は司法書士や弁護士に確認しながら整えるのが安心です。特に役員変更や本店移転などの登記に関わる場合は、書き方ひとつで手続きが滞ることがあります。

また、AIの文字起こしサービスを使う場合、会議の音声データがどこに保存され、どう扱われるかは各サービスで異なります。人事や取引条件など機微な内容を扱う会議では、利用規約とデータの取り扱い方針を各社の公式サイトで確認してから導入してください。

議事録の保存についても、紙で残すか電子で残すかによって整理の仕方が変わります。電子データの保存要件が関わる書類もあるため、扱いに迷う場合は所管官庁の資料を確認するか、顧問の税理士に相談しておくと安心です。

そのまま使える議事録の書き方サンプル

文章形式の例です。冒頭に「会議名:月次定例/日時:2026年9月21日 10:00〜11:00/場所:オンライン/出席者:◯◯、◯◯/作成者:◯◯」を置きます。続けて「【決定事項】1. 新サービスの公開日を11月第1週とする。2. 問い合わせ対応は当面◯◯が担当する。」と並べます。

次に「【宿題】1. 担当:◯◯/内容:公開ページの原稿作成/期限:9月30日。2. 担当:◯◯/内容:見積の取得/期限:次回会議まで。」と書きます。そして「【保留】料金体系の見直しは、公開後の反応を見て10月の定例で再検討する。」と続けます。

最後に「【議題1:新サービスの公開時期について】」という見出しを立て、そこにAIの要約を貼り付けます。議題ごとに見出しを分け、それぞれの下に経緯を置く形にすると、あとから特定の話題だけを探せます。

Excel形式にするなら、シートを2枚に分けます。1枚目は会議ごとの記録(日付・議題・決定事項・議論の要点)、2枚目は宿題一覧(会議日・内容・担当者・期限・ステータス)です。2枚目をフィルタで「未完了」に絞り、次回会議の冒頭で画面共有するだけで、進捗確認が回り始めます。

よくある質問

AIの要約をそのまま議事録として配ってもいいですか

共有すること自体は可能ですが、決定事項と担当者・期限の部分は人が確認してから配ることをおすすめします。AIは検討中の案と確定した内容を区別しきれないことがあり、そのまま配ると認識のずれが残ります。要約は経緯の記録として使い、決定事項は上部に人の手でまとめ直す運用が現実的です。

議事録はエクセルとワードのどちらで作るべきですか

経緯や判断理由まで文章で残したいならWord、宿題の進捗を継続的に追いたいならExcelが向いています。定例会議で毎回ToDoが出るタイプなら、1行1タスクの一覧にできるExcelやスプレッドシートのほうが運用が続きやすいです。両方を併用し、記録は文書、宿題は表に集約する形も使われています。

議事録はいつまでに共有すればいいですか

社内会議であれば、当日中か翌営業日までを目安にすると記憶が新しいうちに訂正が入ります。共有時に訂正の締切を一言添えておくと、確認が返ってきやすくなります。遅れるほど内容の確認が難しくなるので、完璧さより速さを優先したほうが結果的に精度が上がります。

株主総会の議事録も同じテンプレートで作れますか

株主総会や取締役会の議事録は会社法上の書類にあたり、記載事項や保存の扱いが社内会議とは異なります。登記の手続きで使う場合もあるため、社内用テンプレートの流用は避け、様式は司法書士や弁護士に確認しながら整えるのが安心です。

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